過去の放送内容
2019年7月14日放送
特集
その土地だけで儲かる!「地元アイス」!
和歌山で緑アイス!大阪で斜めの棒!福岡で学校給食用!?
ゲスト
森永卓郎さん、千秋さん
番組内容
今回のテーマは「儲かる地元アイス!」
普通、儲かってる有名アイスといえば、全国的にも知られているピノやガリガリ君やチョコモナカジャンボなどを思い浮かべますよね?
ところが、全国各地を調べてみると、その土地の人しか知らない、その土地に行かなきゃ食べられない、謎の「地元アイス」が結構あるんです!
しかも、それががっちり儲かっているんです!
地元限定!儲かりアイスの秘密を大公開しちゃう30分です!
和歌山で年間200万個売れる緑色のアイス「グリーンソフト」
儲かる地元アイスを求めてやってきたのは…
和歌山県和歌山市。
まずは、和歌山県民のみなさんに「好きなアイス」は何か、聞いてみると…?
「爽…アイスの実…グリーンソフト」
「スーパーカップ…ピノの抹茶…グリーンソフト」
「雪見だいふく…爽…グリーンソフト!」
おなじみの有名アイスの名前に混じって、なぜか皆さん口にするのが「グリーンソフト」?
「グリーンソフト」とは一体??
確認のため、和歌山市内のスーパーのアイス売り場を覗いてみると…
ありました!「グリーンソフト」
しかも!のぼり付きの専用コーナーが!
他のメーカーのアイスは1種類。せいぜい50個ぐらいしか並んでいないのに対し、グリーンソフトは何と600個!
大量に置かれています!
店員:1番、店で売れ筋のアイスなんです。
これはまさに地元アイス!
そんなグリーンソフトの袋を開けてみると…
何やらカップでフタがされたコーンが…
フタを開けてみると…
抹茶アイス!
そうグリーンソフトは、抹茶ソフトクリームなんです!
このグリーンソフト、年間販売数は、およそ200万個。
なぜ、そんなに売れているのでしょうか?
和歌山市内にある本社に行ってみると…
スタッフ:お茶屋さんなんですね!
そう、こちらアイス屋さんではなく、江戸時代創業というお茶の専門店「玉林園」
和歌山の地元アイス「グリーンソフト」は、お茶屋さんが作った抹茶ソフトなんです。
玉林園の林和宏社長に話を伺いしました。
スタッフ:お茶屋さんなのにどうしてアイスを作ろうと思ったんですか?
林社長:夏はどうしても麦茶しか売れないもんですから、先代が大変苦労しまして。
61年前、あまりにも茶葉が売れず苦労していた先代の林己三彦社長が、ある時「海外では、抹茶にミルクを入れて飲んでいる」と耳にしました。
そこで「これはイケるかも!」と、作ったのがグリーンソフト。
林社長:抹茶を入れてソフトクリームにしたのが玉林園が世界で初めてなんです。
そう!今じゃ全国的にお馴染みの抹茶アイス、社長曰く「世界で初めて作ったのが和歌山の玉林園」なんだそう。
そんなグリーンソフトですが、お茶屋さんの作る抹茶アイスとあって、グリーンソフトの1番のウリは「お茶が本格的」!
林社長:お茶屋としては、抹茶を扱うからには石臼で挽いてます。
多くのメーカーが、抹茶を大量に素早く作るために粉砕機を使用するのですが…
グリーンソフトは、昔ながらの抹茶づくりに欠かせない石臼を使用。
石臼のほうが粒子が細かくなるので、舌触りが滑らかに!
ただし…
林社長:石臼で挽きますと、1週間でわずかな量しか挽けないので、専門の業者さん、1,000台の石臼で毎日挽いてもらってます。
まさに、お茶屋さんならではのこだわり!
そして、このグリーンソフトが実は和歌山中に広まったのには、あるとっておきの作戦がありました。
林社長:それはこれです。グリーンソフトのこどもの日にプレゼントする引換券です。
そう、こどもの日にグリーンソフトがもらえる引換券をどっさり配るという作戦!
しかもその配り先は、和歌山市中の100を超える幼稚園や保育園!
なんとこれを今も毎年やっているんです!
スタッフ:何枚ぐらいですか?
林社長:15,000枚くらいですね。
実際に幼稚園に行って、引換券を見せてみると…
園児:「あ!グリーンソフトの券!」
園児:「グリーンソフトのプレゼント」
園児:「グリーンソフトの券!」
そして、どちらがソフトクリームか聞いてみると?
園児:こっち!こっち!
さらに絵を描いてもらうと…
アイスは全部、緑!
