過去の放送内容
2019年2月3日放送
特集
あの巨大業界にスゴい「ちびっこ企業」が!
巨大なパソコン業界で…長野の小さな工場が絶好調!
ゲスト
森永卓郎さん、山崎弘也(アンタッチャブル)さん
番組内容
今回のテーマは「巨大業界のちびっこ企業」
自動車業界とか家電業界とか、大きな業界は当然、大きな会社が牛耳っている。
しかし、その中にはたとえ規模は小さくても、大手にマネできない独自の技術や儲かり戦略でがっちり!という、ちびっこ企業が存在するんです。
今回は、大きな業界の中できらりと光るちびっこ企業の、儲かりの極意に迫ります!
日本最小の自動車メーカーは、大手にマネできないスゴ技で◯◯車を造る!
まず最初の業界は…
「自動車業界」
市場規模、実に57兆円。
トヨタや日産、ホンダなど、超大手メーカーがひしめく、この業界にきらりと光る「ちびっこ企業」があるらしい…
やってきたのは…
富山県富岡市にある「光岡自動車」
光岡自動車は、日本に10社ある自動車メーカーの中で一番小さい10番目のメーカーなのです。
光岡の年間売上げ台数は約550台。
トヨタの、グループで1000万台と比べると、売上げは1万分の1以下しかないけど、造れば売れる、予約待ちのがっちり自動車メーカーなんだとか。
早速、車を造っているところを見せてもらうことに…
工場の中はというと、
自動車工場というよりは自動車の整備工場のような…
しかも…
どこかでみたことあるような車が…
三ツ塚工場長に話を伺いしました。
三ツ塚工場長:日産さんのマーチをベースにしまして、バラバラにして、オリジナルのボディをつけて、ビュートというかっこいい車に仕立て上げてるところです。
そう、光岡自動車は、大手のメーカーから車を買ってきて改造。
光岡の新しい車に造り直して販売する、改造自動車メーカーなのです。
スタッフ:マーチ、バラバラにしちゃって大丈夫なんですか?
三ツ塚工場長:大丈夫です。
スタッフ:日産から怒られたりしないんですか?
三ツ塚工場長:大丈夫です。
工場の外には、これから改造される日産マーチが、ずらりと並んでいます。
そして、この日産マーチが…
ボディを付け替え、内装も変えて、光岡一番の売れ筋、「ビュート」に変身。
お値段も、マーチの価格115万円が、ビュートだと240万円に。
100万円以上高くても、年間300台売れるっていうからスゴい!
マツダのロードスター…
こちらもボディを付け替えて、光岡ロックスターに!
お値段も200万円程高くなるらしいのですが、売れ行きは好調らしい。
そしてこの車がオロチ!エンジンはトヨタ製ですが、シャーシーもボディも内装も、光岡オリジナル。
この、世界に一台だけの「デビルマンオロチ」は、昨年末に2,000万円で売れたんだとか。
それにしても、なんとなくクラシックな感じの車が多い気がしますが、なにか理由があるのでしょうか?
御年79歳創業者の光岡進会長に話を伺いました。
光岡会長:自分が中学生から二十歳くらいになるころの青春時代に走っていた車とか、そういうのが未だにずっと頭の中にあって、1930年とか50年代のものがほとんどです。
光岡自動車がばんばん売れる人気の秘密は、なんといっても、その改造テクニック。
大手のメーカーには出来ないスゴ技が、光岡カーを生み出しているのです。
溶接は、ロボットじゃなく、完全手作業。
溶接作業を見ていると、ちょっとずつ火花を散らしていますが、これはどういうことなのでしょうか?
