TBS 日曜劇場「JIN -仁-」｜インタビュー

インタビュー（スタッフ）

VOL.2 吉川茂雄さん（衣装）

このドラマの衣装を担当することになり、まず思ったことは？

これまで時代劇作品に携わったことはあるのですが、連ドラというのは初めてなので、とにかく楽しみでしかたなかったです。幕末というのは外国からの影響もあったりで、多種多様な格好をした人が街中に溢れかえっていたようですし、いろいろな衣装を手がけられそうだと思ってわくわくしました。

特に、メインのキャストの方々の衣装は、どのように決めていったのでしょうか？

やはりキャストのみなさんには、気に入った衣装を身につけて気持ちよくお芝居に臨んでいただきたいですからね。それぞれの方がご自分の演じる役に対して抱いたイメージに沿った衣装で、なおかつその役者さんにピタリと似合うものを用意できるように努めました。また、男性陣には緒方洪庵なら茶色、橘恭太郎なら紺、佐分利には青といったようにそれぞれのキャラクターに“色のイメージ”をつけて、キャラクター同士の雰囲気が重なってしまわないように気を配りましたね。

今回、特に苦労されていらっしゃる点は？

「幕末の空気を忠実に伝えたい」と思っても、その時代を生きてきたわけではないので、どういったものがリアルなのかが自分で判断つかないところでしょうか。もちろん監督たちの意向もあるし、「ドラマなので」と割り切っている部分もありますが、時代考証に忠実にということを第一に心がけているので、自分の持っていたイメージやあいまいな記憶に惑わされることなく、わからないことはその都度確認をとりながら作業を進めるようにしています。
僕は、古きよき時代劇を多数見て育ったのですが、そういった作品の中には“風紀上好ましくない”といった理由で、時代考証の観点から見ると間違った衣装をまとった主人公が登場することもあるんですよ。でも、『ＪＩＮ－仁－』という作品の中ではこのように史実と異なるものは極力避け、その時代に忠実な衣装を選ぶように心がけています。

大沢たかおさんの印象や、一緒にお仕事をされてみての感想を教えてください。大沢たかおさんとはどんな人（俳優さん）ですか？

とにかく気配りの方だなと感じています。撮影が始まった当初はまだまだ暑い時期だったのですが、手持ちの扇風機をたくさん差し入れてくれたこともありましたし、スタッフたちにもよく気軽に声をかけてくださいますしね。フランクで、スマートで、同性から見ても人間的に素敵な方だなと思います。
それから、この南方仁という役がぴったりですよね。あのぴょこんと結ったちょんまげ姿も違和感がないですし、もし本当に仁が大沢さんなら、江戸であんなふうに過ごしていそうだなって思います（笑）。

衣装を手掛けるにおいて、注意を払っている点はどんなところですか？

この作品に限ったことではありませんが、衣装を選ぶときには「芝居の邪魔にならないように」というのが前提ですね。どういうことかというと、映像になったとき、誰かの衣装が目について物語に集中できないようではやっぱりいけないと思うんです。そういう意味で、今回ギリギリのところで遊んでみたのが、佐分利かな（笑）。ひとりだけ鮮やかなブルーを基調とした衣装なので、下手をしたら西洋医学所の面々から浮いて見えてしまうところですが、そこは桐谷さんのキャラクターと佐分利という役どころが、違和感なく見せているのだと思います。

特に注目してほしいポイントを教えてください。野風や咲など女性陣の衣装も、かなり手がかかっていそうですが･･･。

野風の衣装は、ちょっと悩みましたよね。最初から用意するのが大変だろうなとは覚悟していたのですが、花魁が全編にわたって登場する連ドラなんて見たことがないし、どこに借りるとしても、もともとの保管数が少なくて･･･。ただ、衣装合わせのときに用意しておいた、ポスターカットでも着用している黒い打掛（うちかけ）を、中谷さんが「いいですね」と気に入ってくださって。あのときは、「ああ、中谷さんのイメージに沿う衣装が用意できてよかったな」とホッとしたのを覚えています。あれから打掛を３枚、着物を２枚追加で仕立てたのですが、花魁といえば豪華絢爛なイメージなので、白生地に金糸を織り込んだりした派手なものを発注しています。
咲の衣装もすべて、白い生地（ちりめん）から染めてつくっていますね。台本を読み込んで、そのシーンに合った色やデザインを決め、生地見本をアレンジしたりしながら発注するのですが･･･一着の着物を仕立てるのにだいたい２週間ぐらいはかかるので、先々の台本がなかなか上がらない連ドラのスピードでは、いつもけっこうタイトな作業になってしまうんですけれど（笑）。
ただ、そうやって手間をかけて仕立てた着物でも、洋服とは違って簡単に洗えるものではないので、雨のシーンなどで使ってしまうともうダメですね。１話にも、雨の中を咲が手術道具を届けようとひた走るシーンがありましたが、あの撮影で使った着物も残念ながらドロや染みがたくさんついてしまって、ダメにしてしまいました。

最後の質問になります。この作品に参加してよかったなと思うのはどんなときですか？

やはり、まわりの人たちが「毎週楽しみにしてますよ」「面白いから続きが気になって･･･」などと言ってくれることが一番嬉しいですね。そんなときには「この作品に参加できてよかったな」と思います。これからも、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいです。その際には、ぜひ衣装にも注目してもらいたいですね（笑）！

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TBS 日曜劇場「JIN -仁-」

2009年10月11日スタート 日曜よる9時

インタビュー（スタッフ）

VOL.2 吉川茂雄さん（衣装）

2009年10月11日スタート日曜よる9時