綾野剛さんインタビュー

『 ヘブンズ・フラワー 』 の魅力はどこですか?

これは僕たち演者の気持ちが強く出ていることかもしれませんが、“チャレンジ精神” ですね。近未来というデフォルメされた世界の設定に対して、僕たちは常に想像し、創り上げようとチャレンジしている。何らかの爪痕を残そうとしている。過去のことならば、事実かどうかは別として、書物を調べればある程度残っていると思うのですが、未来は全て想像の世界だし、すごく不確かなものなので、そういった世界観を描こうとしているキャスト・スタッフのパワーが 『 ヘブンズ・フラワー 』 の魅力かなと自負しています。

チャレンジしている部分もみどころだと?

そうです。本当は 『 ヘブンズ・フラワー 』 の内容を… 例えば、キャストの個性も豊かですし、衣裳も凝っていますし、ロケーションも素晴らしいので、そういうところを伝えたほうがいいのかもしれません。けれど、こういう作品に挑戦しようとしている、志している、キャスト・スタッフの気持ちも 『 ヘブンズ・フラワー 』 に込められているので、合わせて楽しんで欲しいなと思います。

演じるシオンについて

シオンは中間管理職だと思いますね (笑)。三田佳子さん演じる片桐、さくらさん演じるリリイ、川島海荷さん演じるアイなど、女性に囲まれて…結局、こういうことか、女性は強いなと感じました (笑)。
シオンに関しては、自分の立場を分かっている人間なので、かっこつけ過ぎずに演じたいなと思っています。世界観がしっかりしているので、今までとは違うテンションでお芝居をしていますね。

今までと違うテンションとは?

時代劇や現代劇とは違い、『 ヘブンズ・フラワー 』 は未来のお話ですから、自分のテンションも何かしらデフォルメされているのかなと。ロケーション・美術・衣裳など未来設定の空間の中で、僕自身が負けてしまうんじゃないかという恐れがあるので、声の出し方を工夫したりするなど、巧くいえないのですが、ひとつひとつ闘いながら演じることでシオンという役が成立するのかなと思っています。

シオンを演じていて、印象に残っているシーンはありますか?

「 ラストガーデン ( ※ アイ、シオンの住む施設)」 でのやり取りですね。
普段は皆、暗殺者として恨み辛みを持って生きているのですが、ラストガーデンの部屋の中にいるときは、その瞬間が家族みたいだし、その瞬間が豊かなんです。それゆえに暗殺者として生きることが悲しく感じてしまうのですが、それがいい空間描写だなと思いました。
一方、アクションシーンは大変ですね (笑)。本当は何も考えずにやれたらいいのですが、シオンは俊敏さを他の人よりも圧倒的に出さないといけないなと思っていて、そのすばやさを出そうとすると身体がついていかない。冷静さを保ってアクションをすることはとても難しかったですね。

アクションの稽古の時間をあまり取れなかったと伺いましたが…。

そうですね。もっとやらなきゃいけないと思うのですが、あまり時間を取れなくて。でも、撮影時はちゃんとやりたいですね。今後は基礎も学びたいし、作品にあったアクションも習いたいです。

共演者についてはいかがですか?

三田佳子さんと本田博太郎さんは役作りが必要ないくらい、もの凄いパワーを感じます。存在だけで、充分緊張感がありますね。それと反対に、川島海荷さんはもの凄く吸収力が早いですね。僕、荒木くん、中野くんはその真ん中にいますから。ただ、生命体としては20代後半って一番脂の乗っている年齢かなと思っているので、ベテランの方と若い方の力を借りて、がんばりたいと思います。

最後に、視聴者にメッセージをお願いします。

『 ヘブンズ・フラワー 』 は、僕たち自身がたくさんのことに挑戦しています。がんばっている姿が少しでも伝わればいいなと思いますし、『 ヘブンズ・フラワー 』 を見たみなさんが自分の想いを投影していただけるような作品になればと思いながら創っています。最後まで楽しんでやっていこうと思いますので、みなさん 『 ヘブンズ・フラワー 』 をぜひご覧ください。