過去の放送内容
2018年11月18日放送

特集
「がっちり地方乗り物」を大特集!!
儲かっているローカル線の秘密に迫る!
ゲスト
森永卓郎さん、舞の海秀平さん
番組内容
今回のテーマは「全国各地で大活躍!がっちり地方乗り物!」
交通機関と言えば、鉄道ならJR、飛行機ならJALとかANAがすぐに思い浮かびますが
そんなメジャーどころばかりが交通機関じゃない!
地方には、小さくても、その地域の人だけが知っている
儲かり乗り物が結構たくさんある!
果たして、その儲かりの秘策とは…?
あなたも、地方でどうしても乗ってみたくなる30分です!
赤字ローカル線が地元客に目をつけてV字回復「ひたちなか海浜鉄道」
がっちり地方乗り物を探して、まずやって来たのは、茨城県・ひたちなか市にある

那珂湊駅。
なんともローカル感漂う、この駅にやってきたのが、ほぼ1両編成で走っている「ひたちなか海浜鉄道」

JR常磐線の勝田駅から那珂湊を経由、太平洋沿いのひたち海浜公園が近い終点・阿字ヶ浦まで1路線だけを運行しています。
いかにも赤字ローカル線って感じですが…
駅で待っていると?
想像に反してかなりの人が降りて来きました!

そう、このひたちなか海浜鉄道、ここ10年で年間の輸送人数を30万人も伸ばしている、ローカル線では珍しい、儲かり路線なんです。
一体なぜこんなにがっちりなのでしょうか?
その仕掛け人が、社長の吉田千秋さん。
実はこの鉄道、10年前には慢性的な赤字でした…。
これじゃあヤバいってことで、その経営を茨城交通から託されたのが、吉田社長なんです。
吉田社長:観光客とかイベント列車を主管に置く会社も多いんですけども、鉄道はあくまで地元の方にご利用してもらわないと上手くいかないもので。
まずなにより、吉田社長が目をつけたのは、地元のお客さん。とは言っても見渡す限りの田園風景で、地元の人なんて、いないのでは…?
吉田社長:この辺りから新興住宅地がどんどん増えてますんで。と、車窓から外を見てみると…確かに!
吉田社長:日立製作所がある関係で家族ぐるみで住む人が多いんで。すごく恵まれた条件ではあります。
実は、ひたちなか市の人口は茨城県でも4位の15万人で、しかも右肩上がり。
沿線には高校も2つあるんですが、学生さんたちも、鉄道は不便だからと自転車や親の車で通う、というのがほとんどでした。
それだったら、そこを取り込もう!と吉田社長は考えました!
そして、まず打った策が…

吉田社長:この定期券なんですけど「年間通学定期」と言いまして。120日分の運賃を払って頂ければ、高校生は1年間まるまる乗っていただけます。1年間で8万4,000円になります。
小さなローカル線ということで、以前はそもそも無かった、定期券を導入!しかし、これだけではあんまり、学生のお客さんは増えませんでした…。と、いうのも、実は、ひたちなか海浜鉄道は…線路の構造上40分に1本しか走れない仕組みだったんです。40分に1本では、通学には不便すぎる…でも、本数を増やせない、訳があったんです。
吉田社長:線路が一本しかないでしょ?
上りと下りで一緒に走ることができないんです。

そう、ひたちなか海浜鉄道の線路は全て単線…。
列車と列車がすれ違うことができるのは那珂湊駅だけ。
そうなると、勝田から那珂湊に出発する場合、一度、勝田から電車が出発してしまうと、列車同士がぶつからないで出せる次の電車は、どうしても、40分後になってしまう…。
これでは不便すぎるということで、吉田社長、思い切った作戦に!
それが…

この金上駅の改修。

吉田社長:もともと線路が一つだったですけども、このポイントを作って上下の電車がすれ違えるようにしました。

元々、1線しかなかった金上駅ホームを…

2線に増設!!
中間に位置する金上駅で、列車を行き交えるようにしたことで、勝田〜那珂湊間は、一気に「20分おき」に発車させることが可能になったんです!!
学生:40分おきだと、JRが遅れた時に乗れなくなって遅刻しちゃいそう。
学生:1本遅刻しても2本目で間に合うので便利。
その結果…
10年前と比べると利用者は15万人もアップ!
660万円あった赤字も、コツコツと積み重ね、
黒字経営に復活させたひたちなか海浜鉄道!
こうして儲かることによって、地方のローカル線としては、超異例のプロジェクトが進められることに!
吉田社長:海浜公園まで線路を伸ばそうかと思ってます。
なんと!異例の延伸計画!
ひたち海浜公園といえば、春に満開になるネモフィラや、夏の大型フェス・ロックインジャパンを開催するなど、年間の来場者数が200万人を超える、ビッグな観光スポット!

