過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2014年9月7日放送

特集

3年5年はあたり前!『熟成ビジネス』の世界お肉だけじゃない…なんと○○まで「熟」してがっちり!?

ゲスト

森永卓郎さん、島崎和歌子さん

番組内容

今回のがっちりマンデー、テーマは「熟成」!
お肉や昆布、コーヒーなど、5年10年の熟成は当たり前!
いま、巷で熟成が人気なんです!
そこで!熟成ビジネスの世界に潜入!儲かりのヒミツに迫ります!

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◎熟成肉でがっちり!「さの萬」

まず最初にやって来たのは、静岡県富士宮市にある「さの萬」というお店。
実はこちら、今ブームになってる熟成肉の先駆け的なお店です。
脂の少ない赤身肉が、長い時間をかけることで美味くなる!
さの萬の佐野佳治社長にお話を伺いました。
つまり「肉は腐りかけが一番美味い」ってことなんですか?

佐野社長:腐りかけと熟成とではちょっと違うんですね。熟成は旨味が凝縮してお肉も柔らかですし、ドライエイジングですね!

熟成は、肉を腐らせることなく新鮮さを保ったまま、旨み成分だけを凝縮するドライエイジングという技を使うんだとか。
早速、その方法を見せていただきました!
肉の熟成に使うのは、専用の冷蔵庫。
温度は肉が凍るちょっと手前、1度にすることで傷むのを防ぎます。
そして肉の種類は・・・

佐野社長:90%くらいはホルスタインですね。

熟成に向いているのは、肉牛というより乳牛として有名なホルスタイン。
そんなに高価な肉ではないのですが、その赤身が熟成肉には最適なんだとか。

佐野社長:熟成肉は劇的に肉が変わりますね!非常に旨味も濃くなるし、肉のキメも細かくなる。

なんでも、高級な和牛だとサシの脂分が熟成させると酸化して美味しくなくなってしまうらしい。

ホルスタインの赤身肉を、ここで40日間もかけて熟成していくのです。

スタッフ:扇風機は意味あるんですか?

佐野社長:この強い風でお肉の中の水分を引き出しているんです!

肉の表面に風をあてながら乾かすことで、余分な水分を飛ばしているんです。
そして、扇風機の後ろに立てかけている板に熟成ビーフ最大のヒミツが!

佐野社長:熟成するときの菌の住処なんですよ!この木の中に菌の住処があるんですね。菌床になってます。

肉の熟成に欠かせないのが、この木についている微生物。
微生物が肉のタンパク質を分解して旨味成分のアミノ酸を劇的に増やし、肉を柔らかくもしてくれる。
佐野社長がこの微生物を、熟成肉の本場アメリカで発見し、実験に実験を重ねて培養に成功したのです。

こちらが、熟成前と40日熟成後の肉の断面。
あまり美味しそうに見えない熟成肉ですが、骨を外して表面の肉をそぎ落とすと・・・

きれいな赤身が出現!
熟成肉は、表面の肉を多めに削らないとダメなので、普通の肉よりも3割ほど使える量が減ってしまう。
それでは、普通の肉と熟成肉を食べ比べてみましょう!
まずは熟成させない新鮮なお肉!

スタッフ:美味しい!めちゃめちゃ美味しいと思います。

続いて、40日熟成肉を!

スタッフ:柔らかさが全然違いますね!旨味が濃い!

お値段は100gで1200円という「さの萬」のドライエージングビーフ、普通の赤身肉より3割ほどお高いながら、全国のホテルやレストランから取引の希望が殺到中!
普通の赤身肉を、熟成させることで最高級の味に!
そんな「さの萬」は熟成肉でがっちり!

◎熟成昆布でがっちり!「奥井海生堂」

次なる儲かる熟成を探してやって来たのは、福井県敦賀市にある奥井海生堂という会社。
実はこちら、明治4年創業の老舗 昆布屋さん。
4代目の奥井隆社長にお話を伺いました。

奥井社長:弊社は昆布を2年3年と蔵で囲って熟成させるんですね、それで旨味の増したやつを京都の料亭さんを中心に全国の料理屋さんに出荷しているんです。

そう!奥井海生堂が熟成させているのは、和食のだしをとる時に使う昆布。
普通は天日干しで一日乾かしたら、すぐ商品になるらしいのですが、ここでは「蔵囲い」という方法で何年も熟成させている。

熟成させる蔵の中は真っ暗で、温度は20度に設定。

奥井社長:ここにあるのは全て利尻昆布ですね!

