過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2015年9月6日放送

特集

新企画「儲かる糸」!縫ったり結んだり・・・だけじゃない!世界一細い糸は太さ髪の毛の7500分の1!・・・ってどんなの?

ゲスト

森永卓郎さん、あき竹城さん

番組内容

今回のがっちりマンデー、テーマは「儲かる糸」!
洋服や釣りなどスゴく身近にある存在ですが、
実はいつの間にか儲かりアイテムに進化していたのです!
そこで、最先端の儲かる糸のヒミツに迫ります!

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◎光る糸と切れにくい糸!

最初にやって来たのは、茨城県つくば市にある農業生物資源研究所。
出迎えてくださったのは農学博士の飯塚哲也さん。
ここでは最新の農業技術などを研究しているらしいのですが、スゴい糸を作ったらしいですね?

飯塚さん:はい、光る糸があります。

光る糸とは一体?実物を見せて頂くことに。

飯塚さん:これです。

黄色い糸の束。特に光ってるようには見えませんが・・・

飯塚さん:蛍光に光るシルクです。
そう!こちらが飯塚さん開発の光る糸。
明かりを消すと確かに光ってる!
しかも、ただの糸じゃくて絹糸なんです。

飯塚さん:この蛍光シルクに関しましては、蚕が糸を吐く瞬間から色がついている。

スタッフ:最初からこの色ですか?

飯塚さん:そうです、初めからこの色の糸を蚕が吐きます。

そもそも絹糸は、蚕が繭を作るために吐き出す糸が原料なんですが、吐き出す時点で既に光る糸になっているんです。

なので、繭を見ても黄色く光っているし、蚕そのものも光っているのです。
でも、なぜこんなことができるでしょうか?

飯塚さん:蚕に例えばクラゲとかサンゴの光る遺伝子を入れている!遺伝子組み換え蚕だからです。

光る糸のヒミツは『遺伝子組み換え』。
クラゲやサンゴなど、光る生き物が持っている蛍光タンパク質を作る遺伝子を蚕に合体させて光る糸を吐く蚕を誕生させたのです。
では一体、そんなスゴイ蚕をどうやって作っているのでしょうか?

飯塚さん:こちらで遺伝子組み換え蚕を作っている所です。

まず元となる蚕の卵に、液体にしたクラゲやサンゴの光る遺伝子を注入していくのですが、これが非常に難しい!

飯塚さん:遺伝子組み換えをとるためには将来精子とか卵子になるところを狙って入れるんです。ピタッと合えば組み換え蚕がとれると。穴を開けたりDNAを入れたりという操作は全て手作業でやっています。

光る能力が蚕に受け継がれるためには、遺伝子を入れる場所が一番のポイント!
場所が少しでもズレるとうまくいかない。
しかも、卵の大きさや形は微妙に違うので機械ではできない!
長年の経験とカンが頼り。
それでも成功する確率は0.1%程という気が遠くなるような作業なのです。
運良く生まれた光る蚕を大切に増やしていって、光る糸をどんどん取っていくってワケ。
こうして糸になった蛍光シルク。
現在、飯塚さんたちは製品化に向け試作中。

暗闇で光るスカーフやウェディングドレスに使えば、照明を切り変えた瞬間に花嫁さんが光るなんてことにも。
2年後の発売を目指しているんだそうです!
そして、農業生物資源研究所には、光る糸以外にもうひとつ、他の動物のパワーを組み込んだスゴい糸があるらしい。
それを生み出したのが、農学博士の小島桂さん。

スタッフ:どんな糸なんですか?

小島さん:普通のシルクに比べて、切れにくさというものが1.5倍にあがっています。

普通のシルクよりも1.5倍切れにくいという糸。
ある生き物の遺伝子を使っているらしいのですが、どんな生き物なのでしょうか?

小島さん:クモです。オニグモといいます。

そう!クモの遺伝子!
クモの遺伝子を蚕に入れて作ったクモ糸シルク。
確かにクモの糸には細くてもとにかく強いって特徴がある!

