過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2015年8月2日放送

特集

新企画!「ビッグじゃないデータ」!ビッグデータに負けない!鹿児島の超巨大スーパー…町工場の秘密メモ…

ゲスト

森永卓郎さん、高橋茂雄さん

番組内容

皆さん、ビッグデータって言葉聞いたことありますか?お客さんの買い物データや、ネットでの検索データとか、世の中のありとあらゆるデータを集めた巨大な情報の塊で、これを分析すれば、この先何が売れて何が売れなくなるのかなんてことがわかるかも、という最近流行りのキーワード。
でも、今日のがっちりマンデーは、あえて逆を行っちゃいます!儲かる「ビッグじゃないデータ」!そこでしか集められない渋いデータをコツコツと集め、うまく使っている会社やお店がけっこうある!今日は、新しいビジネスの匂いがプンプンする30分です!

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■データ管理ナシの仕入れでがっちり!「A-Zあくね」!

ビッグじゃないデータを探して、最初にやってきたのは鹿児島県阿久根市にある、24時間営業の巨大スーパー「A-Zあくね」。
このスーパーの一番の売りは「ない物がない」ってくらいの品揃え。生鮮食料品などはもちろん、釣具に、金庫、楽器、さらには店内に車、なんと九州で一番車が売れているのがここらしい。さらにさらに、仏壇や神棚、五右衛門風呂なんていうのもに売っていて、その商品アイテム数は40万点!

一個380円で牛の鼻輪まで売っている。と、ここに来ればホントになんでも揃っちゃう!でもこれだけ商品数が多いと、ビッグじゃないデータ、ではなくビッグデータの方でしっかり管理しないと大変そう!

創業者の牧尾英二代表、その辺はどうなのでしょう?

牧尾さん:それは全くないです。ほとんどしてないです。

データ管理はない?でもレジでピってやるPOSシステムを見ましたけど?

牧尾さん:あれはデータ管理用じゃなくて、レジであんまり待たせたら悪いということで置いてあるだけです。

そう、A-Zのレジは、何がいくつ売れたかを知るためではなく、お客さんを待たせないための、単なる計算マシンなのです。さらにこの店…

牧尾さん:売り上げ計画であるとか、戦略会議であるとか、そういうのはないです。

A-Zには、計画も会議もないだけじゃなく、なんと、商品部もバイヤーもないのだとか。じゃいったい、40万点の商品は誰が仕入れて、どう売り上げ管理をしているのか?

牧尾さん:それは各売り場担当が自分で仕入れて自分で販売しています。

食品や日用品などの売り場を32の部門に分け、それぞれの担当責任者が、商品に関するすべての権限を持っている。普通のお店は、仕入れ部門が、売れそうな商品を仕入れて、現場の販売部門が、それを売るという分担制。A-Zには商品部がないから、現場の担当者が商品の仕入れから販売まで、全部任されている。

ということは、A-Zのビッグじゃないデータは、担当責任者が各自で持っているのかも?その仕事ぶり見せてもらいましょう!食品エリアの担当者、大田さんに密着!気にしているのは、お客さんが何を手に取るか。

大田さん:いつもそれをお使いですか?
お客さん:はい。
大田さん:なんで白みそだったのですか?
お客さん:甘めの方が好きなので。

このように、とにかくお客さんと話して、好みをリサーチ。そして売り場では常に商品を前に出しながら、数を数える。地味な仕事に見えますが、これが一番大事なのだとか。

大田さん:ずっと何個売れている何個売れているって確認しながらしています。メモはないです。自分の頭の中で整理しています。

そう、あえてメモらない!手先で、体で、売れ行きを感じるのが大田さん流。ということなのですよね、牧尾代表?

牧尾さん:そうですね、よく担当が言いますけど、カンピューターと!

代表曰く、データを持たず、商品やお客さんと直接触れることで、売れ筋商品の大まかな流れを、直感でつかめるようになるのだとか。

例えば大田さん、数年前から醤油を400種類揃えるという、普通のスーパーではありえない仕入れを断行。

スタッフ:さすがに400種類はいらないのでは?
大田さん:お客さんの要望に応えていたら、こうなっちゃったんです。

客とのやり取りの中で、醤油に対するニーズが細かくあることを肌で感じていた大田さん。とにかくいろんな醤油を並べてみることに、すると、それが大好評!A-Zの醤油コーナーはスゴいと口コミで広がって、売上がぐんと伸びたらしい。

大田さん:お客さんサイドから見たら便利な店になったと思います。

売れなさそうなものでも、流れを読んであえて仕入れる。まさに担当者のカンピューターが、A-Zあくねの、年間100億円の売り上げを支えているのです。恐れ入りました。

▼スタジオでお話を伺いました。

進藤:40万店の品ぞろえということでした。
森永さん:ビッグデータを使って仕入れをすると、売れ筋だけが残って、ある意味バリエーションとしてはつまらなくなるんですね。
加藤:なるほど。売れる量は少ないけど、これは売れるっていうのを売っているんですね。
高橋さん:でも、牛の鼻輪とか入ります?
加藤:あるってことが大事なんだよ。

■子どもたちの足を観察してがっちり!「アキレス」!

