過去の放送内容
2018年9月2日放送

特集
年間売上げ4,300億円「東京メトロ」
真夜中に地下をひそかに走るナゾの巨大車とは??
ゲスト
東京地下鉄株式会社 代表取締役社長 山村明義(やまむら あきよし)さん
番組内容
今回のテーマは「東京メトロ」
東京を中心に9路線179駅!
総全長195.1キロメートルが東京の地下を上に下にと、複雑にクモの巣のように張り巡らされている!
毎日5,700本の電車を運行し、利用者数は1日だけで740万人!
年間売上げは4,300億円!まさに、儲かり都市・東京を支えるビッグカンパニー!
今回はスタジオゲストに山村明義代表取締役社長を招き、東京メトロを徹底解明する30分です!
地下鉄運転手ならではの特殊なスゴ技とは?
午前8時。
まずやってきたのは…

東京メトロ東西線「東陽町駅」の上にある運転事務室。
そこで、これからお仕事という東京メトロの運転士、斉藤さんに密着することに。
スタッフ:出勤時間って何時なんですか?
斉藤さん:本日は8時22分です。
スタッフ:なんでそんなに中途半端なんですか?
斉藤さん:運転する上で、電車の時刻は1分単位になっているんですけど、それに合わせて出勤時間も1分単位になっています。

運転士さんの出勤時間は、最初に乗る電車の出発時刻に合わせているんです。
そして、事務室についたらまず確認するのが…。

斉藤さん:行路表ですね。
行路表には、運転士のその日のスケジュールが…。
スタッフ:まず最初は?
斉藤さん:8時52分に東陽町の西船橋方面の電車に乗って快速で西船橋に行きまして、9時12分25秒到着です。
スタッフ:そんなに細かいんですか?
斉藤さん:到着時刻は5秒刻みになっていますので…。

駅にある時刻表は分単位ですが、その通りに運行するためには
5秒単位で緻密なダイヤを組む必要があるんです。
スタッフ:普段、どんな路線に乗っているんですか?
斉藤さん:東西線だけですね。
スタッフ:銀座線とか丸の内線とかは?
斉藤さん:運転しないです。
東京メトロの運転士は、基本1つの路線のみ担当。
斉藤さんも東西線一筋6年!
スタッフ:他の線路を運転してみたいと思わないですか?
斉藤さん:東西線が一番いいですね。地上区間もありますし、快速と普通と、種別もあるので、東西線が花形と呼ばれます。
距離が長く、変化の大きい東西線は難易度が高い!ので、東西線の運転士というのは「齋藤さんの自慢」なんだとか。
斉藤さんが次に見ているのは…

斉藤さん:今日乗る車輌の特性を確認していました。それぞれにクセがあります。これはその車輌のクセを一覧にした表で、車輌性能ボードと言っているものです。
電車は東西線だけで約70編成。
その1台1台に、まるで競走馬のように微妙なクセが!

たとえばこの19編成は、ブレーキの効きがちょっとだけ弱いという意味。
さらに…
斉藤さん:相性がありますので、好き嫌いとかもあります。
スタッフ:斉藤さんの相性のいい電車はどれですか?
斉藤さん:15000系の57編成というのが相性がいい運転士の試験を行った時に57編成を使ったので、すごい思い入れがあるんです。
そして斉藤さんによると、メトロの運転士には、ちょっと特殊な、ある”技”があるという。
それが…

「速度計をみなくても速度がわかる」
スタッフ:正しい速度がわかるんですか?
斉藤さん:はいわかります。
運転士は、トンネルの暗闇の中で速度計を見なくてもスピードを把握する訓練をしているんだとか…。そこで今回特別に回送電車を使って速度テストをさせてもらうことに!

スピードメーターを隠して運転、速度を予測してもらいます。
電車はぐんぐんスピードが上がり…
今何キロでしょうか?
斉藤さん:42キロです。

なんと!ピッタリ42キロ、正解!
さらにスピードをあげてもう一度測ってみても…
ずばり的中!!お見事!
一体、どうしてスピードがわかるのでしょうか?
斉藤さん:トンネル内ですと、照明の間隔の動く感じですとか、そういった速度の感覚をみまして運転しています。
地上では、景色の流れを見ることでスピードがわかるんですが、地下のトンネルだと、照明だけが頼り。それだけで速度がピッタリわかるという。すごい!
そして、運転士に欠かせないもうひとつの技が…。

「時間ぴったりで駅から駅に着く」
こちらも早速、テスト走行してもらうことに。
竹橋駅から大手町駅間の目標運行時間は1分45秒。
斉藤さん:前良し!進行!
スタッフ:スタート
出発進行!
時計を見てても、到着時間にピッタリ合わせるのは難しいと思うんですが…、目標は1分45秒。
はたして結果は?
スタッフ:ストップ

1分45秒09!お見それしました。
斉藤さん曰く、時間通りに運転するにはあるコツが!
運転中の映像を見てもらうと…。
スタッフ:何がポイントなんですか?