スタッフ:高いやつですよね?

奥井社長:そうですね!京都の料亭がお使いになる昆布ですね。

熟成させるのは、北海道利尻産の高級昆布。

一定の温度・湿度の空間に何年も寝かせることで、昆布の磯臭さが抜け、中の糖分とアミノ酸が結びつき、まろやかな味わいになるという。
試しに新昆布、3年、10年ものの3種の昆布を同じ時間水に浸してだしをとってみると・・・

こんなに色が違う!10年ものは見るからに濃い!
では、どうして福井県の敦賀市で蔵囲い昆布を作っているのでしょうか?

奥井社長:敦賀は昔から松前交易と言いまして北海道の物産が関西に集められるときの入り口の港だったんです。

江戸時代、北海道の昆布を関西に運ぶ時、船が集まる港が敦賀湾でした。
しかし、昆布が到着しても、大雪で関西に運べないときは、ひと冬この地に留め置かれることも。
そして、その昆布でだしを取ってみると断然美味しくなってた!
それが、敦賀での昆布熟成の始まりなのです。
実際に蔵囲い昆布を使っている京懐石の名店「新宿・柿傳(かきでん)」の総料理長・木村定弘さんに話を聞いてみると・・・

木村さん:熟成昆布を10年近く使っておりますけど、味加減とかを加減するのに一番いいんですね。使いやすいんです。

和食はだしが命、ほとんどの料理に熟成昆布が使われているといっても過言ではない。
つまり、柿傳の味を支えているのが熟成昆布ってことなんです。

さて、蔵の中にずらりと並ぶ熟成中の昆布をよく見ると「船泊」や「香深」と名前が違う。

奥井社長:これはぞれぞれの利尻昆布が取れた浜の名前なんです。

スタッフ:浜で何か違うんですか?

奥井社長:全く違います!

利尻には、昆布が取れる浜が6つあって、その取れた浜、年度ごとに分けて熟成させているのです。

スタッフ:一番古いのって何年ものなんですか?

奥井社長:平成元年のものがございます!もう26年経ちますね!
    
箱入り2年物400gで1万800円と、少々値は張りますが、世界的な和食ブームでフレンチやイタリアンのシェフたちからも注目されつつある熟成昆布。
そんな奥井海生堂は昆布の熟成でがっちり!

◎熟成コーヒーでがっちり!「コクテール堂」

やって来たのは、山梨県韮崎市にあるコクテール堂という会社。
こちらの倉庫で意外なものが熟成されているそうなんです。
林道男社長にお話を伺いました。

林社長:コーヒーなんですが、まず生豆のコーヒーを熟成させまして、約1年ちょっとですが、それから焙煎・ローストしているんです。

その熟成コーヒーが、200gで900円前後とちょっとお高めながら、コーヒー通の間で人気になっているらしい。
でも、コーヒーは「採れたて」「炒りたて」「挽きたて」が一番美味しいというのがこれまでの常識。しかし、コクテール堂は1年以上コーヒー豆を寝かせて、熟成させた後に焙煎する。

林社長:ここは自然の風でこちらの方が八ヶ岳で八ヶ岳の風を通しまして自然に豆が呼吸をしているんです。

倉庫なのにたくさん窓があるのは、風通しを良くするため。
南アルプスの麓にあって、年間降水量が少なく、ベタベタしない気候もコーヒーの熟成に向いているんだとか。
熟成豆と新鮮豆を比べてみると・・・

青みが抜けて黄色っぽくなっています!
では一体、この熟成でコーヒーの味がどう変わるのでしょうか?

