過去の放送内容
2014年10月26日放送

特集
「粉」にしたらイイコトいろいろ! アレがよく膨らむ粉!車を動かす未来の粉!?
ゲスト
森永卓郎さん、東貴博さん
番組内容
突然ですが、皆さん!!最近"ある業界"が地味に盛り上がっていること、知っていますか?それは「粉」業界!粉というと…小麦粉とかホットケーキの粉とか、もう、いろんな粉を思い浮かべちゃいますが…実は、私たちの知らないところで、意外な粉が、ドンドン出現しているのです!
カップ麺業界が仰天する粉!エネルギー業界が騒然となった粉!
今日は、地味だけどかなり儲かっている、粉ビジネス最前線に迫ります!
粉だけに思わず"咳き込まず"にご覧下さい!
■ブラン粉でがっちり!「鳥越製粉」!
儲かる粉ビジネス最前線!まずは、福岡県福岡市にある「鳥越製粉」。
笑顔で出迎えてくれたのは、研究開発部の清水さん。こちらの鳥越製粉って会社、粉の世界ではかなり有名で、1960年に、日本で初めてフランスパン専用の小麦粉を作ったり、2003年に「鯛焼き」が白いまんま焼ける粉を作ったりと、業界のパイオニア的存在なのです。

今度はいったいどんな"儲かる粉"を?
清水さん:これです。ブラン粉です!

どんなものに使われているのですか?
清水さん:ローソンで売っているブランパンは、この粉で作っています。

ということで、ローソンで聞いてみると…
塚田さん:朝のラッシュが終わりますと、商品が無くなってしまいますので、お昼に向けて、また補充をするというぐらい人気です。
なんと、ローソンでは去年ブランパンだけで、年間60億円を売上げる大ヒットを記録。もう笑いが止まらない清水さんですが、大人気のヒミツは、粉の"ある特徴"にありました。それは…
清水さん:この粉を使う事によって、糖質80%オフの低糖のパンができます。
そう、ブラン粉の特徴は、糖質が少ないってこと。なぜなら、小麦や米など、穀物の"皮を粉末化"しているから。この粉で作ったパンは、もちろんとっても低糖質。これが最近の糖質制限ブームに乗っかって大ヒットしているってワケなのです。
しかし、ブラン粉をパンにするにはかなり高い壁があったようで…
清水さん:パンが膨らみ難いとか、固くなるとか、そういった課題があります。
そう、実は、ブランは膨らまない。そもそも、パンを膨らませるためには、でんぷんが必要なのですが、ブラン粉は、穀物の「皮」からできているので、でんぷんがほとんど無い!当然これだけだとパンは膨らまず、パサパサになります。そこで、鳥越製粉は考えた!
清水さん:こちらが入っております。
スタッフ:オレンジ?
清水さん:そうです。オレンジの繊維が入っております。
注目したのは、オレンジの皮の内側についている白い繊維。

実はこれ、すごい吸水性を持っている。これを粉にしてブラン粉に加えると、パンを焼いた時に、生地の中で水分を集めて膨らんでくれるので、でんぷんが無くてもフワフワになるのです。ただのブラン粉と鳥越のブラン粉を焼いてみると、…あらっフシギ。膨らみ方が全然違う。

こうして、低糖質でもフワフワに膨らむ、儲かり粉を完成させた鳥越製粉は、同じブランの粉を使って様々な新商品を開発!低糖質のお好み焼きの粉に、低糖質のホットケーキ粉、そして、低糖質の麺の粉など、「パンでスマート」というブランドを立ち上げ、さらなる儲かりを生んでいるのです!
スタッフ:去年の売上げは?
清水さん:217億円です。
ブラン粉の活躍で、去年の売上げは217億円。これからも鳥越製粉は、ブランを使った粉でがっちりですね。
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:ブランパン、人気なんですね。
森永さん:今まだローソンにしか卸してないんです。それで、他の企業も作ろうとしてるんですが、まだこれに並ぶものはできてないようです。
加藤:粉ビジネス、面白いですね。
■ラーメンをさらにおいしくする魔法の粉でがっちり!「味源」!
儲かる粉ビジネス最前線!続いては、香川県まんのう町の、のどかな場所にある「味源」って会社。西山社長、儲かっていますか?
西山社長:はい、儲かっています。
あら、良かった。でも、あんまり聞き馴染みのない会社ですが、ここに、今年やたら売れた、とんでもない儲かり粉があるのです。それは…
西山社長:これです。魔法の粉。
そう、「味源」の儲かる粉は「カップラーメンがさらに旨くなる魔法の粉」。

その名の通り、カップ麺にかけるだけで、たちどころに美味しくなるんだとか。
そんなバカな。
スタッフ:本当に美味しくなる?
西山社長:はい、ホントのホントです!
ちょっと怪しい気もしますけど、とりあえず見せてその実力を見せて頂きましょう!まずは、魔法の粉を入れる前のカップ麺。
スタッフ:まぁ普通に美味しいですね。
西山社長:ですよね。じゃあ魔法にかかってください。
スタッフ:どのくらい入れるのですか?
西山社長:3杯ぐらいからがいいですね。
なんと、魔法の粉はスプーンで3杯も投入。

果たして…
スタッフ:…味に、コクが出た感じですね。
西山社長:ヒミツは魚粉なんです!
なんと、鳥と豚のエキスがメインのカップヌードルが、がっつり、魚介系ヌードルに大変身!確かにさらにうまくなった、気もする!