三ツ塚工場長:熱をかけすぎると、ボディが歪んだりするので、熱を集中させないように気を使ってます。
ボディの塗装も、もちろんロボットではなく手作業。
専門の職人さんが必ず一人で、一台ずつ仕上げていきます。
複数のスタッフで塗装すると、どうしても塗りが重なって色ムラが出来ちゃうんだとか。
三ツ塚工場長:本当にこれでもかっていうくらい手作業で、ロボットのようなものは一切ありません。大手さんの量産って考えからいくと、ありえない造り方をしてると思います。
ありえない造り方だからこそ、カーマニアが欲しがるということなんですね。
そして今、光岡自動車で意外な車が売れているんです。
それは…
三ツ塚工場長:光岡の霊柩車です。
光岡オリジナル、「リューギ センターストレッチリムジン」のベースは
トヨタの「カローラフィールダー」
霊柩車にするための一番重要な改造は、車体の長さを伸ばすこと。
そして、ここで行われているのが…車体のカット。
カローラを真ん中で切って、ボディを伸ばしてお棺を収められるようにするというわけ。
確かに一から霊柩車を造るより、コストパフォーマンスは良さそうです。
気になる内装は…
霊柩車らしからぬ、明るいデザインが光岡製の特徴で、なんといっても一番のポイントが…
三ツ塚工場長:クラシカルなデザインになってますから、10年、15年使っても、古臭くならないというか、飽きがこないと言いますか。
元々クラシックなデザインだから、長く使っても古臭くならないし、エンジンはトヨタ製なので、これも長く使えるということ。
現在、500万から900万円くらいの霊柩車が、年間150台売れていて、輸入車の販売事業も含めると、年間売上げ230億円。
光岡自動車はオリジナルカーで、がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:実は日産にとって、光岡は「お客さん」なんです。大手の車メーカーにむしろ喜ばれているんです。
加藤さん:なるほど。買ってくれるから。
★PC業界で一人勝ち!◯◯用パソコンを作る会社
続いては…
「パソコン業界」
アメリカのヒューレット・パッカードや、Dell、Appleなど、外資系の大企業がしのぎを削る業界で、日本のちびっこ企業が頑張っていました!
やってきたのは…
長野県飯山市にある、「マウスコンピューター」という会社の工場…
小松永門社長に話を伺いました。
小松社長:おかげさまで、毎年対前年度を上回る形。一昨年から昨年であれば、10%を超える成長をみせております。
実はここ数年、パソコン業界全体の売上げは、スマホやタブレットに押されてジリジリと下がっています。
そんな中、マウスコンピューターは、ググッと売上げを伸ばしてるというからスゴイ!
その秘密は、大手のメーカーとは全然違うパソコンの作り方にあるらしい…
小松社長:お客様からインターネットで注文をいただきます。お客様がご注文された内容に沿って、注文通りに製品を作っていくのが私どもの製造になります。
マウスコンピューターのパソコンは、直営店や家電量販店でも買えますが、半分以上は、インターネットでのオーダーメイド生産。
CPUやメモリーの容量など、お客さんが指定したものを一台ずつ組み立てて、直接発送しているのです。
まずは、注文票に沿って、部品をピックアップします。
そしてここが、パソコンを組み立ててる場所。
ロボットもベルトコンベアもなさそうですが…
このスタイルも大手にはなかなかできない製造方法らしく…
小松社長:各ブースで、一台一台パソコンを組み立てていくのがこの工程になります。一般的にセル生産と呼ばれる方式を取っています。
従業員一人一人が、一台のパソコンを最初から最後まで組み立てるんです。
オーダーメイドだから、在庫も売れ残りもない。つまり、超効率がいいんです!
そして今、マウスコンピューターでバンバン売れているパソコンが…
小松社長:ゲーミングパソコンですね。ゲーム専用に設計されたパソコンです。
ゲーミングパソコンとは、今、全世界で流行中のeスポーツ、ネット対戦ゲームを行うための専用パソコン。
勝つためには、なめらかで鮮明な画像が大事ということで、パソコン本体に超高性能なパーツが組み込まれています。
中でもこのグラフィックボード、通称グラボという、映像をスムーズに再生するための部品が重要なんだとか。
普通のパソコンとゲーミングパソコン、並べてゲームを再生してみると…
普通のは…ちょっと画像がカクカクするのに対し、ゲーミングパソコンは…なめらか!
全然見え方が違うんです!