林社長:コーヒーというのは主成分がタンニン酸なんですが、タンニンは柿と同じように渋柿が干し柿になって甘くなるようにタンニンは熟成させることによって甘味に変わるわけですね。

熟成させることでタンニンが変化して、渋みやえぐみが抜けまろやかになる。
そして、普通のコーヒー豆は指では固くて割れませんが、熟成コーヒー豆は簡単に割れちゃう。
なぜなら、豆を熟成させたことで、表面に小さい穴が開き、そこから焙煎の火が中までしっかり入るから。
しかし、一番大事なのは味!
普通のコーヒーと、熟成コーヒーを飲み比べてみました。
まずは、普通のコーヒー。

スタッフ:ん!いつも飲んでる感じですね。

続いて、熟成コーヒー。

スタッフ:香りが違いますね。味は微妙だけど優しい感じがしますね!

結構微妙だったみたいなので社長から提案、10分置いてから飲み比べて欲しいとのこと。
10分後、ぬるくなった普通のコーヒーを飲んでみると・・・

スタッフ:ちょっと酸味が出ました。

では熟成コーヒーは?

スタッフ:めちゃめちゃ分かります!雑味が全然ない!まろやかなまんま!
林社長:香りが
スタッフ:冷めても味が変わらないということですね。

熟成コーヒーは、焙煎の火が豆の芯まで通っていて、中の油脂がきれいに抜けているから、酸化しづらく、時間が経っても味がほとんど変わらないのです!
そんなコクテール堂は熟成コーヒーでがっちり!

◎木材を熟成させてがっちり!「宮内建築」

最後にやって来たのは滋賀県草津市にある宮内建築。
棟梁の宮内寿和さんにお話を伺いました。

宮内さん:家の骨組みになる木材を時間をかけてじっくりと熟成させています。

山から切り出した木は、そのまま使うと割れたり反ったりする。
だから、一旦こうして乾燥させる。
この光景が熟成ってことなのでしょうか?

宮内さん:あれは「乾燥」と言って「熟成」とは言わないですね。うちの場合はちょっと、もうひとつ隠し味があるんです。

隠し味?その熟成を見せてもらうため、30分ほど車で走り山の中へ。
案内されたのは・・・

宮内さん:池に丸太を浸けてるんです!木は一旦水に浸けてから乾かす!これが水中乾燥です!

水中乾燥?

宮内さん:1年間水に浸けることで、ここでゆっくり体を休めて強い木材になるために備える場所。

親方によると、1年間丸太を水に浸けることで、木の中の塵や埃を含んだ樹液が外に出て、代わりに水分がじっくりと均一に行き渡る。
そして1年後、池から引き上げた丸太を、天日干しして水分をゆっくり抜いてやると、ただ普通に乾燥させるよりも、丈夫で美しい木材になるんだとか。

水中に1年、天日干しは丸太のまま半年、角材にしてさらに半年。
熟成にかかる年月はトータル2年!
現在、木の乾燥は伐採したらすぐに高温の乾燥室に入れ、1.2週間で中の水分を抜く「高温人工乾燥」が主流なのですが・・・

宮内さん:人工乾燥は表面が割れてないだけで中が割れてるんです!

樹液が残ったままの急激な乾燥で、中心部に割れが生じるリスクが高くなる。
時間と手間はかかるけど、木にとっても家を建てるお客さんにとっても嬉しいのが、水中乾燥という木の熟成法なのです。

スタッフ:このやり方、親方が思いついたんですか?

宮内さん:元々山から切ってきた木を川をせきとめて、そこに切った木を貯めておいたんです。昔からやってはるんです!

川沿いに丸太がぷかぷか浮いている光景を見たことありませんか?
東京の木場や新木場という地名は、水中乾燥が盛んな場所だったから。
時間がかかって効率が悪いと、徐々に廃れていった水中乾燥を、現代に復活させたのが宮内さんなんです。
ちなみに熟成させた木で造られた家は通常より2割ほど値段ははるらしいのですが、見た目はもちろん、柱も丈夫なので、軽く100年は持つ木造住宅なのです。
そんな宮内建築は水中乾燥でがっちり!

▼スタジオでお聞きしました。

加藤:昔の家屋とか建造物って長くもつじゃないですか?理由があるんですね!

森永さん:熱をかけて乾燥させた方がスピードは早いんですよ。だけど先人の知恵で、例えば伊勢神宮の材木も水中貯木で造られているんです。だから何百年でも平気でもつんです。

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