小島さん:1センチの太さがあればジャンボジェットを吊り上げられると言われています。
  
クモが吐く糸のパワーに目をつけた小島さん。
では、クモ糸シルクのパワーを検証!
同じ太さの普通のシルクとクモ糸シルクを同じ力で両端から引っ張ってみる。
すると・・・

普通のシルクが切れてもクモ糸シルクは大丈夫!
光る糸も難しかったけど、クモ糸シルクは輪をかけて難しかったそうで・・・

小島さん:クモの糸の遺伝子を扱うというのは非常に難しくて、まずクモから取ってくるのが難しい。とってきた遺伝子を増やすのも難しい。遺伝子をいじるのが非常に難しい。
  
普通、生き物の遺伝子は、何種類かの物質が繋がっていて、その配列によって性質が決まってくるのですが、クモの糸の遺伝子は他の生物と比べて同じ配列がやたらに繰り返すという特徴がある。単純ではあるものの、逆に遺伝子をいじると、全体の数がちょっと減ってしまったり、増えてしまったりと、性質に間違いが生じやすい。
そのため、扱うのが難しい遺伝子として研究者の間では有名なのです。
だから小島さんも・・・

小島さん:大体10年くらいかかっていますね。

小島さんの血のにじむような努力の結晶!
そんなクモ糸シルクは、どんな製品として日の目を見るのでしょうか?
強さが必要で、しかも天然素材の方がいい手術用の縫合糸や、軽さと強さが両方必要なパラシュートの素材など、色んな分野でかなり活躍しそうです!

◎太陽光で発電する糸!?

続いてやって来たのは、福井県にある福井県工業技術センター。
出迎えてくださったのは、工学博士の増田敦士さん。
スゴイ糸を開発したそうなのですが・・・

増田さん:この糸のことですね。粒々が見えるかと思います。これが非常にスゴいんです。
  
確かによく見ると粒々がたくさん付いている。
では、これがどうスゴいんでしょうか?

増田さん:粒々が1個1個、太陽光発電する素子になっています。我々はこれを太陽電池糸と呼んでいます。
増田さんが開発した太陽電池糸。
直径1.2mmほどの黒い粒々が全て太陽電池なんです!
この糸を使えば・・・

増田さん:これが太陽電池糸を横糸に織り込んで作った太陽光発電テキスタイルです。

太陽の光で電気を作る布が作れちゃう!
実際に光を当ててみると・・・

布と繋いだ電圧計がふれた!
確かに発電している。
この布にLEDライトを付けたものを外に持っていけば光る!
手で陰を作ると?

増田さん:光がありませんから発電しなくなります。また、手を外すと発電します。
布に充電器をつなげばケータイだって充電できちゃう。
この太陽電池糸、黒い球状の太陽電池を2本の糸で挟みこんでいる。

この糸が導電糸という電気の流れる糸になっていて、太陽電池が作った小さな電気をたくさん貯めて、大きな電気にしてるってワケ。
太陽電池糸を使って完成した布は・・・

増田さん:薄くて軽くて自由に曲げられる所が特徴ですね。

折りたたんで持ち運びもできるので、電気のほしい場所で広げて発電なんてことも可能!

増田さん:テントとかカーテンとかアウトドアスポーツ系などにどんどん使ってもらえることを期待しております。

他にも、太陽の光が当たっている場所ならどこでも使える。
だから重い太陽光パネルを乗せられないビニールハウスや、折りたたみをする船の帆などにも応用を考えているんだとか。
これは大分儲かっているのでは?

増田さん:えーっと、やっと最近サンプルを作れる体制が整ってきたので、今から製品開発を進めて行くという形です。

3年以内には製品化したいという増田さん。
使い道は無限にありそうなので近いうちにがっちり行きそうですね!