続いて、ビッグじゃないデータを探してやってきたのは、東京新宿区にあるシューズメーカー、アキレス株式会社。
アキレスが誇る儲かりシューズといえば、子供用スポーツシューズの「瞬足」!

この靴を履けば、運動会で早く走れるというキャッチで話題になり、今や年間売上600万足と、この分野のシェア5割以上を占める超儲かりシューズなのです。「瞬足」最大の特徴がこの靴底のスパイク。左右非対称に配置されているってこと。

なんでこうなったかを教えてくれるのが、シューズ商品本部の津端裕副本部長。

津端さん:これは、運動会で、左回りのトラックを速く走れるようにしてるんです。

そう、運動会のかけっこは、左回りが鉄則。だから、靴底の左側にグリップを効かせれば、楽にコーナーを回れるってわけ。なんでもこの「瞬足」の開発に、津端さんのビッグじゃないデータ収集が深く関わっているらしい。

津端さん:ちょっと、今からカメラで撮影しに行きます。

お供させていただきます。やってきたのは、吉祥寺にある井の頭自然文化園。動物の撮影ってことじゃなくて、カメラが向いているのは反対方向。ちょっと、何を撮っているのですか津端さん!

津端さん:お子さんの靴を、足を写真に撮っているんです。

確かに、写っているのは足元だけ。これが津端さんのビッグじゃないデータ!子供靴の開発のヒントを探して、2000年から撮り始めた子供の靴の写真は、なんと、5000枚にもなるのだとか。で、思いついたのが、左足の外側、右足は内側にスパイクを付けた全く新しいスポーツシューズだったってわけ。これが、運動会でヒーローになりたい子供たちに受けて大ヒット!
さらに津端さん、瞬足を開発した後、撮り溜めた写真データを見ていて、また別の、あることに気付いた!足を固定するベルクロと呼ばれるマジックテープは、靴ひもの代わりに足を固定する装着テープなのですが、はみ出してちゃんと止まってない子がけっこういた!

津端さん:靴に足が合ってなくてかかとが小さい。さらに足も細くて、幅も高さも、非常に薄い子どもが増えています。

そう、昔に比べて、足の幅が狭く、甲の高さも低い子供が増えていたのです。そこで2009年、幅と高さをちょっとだけ薄くした「瞬足スリム」を発売。すると、これまた100万足を超える売り上げに!やるぅ!

アキレスは、15年間津端さんが撮り続けている、ビッグじゃない子供靴データで、がっちり!お見事です!

▼スタジオでお話を伺いました。

高橋さん:面白い。自分で撮ったデータなんですね。
加藤:こういう努力って大事なんですね。
森永さん:ビッグデータとしては普通存在しないですよね。
加藤:このデータ、靴下メーカーにも売れるんじゃないですか(笑)。

■職人のアイデアデータでがっちり!「インパクト」!

ビッグじゃないデータがあると聞きつけてやってきたのが、町工場が集まる東京大田区の株式会社インパクトっていう会社。
ザッツ町工場という感じの室内で、作業してらっしゃるのが平船淳社長。

スタッフ:今は、何をされているのですか?
平船さん:今ね、非常に小さな打ち抜きポンチの製作をしています。

一般的な打ち抜きポンチ。紙や皮に穴をあける道具。

でも、平船社長が作っているのは…

平船さん:内径が0.1ミリ、髪の毛の太さが0.1なんで、その直径を抜くためのポンチです。

そう、大田区の町工場インパクトの得意分野は、この極小の打ち抜きポンチのような、普通の工作機械では作るのが難しい、超微細加工部品の製作。この分野では日本トップクラスの技術を持っていて、大学の研究室や大手企業から、開発依頼が絶えないらしい。

スタッフ:こういうのを作るので、ビッグじゃないデータがあると?
平船さん:ありますよ。アイデアが出なくて行き詰った時に、行き詰ったらそれを見るものが。

平船社長のビッグじゃないデータがパソコンに記録しているアイデアメモ。

このキーワードの羅列が、平船社長のアイデア集。作業に行き詰った時はこれを見ながら、解決策を思いつくってことらしい。社長の頭の中が、他の人には使えないビッグじゃないデータとして蓄積されているってわけ。例えば…フッ素樹脂という素材で出来た直径1ミリの注射器のようなもの。

先端部を拡大すると、ビミョーに細くなっています。普通、フッ素樹脂は、ふにゃふにゃと柔らかいので、このように通常の旋盤で削って細くすることができない。
それを解決したのが、アイデア集の中の「刃物からサンドペーパー」というワード。やり方はお見せできませんが、刃物で削るのではなく、サンドペーパーでこすることで、フッ素樹脂の先端を細くするのに成功。これ、医療用部品の業界では画期的なことらしい!
さらにスタッフが見て気になったのは、「への字で真っ直ぐ」というワード。これは?

