過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2010年8月15日放送

特集

ひんやり冷たい「冷却ビジネス」

ゲスト

野沢直子さん・森永卓郎さん(経済アナリスト)

番組内容

がっちりマンデー、今日のテーマは暑い夏にピッタリ!「ひんやり冷たい冷却ビジネス」!
今、冷たくひやして儲かるビジネスがアツイんです!
今日は、アナタをまだ体験したことのない"マイナスの世界"に誘います!

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儲かる冷却ビジネス1
国内冷却No.1!前川製作所の「パスカルエア」!

まず番組スタッフが訪れたのは静岡県焼津市。出迎えてくれたのは、「前川製作所」営業担当の大島さん!では、「前川製作所」とは一体どのような会社なのでしょうか?

大島さん:産業用の冷却装置を作っている国内No.1メーカーです!!

そう!「前川製作所」は、一般の人にはあまり知られていませんが、日本の"冷やし"をリードする国内No.1冷却メーカーなのです!港の近くにある巨大な冷凍倉庫の約6割を「前川製作所」の冷凍装置が冷やしています!

他にも、日本中のスケートリンクを凍らせる装置も「前川製作所」!原子力発電所で使う核燃料を冷やすのも「前川製作所」!とにかくあるとあらゆるモノをきっちり冷やして、凍らせてがっちり儲けちゃってます!

そんな"冷やし"のプロ、今イチオシの冷凍装置を大島さんが案内してくれました!

大島さん:緑のシートの奥にマイナス60℃の世界が待っています!

家庭用の冷凍庫はおよそマイナス18℃、一般的な冷凍用の倉庫でもマイナス25℃!果たして、前川が誇るマイナス60℃の冷凍庫とは!?
実際に入らせてもらうと…

そして、この倉庫に使われているのが…

前川製作所が誇る最新冷凍装置「パスカルエア」!
いわゆる普通の冷凍庫は、室内と室外をつなぐパイプのような物があり、その中を「冷媒」という物質がグルグル回っています。この「冷媒」が庫内の熱を吸い込み、外に運んで出すという働きをして、冷凍庫の中を冷やしているんです。
この「冷媒」として使われているのが、一時話題になった「フロンガス」。

ところが、最新冷凍庫「パスカルエア」は仕組みが全然違うんだとか!
一体どのように違うのでしょうか?

大島さん:普通だったら、フロンガスを使って冷蔵しているんですが、これは空気で冷やします!

本当はかなり複雑なのですが、なるべく簡単に説明すると…

この冷凍庫、横についている冷却装置が「冷媒」ではなく、空気を直接吸い込む!
そして、その空気を特殊な装置でギューッと押しつぶします。
気体は押しつぶすと温度が上がり、引き伸ばすと温度が下がるという性質があるので、ギューっと押しつぶした状態の空気を冷水装置を通して温度を下げ、その後、元どおりに引き伸ばすと、元の空気より温度が低い状態になります!そして、その元の空気よりも冷たくなった空気を冷凍庫の中に戻せば、どんどん冷却が進むという仕組みです!
ところで、空気を冷やすと何がスゴイのでしょうか?

大島さん:マイナス100℃まで冷やせるんです!

そう、この「パスカルエア」、フロンガスではできなかったマイナス100℃の世界を、どこにでもある空気で可能しちゃったんです!
しかも、フロンガスを使っていないので、冷凍庫の悩みのタネだった「霜」が付かなくなり、何より地球温暖化の原因もなくせちゃう!
これはちょっとスゴすぎです!!

儲かる冷却ビジネス2
防災会社が冷やす!「ドライミスト」!

続いてやってきたのは、東京都千代田区にある「能美防災」。
防災…?一見、「冷やす」ということと関係ないような…。
そこで、能美防災環境システム事業部の三浦さんに伺ってみると…

三浦さん:実は冷やしてるんですよ!!

防災の会社で一体何を冷やしているのでしょう?
三浦さんに案内してもらいました!

三浦さん:コレです!

こちら、「ドライミスト」と呼ばれる冷却装置!これが今大人気なんです!
2005年の販売開始以来、順調に売り上げを伸ばし、すでに全国50ヶ所以上の駅や公園に設置されています。人気のヒミツは、何と言っても「屋外を効率よく冷やせる」ということ!これまでも、屋外型の冷却装置はあったものの、冷やせるエリアが狭く、何より電気代がかかっちゃってました。

ところが、この「ドライミスト」は、水をシューっと噴き出し、打ち水と同じ効果で冷やしているので、仕組みも簡単!実にエアコンの20分の1のエネルギーで、周辺の気温を2〜3℃下げくれます!
しかし、なぜ防災設備メーカーの「能美防災」が冷却装置を作ったのでしょうか?