ここまで路線を伸ばせばもっとお客さんが呼べる!ということで、総工費78億円を注ぎ込む超ビッグプロジェクトが今、着々と進んでいるんです!
吉田社長:今の時代に地方路線を伸ばすのはウチが初めてじゃないかと思います。
これは観光客もかなり期待できそうですね!
ひたちなか海浜鉄道はがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:どこに地元のニーズがあるのかをしっかり見直した形ですよね。
森永さん:終電も延長したんです。通勤の人っていうのは、上野を22時に出ればちゃんと家まで帰れる。遅くまで東京で仕事しても帰れるということで随分違いますよね。
懐かしのアレを復活させて鉄道ファンをトリコにした「しなの鉄道」
続いてやってきたのは、長野県。

赤とグレーの車両が特徴的な「しなの鉄道」

軽井沢駅から篠ノ井駅までの「しなの鉄道線」と長野駅から妙高高原を結ぶ「北しなの線」を運行しています。
実はこの「しなの鉄道」、長野まで新幹線が開通した時に、ほぼ同じところを走っていた在来線をJRが手放し、それを譲り受けてスタートした路線。
ということでもちろん当初は、乗車客はそんなに見込めないと言われていたのですが…その年間売り上げは20年前の26億円から、3年前に開業した北しなの線と合わせて、現在は45億円に!
さらに2年前に就任した社長が、新たに様々な儲かり戦略を実行しているというので、スタッフは早速本社へ!

この方が、玉木淳社長48歳!
その儲かりアイディア、早速教えて頂きました。
玉木社長:動く博物館化計画。鉄道ファンが集まる聖地にしたい!と思いました。
実は玉木社長、車両にあるアイディアを施して、鉄道ファンを大量に呼び寄せることに成功したんだとか。
確かにホーム上には、人目をはばからずシャッターを切りまくるファンの姿が…
鉄道ファン:ありがたいです。昔は中央線とか走っていたんですけど、復活させてくれて嬉しいです。
鉄道ファン大絶賛のあるものとは…

この青とクリーム色の車両、
どっかで見たことがあるような気が…
玉木社長:これは横須賀色です、昔は横須賀線を走っていたものです。
そうこの車両、約60年前に横須賀線を走っていた、「横須賀色」というカラーリングの車両。

さらに他にも東海道線を走っていた緑とオレンジの「湘南色」など、数々の懐かしカラーを登場させたんです!
でもこれって、そんなに珍しいものなのでしょうか?
玉木社長:実はこの車両115系といって、東日本にあるのはほとんど「しなの鉄道」にあるという状態でしょうかね。古い車両を持ってる強みを生かして、鉄道ファンを呼べれば一石二鳥とか一石三鳥の話でしょうね。

115系とは、かつての国鉄時代に製造された、今ではほとんど見ることができない幻の車両!
元々「しなの鉄道」は、お金がなかったため、JRから使わなくなった古い車両ということで、この115系を買っていたのですが、それがいつの間にかプレミア化。現在では、東日本で走っている80両のうち59両が「しなの鉄道」にある状態に。だったら、ということで、
玉木社長:特に懐かしい30年前とか40年前に走っていた色に復活させました。
普通のしなの鉄道色に塗っていた列車を、あえて、昔の色に塗り直し!
すると、この昔の115系と、昔のカラーリングの組合せが超レア!ということで、鉄道ファンヨダレものの車両になった!というわけ!
これ以外にも…

地元の信越本線を走っていた、クリーム色に緑の「初代長野色」車両は、イベントを行えばホームにあふれるほどの鉄道ファンがかけつけるほど!!
この効果もあり、乗客数も1年間で10万人UPしたんです!
まさに動く博物館!
そしてもうひとつ、玉木社長が目をつけたポイントは、年間840万人の観光客数を誇る「軽井沢」
玉木社長:軽井沢に来る人で「しなの鉄道」をご利用頂いている方は、どれくらいいるのか?と調べたところ、3%くらいしかいないかったんです。
これじゃいかん!ってことで、玉木社長が考えたのは、「駅ナカ」の充実!
元々軽井沢駅は、12両の特急が止まっていたのですが、

