過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2010年10月24日放送

特集

ホクト株式会社

ゲスト

ホクト(株) 水野雅義 代表取締役社長

番組内容

がっちりマンデー、今日のテーマは「ホクト株式会社」!
「ホクト株式会社」は、長野県が誇るキノコNo.1カンパニー!
ブナシメジのシェア30%は日本一、エリンギのシェア40%も日本一で、年間売上486億円を誇っています!さらに、きのこメーカーとして東証一部に上場している企業は「ホクト」だけ。
今日は、きのこ業界No.1「ホクト」儲かりのヒミツに迫ります!

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「ホクト」のきのこ工場に潜入!

長野県長野市の善光寺平にキノコ王国「ホクト」の本社はあります。
早速本社に伺い、昨今のきのこ業界について専務の小松さんにお話を聞いてみました!

小松さん:順調に右肩上がりで伸びていますよ!

そう!不況のあおりを受けて、パッとしない食品業界のなかで、「ホクト」のきのこはグングン右肩上がりで成長!
その理由は、一年中手に入り、なおかつ野菜と違って値段の変化がほとんどないから!
そして、小売店も売りやすいというきのこは、まさに儲かる食材なのです!

そんな"きのこ作り"の儲かりのヒミツがある!ということで、本社から車で10分のところにある「赤沼きのこセンター」に伺ってみました。
実は「ホクト」のきのこは全て工場で作っているんです!
そこで、今回は所長の西澤さんにエリンギを通してきのこの作り方を教えていただきました!
実はエリンギの人工栽培はとっても難しく、大量生産に成功し、販売にこぎつけたのは「ホクト」が世界初!
まず西澤さんに案内していただいたのが…

こちら!
なにやら牛乳ビンのようなものがたくさん並んでいます。
この容器1つ1つがきのこを育てる植木鉢のようなものなんだとか!
牛乳ビンのようにちょっと縦長の形をしている理由は、限られたスペースでより多くのきのこを栽培するため!きのこの根となる菌糸を、横に広げるのではなく、縦に密集させるために17cmという長さが必要なんです!

この容器に土を詰めていくのですが、入れているのはただの土ではありません!
というのも…

西澤さん:きのこは自分で栄養を作り出すことが出来ません。

そう!きのこは「菌類」。野菜と違って自分で光合成をして養分を作り出すことができません。
だから、トウモロコシの芯や米ぬか、ふすまなどを配合した培地で、タンパク質・糖質・ミネラルなどの養分をきのこに与える必要があるんです。

そして、このように穴を開けるまでが第1段階。
次は、この穴に種菌を入れます。野菜で言うと"種まき"の工程です。
早速、種菌を植える作業を見せていただこうとしたところ…なんと取材NG!
その理由はというと…

西澤さん:ちょっとの雑菌が入っただけでも全てダメになってしまう場合があるんです!限られた人しか入ることの出来ないエリアになっています!

そう!きのこ作り最大の敵、それは「雑菌」!
きのこ自体が菌なので雑菌は成長に悪影響を及ぼしてしまうんです。
そのため無人の状態で、機械で種菌を植えていきます!

続いては「培養」という工程をみせてもらうことに!
しかし…

建物の中がしーんと静まり返っていますが…

西澤さん:人数が多いと、雑菌が入り込むことがありますので。

雑菌が大敵のきのこ工場は、人の出入りは極力抑えています。
そのため、可能な限り機械で作業を行っているのです。

そして、こちらがきのこの「培養室」!きのこの素となる菌糸を育てる部屋です。
薄暗く大きな部屋に、種菌を植えたビンが大量に並んでいます!
培養室は全部で14部屋、ビンの総数はなんと18万本も!
そして、この部屋にきのこを人工栽培するための大きなヒミツが!

西澤さん:培養室の温度は23℃に設定されています!夏の環境にすることで、きのこが勘違いしてスクスク育つんです!

エリンギ人工栽培のカギになるのが温度!
ちょっと低い気もしますが、この23℃こそ「夏の森の中」の環境なんだとか。
ここで、3週間以上熟成。すると、そろそろきのこが成長!と思いきや…

きのこは全然生えてきていません!!

