過去の放送内容
2010年5月9日放送
特集
文部科学省
ゲスト
森永卓郎さん(経済アナリスト)、関根麻里さん
番組内容
今日のがっちりマンデーは、日本を儲けさせるお役所仕事第2弾「文部科学省」!
TVカメラ初潜入、日本の儲かりのタネを育てるお役所「文部科学省」の秘密を徹底解剖します!
文部科学省に潜入!その1
日本の儲かりのタネを育てるお役所、文部科学省!
こちらが、東京・虎ノ門にある文部科学省。
2年前に建てられたばかりの超キレイな建物。
今回は、広報の内場裕子さんのご協力を頂き、特別に省内をウロウロさせていただくことに!
そもそも文部科学省は、大きく分けて3つの分野を担当。
未来の儲けを担う子供たちを育てる、教育・スポーツ部門。
研究技術を育てる、科学技術部門。
そして、お宝や芸術を守る、文化部門!
まずは文部科学省の柱、教育部門から行ってみましょう!
スタッフが最初にやってきたのは、教育課程課。まずお話を聞いたのは大類由紀子さん。
スタッフ:教育課程課というのは主にどういうお仕事ですか?
大類さん:学習指導要領と簡単に言っちゃうんですけれども、そういったものを決めたり、中身をより良いものに変えていったりする課です。
学習指導要領?なんですかそれ!一番詳しいとご紹介いただいた横田愛さんにお聞きしました。
横田さん:学習指導要領というのは、文部科学省として子供たちに、全国どこでも必ず最低限学べる学習内容というものを国として定めているものでございます。
つまり、どんな事をどれだけ教えるのか、学校で教えるべき一定のルールを定めたもの、それが学習指導要領。よく耳にする「ゆとり教育」や「詰め込み教育」などは、この学習指導要領の内容を指しているんです!
これは、10年ごとに作り直されるのが決まり。
去年がちょうど改訂される年だったのですが、その原案を作っているのが、ここ教育課程課の皆さん。と、ここで先ほどの横田さんがスタッフに話しかけてきた!
横田さん:お願いがあるんですけど…学習指導要領の話でさっきちょっと緊張していて、学習指導要領とは何かっていうのをちゃんとお伝えしなきゃいけないと思って。
よろしいですか?もう一回言っても。
スタッフ:もう一回やるってことですか?
横田さん:やっぱり学習指導要領とは何かというのをしどろもどろというのはちょっとやっぱり…。学習指導要領はですね…
スタッフ:え、もう始めるんですか?
横田さんの真剣さ、よーく伝わりました!
続いてやってきたのは、教科書課!中に入ってみると、
ちょっと変わったレイアウトのお部屋。お話を聞いたのは教科書調査官の加藤徹也さん。
ここはどういった部署なんですか?
加藤さん:小・中・高等学校で使われる教科書を検定する作業でございます。
ここで行うのは民間企業の作った教科書の検定。
よく新聞やニュースに出てくる教科書検定というのは、まさにここが最前線なのです!
スタッフ:加藤さん、ご担当は?
加藤さん:音楽を担当しておりまして、音楽担当は私一人でございます。
教科書課では教科ごとに担当が分かれていて、その内容に不備がないかを一字一句チェックしているのです!
加藤さん:これは前年度のものですが、4月頃に表紙の白い、どこの会社かわからないようになっている白表紙本というものを受け取ります。全部の教科でこういう本を使います。
スタッフ:先入観がないようにということですか?
加藤さん:そうですね。たとえばここに「この曲は、タンゴというはげしいおどりのための音楽です。」とありまして。これが、小学校4年生にきちっと正確に伝わるかどうかちょっと引っかかるわけですね。
スタッフ:間違っているってことですか?
加藤さん:間違ってはいないんですけれども、「はげしいおどり」という表現が適切かどうか、生徒に誤解を与えるのではないかということなんです。
スタッフ:この方が良いという提案ではないわけですよね?
加藤さん:この方が良いというのは示せないことになっております。
で、この教科書は、「はげしい」という表現を削除することで落ち着いたそうです。
加藤さん:明確に何が正しいと分かるものは楽なんですね。これで良いのかどうかというところでずっと毎日悩み続けるわけですね。
続いて、算数・数学担当の大田浩さんには、気の遠くなるようなご苦労が。
大田さん:全部解いて何を聞かれても分かるようにしているんですよ。算数っていうと、(棚の)ここからここが小学校、ここからここが中学校なんですよ。
大田さん:高校でいうと、ここからここまであって、けっこうな数だと思いません?
スタッフ:すごいですね、この教科書全部解いてるってことですか?
大田さん:そういうことです!
全部解けるなんてすごい大田さん!
文部科学省に潜入!その2
日本の儲かりのタネを育てるお役所、文部科学省!
続いては、教育分野で最もホットな話題「高校無償化」、の準備室!
鳩山政権の目玉政策の一つである「高校無償化」。
この取材は、その法案が通る直前に行ったもの!
