過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2015年5月10日放送

特集

新企画!「からくり生産ライン」!ってなんだ?今、工場の「からくり」がアツい!1歩1秒1cmの工夫とは!?

ゲスト

森永卓郎さん、綾部祐二さん

番組内容

今日のがっちりマンデーは…新企画「儲かるからくり生産ライン」!
自動車や、電化製品など、世界に誇るニッポンのものづくりに欠かせないのが、工場の生産ライン。今、この生産ラインの効率化を支えているのが…からくり!
全自動、電動化が進んでいるように見える工場の中で、電気なし、工夫とアイデアの仕掛けが、ものづくりを支えている!
今日は「儲かるからくり生産ライン」!ニッポンのものづくりの真髄、見せてもらいましょう!

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■重い物を楽々持てちゃうからくりでがっちり!「デンソー」!

最初にやってきたのは、全世界で年間4兆円を売り上げる自動車部品メーカー「(株)デンソー」。カーナビやカーエアコンなんかは有名ですよね。この最新鋭の巨大工場の中に、様々なからくり生産ラインがあるらしい。
熱機器製造部の野澤工場長に、案内してもらいました。まずは、重さ13キロの部品箱をラインまでちょいと運ぶ作業。女性や高齢者だとかなりな重労働だったのを、からくりが変えた!現在は手に紐を付けて荷物を運んでいる!これは?

野澤さん:スカイ吊りと言います。

名づけて「SKY吊り」。そのからくりはとても単純。アームの先に重りが付いていて、その重さで作業者をアシストしてくれる。

まさに天秤のからくり。これで13キロを半分以下の6キロにしてくれるっていうからすごい!

野澤さん:長時間でも作業ができるので、人の入れ替えをしなくてもいい分、工場全体としてもありがたいです。

以前は、1分間で50個くらいを運ぶのが限界だったのが、スカイ吊りを使えば1.3倍の65個を運べちゃう、かなりの効率アップ!そして、変な形の台車にも、からくりが!?

野澤さん:これが、パレットスライダーです。

パレットスライダー!パレットとは、部品のケースなどを積み上げて運ぶための台で、これも以前は、直接手で持って、所定の位置に置いていた。それが、パレットスライダーを使うと、立てたまま台車にスルスルッと乗っけて、所定の場所まで移動するだけ。

そして傾けて置けば、一度もパレットに触れないまま作業終了。こりゃ楽チンだ!一番のポイントは、バネを使って、落ち付速度を軽減させているところなのだとか。

パレットスライダーのおかげで、重いパレットの運搬を、男性だけじゃなく女性も出来るようになった。そして、デンソー高棚製作所でもからくり生産ラインを発見!

岩田さん:回転寿司というからくりになっています。

回転寿司!どういうからくりか見せてもらうと、カーナビを組み立てるラインらしいのですが、まずは、マグロマークのライン。4つの作業台の上で、左から右へ部材を移動させながらカーナビを完成させる。と、ここまでは普通ですが、この後、からくりラインに!作業台が手動で回転!これはまさに回転寿司!

奥から手前に現れたのは、イクラとタマゴの作業ライン!このイクラのラインで、さっきとは別のカーナビを作れちゃう!さらにさらに、もう一度ラインを回転させ、今度は組立台をひっくり返す、すると、ホタテマークのラインに変わる。つまりこれ、マグロ、ホタテ、タマゴ、イクラと、4種のカーナビを一人で作ることができるからくり生産ラインなのです。でも、失礼ながらなんでこんな面倒なからくりを?