斉藤さん:この車掌さんが確認する信号機のところなんですけど、いつもはこの辺りでブレーキをかけるんですが、車輌特性を考慮してブレーキがうまく利かない可能性があるので、今までより20メートル手前からブレーキをかけるようにしています。車輌の特性に合わせて調節しています。
だから電車のクセを把握するってのが、大事だったんですね。
東京メトロは、正確な運転で、がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
進藤さん:一人前の運転手さんになるのにどれくらいの期間がかかるんですか?
山村社長:学科実習が4ヶ月。さらに実技訓練が6ヶ月あります。
加藤さん:10ヶ月で1キロ単位の速度は体感でわかるようになるんですか?
山村社長:最初は全然ダメなんですけど、しばらくやってると体感できるようになってくるんですね。
1日に1人何役もこなす駅員さんのお仕事に密着!
続いては、東京メトロの駅員さんに密着!
午前7時30分…。
大手町駅に出勤してきたのは、駅員の樋渡さん。
駅員さんはとにかく一人で何役もこなさなきゃいけない大変なお仕事らしい…。

午前8時、点呼。
確認、注意事項をチェックしたら…。
How much Should I Pay?(いくらですか?)
Two hundred and forty yen.(240円です)
英会話のワンポイントレッスン。
8時20分…。
向かったのは、千代田線綾瀬方面行きホーム。
樋渡さん:6番線綾瀬行き発車致します。ドアが閉まります。ご注意下さい。

乗客の安全を確認し、扉を閉めていいか、発車していいかの合図を車掌さんに出します。
午前9時…。

今度は帽子を脱いで、定期券売り場の販売員に。
と思ったら…。
午前10時…。
またもやさっきと同じ千代田線のホームに。
樋渡さん:6番線綾瀬行き発車致します。ドアが閉まります。ご注意下さい。
すると…。
反対側のホームに移動。
樋渡さん:5番線発車します。電車から離れてご通行下さい。

ラッシュ時以外は、両側のホームを駅員ひとりで担当。
片方の電車を発車させたら、反対側には、もう電車が…。
さらには、お客さんの対応もこなしたりと大忙し!
そして午前11時。
今度は…。

改札での作業。
駅員さんは、集中力と体力を維持するために、1〜2時間ごとに業務を変えているんだとか。
ホームでは特にいつ異常が起きるかわからないので、ずっと集中していないといけません。とはいえ、それでは身体がもたないので、改札など他の業務も行っているのです。
ところで、改札の中に、なぜか「おがくず」が!

どこの駅の改札にも置いてあるそうなんですが…。
何に使うか、わかりますか?
正解は…。
樋渡さん:ちょっと飲み過ぎてしまってご気分が悪くなったお客さんが戻してしまったり、そういった時におがくずをかけて清掃するためにあります。
それも駅員さんのお仕事なんですね。
恐れ入ります。
お昼の12時。
いつでも緊急出動できるように大手町駅事務室内でランチ。
1時間のお昼休みが終わると、今度は事務室での作業が…。

なんだかたくさんの駅員さんが、電話でなにやら忙しそうにお話しています。本部や沿線の駅からの連絡。各改札やホームへの指示、駅のトイレや券売機前などで困っているお客の対応などなど、ひっきりなし!

車イスのお客さんが階段を上るのを手助けをする人員が欲しい、というホームの駅員からの連絡にも速やかに対応。
そして一番多いのが…。
お客さんから「忘れ物」の問い合わせ。
大手町駅での忘れ物は多い時で1日に100件以上も!
そして深夜0時28分。
大手町駅の最終電車が出発。
これで仕事が終わり…ではないんです。
駅構内にまだ残っているお客さんがいないか、柱の影や、トイレの中と、隅々までチェック。
駅の中を全部確認して、ようやく出入り口のシャッターを閉じることができるんです。
樋渡さん:お疲れさまでした。これから仮眠をとります。
この後は、朝6時に起きてラッシュの8時までがお仕事。
本当、お疲れ様です。
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:ホーム作業はやっぱり集中してなければいけないってことで何時間もできないってことですね?
山村社長:そうですね。安全に直結しますので。
20年に1度の「特別全般検査」に潜入!特別全般検査とは一体?
深夜0時30分、