林社長:和歌山の子はソフトクリームが緑だと思ってずっと育ってますんで、何の違和感もなくグリーンと皆さん思ってると思います。
この、グリーンソフト幼稚園児刷り込み作戦は見事成功!
その結果…
林社長:お子さんが「欲しい」と言っていただければ、必ず親御さんがついてきて、ついで買いが…というわけです。
グリーンソフトは子供に寄り添ってがっちり!
大阪で手土産としてバカ売れ!「北極アイス」
続いてやってきたのは…
「大阪」
食いだおれの街には、どんな地元アイスがあるのでしょうか?
地元のみなさんに「好きなアイス」は何か、聞いてみると…?
「ガリガリ君、あとは北極」
「ハーゲンダッツの抹茶と北極のあずき」
「北極のアイスキャンデー」
何やら有名なアイスに混じって、「北極」という名前が…!?
しかも、売っているのは…
近所にあるようなので早速、行ってみると…
ありました!かなりわかりやすい、ここが「北極」を売ってるお店!
こちらが、ナニワっ子が大好きな「北極アイス」!
1本150円。
「ミルク」や「パイン」をはじめ、なんと11種類の味が!
でも見た感じ、いたって「普通のアイスキャンディー」ですが…
久保田社長に伺いました。
スタッフ:北極アイスってどれくらい売れてるんですか?
久保田社長:年にもよりますけど、100万本くらいです。
何とこの普通のアイスが、年間売上100万本!
これは確かに「大人気!地元アイス」です!
スタッフ:なんでそんなに売れるんですか?
久保田社長:やはり味だと思います、高級な和菓子という感じで…
社長曰く高級和菓子という「北極アイス」はどのように作られているのでしょうか?
気になりますが…
久保田社長:ちょっとお断りさせて頂いてるんです…
なんと工場内は撮影NG!
しかしそれでは、VTRが作れない…
と、ディレクター、交渉すること10分…
するとなぜか、社長が自撮りするならOKということに!
そこで、社長にカメラを渡して撮ってきてもらいました!
久保田社長:今から北極アイスの工場に入ります。ここは関係者以外立ち入り禁止です。
こちらが、部外者は入ることのできない北極アイスの工場内。
中では、5人の方がせわしなく動いていますが、実はこの5人で作り手さん全員!
何と、たった5人という少数精鋭で1日4,000本を手作りしてるんです!
釜の中に入れているのは「練乳」
どうやら、この日作るのは1番人気のミルクアイス!
続いて入れたのは、上質の白ザラ糖!
和菓子にも使われる砂糖を使うことで、北極の独特の「上品な味」が出ているんですね。
こちらでは、ミルクアイスの原液に棒を差し込んでいます。
実はこの「棒を刺す作業」こそ、北極アイス1番のポイント。
久保田社長:こちらは『箸抑え』と言って、アイスの棒を『斜め15度』に傾けています。
そう北極アイスは職人さんが1本1本手作業で「棒が斜め15度になるよう」に傾けて置いているんです!
実は北極アイスは、原料に人工的に固める素材を使っていないので普通に「棒を縦に刺す」と、
食べている時に溶けて落ちてしまうため、斜め刺しにして最後まで食べやすくしているのです。
簡単に見えますが、細かいコツがいるので、この道20年の職人さんもいるんだとか。
確かに見てみると、とても丁寧に作っていますが、北極アイスがたくさん売れるのには実はその「売り方」にも秘密があるんです!
実際、お客さんの様子を見てみると…
店員さん:ありがとうございます。
お客さんが買ったのはなんと20本まとめ買い!
スタッフ:たくさん買われましたね」
お客さん:孫用。
スタッフ:お土産ですか?
お客さん:そう。
実は、この「お土産用」が北極の売れる秘密!
中には…
娘さんの部活の差し入れに70本購入された方も!
久保田社長:うちのアイスは手土産でお持ち帰りする方が多いんです。
そう実は、「北極アイス」、お客さんが手土産にしやすいように、いろんなサービスがあるんです!
発売当初からお土産の数に合わせて3種類のオリジナルの箱を用意!
さらに今では当たり前となったあるサービスを日本で初めてしたのも北極アイス。
それは…
久保田社長:ドライアイスを入れて手土産にしたんです。日本では初めてかなと思いますね。
昭和20年当時、まだ「発泡スチロール」がない時代、普通の箱でも長時間溶けないようにするためにこんな工夫も!
久保田社長:アイスの棒を斜めにしているのもドライアイスを入れることを想定しているんです。縦だとアイスが並ぶけど、斜めにすることによって箱に入れたときに広がって、空間ができるんです。この空間にドライアイスを入れて持ち帰っていただく。
こうすることで大きなドライアイスが入れやすく、最長8時間はもつとのこと。
こうした手土産サービスが定着し、今では東京への手土産にも「北極アイス」を買っていくビジネスマンも多いんだとか!