このゲーミングパソコンを作るのも、一人一台のセル生産が向いているらしい。
小松社長:技術の進歩が非常に早いので、どんどんどんどん技術革新が行われますので、作り立ての商品をお客様にお届けするというのが一番適しているんではないかなと思っております。
グラボの性能がアップしたら、それを仕入れて組み込む。
いいCPUが開発されたら、それに入れ替える、みたいに、セル生産の方が、パソコンの進化に対応しやすいのです。
現在、飯山工場だけで、一日600台のパソコンを出荷中。
そのうち、8割がオーダーメイドというからスゴイ!
マウスコンピューターはパソコンの受注生産でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:マウスコンピューターのすごいところは、普通のパソコンも作ってるんですけど
国内生産してるから、例えば壊れちゃった時に送っても96時間以内に直してくれるんです。
加藤さん:すごい!工場を大きくしないで受注生産を守ってるってことですよね。
国内シェア45%!マンションの玄関ドアを作る会社
続いては…
「住宅設備業界」
LIXILや三和シャッター、YKKAPなど、有名企業が群雄割拠する業界で、この製品だけは譲れないという「ちびっこ企業」があるらしい。
やってきたのは、四国。
徳島県吉野川市にある「日本フネン」。
失礼ながら、全然聞いたことない社名ですが、業界では、知らない人はいないがっちりカンパニーらしい。
何を作ってる会社なのでしょうか?
日本フネンの2代目で、御年80歳の久米徳男社長に伺いました。
久米社長:分譲マンションの玄関ドアを主に作ってます。
日本フネンは住宅設備の中でも、「玄関ドア」を作るメーカー。
久米社長:おかげさまで日本で一番シェアを多くいただいております。
なんとマンションの玄関ドアの国内シェア45%!
この分野では「LIXIL」や「三和シャッター」よりも、「日本フネン」の方が上なのです。
でも、なんでそんなに圧倒的なシェアが取れるのでしょうか?
久米社長:ドアの専業メーカーとして小回りが利くというか、「目配り」「気配り」ができた作り方をやっているところが違うんです。
そう、ドアだけに特化した日本フネンだから、とにかくドアの性能への細かいこだわりがスゴいんです!
例えば、このドア。
ここに1センチほどの織り込みがあるから…
閉めたときに隙間ができないんです。
ピッキングは、普通のドアのこのわずかな隙間を狙ってきますが、
このドアはピッキングしづらくなってるというわけ。
これを最初に考案したのが、日本フネンなのです。
さらには…
久米社長:このドアが指鋏み防止ドアです。
子供や高齢者が、ここに指をかけた状態で・もしもドアが閉まっても…
全然大丈夫。
普通のドアだと、当然挟まってしまうのに対し、こちらのドアはドアの軸をずらして隙間を作ることで、きっちりドアは閉まるけど、指も挟まらない。
これも日本フネンのアイデア。
そして去年の4月に発売したこのドア。
マンションではなく高級ホテルからかなりの発注があるらしい。
久米社長:ようこそ、いらっしゃいませという…「ようこそドア」です。
なにが「ようこそ」なのかというと、キャリーバックを引いて、中に入る時…
最初はゆっくり閉まって、途中から早くなるんです。
こうすることで、キャリーバックをぶつけないで中に入れる、「ようこそいらっしゃい」なドアなのです。
このパーツを、工具メーカー「リョービ」と共同開発。
これは儲かりそう。
そしてもう一つ、今グイグイきている、ちょっと変わったドアがあるらしい。
ロボットが塗装しているこちらのドア。
ある場所で大活躍しているドアなんですが…
実は、日本フネンは玄関ドアだけでなく、駅のホームドアまで作っていたんです。
現在、年間5,000枚のホームドアを作っていて、これから10年は、発注が減ることはないらしい。
これも儲かりそう!
主力のマンションドアは、年間18万枚を出荷して、売上げは134億円。
日本フネンは、マンションホテルの玄関ドア、ホームドアでがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:専業メーカーだからこその技術開発もあるんです。実はホームドアは列車によって全部違うんです。そうすると細かい対応していかないといけないから大きな企業みたいに大量生産というわけにはいかないんですよね。