▼スタジオでお聞きしました。


森永さん:今の太陽光発電装置というのは大きくて重くて、しかもガラスなので割れちゃうんです。だからどうしても設置する場所というのが限られちゃうんですね。でも折り曲げることができて軽くて柔軟だと持っていける所が無限に広がりますよね。

◎見えない高機能な糸!

続いてやって来たのは、東京・霞ヶ関に本社を構える帝人株式会社。
出迎えてくださったのは高機能繊維事業本部の吉田博さん。
ところで帝人は糸を作っている会社でしたっけ?

吉田さん:そうなんです、糸の会社です。今は糸を中心とした様々な分野で合わせて8000億円売上げさせてもらってます!

なんと!年間売上げ8000億円!
そう!帝人はポリエステルやポリエチレン、さらには飛行機や自動車の素材にもなる炭素繊維など、最新の糸を作りまくる日本トップクラスの糸の会社なのです!
そこで、スゴい糸を色々と見せてもらうことに。

吉田さん:こちらはベルオアシスという糸です。

なんだか糸屑みたいに見えますが、帝人が作った最新儲かり糸「ベルオアシス」。
一体何がどうスゴイのでしょうか?

吉田さん:とにかくですね、吸い込む力が強いんです!
ベルオアシスを固めてシート状にしたものを、水を張ったシャーレの中に入れてみる。 
すると・・・

グングン水を吸い込み、あっという間にシャーレの水を吸い尽くした!
しかも、おむつの素材になるようなポリマーと違い、繊維なので乾かせば元通りになる。
現在、何度も使える除湿剤として大人気発売中!
そして帝人の新しい糸「V-Lap」で作ったクッションを普通のクッションと比較してみる。
普通のクッション材とV-Lapの下に板状のガラスを敷いて、20cm上から2kgの鉄球を落としてみる。
すると・・・

普通のクッションはガラスにはヒビが入ってしまいましたが、V-Lapの方は傷一つ付いてない!
そんなV-Lapを使った敷き布団は、ウレタンのようなクッション性に、軽さと通気性も兼ね備え、発売から3年で10万枚を売り上げる大ヒット商品になりました!
そんな、色々な糸を作っている帝人ですが、今イチオシのスゴい糸があるという。
それは・・・

吉田さん:ナノフロントという糸を開発しました。

ナノフロント?どんな糸なのでしょうか?
見せていただきましょう!

吉田さん:いやいやいや!ちょっとお見せする事は出来ないです。というのも細すぎて見えないんです。

こちらがナノフロントで編んだ靴下。
パッと見は普通の靴下と変わりませんが拡大すると・・・

一束に約8300本のナノフロントが集まっているんです!
1本の太さは髪の毛の7500分の1という細さ!
でも、こんなに細くて一体どんな良いことがあるのでしょうか?

吉田さん:滑りにくいというメリットがあります。

そう!ナノフロントはとにかく滑りにくい。
そこで、普通の靴下を使いツルツルのロビーで反復横跳びしてみたところ、案の定滑ってしまいましたがナノフロントで編んだ靴下では・・・

しっかりブレーキが効いている!
ではなぜナノフロントが滑りにくいのでしょうか?
普通の一本の糸だと、地面に当たるのは一点だけですが・・・

でも、ナノフロントの場合、細い糸の集まりなので地面に触れると少しカタチが崩れて、何ヵ所も当たる!
その結果、普通の糸の3倍も摩擦力がおきて滑りにくくなるのです。
このナノフロント、握った手が少しでも滑るとプレーに影響が出てしまうゴルフのグローブや、激しく動いても緩みにくい靴ひもなどに使われています。

▼スタジオでお聞きしました。


森永さん:なんでこんなことが出来たかというと、本当に細い糸だと編めないんですね。でも溶けやすい糸と溶けにくい糸を混ぜて束にして編んじゃうんです。で、編んだ後に溶けやすい糸だけ溶かして細いのだけにするんです。

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