過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2013年1月20日放送

特集

ノーベル賞続々「京都大学」へ!変身カメラから走るロボットまで!マル秘研究が

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、吹石一恵さん

番組内容

がっちりマンデー!今日のテーマは「京都大学」。
京都大学と言えば、去年、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授がいる大学!
理系での日本人ノーベル賞受賞者16人を卒業大学別に見てみると、なんと京都大学が5人でトップ。それだけ独自のすごい研究をやっている人が多いのです。
ということはきっと「儲かる」研究もいろいろやっているはず!!
京の都で生まれる儲かりそうな最先端を、ど〜んとお見せしちゃいます!

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驚異のパワー!「フェムト秒レーザー」でがっちり!

まず、お邪魔したのは工学部系の研究所が集まる桂キャンパス
出迎えて頂いたのは、京都大学・大学院工学科の平尾一之教授。実はこの方、去年ある研究で紫綬褒章を受賞した偉い先生!一体何の研究をされているのですか?

平尾教授:物の加工をしたり合成したりするのにレーザーを使う研究をしています。

そう平尾教授はレーザー加工の第一人者。レーザーとは、普通だとあちこちに広がっちゃう光をギューッと一方向だけに集めてパワーアップしたもののこと。その中でも平尾教授はすごいレーザーを使うのだとか。さっそく研究室で見せて頂くことに。
平尾教授が扱うレーザー、その名は「フェムト秒レーザー」!

このレーザー、どんなものかというと、普通レーザー光線はビーッと出続けるものなのですが、このフェムト秒レーザーは鏡で光をフタすることでギューと溜め込み、一瞬だけ発射!これを何度も繰り返す!

この一瞬の長さが、1フェムト秒、0.000000000000001秒…えっと1000兆分の1だからフェムト秒レーザーというのです。
そして、このレーザーは、光を溜め込んだ分、そのパワーがグンとアップ!だから、いろんなことができる!例えば、手術などでも使われている「レーザーカッター」。普通は、その熱でまわりの細胞がちょっとだけ焼けてしまうのですが、フェムト秒レーザーなら一瞬だから、まわりがほとんど焦げない!しかもパワフルだから、きれいに切り取れる!

アメリカではレーシック手術を行う際に使われているそうです。これは期待できそう。
さらに、レーザーは光なので、光を通す物なら内部の加工ができちゃう!
例えばガラス。驚異のパワーを持つフェムト秒レーザーを、レンズを使って1点に集中させると衝撃波でガラスの構造が変化する。ガラスのキューブ内に自由に画を描くこともできちゃう!

そして、この技術でスゴイことが可能になった。平尾教授と一緒に研究している三浦教授によると…

三浦教授:光メモリーといった感じで、ガラスの内部に三次元的に層状に記録情報を入れることができます。

ガラスに細かくデータを刻み込みそれを顕微鏡で読み取るという技術を開発。縦横2センチ、厚さ2ミリの小さなガラスに、なんと!ブルーレイディスク10枚分250ギガの情報が入っちゃう!

しかも、金属の表面を加工しているブルーレイやDVDはもって100年なのですが、この技術は頑丈な石英ガラスの、さらに内部を加工しているので3億年以上も保存が可能とのこと。後世に残したい公文書などの長期保存技術としても期待されているのです!

人を変身させちゃうカメラでがっちり!

続いてスタッフが向かったのは、広いキャンパスの南のほうにある「学術情報メディアセンター」。ここではどんなすごい研究をしているのか。学生さんたちに尋ねてみると…

スタッフ:何の研究をやっているんですか?
加茂田さん:冷蔵庫の中身を自動で管理して、スマートフォンで冷蔵庫の中身がわかるようにする研究をしています。
薗頭さん:写真を撮影するときに、カメラや人が動いても写真がブレないカメラを研究しています。

そう、こちらの研究室は、コンピューターで画像情報を処理するのが専門。学生さんたち、自由にいろんなことをやっているみたいです。
そして、研究室の一番奥に、お目当ての教授がいました。工学部で情報学を専門としている、美濃導彦教授です。

スタッフ:教授は何を研究してるんですか?
美濃教授:変身カメラです。人がカメラに映ると変身するというようなカメラです。

人が変身?一体どんなカメラなのか、実際に見せてもらうことに。教授とやってきたのは、構内の廊下。そこを歩いている人の様子が廊下の隅にある小さなカメラで映されています。
すると…画面上の人が青い棒になりました。確かに変身しています!
実は美濃教授がやっている研究は、カメラに映った人を、瞬時にCGに置き変えるという研究。
まず、画像の中で人間の姿を判別します。

次に人の部分だけを、背景の画で塗りつぶします。

最後にそこをCGと置き換えるのです。

確かにすごいですが、これはどんな役に立つのでしょうか?

美濃教授:世の中には、街にいっぱい監視カメラがついています。でも、その監視カメラの映像は全然活用されていない。それを有効活用できます。

そう、美濃さんが考えたのは、今、世界中でどんどん増えている防犯カメラの有効活用。せっかく撮っているのに、ほとんど誰も観ることがない。一般に公開すれば、いろんな使い道がありそうだけど、そうすると今度は、プライバシーの問題が出てきます。
そこで美濃教授は、人をCGに変えることで、プライバシー保護に役立つ研究を始めたのです。教授いわく、この技術が実用化すれば、観光地やお店の防犯カメラを使って、込み具合などの情報を、ネットでチェックすることもできるのだとか。

美濃教授:この情報がもとで観光客があちこちに分散されて、京都をもっと楽しんでもらうことにも役立つんです。

変身カメラで京都観光も、スムーズに変身するかも、ですね!