でも、西山社長、なんでこんなものを作ろうと?
西山社長:いや、去年の夏メチャクチャ忙しい時があって、その忙しい時に嫁さん、僕をほっといて実家に帰っちゃったんです。で、毎日カップラーメンを食べていたんですけど、さすがに1週間したら飽きちゃって。それでなんか旨いもの作れないかなと思ったのがきっかけです。
なんと、儲かる粉開発のきっかけは、奥さんの帰省!まさに、ひょうたんから駒ですな…。にしても気になるのは、このネーミング。見ると、確かにちょっと試してみたくなる!シンプルでちょうどいい感じ。これ、どうやって考えたのか?
西山社長:魔法の粉は僕がそのまま考えて…あとは社員から"さらに"を付けた方がいいんじゃないかと言われました。やっぱりメーカーさんに申し訳ないなということで。
ポイントは、メーカーさんをリスペクトして"さらに"を付けた謙虚さ。このネーミングのおかげで、発売から1年で、およそ50万袋、1億円を売上げたのです!とにかく売れすぎて注文に追いつかず、現在10万袋待ちの大人気に!で、魔法の粉の原料はというと…
西山社長:9割近くが魚粉ですね。イワシ、サバ、鰹などの魚粉と、こしょう、唐辛子、そしてガーリック。これを、丁度いいバランスで配合したら完成です。
この、大ヒットに気を良くした西山社長、今度は、カップラーメンと同じくらい、さみしい一人暮らしには欠かせない、アレにも、魔法の粉を投入。
西山社長:これです!レトルトカレーがさらに旨くなる魔法の粉。

そう、「レトルトカレーがさらに旨くなる魔法の粉」。これまた、カレーの味をがっつり変えちゃうチーズ味!5万袋と大ヒット!西山社長、次は何の粉をつくるのですか?
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:魔法の粉って知ってた?
東さん:いえ、知らなかったです。でも、魚粉はうちのお好み焼きにも使ってるんですよ。
加藤:あの、お店の宣伝するのやめてくれる?
東さん:すいません(笑)。
進藤:今日は、その魔法の粉、用意しています。
加藤:普通のカップヌードルでも十分おいしいけど…(粉を入れて)なるほど、コクが出るね。
東さん:上手い!3種類全然違う味になりますね。
■ドレッシングの粉でがっちり!「味の素」!
続いての儲かる粉ビジネス最前線は…東京中央区にある「味の素」。さっそくお邪魔します!出迎えてくれたのは、家庭用事業部の高原さん。
「味の素」と言えば…「ほんだし」に「コンソメ」に「味の素」など、調味料に関しては右に出るものが無い "キング・オブ・粉"カンパニー。そんな「味の素」に最近、新たなる、儲かり粉が誕生したのだとか。それは…
高原さん:こちらです。サラダにかけるドレッシングを粉にしたものです。
そう、味の素の儲かる粉は、サラダ界に大革命の粉ドレッシング!


1袋、使い切りタイプで、サラダに振りかけて混ぜるだけ。超簡単。物は試しってことで、頂きます。
スタッフ:味がしっかりしていますね。
高原さん:そうなんですよ。液体ドレッシングですと、野菜を水切りしても水っぽくなるって意見があったんですけど、これを粉にすることで野菜の水分で粉が溶けるので丁度いい感じに、まんべんなく混ざるんです。
そう、味の素の粉ドレッシングは、粉にすることで、イイ事いろいろ。例えば…液体ドレッシングだとサラダにかけて、時間が経つと、下に溜まっちゃう。

一方、粉ドレッシングの場合だと大丈夫。作られてみれば、なんとも簡単にも思えるこの、粉ドレッシング。しかし、ここまでには長い道のりがありました。何より、味を粉にするのが難しい。ちゃんと粒が均一に、ドレッシングの味にならないといけない。そこで味の素さん、もともと作っていた人気商品、クノールカップスープのつぶつぶの作り方を応用したのです。
しかし、それでも粉ドレッシング作りには、ひとつの大きな問題がありました。
高原さん:粉にすることによって、使えなくなる材料がすごく沢山ある。例えばドレッシングでいうと、油がそうなんです。
そう、ドレッシングの油は"コク"を出すための大事な要素の1つ。でも、乾燥した粉にすると、油はなかなか入れられない。そこで、油と同じコクを生み出す調味料を使ったコンソメや鶏ガラスープの粉技術で、これを解決!