三浦さん:これだけ小さな水の粒で、こういった量を出す技術というのは、防災設備のスプリンクラーの技術を応用して作り上げたものなんです!

そう!「ドライミスト」は、防災用のスプリンクラー技術を応用したもの。
スプリンクラーの特徴といえば、天井から一気に水を噴き出す高圧ポンプ!

「ドリミスト」は、このポンプを使って、スプリンクラーよりずっと小さな0.1mmの穴から、ギュッギュ〜っと水が押し出される仕組み。
すると、水があり得ないほど小さな粒となって空中に噴き出し、あまりに小さいためすぐに蒸発!
このときに、空気中の熱を奪い取るので、ひんやり冷却できちゃうというわけ!
他にも、この「ドライミスト」には、あるメリットがあるんだとか!

三浦さん:女性が化粧崩れ・化粧落ちを感じないということです!

同じ霧状の水でも、ノズルの穴が大きければ、水滴でお肌がビショビショになってお化粧がとれちゃいます…。
しかし、「ドライミスト」なら、噴射後すぐに蒸発するため、水滴はいっさい顔や服につきません!
屋外なのにコストも安く、女性にも優しい猛暑の一服の清涼剤!
これは、ますます儲かっちゃいますね〜!!

儲かる冷却ビジネス3
空気のプロが冷やす!「液体窒素」!

続いて訪れたのは、"究極の冷凍方法"を編み出してガッチリな会社「太陽日酸株式会社」!
こちらの儲かり冷却商品が…

「液体窒素」!!
このようにバラの花がカチンコチンに!
しかも、バラを凍らせるのにかかる時間は、たったの30秒!
もちろん、手で触るとバラバラになっちゃいます!

太陽日酸ガス事業本部の澁谷さんにお話を伺いました。

澁谷さん:液体自体はマイナス196℃です!危険ですから触れないでください!

そう!液体窒素の温度はマイナス196℃!
しかし、なぜ196℃という中途半端な温度なんでしょうか?

澁谷さん:マイナス196℃は窒素の「沸点」なんです!「沸点」というのは液体が気体に変わる温度です。

水は100℃で液体から気体になるように、窒素は、冷やして冷やしてマイナス196℃になると、液体になるのです!液体になった窒素はものすごく冷たいので、金属を作るときの熱処理や、動物のDNAの凍結、身近なところでは人間の足の裏のイボ取りまで、ありとあらゆる冷却の現場で大活躍!

なかでも、今冷却業界で引っ張りだこの液体窒素があるということで見せてもらうことに!
すると…

石みたいにカチンコチンになったモノを発見!
実はコレ、冷凍食品の「タコの唐揚げ」なんです!
唐揚げの粉をまぶしたタコに、液体窒素をシャワーみたいにかけちゃう!
すると、あっという間にカチンコチンの冷凍タコの出来上がり!

この冷却システムこそ、太陽日酸が開発した「マジックフリーズ」!
空気中の窒素を使っているだけなので、体への影響もなく、みずみずしさを残したまま冷凍できるのが最大のウリ。
この「マジックフリーズ」のおかげで、太陽日酸の液体窒素はバカ売れ!
その効果は、年間8億円増!
「太陽日酸」はマイナス196℃で"がっちり"なんです!

儲かる冷却ビジネスその4
井村屋製菓の「あずきバー」!固さのヒミツ!

続いては、お口の中がキーン!ご存知、井村屋「あずきバー」!

人気のヒミツは、井村屋製菓商品開発の加藤さんも認めるアイスの"固さ"!
そう、「あずきバー」人気のヒミツは、このアイスの固さを生み出す冷凍技術にあったのです!
そこで、加藤さんに「あずきバー」の生産ラインを見せてもらうことに!

こちらのマイナス35℃に冷やした金型の中で煮立てた「あずき」を凍らせます!
しかし、これが実に難しいんだとか。
おいしさを逃がさないコツは、出来立ての「あずき」を凍らせること!
しかし、これまでは、金型を冷却液の入った水槽につける方式で冷やしていたため、温かい「あずき」のせいで冷却液がぬるくなってしまっていました。
すると、凍らせるのが遅れて味が落ちてしまう…。
そこで井村屋は冷却法を変えたのです!

