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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2014年2月23日放送

特集

鉄業界ダントツNo.1「新日鐵住金」登場! 東京ドーム220個分!?超巨大な鉄作りの現場に潜入!

ゲスト

新日鐵住金株式会社 代表取締役社長兼COO 友野宏さん

番組内容

がっちりマンデー!今回のテーマは「鉄」!
一昨年、鉄業界で国内1位の新日本製鐵と3位の住友金属が合併して誕生した「新日鐵住金株式会社」!
そこで、国内製鉄メーカーぶっちぎり1位の内部に潜入!
儲かりのヒミツに迫ります!

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鉄はどうやって造るのか!?巨大製鉄所に潜入!

日本一の鉄造りを求めて、東京から高速バスに揺られること2時間、やって来たのは茨城県にある鹿島製鉄所。
出迎えてくださったのは、鹿島製鉄所 総務部 総務室の中野陽介さん。

スタッフ:先ほど、スゴイ挨拶をされていた方がいたんですが・・・

中野さん:製鉄所では「おはようございます」とか「お疲れ様でした」、そういった意味、全部ひっくるめて「ご安全に」という挨拶をしています。

実はコレ、鉄の本場であるドイツの製鉄業界の挨拶「Gluckauf(グリュックアウフ)」を訳したもの。
それでは早速、工場内へ。
移動はなんとマイクロバス! 
しかも構内を走り始めると・・・

スタッフ:うわっ!信号機あるじゃないですか!

さらに・・・

スタッフ:線路もありますよ!

なんと!線路に踏切まで!
なんだか工場というより1つの街といった雰囲気。
一体、どれくらいの広さなんでしょうか?

中野さん:面積で言うと1000万?くらい、東京ドーム220個分です!

煙突から右奥の風車まで全部製鉄所!
他にもガソリンスタンドや消防署まであるんです。
さて、いよいよ肝心の製造現場へ!
見渡せば街中に溢れ、私たちの生活には欠かせない「鉄」。
その鉄は一体どのように造られているのでしょうか?
製鉄部 製鉄原料工場長の今川健人さんにお聞きしました。

今川さん:鉄鉱石と石炭からできています。

煙突から右奥の風車まで全部製鉄所!
そう!鉄の主な材料は鉄鉱石と石炭。
ここ鹿島製鉄所には、オーストラリアやブラジルといった国々から、原料が山のように運ばれてくる。

スタッフ:あれって近づくこともできるんですか?

今川さん:できますよ、行きましょうか?

ならばと、鉄鉱石が積まれている近くに向かうと・・・

スタッフ:デカいですね!コレ全部鉄鉱石ですか?

今川さん:そうです!

ここには約100万トン、車にすると50万台分もが山盛りに!
これを大体1か月で使い切るっていうから、鉄づくりには大量の鉄鉱石が必要なんです!

この鉄鉱石を、ホイールローダーと呼ばれる大きなマシンでかき集め、高さ100mもある要塞の様な建物「高炉」に運ばれる!
製鉄部 製鉄工場長の才木康寛さんにお話を伺いました。

才木さん:鉄鉱石の中から鉄分を取り出して、溶かして液体状の物にする銑鉄を造るところです!その銑鉄を精製するのが高炉です!
  
つまり、鉄鉱石と石炭を混ぜて下から温める。
すると石炭が燃えた熱で鉄鉱石が溶けて鉄が出来るってワケ!

そして、良い鉄を作るためのポイントは、鉄鉱石と石炭を交互に入れていき、「ミルフィーユ状態」にすること!
しかし・・・

スタッフ:結局中で溶けちゃうんだったら、まとめてドバーッと入れても問題ないような気がするんですけど。

才木さん:恐らくまとめてドバーっと入れてしまうと、鉄を造るための熱風を下から入れることができなくなってしまいます。

適当に敷き詰めてしまうと、原料がうまく溶けないなんてことが起きてしまう。
そこで、交互に敷き詰めることで「石炭が燃える」「溶ける」「石炭が燃える」「溶ける」といった具合にうまくいく!
だから鉄鉱石と石炭を順々に敷き詰め、熱風を通りやすくすることが、良い鉄作りに必要ってわけなのです!
さて、そんな高炉の一番下では、とっても大事な作業をしているらしいのですが・・・

とてつもない火花が!

スタッフ:あの人大丈夫ですか?

才木さん:大丈夫です!訓練もされていますから!

高炉の底では、ある程度鉄が溶けるたびに穴を開けて、ドロドロの鉄を取り出してる。
耐熱服を着てる人は、スムーズに出てるかを接近してチェックしているのです!
その温度は、なんと!1500度!
実際に作業をしていた製鉄工場勤務の大和田清喜さんにお話を伺いました。

スタッフ:怖くないですか?

