過去の放送内容
2013年3月17日放送
特集
台所でもお風呂でも大活躍!「花王」トップシークレットの研究室でスゴイことが…!
ゲスト
花王株式会社 代表取締役 社長執行役員 澤田道隆さん
番組内容
がっちりマンデー!今日のテーマは「花王」!
洗濯用洗剤の「アタック」に、シャンプーの「アジエンス」、入浴剤の「バブ」など、製品数2000種類でどれもメガヒット!年間売上げは1兆2000億円以上の日用品業界国内トップメーカー!でもラインナップをよく見てみると、おそうじ用具の「クイックルワイパー」やトクホ商品の「ヘルシア緑茶」など独特の商品もいろいろ。
一体何で、こんなにたくさん、しかも色んな儲かり商品が作れるのか!?
「花王」の知られざる「顔」をとことんお見せしちゃいます!
花王儲かりのヒミツ!タテヨコ組織とは!?
年間売上げ1兆2000億円以上のがっちり会社「花王」!
誕生は今から125年前の明治20年。日用品店を営んでいた創業者・長瀬富郎が、従来のモノより汚れがキレイに洗い流せる高品質の石けん、「顔」を洗う、「かお」を文字って「花王石鹸」を開発販売したのが始まりでした。
以来、身の回りのものを、キレイにしちゃう商品を次々と開発。今や洗剤にシャンプー、紙おむつに緑茶と製品数2000種類!って、何でそんなにたくさん、しかも色んなヒット商品が作れるのか!?どうも、花王の研究スタイルにヒミツがあるらしい。
というわけでやって来たのが、商品の研究開発を行っている「すみだ事業場」。
所長の前田さんに案内して頂きました。
早速、研究室へ…ってすごく広い!現れたのは、ワンフロア丸ごと研究室。ずーっと向こうの方まで白衣の人が!
前田さん:これが花王の研究室。タテヨコ組織なんです。
タテヨコ組織?どうも花王の儲かりのヒミツらしいのですが、タテとヨコってどういうこと?
前田さん:タテというのは商品開発に関わる研究をしてモノを作るところ。ヨコは(商品の)基盤の研究です。
普通、メーカーの研究所といえば、洗剤部門、化粧品部門、お風呂部門、という具合に商品ごとにわかれているもの。ところが花王の場合、それとは別に、香料、容器、繊維、といったような、素材ごとの研究チームがあるのです。
でも一体どうして?
前田さん:タテとヨコが交わることで1つの商品のノウハウが他の商品にも活かされるんです。
例えば、新しい「洗剤」を作るときには、洗剤部門の研究者のところに、界面活性剤のひと、容器のひと、香料の人が集まってくる!すると今度は、容器の人がそこで得た技術をシャンプーの開発で活かす、みたいな事ができるってわけ!
だから、ジャンル同士が交わりやすいように、花王の研究室は壁のない「大部屋」方式なのです。
さて、タテ軸の1つ、基礎化粧品の開発部門にやってきました。
清塚さんが研究しているのは、泡マッサージケア洗顔料の泡の出方。そして清塚さんの向かいでは化粧水担当の稲葉さんが研究をしていました。
スタッフ:お二人でやり取りはするんですか?
稲葉さん:はい、これはどうとか相談しながら、最大のパフォーマンスを出すために立ち話しながら調整しています。
なるほど、ジャンルごとにまとまっているから、うまく交わっています!
続いて、お隣の部門は…
仁木さん:大人用紙おむつのパンツタイプの総合生理研究をしております。
統合生理研究とは、商品の使い心地などを調べるヨコの部門。現在は、おむつの着け心地を調査中とのこと。
この部門のリーダー、仁木さん。とってもダンディな方なのですが…
仁木さん:製品に関してはまず自分で使うことから始めています。
スタッフ:じゃあ今も紙おむつを履いているってことですか?
仁木さん:はい、そうです。
スーツの下に紙おむつ。研究熱心な男の究極のダンディズムです!
そして別の部屋では、男性が、ズボンの上から紙おむつを片手で履いていました。体の動きを3次元で記録できるモーションキャプチャを使って、手が不自由なお年寄りが、片手で紙おむつを履く時の体の動きをいろんな角度からチェックすることで、どうすれば履きやすいおむつになるのかを日夜研究しているのです。
次にやってきたのは、花王の色んな商品に欠かせないヨコ軸の部門「香料」!
香りを作り続けて35年!調香師の澤村さんにお話しを伺いました。
研究室の壁一面には香料の原料がズラリ!
スタッフ:何種類ぐらいあるんですか?
澤村さん:約1000種類の香りの素材を使っています。
なんと1000種類!その素材を駆使して、澤村さんがつくった最近のヒット商品が「アジエンス」!2003年の発売以来ヒットを続けるドル箱シャンプー!
スタッフ:入っている香りの数はどれぐらいなんですか?
澤村さん:47種類です。
そんなに使っているの?とお思いでしょうが、香料は最低でも20種類以上の香りを組み合わせないと、深みのある香りにならないのですって!
では、アジエンスには、どんな香りが含まれているのでしょうか?