平船さん:銅線を真っ直ぐに伸ばす技術です。

これまでは複数のローラーで挟んで引っ張る、というやり方だったのを、社長が考案した道具で、への字にこするというもの。お見せできないのが残念。しかし、これで業界人もびっくりの5ミクロン、0.005ミリの銅線を伸ばすことに成功しました。

スタッフ:このデータ、売ってくれって言われたらどうします?
平船さん:どうですかね〜。でもこの中には5億10億に繋がるアイデアも入っています。

■思い出のデータでがっちり!「有薫酒蔵新橋店」!

ビッグじゃないデータを探して最後にやってきたのは、サラリーマンの聖地、東京新橋にある九州料理の居酒屋、有薫酒蔵新橋店。

この店、料理ももちろん美味いけど、それだけじゃなくある独自の「ビッグじゃないデータ」で、お客さんを呼び寄せているらしい。週末の店内はほぼ満席。しかも年配の方が多いような。ある独自の「ビッグじゃないデータ」で、お客さんを呼び寄せているらしい。よく見るとちょっと様子が違うのが、お客さんの手元…見ているのはメニューではなく、有薫酒蔵新橋店のビッグじゃないデータ!
そう、お客さんが見ているのはメニューではなく、手書きのノート。それ何ですか?

お客さん:僕の高校のノート、ここのお店はいろんな高校のノートが置いてあるんです。

どういうこと、女将さん?

女将さん:これが、うちの店のビッグでないデータ、高校寄せ書きノートになります。

高校寄せ書きノート!そう、店内には、学校名が書かれたノートがずらり。

お客さんは、自分の母校のノートに寄せ書きをする。それを、その高校OBの別のお客が見てさらに書き込む。どんどんノートの中で高校の同窓会みたいな感じになってくってわけ。

お客さん:楽しいですね。すごく懐かしいです。

なるほどね!ちょっとだけ中を見せてもらうと、名刺を貼っている人がけっこういる!

さらに、「このノートでラグビー部の後輩を見つけました!」とか、「ちょくちょくノートを見に来たいと思います」など、お見せにやってくるのはこのノート目当ての人が95%くらいなのだとか。
つまり、お客さんが書いたノートのデータが、次々とお客さんを呼び寄せているってこと!
でも、なんで居酒屋にこんなノートがあるのか?
それは今から28年前。ある常連さんが、店に来る高校の後輩のために、連絡帳を作って、女将に頼んで置いてもらった。すると、そのやりとりがけっこう楽しい!ほどなくノートに気づいた他の客から、「うちの高校のも作りたい」という声が上がり、どんどん増えてったってわけ。

今では、2833校分、全国の高校の半分以上のノートが揃っているっていうからすごい!
ただし、このノートには、女将が決めたいくつかのルールがある。
その1、自分の高校以外のノートを見るのは禁止。その2、初めて書き込む人は、なるべく名刺を貼るべし。
もちろんスタッフの高校のノートもありました!

スタッフ:懐かしいな。私、この制服着てましたよ。

お客さんの懐かしさをくすぐるため、女将が、その学校の写真を貼っているそうです!
そして、意外と賢かった!北海道屈指の進学校、小樽潮陵高校のノートも!よかったですね、加藤さん! 高校寄せ書きノート、年内には3000校を超えちゃうかも!

▼スタジオでお話を伺いました。

加藤:いいね〜。高校っていうのがまたいいね。
進藤:今日は特別に、皆さんの出身高校のものお借りしました。
加藤:高橋くんってどこ?
高橋さん:立命館です。
加藤:名刺貼ってるね〜。あっ小林いるよ。サッカー部の後輩が来てる!
高橋さん:僕の学校の近くにあったフードセンターの書き込みもあります!懐かしいですね〜。
進藤:では森永さん、今後注目のビッグじゃないデータを教えてください。
森永さん:本なんですけど、『まだある。』です。初見健一さんが書いた本なんですけど、昔発売されて、今でも売られているものを集めているものなんです。
加藤:いいですね〜、これはビッグデータからは作れないですね。

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