北極アイスは手土産アイスでがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:原価率が普通のアイスが20〜30%なんですが、この北極アイスは2倍から3倍の40〜50%くらいかかってるんですよ。しかも棒にも秘密があって、抗菌作用のある奈良県産のヒノキ製でできてるんです。
福岡県民に大人気!溶けない不思議なアイス「ムース」
続いてやってきたのは…
「福岡県」
名物アイスひしめく福岡には、どんな地元アイスが…
スタッフ:アイスといえば?
「ハーゲンダッツMOWが好きです。ムースとかも」
「パルムあとムース」
「パルムとガリガリ君とムース」
なにやら皆さんの口から「ムース」というアイスの名前が…
「ムース」??
一体、どんなアイスなのでしょうか?
福岡のスーパーのアイス売り場で確認!
有名アイスに混じってありました!「ムース」!
たくさん置かれています!
パッケージには「とけない不思議なアイス」と書いてますが…
袋にびっちりアイスが入っている。
どうやって食べるのでしょうか…
「かじりつきます!キュウリみたいに」
そう!ムースは片手で中身をニュルッと押し出して食ベるワンハンドスタイル!
そのお味は…
スタッフ:めっちゃミルクの味します。プリンみたいな食感です。
濃いミルク味で、何やらプルンプルンしたプリン状。
かなり変わったアイスですが、ムースの年間販売数は、なんと600万個!
一体なぜそんなに売れているのでしょうか?
その秘密を探るべく、福岡県朝倉市にあるムースを作っている、
「セリア・ロイル」という会社の工場へ商品開発部の大崎さんに話を伺いました。
スタッフ:ムースの人気の秘密ってなんですか?
大崎さん:ムースの人気の秘密は、懐かしい味だからです。
「懐かしい味」とはどういうことでしょうか?
大崎さん:ムースは福岡の人にとって、学校給食で出ていた懐かしい味になります。
そう!ムースはもともと40年前から福岡の学校給食で出されていたアイスで、今でも給食だけで、400万個も売れているらしい!
給食用の形は器に入ったカップ型!
福岡県民いわく、給食にこのムースが出ると…
「いや〜祭りっすね」
スタッフ:余ったらどうなるんですか?
「じゃんけん大会」
「争奪戦」
クラス全員で取り合いになるほどの超人気デザート!
大崎さん:これだけ人気があるものを商品化したら間違いなく売れるかなと。
スタッフ:販売されてみてどうだったんですか?
大崎さん:がっちりです!
そう!福岡県中の小学校で出されていたムースの味が子どもたちに刷り込まれ、大人気になったというわけ。
でも、アイスと言ってもいろいろある中で、なぜ「ムース」が給食に選ばれたのでしょうか?
大崎さん:栄養価が高かったからだと思います。
そう!このムース、やたらと牛乳が「濃い」!
原材料に濃縮された練乳を使っているので…
実際の牛乳と比べてみても、ムースのカルシウムの量はおよそ2倍!
栄養価の高いデザートを探していた給食の人にムースがぴったりだったので選ばれたというわけ。
では、どうやって作っているのでしょうか?
篠原部長が案内してくれました。
工場内に入るとアイス工場とは思えない、ある特徴が。
スタッフ:無茶苦茶暑いですね。
篠原部長:そうですね。
そう、アイスの工場なのに、なぜか暑い!
でもコレこそが、ムースをムースっぽくするために、とても大事なことなんです。
普通のアイスは、原液を容器に詰めるとき、凍る直前のマイナス4度くらいのものを入れ、冷やして完成させるのですが…
篠原部長:ムースは熱い温度のまま充填しますので、そこが「アイス」と「ムース」の違いになります。
そう!プリン状のプニプニした状態にするには湯気が立つほど高温なムースの原液を容器に詰め、それを一気に冷まさなきゃいけない。
だから、工場自体も暑いというわけ。
冷凍用の箱に並べる際も手のひらで1つ1つ温度を確認。
高温に保たれたムースの原液を超大型冷蔵庫で一気に冷やせば、絶妙な食感の、美味しいムースが完成!
ムースは不思議な食感でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:全国で発売しないんですか?
森永さん:過去にセブンイレブンで全国発売した時は、爆発的に売れて、年間2,000万個販売して、とんでもない記録を作ったんですけど、生産が追い付かなくなってしまったんです。改めて全国生産の準備を進めてるらしいです。
加藤さん:全国で食べられる日も近いですかね。