このように、さまざまな粉ノウハウを生かし、苦節2年、ようやく完成した粉ドレッシング。1袋、200円前後。味の素は、粉ドレでがっちりです!
▼スタジオでお話を伺いました。
進藤:味の素さんの、トスサラをご用意しました。
加藤:上手いですね。
東さん:カップヌードルにかけてもおいしそうですね。
加藤:(カップヌードルにかけて)上手い!
東さん:和風な味になりましたね。
■未来の車の燃料になる粉でがっちり!「東京理科大学」!
儲かる粉ビジネス最前線!続いては…千葉県野田市にある「東京理科大学」。ここに、今研究中のすごい"儲かり粉"があるという。
スタッフ:失礼します!がっちりマンデーです!
星教授:どうも、東京理科大学の星です。
こちら「電気電子情報工学科」の星伸一教授。電気と粉って、なんか関係あるのですか?
星教授:未来の自動車用の燃料になる粉を作っています。
なんと、星教授の儲かる粉は、ガソリンの代わりになるという未来の粉燃料!

で、いったい何の粉なのですか?
星教授:これは水素を作る粉です。
そう、星教授が作っているのは、水素を作る粉。水素化ホウ素ナトリウムという物質。実際、水素が出る様子を見せて頂きました。
星教授:粉に水を加えます。すると、泡が立って、水素が発生します。

星教授は、粉と水を混ぜる事で水素を発生させ、その力で走る燃料電池自動車の実現を
目指しているのです。なんかスゴそう!そもそも、今、自動車業界が躍起になって開発中の水素燃料電池自動車は、圧縮させた"気体の水素"をタンクに溜めて酸素との化学反応によって発電。そのエネルギーを使ってモーターを回すって方法。

でもこれ、水素を溜めておくタンクが大きいってことと、水素を補給するためのステーション建設にお金がかかる。そして何より、水素がとても燃えやすくて保存が大変という問題点が。しかし、星教授の粉末水素を使うと、その問題が全て解決。
星教授:これを粉のまま燃料として使うんです。将来は、コンビニエンスストアで買えたりもできるかもしれません。
そう、まず粉のまんま、車にのせることで気体の水素よりかなり体積が小さくてすむ。およそ40グラムのこの粉で、なんと100リットルの水素が作れる。なので、タンクがコンパクト化。さらに粉は状態がかなり安定しているので、専用ボトルに詰めてコンビニで販売なんてことも可能。まさに夢の"粉"研究ですが、一体どこまで進んでいるのですか?
星教授:それは…面白いものをお見せしましょう!こちらへどうぞ。
そう告げると、研究室を飛び出した星教授。向かった先は外!すると…
星教授:これが、あの先ほどの白い粉で走る自動車になります。

なんと、登場したのは、水素の粉で走る試験車。もうここまでできているのです。中はどんな感じかというと…何やら、クルクル回る円柱形に、泡がブクブクブク!いったいこれは?
星教授:この筒に入っているのが先ほどの白い粉になります。この粉から液体燃料を作りまして、水素が発生させています。
確かに、車の中で、粉から水素がどんどんできている。

もちろん燃料は粉なので、補充も簡単!実はこの、水素化ホウ素ナトリウムを使って、水素燃料電池自動車を走らせるというアイデア、各自動車メーカーも、こぞって考えていた。ところが、どこも、この粉を、水に溶かしたものを車に積んで走らせるという方式で、これだと、やっぱり燃料タンクが場所をとっちゃう!だったら、粉のまんま車に乗せちゃえばいいというのが、星教授のひらめき!こうして、世界初の粉で走る自動車が動き始めたのです!せっかくなので、運転させて頂きました。
スタッフ:スムーズに走りますね。
カーブだってスムーズ!現時点での最高時速は25キロ。ところで、いつ実用化されるのですか?
星教授:そうですね、我々の目標としましては、10年後をめどに考えております。
そう、10年後の実用化に向けとりあえず、大きなタンクが3分の1になる予定。
星教授:エネルギー社会が変わってくる可能性を秘めているので、ウン兆円規模の市場を目指せる可能性があります。
全く新しい、水素の粉で走る燃料電池自動車。2025年までに実用化すると、星教授の鼻息も荒いです。東京理科大学は粉末水素でがっちりですね!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:究極のエコカーは水素の粉の自動車って前から言われているんですよ。水素って、燃えても水になるので、とてもクリーンなエネルギーなんです。
進藤:これが、水素化ホウ素ナトリウムです。1グラムで2.4リットルの水素が出るそうです。
加藤:これ、ぜひ東京オリンピックで走る車を見たいですね。
森永さん:星先生に頑張ってもらいましょう。
進藤:最後に森永さん、この先、儲かりそうな粉は何ですか?
森永さん:大人の粉ミルクです。子どもを産んだ女性が、栄養補給のために飲んでます。今後、高齢化も進んでいるので、もっと普及していくと思います。
東さん:いや、粉業界素晴らしいですね。うちのもんじゃも、もっと儲かりそうです(笑)。