過去の議事録

2011年4月25日(月)開催 第91回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「大沢悠里のゆうゆうワイド」 4月11日放送分について

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
副委員長田中珍彦 
委員宮台真司 萩原健太 谷川真理 水科孝之 二木 薫 

局側出席者

 加藤 社長

 橋本 番組審議会事務局長

 入江 取締役

 坂元 プロデューサー

委員の主な発言

◇いろんなコーナーがあるんですけれども、毒蝮三太夫さんの「ミュージックプレゼント」は、今回は板金屋さんのところへ行って、そこの方々とのトークでした。板金の音をカンカンカンとやっているのがすごくリアルで、聞いていて自分もその現場にいるんじゃないかというぐらい迫力のある音だったので、ちょっと楽しかったです。やはり26年という長い年月が培ったものなのか、他の番組だとすごくテンポが速かったりするんだけれども、大沢さん独特の調子で、非常に落ちついて喋っておられるので、多分リスナーさんは60代、70代の方が非常に多いと思うんですが、安心して聞いていられると思います。

◇全体的に、何となくひょうひょうとしているとか、ほのぼのしていると思える表層の下で、結構クールな手ざわりを感じました。逆に言えば、毎日、何十年もやっていらっしゃる番組ならではの冷たさだと思うんですけれども、それがあることも事実でした。かつての蝮さんがもう少し街の中に突入して、今回のも、街の中でのすごく生き生きとした会話だったとは思うんですけれども、でも全部自分の事情に持っていってしまう感じのトークではない、もう少しまざった感じが、かつてはもう少しあったような気がしたのは事実です。これは僕の記憶違いかもしれませんので、断言はできないんですけれどもそういうクールな手ざわりが若干気になりました。

◇非常時に非常時のモードにならなければいけないのかというのが大問題で、自粛ムードというのは私は本当に不愉快です。非常時にこそいろんな思いを抱えながら今までの日常をむしろ反復する。そのときに、今までの日常を反復してきた、つまりルーティーンとして営んできたことの意味が改めて浮き上がってくるような形が多分一番いいと思います。その意味では、「ゆうゆうワイド」のようなクラシカルなというか、定型、定番、煮詰まった形を反復する番組こそが、実はいろんなことを問われる部分があると思います。具体的にどういうことかというと、冒頭のコーナーが地方選挙あるいは知事選の話題でした。日本よりもはるかに早い段階で地方議会選挙のあったドイツでは、福島原発の影響もあり、いわゆるグリーンパーティーを中心とする政党が与党になったんです。にもかかわらず、日本ではむしろ議席は動かないし、中国地方では、実は反原発を唱えた人はむしろ落ちたということがあったんです。これは、僕たちが生きている空間がある種の問題を抱えているからで、東電とか政府を批判して自分たちは被害者だという面をしていればいいという問題でも必ずしもない部分があると思うんです。なので、型を反復するのであればあるほど、前半の現実の政治に言及される部分をもう少しちゃんとやったほうがいいかなと。そうでないと、日常の反復が単なる鈍感さのあらわれになってしまう。むしろ日常の反復こそが鈍感さではない敏感さのあらわれなんだという表現をどこかに入れてほしかったなと思いました。

◇これは良い意味で言うんですけれども、偉大なるマンネリというんですかね。余り変わらないところによさがあるんだという偉大なるマンネリの番組で、これは私は肯定的にいっているわけですけれども、そういう番組だと思います。

◇私は、本当に根っからのFMリスナーなので、まず、本当に音楽が少ないというのをすごく感じました。かかってもすごく短かった。一瞬かかってすぐ終わってしまったというのをすごく感じて、大沢さんのトークとか、CMがずっと延々と続いていくので、私はながら聞きをしているんですけれども、だんだん集中力が途切れてしまうというか、もうちょっとブレーク、耳を休ませられるようなところがあったほうが聞きやすいかなとは感じました。良かった点としては「身の上相談」のコーナーです。私は祖母がいるんですけれども、祖母を見ていても人間関係の悩みが意外と多いんです。かといって、お年寄り同士はなかなかお互いの話をじっくりと聞き合えないところがあったり、相談相手自体が少ないというのが現実なんです。やはり周りの家族も一々じっと聞いてあげられない部分もあるので、テレビで老人がずっと自分の身の上の相談をしているとか、インターネットでお年寄りの方が投稿するというのも難しいことなので、ラジオらしいコーナーでラジオ独自の近さとか温かさみたいなのを感じることができました。

◇じっくり聞いた中で、田山涼成さんがゲストでいらっしゃっていて、これは「ハンチョウ」の宣伝だとは思うんですが、田山涼成さんの時間を長くとっていただいたおかげで、今まで知らなかった、私は田山さんが名古屋出身だとか、そういうあたりは余り存じ上げなかったので、名古屋弁のくだりとかは非常に興味深く聞けました。それは、音として聞いていてすごく楽しかったです。加えて私は普段から日常のタイムテーブルとして聞いているので、余りコーナーが変わったりとか、進行が変わったりすると、調子が狂ってしまう部分があります。だから、このままでずっと続けていただけるほうが、リスナーとしてはありがたいなと思いました。

(TBSラジオ番組審議会事務局)