加藤さん:この中が大きな水槽のようになっていまして、そこにマイナス35℃くらいの液体がシャワーのように飛び出すようになっています!

井村屋が採用したのが「シャワー式冷却」!
これは、金型を水槽につけるのではなく、冷却液をシャワー状に当てるというもの。
このちょっとしたアイデアで、12分かかっていた冷凍時間を7分に短縮!
「あずきバー」って意外にも最新なんですね〜?

加藤さん:味は伝統を守りつつも、機械は最新でやっております!

なんと井村屋さん、冷やし方を「シャワー冷却法」に変えた2006年から「あずきバー」の売り上げがグングン右肩上がり!
いまや、夏のアイスバー市場において、6年連続ダントツNo.1を誇るまでに!
まさに儲かる冷やし方!
井村屋製菓は「あずきバー」で"がっちり"なんです!

儲かる冷却ビジネスその5
超高熱を冷やす「冷凍鋳型」!

続いて伺ったのは、大阪府にある「三共合金鋳造所」!
出迎えてくれたのは専務の松元さん。
鋳造所ということは、作っているのは金属ですよね?
鉄を冷やしたりしているのでしょうか?

松元さん:鉄自体は冷やしておりません。冷やすのは鋳型です!

そう、「三共合金鋳造所」で冷やしているモノは、鉄というよりは、それを作るときの型枠「鋳型」。
そもそも、鋳造所というのは、高温でドロドロに溶かした金属を型に流し込み、さまざまな金属パーツを作るのがお仕事。
鋳型とは、この型のことで、最後に壊されてしまいます。

さて、三共合金が誇る最新の鋳型というのが…

こちら!マイナス40℃の「冷凍鋳型」!
ザラザラした黒い塊のようにしか見えませんが、実際に触ってみると実に冷たい!!
裏返すと、型となるヘコみもあります。

そもそも鋳型の種類には大きく分けて2種類ありました。
砂と粘土を固めた「生型」と、砂と合成樹脂で固めた「自硬性鋳型」。
およそ30年前から、日本の鋳物業界では、このどちらかの鋳型で作られていました。
そこに4年前、この冷凍鋳型が登場!
作り方は、水と砂を混ぜたものを敷き詰めた後、マイナス40℃の冷凍庫で冷やして凍らせるという至ってシンプルなもの。

では、冷凍鋳型はどのように使われているのでしょうか?

まず、火花を散らして炉から出てきた1600℃に溶けた鉄を、霜柱で白くなった冷凍鋳型に流し込みます。
すると、鉄はゆっくりと冷却。
そして最後は、冷凍鋳型を溶かして、砂を振るい落とせば、鋳物の完成です!
この「冷凍鋳型」最大のメリットは、鋳型を壊す必要がないということ。
今までの鋳型は、最後にガツンッと壊さなければいけなかったため、騒音問題になってしまっていました。
しかし、この「冷凍鋳型」なら自然に溶けるため、音が出ないのです!
さらに、壊してゴミが出ていた今までの鋳型に対して、「冷凍鋳型」は砂しか残らないため、ゴミはゼロ!

この「冷凍鋳型」、あっさり作られているように見えますが、ものすごく高度な技術で世界中探してもココにしかないワザなんです!

松元さん:砂を凍らせるというのが結構難しくて、この20〜30年での冷凍技術をもって、砂を凍らせることができたんです!

この鋳型作りで一番難しいのが、鉄が冷える前に鋳型が溶けてはダメというところ!
そのためには、鋳型をカチンコチンに凍らせる必要がありました。
「型が崩れず、金属が冷えた時にちょうど溶ける」、それに必要なのが「マイナス40℃だ!」ということを三共合金は発見したのです!

さらに水の量にも秘密がありました!
それは、1kgの砂に対して、水50g。つまり、水の割合が5%だということ!
砂と水を混ぜる時、水が多すぎると、急激に熱した場合、爆発の危険性があるんだとか!
それが起きないギリギリ割合が水5%なんだそうです!

では、「マイナス40℃」とか「水5%」という条件はどのように発見したのでしょう?

松元さん:この理由は、ウチもまだハッキリとはわかってないんです!!謎なんです!

なんとまだ謎!
できることは確かですが、ご本人たちもその理由がまだよくわかっていない「冷凍鋳型」!
謎が解明できればさらなる技術進歩も可能かも!
三共合金は「凍結鋳型」で"がっちり"なんです!

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