才木さん:甘く見たら大変なことになりますから、その辺はよくKYというのをして、作業をしていますから!

スタッフ:KYって何の略なんですか?

才木さん:危険予知ですね!

そう!この「KY」、世間一般の「空気読めない」とは違い、製鉄所では「危険予知」!
ところで、確かにスゴイ光景ですけど、そもそも何で高炉は高く作らないといけないんですか?

才木さん:実際に銑鉄を造るのに8時間かかるんですね。溶かすのに4時間かかって、その上で
4時間還元反応を起こさせます。

要するに高炉の中では、ただ溶けるだけじゃなく、色んな化学反応が起きている。
上から入れた材料が溶けて、底で一番いい感じの鉄になって取り出せる高さが100m位なんだとか。

だから世界中の製鉄所どこを見ても、高炉の高さはほとんど一緒なのです。
こうしてドロドロになった鉄は、巨大なラグビーボールのような入れ物「トーピードカー」で次なる工程へ移動!
製鋼部 第二製鋼工場長の熊倉誠治さんにお話をお聞きしました。

スタッフ:ここは何をする場所なんですか?

熊倉さん:出てきた銑鉄から不純物を取り除く工場です。

先ほど造った鉄は、まだ不純物が多い銑鉄と呼ばれるもの。
その不純物を取り除く場所が「転炉」。
不純物が混ざったままだと脆いので、転炉での不純物の除去はとっても重要なのです!
その作業を見せていただくと・・・

先程の鉄を巨大な鍋に入れて傾ける!
ここから始まるのが「脱硫」と呼ばれる行程。

スタッフ:掻き出してますね、ショベルカーみたいに。

熊倉さん:不純物が銑鉄よりも軽い性質を利用して、上に浮いた部分だけを掻き出しているんです。

スタッフ:鍋で灰汁をすくうみたいなもんですか?

熊倉さん:それに近い反応ですね。

ここではグツグツしている鉄の表面に浮き上がってくる硫黄を掻き出している!
実はこの作業、熟練の技術者が手動でコントロールしているんです。
すくいが甘いと硫黄を拾うのに時間がかかる、余計にすくうと無駄になる量が多くなるとあって、高度な技術が求められるのです。
溶解課 溶銑脱硫職場 オペレーターの郷田和彦さんにお話をお聞きしました。

郷田さん:初めての人間には言うんだけどタダでTVゲームできるっていうんだよ!

熊倉さん:郷田さんは今年でご定年で、この遠隔操作が始まる前からやってます。

こうして硫黄を取り除いたら、クレーンゲームの要領で別の釜へと運ぶ。

こちらの釜では巨大なストローのようなものを突っ込み一気に酸素を吹き込む!
速さは時速約4000km!
このあまりのスピードに、酸素に不純物がくっ付いて表面に上がってくる。
吹き込み加減が良い鉄を作る大事なポイントとらしい。
こうして純度の高い鉄になったら・・・

トコロテン式に押し出してコンニャク型に!
出てきたコンニャクを伸ばして伸ばして、最終的に4mmほどの薄い状態でグルグル巻きつけていく!

こうして、この工場で出来上がった鉄の薄板は主に自動車のボディに!
敷地内にある港ですぐさま船に積み込み、世界各国の自動車工場などへ出荷される。
まさに「鉄は熱いうちに打て」を地で行く新日鐵住金!
業界トップの座はまだまだ固そうです!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:日本の鉄は世界から見て相当いい鉄なんですか?

友野社長:相当どころか一番良いです!

加藤:何が違うんですか?

友野社長:まず一つは性能そのもの。全ての鋼はオーダーで造っています基本的に。それでひとつずつ成分が全部調整されています。だから鉄板は鉄板だっていうのは大間違いで、例えば自動車でもドアの鉄板とボンネットの鉄板、あるいはバンパーとか全部鋼の性能は変えてあります!

加藤:さらに言ったら、自動車メーカーによっても発注が全部違うんですか?

友野社長:違います!

加藤:へーー!車のボディってだいたい一緒かと思ってました!やっぱり、そこまでいい鉄を造るためには広大な敷地が必要なんですね!

新日鉄+住金でアレが変わる!

一昨年、合併してできた「新日鐵住金」!
新会社が出来たことで、鉄鋼業界だけでなく、私たちの身近なところに変化が表れるという!
それは一体??
旧住友金属で交通産機品事業部 製鋼所 上席主幹の四方田圭一さんと、旧新日本製鐵で八幡製鉄所 形鋼部 主幹の松下公一郎さんにお聞きしました。

四方田さん:世界の鉄道技術がレベルアップします!

松下さん:世界の鉄道技術がレベルアップします!