岩田さん:カーナビは2年ごとに新しいものに変わるサイクルになっています。その度にラインを作っていたら大変なので、このからくりを作りました。

そう、カーナビの進化は日進月歩!だから、新製品は大量生産するために大きなラインで製造するけど、古い機種のラインは、そのまま残しておくと生産量が少ないため無駄になる。かといって、なくしちゃうわけにもいかない。そこで編み出されたのが、4つのラインを一ヶ所にまとめて、古いカーナビ4種を製造する、省スペースの回転寿司ラインなのです。
さらに、デンソー大安製作所の中にあるのがからくり塾。ここにみんなが集まって、いろんなからくりを考えているらしい。ここで見つけたのが、去年まで稼働していたという、わんこの顔が付いたからくり!ポチ5号というらしいのですが、どう使うのか?そのからくりは、部品を取って作業したら、電動で付いてくるというもの。しかも、ただ付いてくるだけじゃなく、次の部品を届けてくれるのです。

そして最後に、三つ目の部品を届け、作業が終わると、ポチはお家に帰るというからくりライン。台車が移動するのは電動ですが、部品の箱の出し入れにからくりが使われていて、スロープを滑車が登ることでワイヤーが引っ張られ、部品の箱が前に出てくるっていう仕掛け。作業者が部品を取りに行く手間を省いたってことなのですが、なんでそこまでやるのって感じもしますが?

岩田さん:1歩で1秒掛かるとしたら、これによって、2歩の短縮、つまり2秒の短縮になるからです。

そう、これまでは部品の棚に立ち寄りながら、5歩かけて3工程をこなしていたけど、ポチを導入することで、3歩で作業終了。わずか2歩と言うなかれ!一日で換算するとものすごい短縮になるのです!

▼スタジオでお話を伺いました。

進藤:今日はこのSKY吊り、用意しました。
綾部さん:まずは普通に荷物運びますね。うわっ、重いなあ〜。
進藤:では次にSKY吊りでやってみてください。
綾部さん:ウソでしょ!軽い(笑)。
進藤:これで20キロの荷物が5キロ分の感覚になるそうです。
加藤:確かに全然違う。勝手に荷物が上がる感じだね。これはもう発明ですね!

■ケーキを自動で分けちゃうからくりでがっちり!「シュゼット」!

次にやってきたのは、兵庫県西宮市にある洋菓子メーカー「(株)シュゼット」。この会社が、日本の、いや世界のケーキ作りを一変させるかもしれない、すごいからくりラインを編み出したらしい!それがケーキを回転台。開発者の近藤さん、そのネーミングは?

近藤さん:からくり回転台です。

からくり回転台!名前にはあまりひねりがないけど、ちょっと作るとこを見てみましょうか。6等分にカットして、イチゴをたっぷり乗せたら完成ってことなのですが…どこにもからくりはなかったような…と思ったら、お〜、ケーキがパッカーンと割れた!これが、シュゼットが考案、特許出願中のからくり回転台。

近藤さん:ケーキに触れずに移動ができないかと考えたときに、この回転台を考えました。

そう、これまではカットしたケーキを慎重にずらしてからフィルムをかけていた。この作業に意外と時間がかかる上、ケーキ同士がぶつかって、おじゃんに、なんてことも。それが、からくり回転台を使えば、ケーキをずらさないでフィルムをかけられる。これ、ケーキ屋さんにとっては画期的な作業効率のアップになるってわけ!

近藤さん:これまで1時間に8台、ケーキ48個だったのが、1時間に10台60個作れるようになりました。

特許出願中のこのからくり、計3枚のプレートを重ねて、下の二枚を動かすと、パッカーンとケーキの花が開くってことらしい。これ、全世界のケーキ屋さんが採用したら、がっちり間違いなしですね!

▼スタジオでお話を伺いました。

加藤:すごい!細かいようだけど、何回も繰り返す人にしたら大事なんですね。
森永さん:そうなんです。作業を毎日する人にとっては、ちょっとした工夫が大きな差なんです。

■自動車工場のからくりでがっちり!「マツダ」!

次にやってきたのは、広島県にある自動車メーカー、といえば「マツダ(株)」。
この会社も、製造ラインのからくりにかなり力を入れているらしい。ここ、テレビなんかでよく見る、車の製造ラインですが、最新設備の中にペットボトルを発見!
これどんなからくりなのですか?