西澤さん:この白くなっている全てがエリンギの菌糸になります。

そう、この段階ではまだきのこは生えてきません!
ここでは、きのこになるための「菌糸」をいっぱいにするのです!

そして今度こそ、きのこを育てる「生育」という工程へ!

西澤さん:この部屋の温度はだいたい17℃です!「秋の森の中」をイメージしていただくと良いかもしれません。

きのこが生えてくるのは「秋」!
きのこ作りのもう1つのポイントは、生育室では22℃から17℃に変え、「秋」を演出するということ!湿度や風の強さをコントロールして、きのこに秋だと勘違いさせるのです。
勘違いしたエリンギたちはこの部屋で2週間、種菌の状態からトータル40日ほどで、大きさ・形の揃ったエリンギに育つのです!

ところで、きのこ工場では「人」の活躍の場はないのでしょうか?
毎日きのこを見ているという栽培技術センターの大利さんに、機械では出来ないことについてお話を伺ってみました。

大利さん:恋愛初期の彼女との駆け引きじゃないですけど、可愛がりすぎるときのこの成長が良くなかったりするので、必要なストレスを与えるんです!

そう!自然界と同じように、時には温度を上げたり下げたり、時には風を強くしたりして、適度なストレスを与える必要があるんです!

大利さん:刺激を与えるときのこが発生する。という適正な環境を作るのが仕事ですね!

こうして作られるきのこの年間生産量は、およそ6万6000トン!
他の追随を許さないぶっちぎりのトップ!
「ホクト」儲かりのヒミツは、徹底した管理での人工栽培にありました!

▼スタジオでは成長過程のエリンギを見せていただきました。

進藤:左から8日目、10日目、12日目、14日目のものですね。
水野社長:伸び始めたらあっという間にできちゃうんですよ!

ホクトのきのこを生み出した「きのこ研究所」に潜入!

ホクトにとって工場と同じくらい、またはそれ以上に大事な施設が「きのこ総合研究所」!
どのくらい重要なところなのか?所長の下平さんにお話を伺ってみました。

下平さん:ここが地震災害にでもあった時には、もう会社は終わりですね!

この研究所がなくなったら「ホクト」存続に関わる!
その理由は、ここにきのこの命である「種菌」があるから!
野菜でいう種にあたる「種菌」ですが、「ホクト」が美味しいきのこを作ることができるのは、良い「種菌」を持っているからなんです!
この種菌作りから、商品、さらには品種改良まで、全部自分たちで手がけているため「ホクト」は日本一のきのこカンパニーでいられるのです!

そして、「ホクト」にはスゴ〜イ人がいるんだそうです!

こちらが、日本のきのこ界の第一人者!人呼んで「きのこ博士」の稲富開発研究室長!
この研究室は、日本の食文化を変えた新品種を次々に生み出しているのです!

1986年には、世界初となる変色しない純白のエノキタケ「ホクトM−50」を開発!
光が当たるとすぐに茶色くなっていたエノキを、白いままで食べられるようになったのは稲富さんのおかげ!
そして、1992年にはヨーロッパや中央アジアにしか生えていなかった「エリンギ」の日本初の人工栽培に成功!エリンギをお手ごろ価格で味わえるのも稲富さんのおかげ!

さらに2002年には、ブナシメジよりも旨味が強い、純白の「ブナピー」を開発!
普段何気なく口にしているきのこは、稲富さんたちの努力の結晶だったのです!

そして、新品種作りに勝るとも劣らぬ大事なお仕事が、「同じ品種のマイナーチェンジ」!
お話を伺ってみると…
「実は2、3年前のマイタケと、今のマイタケとでは違う品種になっています。」

同じマイタケとして売られていても、品種が微妙に違うって一体どういうことなのでしょうか?