世界の鉄道技術がレベルアップってどういうことでしょうか?

四方田さん:今までオープンにしていなかった車輪の技術とレールの技術を、それぞれお互いが出し合って、一番損傷の少ないマッチングっていうものを選んで世界に売っていこうと!

実は旧新日鐵では100年以上前からレールを製造していて、その国内シェアは60%以上というレールのプロ!
一方の旧住友金属も100年以上前から列車の車輪を作り続け、なんと国内シェア100%という車輪のエキスパート!
そんな2社が合併したことで素晴らしい相乗効果が!
それは・・・

松下さん:レールを硬くするとレールは長持ちするけど、車輪は早く磨耗してしまう。逆に車輪を硬くするとレールの方が先に早く磨耗してしまう。

そう、車輪を強くするとレールが早く痛み、レールを強くすれば車輪が早く磨り減る!
一方が強ければもう片方に歪がくるという関係にあった。
これまでは、両社なかなかその解決の糸口が見い出せず、実に100年以上も問題は横たわっていたのです。
しかし、この2つを同じ会社が作るようになったことで、レールと車輪がそれぞれ、ほどほどってことが出来ちゃう!
では現在、車輪とレールを、それぞれどのように作っているのでしょうか?
まず車輪は、大阪にある旧住金の製鋼所で、原料となる長さ2m、直径45cmほどの円柱形の鉄を5〜6個に切り分けたものを・・・

四方田さん:9000トンプレスで座布団状にします。

9000トンプレスという大きな機械を使い、車輪の元となる鉄をプレス!
するとチーズケーキのような車輪の大枠が完成する。
形がついたところでさらにプレス!
すると・・・

一気にそれらしい形になってきた!
次の工程は、車輪を機械で起こし回転!

グルグル回しながら86cmピッタリに揃えてる。
実はこのホイールミルという機械、ここ大阪の製鋼所にしかない超レアもの!
なので、ここでしか車輪は造れない。
そして、この後、車輪作りで最も大事な工程が待っている!

四方田さん:860度に加熱した後、レールに当たる部分に水をかけて硬くします。

日本刀を加工する時の、打っては冷やし、打っては冷やしを繰り返し、金属を硬くする「焼き入れ」と同じ工程。

車輪がレールに当たる部分には、電車がブレーキをかけた時に一番力がかかる。
だから、そこをピンポイントで冷やして強くしているってワケ。
でも、それなら初めから全部強くしちゃえば、手間も省けていい気がしますが・・・

四方田さん:全体を硬くしてしまうとブレーキ熱に耐え切れなくなって割れてしまいます。真ん中の部分は軟らかいままにしておきます。

そう!部分部分で硬さを変えることにより、車輪の耐久性を生み出している!
一方、車輪を乗せるレールを造っているのは福岡県にある八幡製鉄所。
ここでは・・・

松下さん:断面が正方形に近いものを使ってレールを圧延していきます。

長さ10m程の鉄の棒を、圧延機という機械を行き来させ伸ばしながら形にしていく。

中に入れて出してを十数回繰り返す!
すると150m程の長い、真っ直ぐなレールが出来る。

だから工場もこんなに長い!
ところで、レール造りの一番のポイントは何でしょうか?

松下さん:新幹線用のレールですと、3mあたり0.3mmの曲がりがあるとそれは出荷できません!

そう!レールはとにかく真っ直ぐじゃなくちゃいけない!
高速で走る新幹線にとって、たった0.3mmのズレでも安全を脅かす。
だから、とにかく真っ直ぐなレール造りにこだわる!
でもカーブのレールも必要ですよね?

松下さん:カーブのレールは作っていません。我々は常に真っ直ぐのレールを作ってまして、それを鉄道会社の方で敷設する時に曲げて敷いているんです。

実はカーブのレールも、元は全部真っ直ぐなのです!

レールは上からの力には強く、横からの力には柔軟性が有り、結構曲げやすい。
だから、鉄道各社が路線に合わせて自分たちで調整してるってワケ。 
松下さんに、合併した今だからこそ言える車輪への思いを伺ってみました。

松下さん:今までは他社でしたので、技術の細かい話ができなかったんです。このレールにマッチした車輪があまりわからなかったんです。

車輪の四方田さんは?

四方田さん:自分たちはなんとか良い物を作ろうとしてきましたので、今後はお互いの技術を出してより良いものを作っていく!

車輪とレール、国内トップシェアの両者が一体となった新日鐵住金!
これからはより一層がっちりです!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:合併したことによって、レールと車輪の進化が一気にあがりましたね!

友野社長:そうですね!微妙なすり合わせの所がよりやりやすくなって、また特許ってありますよね、ですから例えば物を作るときに、お互い相互乗り入れで良いとこ取りもできますよね?

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