フロアには、ただならぬ緊迫した空気が。夜12時を過ぎても、誰一人帰る様子はない。
お話を伺ったのは袖山禎之さん。
スタッフ:みなさんすごく大変そうですね。
袖山さん:こういう大きな課題がある時は、プロジェクトチームが省内から作られて、ここも数日前までは会議室だったんですけれども。
そう、この高校無償化準備室は、この為だけに作られたプロジェクトチーム。
お役所では特別な政策が出された場合、各部署から人を集められ、プロジェクトチームを結成!
急な出来事にも柔軟に対応しているのです。
今回のチームのひとり、高橋洋平さんにお話をお聞きしました。
高橋さん:昨日もほぼ徹夜ですね。
スタッフ:気になったのが、眠気覚ましグッズが…
高橋さん:だましだましやってますね。
もうひとり、布野貴之さんも、
スタッフ:ちょっとお借りしていいですか?相当、目薬がなくなっていますね。これどれくらいで?
布野さん:1週間が2週間くらいですね。
スタッフ:それでこんなになくなっちゃったんですか?かなり今徹夜が多いんですか?
布野さん:そうですね、もうすぐ結婚するんですけど。
スタッフ:そっちの準備のほうは?
布野さん:全く進んでないですね。
こんな皆さんの頑張りもあって、この2日後、高校無償化法案は成立。
後日、高校無償化準備室を訪れると既にチームは解散していました。
布野さん、結婚準備整いました?
▼スタジオにてお話を伺いました。
進藤:新しい政策が持ち上がるたびにああいうチームが作られるわけですか?
森永さん:そうはいっても、自民党政権時代は2、3年の時間をかけてやるケースが多かったんですけど、政権交代があったので「すぐやれ」っていう政治からの要請が来たら役所はやらざるを得ないですからね。
進藤:文部科学省は細かいところまで数えると約300部署にも分かれるんだそうです。
文部科学省に潜入!その3
日本の儲かりのタネを育てるお役所、文部科学省!
続いては日本が誇る、お宝や芸術を守る、文化部門!
担当するのは文部科学省のとなりにある文化庁。
最初にやって来たのは、美術学芸課。すごい資料の山!
美術学芸課長の栗原禎之さんにお話を伺いました。
栗原さん:基本的に彫刻ですとか絵画ですとか仏像ですとか、美術工芸品を扱う仕事をやっております。うちにいる調査官というのは専門職・研究職ですので、長い人で20年くらいいます。
ここは専門知識がないと対応できない部署のため、異動がほとんどないのだとか。
続いてお話を伺ったのは彫刻部門の主任、奥健夫さん。
どのようなお仕事をされているのですか?
奥さん:仕事は全国の仏像の調査です。まだまだ古い仏像がいっぱい出てくるんですね。そういう情報を頂いて、その中から選んで国宝や重要文化財に指定します。
スタッフ:この仕事を始めてから仏像の専門知識を得たんですか?
奥さん:私はもう、子供のころからそういうのが好きで。これは国宝文化財の写真集なんですけれども、こういうものを子供のころに見て、何て面白いんだろうと思いまして。
子供の頃から仏像が大好きだったという奥さんは、なんと日本全国の仏像の顔と名前をほとんど暗記しているとか!
ということで、仏像の写真を見ただけで名前がわかるか、「間違ったらぶつぞー(仏像)クイズ」を出してみました!
スタッフ:これは?
奥さん:これは三重観菩提寺の十一面観音菩薩立像ですね。
スタッフ:これは?
奥さん:これは西大寺文殊菩薩四侍者像のうちの善財童子像です。
スタッフ:では、これは?
奥さん:あ、これは円成寺本堂の阿弥陀如来坐像ですね。
百発百中!恐れ入りました。続いてお邪魔したのは、
スタッフ:あ、芸能部門というのがあります。
さっそく、伝統文化課芸能部門の吉田純子さんにお話を伺いました。
スタッフ:芸能部門という部署があると伺ったのですが?
吉田さん:はい、こちらです。
スタッフ:我々のような芸能界のことをやっている部署?
吉田さん:日本の伝統芸能といいますか、能とか歌舞伎とか文楽とか。
スタッフ:あ、テレビは関係ないんですね。てっきり松下由樹さんに似てらっしゃったんで、そういう関係の方かと…そういうことじゃないんですね。
吉田さん:あっはっは、いやあの…そういうことじゃないです。
ここは、歌舞伎や能・民俗芸能といった無形文化財が継承されていくよう支援している部署。
人間国宝を選定するのもここなのだとか!
スタッフ:人間国宝はいくらお金がもらえるんですか?
吉田さん:200万円の特別助成金というのが支払われています。
スタッフ:よくノーベル賞は1億円もらったりするじゃないですか?意外と安いんですね。
吉田さん:そうですね、はい。
文部科学省に潜入!その4
日本の儲かりのタネを育てるお役所、文部科学省!