稲富さん:種菌も使っていくうちに、人間と同じように老化していくと言われています。

きのこは野菜と違い、1つの種菌を何度も細胞分裂させて作っていきます。
同じ種菌を何年も使い、種菌の元気がなくなってくると、成長が悪くなりおいしさが損なわれてしまうんです。
そこで必要となるのが種菌の改良!
今現在「ホクト」で使っている種菌に、若いきのこの菌を交配し、新しく元気な種菌を作らなければいけないのですが…

稲富さん:山に行って、菌を採ってきて新しい品種を作り出していきます!

そう!新しいきのこ菌を探すには、山に野生のきのこを探しに行くしかないんです。
そこで稲富さんたちは、新たなきのこ菌を求めて、毎月全国あちこちの山を歩き回っているのです。

今回はその「きのこ菌探し」に同行させていただきました!
向ったのは新潟県と長野県の県境付近の険しい山林。山に入るのは、稲富さんをはじめとする4名の研究員の方々。山に入る前、室長代理の大内さんを見てみると…

スタッフ:その鈴はなんですか?
大内さん:これは熊よけの鈴です!

なんと熊よけの鈴が!きのこは熊が出るようなキケンな場所にこそ生えているのです!

稲富さんの今日のお目当ては「マイタケ」。一体どこに生えているのでしょうか?

稲富さん:全然わからないですよ!勘で探しに行くだけです!

お目当てのきのこが見つけられるかどうかは全くの時の運!
なかでも天然のマイタケは、砂漠でダイヤモンドを見つけるようなもの。
ありそうな場所に行っても、本当にあるかどうかはわからないんだとか!

普段、人が入って行かないような道なき道を分け入らないと、お宝きのこは見つからない!
マイタケがありそうなポイントは人が近づきづらい大木の根元なのですが、狙いはわかっていてもなかなか辿り着けません…。
それでも、なんとか狙いをつけたブナの大木に辿り着くと…

狙いとは違いますが、ブナシメジを発見!
自然環境を守るため、必要最小限だけ採って、あとは残しておきます。
しかし、狙いはやはりマイタケ!さらに山奥を探索することに!
そして、標高は1000mを越え、登りに登って、やっと一本の巨木のもとに到着!
果たして、お目当てのマイタケは…

ありました!まだ小さい芽のマイタケ!
たとえ小さくても、奇跡的にマイタケを発見しました!

稲富さん:なるべくゴミがつかないように、そっと採ります!

大切にマイタケを保管したところで下山開始!登りも大変ですが、下りも容易じゃない!
そんななか、稲富さんたちは下山途中にも、ヌメリスギタケをはじめとする様々なきのこを発見していました!
稲富さんたちはいつもこんな所にきているのでしょうか?

稲富さん:こういうところじゃないとないんですよね、マイタケは特に!

この日、稲富さんたちはマイタケを含め4種類のきのこをゲット!
全く採れない日もあるというので大収穫です!

苦労して手に入れた新しいマイタケは、研究員の衣笠さんに渡され、いよいよ新しい菌をとる作業へ!
まず、組織のごく一部を切り取ります。

切り取ったきのこの菌糸を培養し、1週間経つとこのような感じに!
育てながら特徴を分析し、成長が良くいざ使えるとなったら、古い種菌と交配し、"種菌の世代交代"を行うのです!
気の遠くなるような作業の末、生まれ変わる「ホクト」のきのこ。
例えばマイタケの場合…

2003年、「MY95」から「NT100」にチェンジ!カサがちょっとだけ肉厚になっています。さらに2008年には、カサの裏がちょっと白くなったグリフォン120に!

最後にどうしても気になる「マツタケの人工栽培」について稲富さんにお話を伺ってみました。

稲富さん:マツタケはまだまだ難しいきのこで、きのこの形にならないという状況です。

マツタケは、長年研究しても、菌は増えるが、うまくきのこの形にならないんだとか!
でも、きっと近い将来、安くておいしいマツタケが私達の食卓に届いてますよねぇ〜社長!

▼スタジオでも水野社長にお話を伺いました。
水野社長:マツタケの研究はしてますね!今後出てくる可能性はありますよ。可能性はゼロじゃないです!きのこはなかなか思うようにいかないんですが、それがまたきのこのおもしろい所なんですよね!

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