5種類のみならということで嗅がせてもらいました。レモン、花粉、梨などとってもいい香り。しかし、意外な香りも含まれていました。
澤村さん:動物系のオシッコのような匂いです。
スタッフ:オシッコですか?
澤村さん:はい、こういう香りを入れることで香りに艶めかしさが出るんです。
なるほど。アジエンスの奥深い香りには、猫のおしっこのニオイが欠かせない!香りの世界は奥が深い!
さて、タテヨコ組織で研究している花王では、まったく違うジャンルの商品の技術をヒントに、新商品が生まれるということが多い!
そのひとつが、「めぐりズム蒸気でホットアイマスク」!付けるだけで、目の回りをホッカホカに温めてくれる優れもの!
一体どの商品のノウハウから生まれたのか?開発を担当した鈴木さんに聞いてみました。
鈴木さん:フロッピーディスク + アタック + ハミング + メリーズでめぐりズムは誕生しました。
なんと4つの商品の技術が詰まっている!
では、どうやって、めぐりズムは誕生したのでしょうか。
今から13年前、蒸気で目元を温められる商品が作れないかと研究していた鈴木さん。当時、あっためる方法といえば、鉄の粉を使う「使い捨てカイロ」ぐらい。ここで鈴木さん、ひらめいた!「うちにも鉄の粉を使っている部署があったはず」。というわけで向かったのが…
鈴木さん:鉄の粉を均等に分散する技術を加工プロセス開発研究所に担ってもらいました。
そう、フロッピーディスクは、金属に鉄の粉をまぶしたもの。これを使えば、きっとあっためられる。そう閃いたのです。
…ところがここでまた新たな問題が。水分を含んだ紙の繊維に鉄粉が絡んで均一に塗れない。諦めかけていたそんなとき、またまたひらめいた!
鈴木さん:アタックに用いられている界面活性剤の技術を組み込ませました。
鈴木さんが思いついた方法は、まず、紙の繊維に絡んだ鉄粉をアタックの汚れを取り除く技術を利用して引き離し、次にハミングの技術をつかって、シート全体に鉄粉を均等に吸い着かせる事でした。そして最後に…
鈴木さん:目に直接当たる布の部分に関しては、メリーズのサニタリー研究所の不織布や通気性のシートの技術を転用しました。
こうして完成した「めぐりズム」。まさにタテヨコの結晶!
花王はタテとヨコでがっちりです!
花王儲かりのヒミツ!製造工場に潜入!
タテヨコ組織の花王で、なくてはならない部門がヨコである「生産技術」!
つまり工場などの、モノづくりの最前線。大ヒット商品が多い会社だけに、いかにたくさん、早く、きっちり作るかが大事。
そこで、アタックやアジエンスなどを生産している和歌山工場へ。工場長の森村さんに案内して頂きました。まず驚いたのは、とても広い工場!
スタッフ:広さはどれぐらいあるんですか?
森村さん:東京ドーム9個分です。
全国9カ所にある工場の中でも、和歌山工場は何から何までとにかくスケールが桁違い。だから作っている量もハンパない!
森村さん:年間8億個くらい生産しています。
24時間ほぼ休むことなく、毎日生産しているのとのこと!
そして、花王のパワフルなモノづくりを支えているもうひとつのヒミツが、工場の敷地の一番端の海沿いにありました。そこにはなんと長さ100mの巨大貨物船が!原料を海外から直接ド〜ンと搬入しているのです!
フィリピンやマレーシアにもある花王の工場で、高級アルコールやパーム油などをガンガン作って毎週運んできているのです。
スタッフ:どれぐらい運ばれてくるんですか?
森村さん:今日は1800トンくらいです。
運ばれてきた原料は、パイプを伝って、港のすぐ隣にある花王の工場へ直行。原料の調達から生産、流通まで全部自分でやるのが花王流!その方が、品質も安定して、原料のコストも下げられるのだとか。
そこで、和歌山工場とは打って変わって雪が降る中、次にやってきたのは山形県酒田市にある、酒田工場!案内して頂いたのは工場長の谷本さん。
ここは何ですか?
谷本さん:ここは入浴剤のバブを作っている工場です。
バブといえば、シュワシュワっと泡が出る入浴剤!今年、発売から30年を迎えるロングセラー商品!
まず見せてもらったのは、バブの原料となる粉を混ぜている機械。バブのカタチになる前はまだ粉末状です。
これをどうやって固めているのか?製造ラインへ向かうと、出ました。バブの製造マシン!「打錠機」!
一体どうやっているのかというと、上下のピストンで、粉末状のバブを4トンの力で一気に圧縮させて固めるとのこと。
しかも回転させる事で、機械を止めて戻すという作業も省ける!結果、回転速度を上げれば、その分、生産スピードもアップし、結果たくさん作れるのです!
たくさんつくってたくさん儲ける。
こりゃ、まだまだスピード上げちゃいそうですね!澤田社長!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤:花王にライバルっているんですか?
澤田社長:ライバルは自分自身です。もちろん競合企業も気になります。しかし、競争の中だと、ついつい消費者の視点に立つことを忘れがちになるので、基本であるそこを一番大事にしています。
加藤:かっこいいですね!僕もいつか言ってみたいです(笑)。