"かっちょいい"二足歩行ロボットでがっちり!

続いて訪ねたのは、吉田キャンパスにある建物。案内の看板には「京大ベンチャーズ」の文字が。
そう、ここは京都大学内にある「会社」。起業をしたい学生や先生に大学が場所を提供し、いろんなアドバイスもしてくれるのです。高橋さんも学生時代に会社を起こした一人。一体何の会社なのですか?

高橋さん:ロボットを作っています。

実はこの方、みなさんもよくご存知のロボットを作った人なのです!
乾電池エボルタのCMで、背負った電池の動力でグランドキャニオンを登ったり、東海道500kmを走破したりするロボットを見たことありませんか?あのロボットを作ったのが高橋さんなのです!この人、ロボット業界で「天才」の名をほしいままにする有名人。
2004年に作った「クロイノ」はアメリカ・タイム紙で「最もクールなロボット」として紹介され、世界で称賛されたほど。

そんな高橋さんの秘密のロボット製作現場を見せて頂くことに!さぞかし、ハイテクな機械で大掛かりに…あれっ?工場はない?しかも作業は1人!?

なんと高橋さんは、ロボットの設計も、製造も、ぜんぶ1人でこなすのです。そして、ロボットの作り方も、かなり独特。

高橋さん:設計図がないので、スケッチでデザインしてます。

図面は書かず、すべて頭の中。そのほうがいいものができるのだとか。

高橋さん:設計図があると普通のデザインになってしまったり、しょうもないデザインになってしまうんです。自分でいじりながら作っていった方が"かっちょいい"デザインになるんです。

で、現在は最新ロボットの製作中。掃除機で削りカスを吸い取るなど、すいぶん手作り。でも、その実績は折り紙つき。高橋さんの技を世界が認める大きなきっかけになったのは、ロボット業界が長年苦労してきた「ひざを伸ばした二足歩行」に世界で初めて成功したというものでした。

この二足歩行とにかくロボットにとってはかなりの難関。これまで、何が難しかったのかというと、ロボットが足を踏み出した際、その足が地面に届かないため、軸足を曲げないといけなかった。そのため、これまでのロボットはみんな中腰のような格好でした。そこで高橋さんが思いついたのが「股関節を外側に、足首の関節を内側にずらす!」

たったこれだけで重心が乗った方の腰が下がって、軸足を曲げなくても、踏み出した足が地面に届く。まさにコロンブスの卵!
その後も二足歩行に改良を加え、2006年には、世界初の女性型二足歩行ロボット「FT」を開発!なんとモデルウォークをしちゃいます。

さらに、2008年製作の「ROPID」は…どっこいしょ!と2本の足で立ち上がったり、走ったりすることもできちゃう!ちなみに制作費は数百万円もかかったとか…。

高橋さん:どうやって食うてるって聞かれるんですけど、企業と一緒にやるときに開発の受託をしたり、商品になったときに1個売れたらチャリーン(売上の一部をもらえる)てこともあります。

現在、製作中の最新ロボはなんとあのJAXAの協力を得て、宇宙にお出かけする予定なのだとか!

驚異の頑丈さ!「セルロースナノファイバー」でがっちり!

続いてお邪魔したのは自然科学やエネルギー系の研究施設が集まる宇治キャンパス。
こちらの矢野教授はなにやら夢の研究をしているとうかがったのですが。

矢野教授:私は「セルロースナノファイバー」という材料を開発しました。

教授が生み出した夢の物体の名前は「セルロースナノファイバー」。見た目は黄色い板ですが、スゴイ可能性を秘めている最先端の物質なのです。これ、とっても強くて頑丈!引っ張っても、叩いても、どうにもならない。さらに驚きなのは、その材料!

矢野教授:実はこれ、植物でできているんです。植物の細胞は、非常に細いナノの繊維であるセルロースが5割を占めています。これは鋼鉄の7〜8倍強いと言われています。

そう、材料は「植物」。植物を形作る繊維「セルロースナノファイバー」はとっても小さいのですが、その強度は、鋼鉄の7倍から8倍。矢野教授は、この強いセルロースナノファイバーだけを集めて、やたら頑丈で、しかも軽いという夢の物体を作っているのです!

その作り方は…
まず、パルプという、木材を高温の釜で茹でてセルロース以外の成分を取り除いたものの、0.5%濃度の水溶液を作ります。

次にグラインダーという機械を使います。これは、例えるならば巨大な臼。パルプの水溶液を入れれば中に入った巨大な砥石がセルロースを細胞レベルですり潰して繊維をほぐします!

後はゆっくり乾かせば出来上がり!意外にシンプルなのですね。
このセルロースナノファイバーは、熱に強いという特徴もあり、一番活躍が期待されるのは、車のボディ。強くて軽いため、車の燃費が20%も節約できる可能性もあるのだとか。
さらにもうひとつ凄い特徴があります。

矢野教授:このシート、透明になるんです。

そう、セルロースナノファイバーは液体に浸すと透明になる!
強くて、軽くて、しかも透明。この特徴を生かして、今その用途として期待されるのがモニターの素材。
透明のセルロース・シートの表面に有機ELという発光物質を塗ることで、超薄型で、しかも強いディスプレイができる予定だそうです!

実用化、期待しています!!

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