詳しい場所や名前は秘密とのことですが、今からこちらの建物で、20年に1度だけのとっても大事なお仕事が行われるという…東京メトロの工務部 土木工事所の菅原さんに話を伺いしました。
菅原さん:本日は南北線で20年に1回の”特別全般検査”を行います。
「特別全般検査」…。なんだか重々しい響きですが、一体どんな検査なのでしょうか?
早速、同行することに…エレベーターで地下3階に進むとそこには…。

謎のマシーンと線路が!
菅原さん:こちらがトンネル検査で使用する高所作業車になります。
ビルの地下は、東京メトロ検査部隊の作業基地。

ここの線路は東京メトロの南北線の線路と繋がっていて、あちこちの路線のトンネルを検査しているんです。
この日、特別全般検査を行うのは、南北線の王子駅から王子神谷駅間の約300メートル。
トンネルの中を移動すること15分。
王子駅付近に到着。すると、作業員が乗ったカゴがグングンと上がって…、天井近くに到達!果たして特別全般検査とは?

ハンマーでトンネルの壁を叩いく…
菅原さん:ハンマーで叩くことによって音の違いを聞き分けてコンクリートの状態を判断しています。

そう、これが、とっても大事な打音検査。
叩いた音で、目に見えないコンクリート内部のひび割れや、空洞を見つけることができるんです。
スタッフ:特別全般検査は何が大変ですか?
作業員:見落としが出来ないってことですね。
叩いては、ちょっと進んで、また叩いては、ちょっと進む。
この南北線の特別全般検査、一晩でおよそ300メートルしか進めないという、とても大変な作業。全長21.3kmのトンネルの壁をくまなくコツコツと、約1年かけてチェックしていくのです。この地道な検査をしっかりしているから、東京メトロは、がっちり!なんですね!
ミリ単位の緻密な計算で行われている駅工事!
続いてやってきたのは、

東京メトロ南砂町駅。実は今、この駅では…、

駅の端から、端まで430mに渡る大々的な工事の真っ最中。
なんのための工事なのでしょうか?
改良建設部の福田課長に話を伺いました。
福田さん:東西線の混雑を解消するためにホームを1面、線路を1線増やす工事をしております。

東京の中野と千葉の西船橋を結ぶ東西線は、実は、東京メトロで一番混雑する路線。
特にここ、南砂町駅は…、ホームが狭く、お客さんの乗り降りに時間がかかるため、ラッシュ時になるとどんどん電車が詰まるという問題が!
そこで今回の工事によって、駅のホームを2つに、線路3線に増やすことで、混雑解消をしよう、という狙いなんです!

すると、朝のラッシュでも同一方向の2つの電車が駅に入れるので、お客さんが分散して乗り降りに時間がかからない。
しかし、地下鉄の駅の工事をするとなると、ある大きな制約が…。
福田さん:東西線を止めるわけにはいきませんので、東西線を営業しながら工事を進めています。
そう、東西線を止めず、南砂町駅を普段どおり、使いながら工事を進めなくてはならない。
でも、どうやって工事をしているのでしょうか?
階段を降りて行くと…。
そこには…

スタッフ:遺跡みたいですね。
福田さん:私どもも「遺跡」と呼んでいます。

福田さん:私が立っている所は東西線の上の部分になります。私が立っているすぐ下を電車が走っています。
今いるのは…駅の天井の上。
まずは、土を掘っていって南砂町駅を発掘。

駅の天井が出てきたら、その隣を広げて…、さらに掘りさげていく。
そして…。

ホームと線路を作って、壁をとりはらったら…

完成!
新しい南砂町駅は9年後の予定。
ただこの工事、かなり気をつけなければならないことがあるそうなんですが…。それをチェックしているのが改良建築部の田村さん。

田村さん:線路が上がったり下がったりしているのを確認しています。
駅の上の土を取り除くと、ちょっと浮いたり、駅の下を掘ると、沈んだりすることも…。
これが原因で電車の運行に支障が出てしまう恐れが…。
スタッフ:今はどんな感じですか?
田村さん:今はマイナス1.7ミリ沈下しています。
スタッフ:どれぐらい沈んだり浮いたりするとまずいんですか?
田村さん:約11ミリ上がったり下がったりするとよくない状況です。
たった1cmちょっとでもダメ!?
実際は、1センチぐらいでは特に支障はないそうですが、念のためミリ単位の細心の注意を払っているんです。
東京メトロは、混雑を減らしてがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:上を掘っていて線路が上がってしまったらどうするんですか?
山村社長:万が一上がってしまったら、線路の下の砂利を少し下げて元の位置に戻します。
加藤さん:車両の台数や線路増やさないでいっぱい乗せて一台で運んだ方が儲かりませんか?
山村社長:確かに効率的ですが、お客さんのストレスが高くなると思いますので混雑率はなるべく低めにしたいです。
加藤さん:その塩梅は難しいですね。