金重さん:ペットボトル同期台車です。

ペットボトル同期台車!どういうことかというと、部品や工具を乗せた台車が、作業者と一緒に動いて付いて来て、作業が終わると、また元の位置に戻る、というからくり。以前は、部品や工具を取るために、作業者が棚と車の間を往復。行ったり来たりするのがけっこうな手間だった。それが今は、棚が台車になって作業者の動きと同期する。モノを取りに行く時間と労力が省けるようになりました。

また、このからくり、電力を使ってないのがミソで、エアーの圧力で出てきたレバーを、タイヤが押すと台車も一緒に前に動く。

作業が終わるとレバーを解除。すると、ペットボトルの重さで台車が元の位置に戻るという仕組み。さらに別の生産ラインでは、ちっちゃなからくりを発見!リング状の部品を供給する円柱の器具がありました。

金重さん:あっかんべー太郎って名前なんですよ!

名づけてあっかんベー太郎!これまでリングは、箱にごっそり入っていて、軍手をしていると、取るのがなかなか面倒だった。例えば、二枚ずつ取るときにかかる秒数は平均2秒。それが、あっかんベー太郎なら、何も考えずに、0.5秒で必要な枚数を取ることができる。

この作業、例えば1日100回だとすると、それだけで2分半の節約に!

からくりはいたってシンプルで、後ろについている爪が、リングを押し出す、振り子の原理を使ったからくり。

後ろの隙間の高さを調整することで、取り出す部品の数を変えられるオプション付き。至れり尽せりです!そして、またまた別の場所にもからくり発見!エアー式レンチの横に、ボルトの山。レンチを元に戻すと、ボルトが取れるというもの!

金重さん:これが私の一番おススメのボルとる〜んです。

ボルとる〜ん!もうおわかりですね、レンチの重さで、先端に磁石のついたアームを持ち上げると、必要な分だけボルトが勝手に取れているっていう、シーソーのからくり。これも、以前は軍手で必要な分だけボルトを取るのがけっこう大変だった。かかる秒数は、平均1秒半。それが、レンチの置き場スペースの確保と共に、一瞬で解決されたってわけ。

でも、金重さんお気に入りのボルとる〜んにも一つだけ問題が。ボルトの補給が手作業ってこと。これが意外と重労働。しかし、それをすごいアイデアで解決したという、試作中の新型ボルとる〜んがあるそう!

金重さん:チェーンが付いています。

面倒だったボルトの供給を、からくりで改善した試作中の新型ボルとる〜ん!このチェーンに磁石がセットされていて、下に置いた補給用のボルトから、少しずつくっつけて持ち上げ、台の中に落とすというからくり!これで、ボルトの補給まで自動化出来たってこと!

さらにマツダには、人の手を使わないロボット作業にもからくり生産ラインがあるらしい。ロボットアームが棒に引っ掛けて、クルッとセットしたのは、車の後ろのドア部分。それを、もうひとつのロボットアームがつかんで、プレス機に運ぶ。この部分がからくりで、名づけて反転くん。以前は、送り出す方のロボットアームも受け取る方のロボットアームも、ねじれて複雑な動きをしていたのが、このフックのからくりのおかげで、すいすいスムーズに!

でも、ロボットなのだから、ちょっとくらい無駄な動きがあってもいいような気もしますが?

金重さん:これをやることによって、生産のタクトが約1SPM上がるんです。

SPMとは、1分間に何回取れるかを現したもの。反転くんを使うと、以前より1分で1枚プレスする量が増えた。しかも、アームの動きが単純化されたため、故障もほとんどなくなったのだとか。子供がブランコをしているのを見て、思いついたというこのからくり。生産効率はますます上がるし、作業者のモチベーションももちろんアップですね。

▼スタジオでお話を伺いました。

加藤:いいですね。自動車工場って、オートメーション化されていて、人間がいらないと思われがちですけど、しっかり職人技が出てますね。
森永さん:あの知恵の出し具合によって企業の競争力が変わってくるんですよね。
進藤:では森永さん、他にもお勧めのすごいからくりは?
森永さん:そろばんです。町工場で使われてるんですけど、ローラーのカーブのところで荷物がひっかるのを防ぐために、角にそろばんを置いておくんです。すると、そろばんで荷物が滑ってスムーズに流れるんです。

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