最後は、日本の研究技術を育てる科学技術部門へ。
まずやってきたのは、宇宙開発利用課。
お話を伺ったのは、課長の佐野太さん。
スタッフ:こんにちは。ここは宇宙開発の部署と書いてあったのですが?
佐野さん:はい。これはHTVといって、大きな荷物を宇宙ステーションへ持っていくんですが、宇宙環境をどう利用していくかというのも非常に重要な仕事として、私どもで支援しています。
日本人宇宙飛行士の野口聡一さんや山崎直子さんが滞在している事でも知られる、国際宇宙ステーション。それらの支援をしているのが、この宇宙開発利用課のお仕事。
さらに宇宙技術のノウハウは、こんなことにも利用されている!
越政樹さんにお聞きしました。
越さん:これはですね、宇宙飛行士の服ですね。宇宙ステーションの中だと洗濯ができないので、匂いを防ぐような加工がしてあって、それを一般向けに転用して作っているのが、こちらの市販されている商品になります。汗の臭気成分92%、加齢臭の臭気成分82%をカットしてくれます。加藤さんもぜひ着ていただいて、宇宙を宣伝していただければと思います。
確かに加藤さんも加齢臭が出ているころですからね。
で、課長にこんな事も聞いてみました。
スタッフ:課長、本当はUFOに遭遇したことはないんですか?
佐野さん:こういう公式の場で言っていいかわかりませんが、私はUFOを見たんです。友達3人と夜中2時ごろ、この辺をウロウロしていた時に。私だけじゃなくて何人もですね、パパパパっと。
スタッフ:空を駆け巡っていたんですか?
佐野さん:はい、私自身は信じています。
最後にやってきたのは、海洋地球課。
課長補佐の嶋崎政一さんにお話を伺いました。
海洋地球課っていう壮大な名前が書いてありましたが、どういうお仕事を?
嶋崎さん:海洋に関する新しいことや潜る技術、地球全体のメカニズムなどを研究する機関に予算をつけたり支援をしたりしております。
まだ90%以上が謎に包まれているという深海生物や地下資源の研究開発の支援や、南極の実態調査に関する支援などを行っている部署。
極域研究振興係長の吉田雄介さんにお話を伺うと、
スタッフ:南極の氷とかも研究材料になるわけですか?
吉田さん:つい先週南極から持ち帰った氷があるので、みていただいて。
こちらがその、南極の氷!
吉田さん:数万年前の空気が中に入っておりまして、泡状に見えるのが空気の粒なんです。
スタッフ:白いですね!
普通の氷に水を注ぐと、
まあこんな感じで特に変化はありません。そして、南極の氷は?
パチパチ音がした上に、よく見ると氷の中の空気が気泡となって溶け出しているのがわかります。これを贅沢にも飲んでみると、
スタッフ:まあ、普通ですね。
おいおい!
気を取り直して、深海担当の部署へ。
企画調査係の菊池久美子さんにお尋ねしました。
菊池さん:たとえばここの写真にあるような、スケーリーフットって言うんですけれども。
スタッフ:こんな小っちゃいんですか?
菊池さん:実物は大きく見えるんですけれども、このくらいの大きさの生物で、鉄の鎧で覆われた深海生物と言われています。鉄になっているのは足の部分ですね。
ちなみに、深海に使われる年間予算は?再び課長補佐の嶋崎さんにお答えいただきました。
嶋崎さん:大体400億〜500億円くらいです。科学技術全般そうですが、すぐに役に立つもの・役に立ちそうなものはあるんですけれども、着実な積み重ねがないと、10年〜50年と経った後にその時の研究がなければ花咲かないものもあるんですね。そういう種を植えるとともに、花を咲かせるような支援をしたいというのが、ぼくらのやっていることですね。
▼スタジオにてお話を伺いました。
関根さん:意外とユニークで明るいかたが多いんですね!
森永さん:宇宙や深海というのはまだ知らないことだらけなんですよ。だから研究にお金はかかるんだけれども、すぐに儲かるかっていうと、今のところそんなにものすごく儲かるものは出てきていないですよね。ただ研究しなかったら成果は出てこないんです。
加藤:やめちゃうとそこで終わりですからね。だからテレビで流してもっとプレゼンしたほうがいいですよね!「あ、こういう研究しているんだ、面白いな」っていうのをわかってもらうべきですよね。
進藤:それでは最後に森永さん、次に注目するお役所を教えてください!
森永さん:それは「警視庁」です!いちばん秘密のベールに包まれているのがこの警視庁なんです。他のお役所は玄関に警備員が立っているんですけれども、警視庁だけは警察官が立っていて簡単には入れないんです。
加藤:警視庁に警備員立ってたらおかしいでしょ!
森永さん:あとこれはうわさなんですけれど、霞が関で一番おいしいお昼ご飯を出しているのが警視庁の食堂と言われているんです。それを検証するのも面白いと思いますよ!