現在のしなの鉄道は3両編成。と、なると、スペースがかなり余る…。
これはもったいない!と考えた玉木社長は、ある行動に打って出ることに!それは…

ホームや線路があったスペースに…

子どもたちが遊べる広場を新設!
さらに新幹線の改札がある3階には…

地元店が並ぶ商業施設をオープンしたり、と、まさに都心の鉄道のように「駅ナカ」を充実させまくって、乗客を取り込む作戦に!
その結果、軽井沢駅の利用者数は、観光客や、地元地域のお客さんも含め、半年で3万人UPしたんです!
駅で、列車で、お客さんを増やし続ける「しなの鉄道」
これはますます…
しなの鉄道は軽井沢駅と115系でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:軽井沢の観光客数って沖縄を抜いて、ハワイと同じくらいなんです。外国人がいっぱい来るので、デカいスーツケースが入るコインロッカーをしなの鉄道が作ってるんですよ。
加藤さん:うまいことやってますね。
時速19キロの超遅い◯◯バスがなぜか売上3億円!
続いてやってきたのは群馬県・桐生駅。
この街に、ちょっと変わった儲かり乗り物があるというので、到着した駅前で待っていると…

ゆっくりと現れたのは…
何やらちょっと頼りないカートのようなもの…。
これは一体なんなのでしょうか?
スタッフ:これ何ですか?
運転手さん:バスです。
そうなんです、実はコレかなり小さいですが、れっきとしたバス!その名も「eCOM-8」
ただ走ってみると…
やっぱり遅い!その最高速度は、時速19キロ。
こんなのに乗る人がいるのかと思いきや…結構乗っています!しかも満員!

現在このミニミニバスが、桐生市内で、動物園や遊園地、観光スポットをつなぐ路線バスとして活躍しているんです!

しかもこのバス、サイズが一般的な路線バスの5分の1という「小ささ」が売り!
クネクネした道が多い宇奈月温泉街の観光客の送迎だったり、山間部に住むお年寄りたちの生活の足としても大活躍中!
そして、お客さんにとって一番の人気の秘密は…
このバス、乗車料金が0円ということ!
桐生市など、地元の市町村が市民のサービスとして無料で走らせてるんです。
それでは儲かりバスじゃない!と、思いますが、儲かっているのは…実は、このバスを作っている人たちなんです!
そんなに売れているのでしょうか?バスを作ったシンクトゥギャザーの宗村社長に話を伺いしました。
宗村社長:全国で20台ほど製造しまして色んなところ使われています。
スタッフ:1台いくらくらいするんですか?
宗村社長:1,500〜1,600万円です。
なんと1台の値段は高級外車が買えちゃうほど!
それが20台ということは、売上3億円!と、がっちり!
では、何でそんなに儲かっているのでしょうか?
そこには驚きの秘密が!

実はこれ、電気自動車!
家庭用のコンセントで充電できて、8時間で満タン!40キロ走れちゃうのですが、これが、電気自動車となると、買う方もかなりおいしい!
電気バスを購入した桐生再生の清水さんに話を伺いました。
清水さん:補助金のおかげで、地域創生循環型資金で5,000万円出ました。
そう、電気バスを運用する、となると、脱温暖化を目指す国からけっこうな額の補助金がでるんです!
だったら買ってみよう、ということもあり、これまで6つの自治体に、この「eCOM-8」が売れたんです。にしても、さすがに、最高速度19キロは遅すぎるような…。
でも社長いわく、この19キロというのが、バスを作るのにはとっても都合がいいらしいんです。
宗村社長:ナンバーが取りやすいんです。例えば、シートベルトはいらないし、衝突試験もいらないんです。
そう、自動車は、最高時速が19キロ以下となると、いろんなルールが、大幅に緩和されるんです。一般の車では必ず必要なシートベルトがいらないし、通常なら義務付けられてる窓ガラスもいらないので、とにかく簡単に作れるというわけ。
そして、なによりその遅さも、実はそんなに気にならないそうで…
宗村社長:A地点からB地点に行く時間は、スピードを出そうが出すまいが、あまり変わらないんですよね。
なんと、市街地なら、時速19キロでも普通の車と変わらないという…なんとも信じられないですが?

だったら実験しちゃおうということで、普通の乗用車とそのスピードを比べてみることに…。

走るのは桐生の中心地を回る約5キロのコース。
スタッフ:スタート!
まずは普通の車でスタート!
時折信号とかに引っかかりながら進み…
そのタイムは?
7分23秒!
続いて電動バス!
こちらも随所で信号につかまるも…
いたって順調に進んで行くが果たしてそのタイムは?
8分10秒!
その差はわずか40秒という結果に!
信号や歩行者で止まることの多い地方の街では、19キロでも問題ないんですね。
そんな手軽さと便利さが受け、すでに追加で20台の発注が来ているというから、これまでと合わせて売上げ6億円超えも間違いなし!これはますますがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:電気のメリットってガソリンよりもトルク(タイヤを回す力)が強いんですよ。山道をスイスイ登れるんです。あともう一つ、衝突試験がいらないと言ってましたけど、少量生産のメーカーにとっては致命的なんです。衝突実験すると車をぶっ壊さないといけないんで。そうなるとものすごいコストになっちゃうんです。それも規制がないっていうのはすごく有利なんですよね。