過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2010年5月2日放送

特集

島精機

ゲスト

(株)島精機製作所 島正博社長

番組内容

今日のがっちりマンデーは、「島精機」!
「島精機」がつくっているのは、"ニットを作る編み機"!
セーターにカットソー、カーディガンにポロシャツなどなど、日本で作られているニット製品の80%が「島精機」の編み機で作られているんです!!
しかも、編み機の売り上げは世界トップシェアの50%以上!!
今日は、世界No.1編み機メーカー「島精機の」儲かるヒミツを紐解いちゃいます!

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「島精機」の編み機が世界で1番売れるヒミツとは!?

世界中で売れまくっている「島精機」の編み機とは一体どんなものなのでしょうか?
そこで番組は、和歌山県にある「島精機」の本社に突撃取材を敢行!

早速、社内にある編み機の試運転をしている部屋に、島精機・開発本部長の有北さんが案内してくれました!

有北さん:こちらが主力のコンピュータ横編み機で、ニットの製品を編む機械です。

ところで、今までニット製品がどうやって作られていたかというと…

まず、編み機で1本の糸を四角に編み上げて生地を作り、前部分・後ろ部分・右袖・左袖と、4つのパーツに裁断してから、縫い合わせていたのです。
しかし、この方法だとある問題が。有北さんに伺ってみると…

有北さん:カットロスが出て、1着あたり30%くらい捨ててたわけなんです。

そう、なんと1着作るのに、生地を3分の1も無駄にしてしまっていたんです!
しかも、編んだ生地をバスッと裁断するため、糸がほつれやすくなってしまっていた。
ところが!「島精機」が開発した先ほどの「マッハ2SIG」で編むと…

洋服の形に編まれて出てくるんです!

有北さん:これだと、裁断するという工程がなくなります!

そう、洋服の形に編んでくれるため、「糸がほつれる心配がない!」、「ムダな生地が一切出ない!」、おまけに「裁断にかかる人件費もカットできる!」
これこそ、「島精機」の編み機が世界中で売れているヒミツなんです!!

番組スタッフ:おいくらくらいするんですか?
有北さん:1000万以上します!

では、こんなスゴイ編み機を考えたのはどこのどなたなんでしょう?

有北さん:社長!!

そう、発明したのは島正博社長ご本人というから驚き!
そこで、社長に会うために訪れたのは…

社長室ではなく、なんと開発室!
あれ?社長の席なのに、脇には設計図を引く「製図台」や、机には「コンパス」や「定規」、「ルーペ」が置いてあります!
では、社長室は一体どこにあるのでしょう?

島社長:社長室は、ほとんど着替えの時だけ!お葬式の時使うくらい…。

今でも編み機の開発に勤しんでいる島社長は、根っからのアイデアマン!
かつて、和歌山の小さな製作所で、部品加工の仕事をしながら色んな発明をしていた島青年。
島社長によると、「18歳までに100件くらい特許を出願した」んだとか!
100個発明するだけでもスゴイのに、その全てに特許を取得!
どんなものを発明したのかというと…
「自動車の方向指示器」に「発電ランプのスイッチ」、「自転車の変速機」まで、アイデアマンの面目躍如!

そして1955年、18歳のときに発明した機械が…

手動式の手袋編み機!指先から手首まで、縫製いらずで丸ごと作れるとあって大ヒット!!
ここから、島社長の編み機造りの人生がスタートするんです!

1962年、編み機だけを製造販売する会社「島精機」を創業するや、1965年には、手動だった手袋編み機を、電動式のものに改良!
この編み機から生まれたロングセラー商品が……皆さんご存知の「軍手」!
電動式になったおかげで、人の手が一切かからなくなり、軍手の値段をぐ〜んと安くできたのです!
さらに1979年には、コンピュータ制御横編み機を開発!
これまで編み機ではできなかった複雑な編み柄を、コンピュータ制御によって簡単に編めるようにしちゃったんです!

そして1995年。島社長が発明した"一台の編み機"が、世界中のデザイナーやアパレル関係者の度肝を抜いた!!

それがこちら、世界初の「ホールガーメント横編み機」!
一体何が違うと言うのでしょうか?早速、有北さんに見せてもらうことに!

これは、もしかして…

有北さん:はい!丸ごと1着編めました!!

なんとサマーセーターが完成した状態で丸ごと1着!
今までだと、前・後ろ・両袖を人の手で縫製して作っていましたが…

このように、袖の部分に縫い目がない!
その他、脇の下にも、肩の部分にも全く縫い目が見当たらない!
一体どうなっているのでしょうか?

有北さん:編みながら全部くっついていっているので、縫製はしてないです!

このホールガーメント編み機、なんと3本の糸を使って、洋服の胴体部分と両袖を同時進行で立体的に編み上げているんです!
編み機の中はどうなっているのかというと…

コンピュータ制御された4000本以上の編み針が、3本の糸を立体的に編んでるんです!
島社長が発明したこの編み機のおかげで、裁断・縫製といった手間が全くなくなったというわけなんです。
さらに、縫い目がないないことで、着たときのシルエットがとってもキレイになるとあって、世界中のデザイナーも大注目!

そこで、表参道ヒルズにあるホールガーメント編み機を使っているショップのデザイナーさんにお話を伺ってみました。

デザイナーさん:夢のような機械ですよね、ホントに!!

そして、海外の「グッチ」や「マックスマーラ」などの有名高級ブランドからも「使ってみたい」と注文が殺到!

島社長が発明した編み機が、今世界中で大活躍しているんです!!

島精機自慢のデザインシステム!

これまでになかった編み機を次々と発明してきた島社長が、「編み機のために使ってみたい!」と30年以上も前に目をつけていた技術、それは……『コンピュータグラフィックス(CG)』!

今では当たり前の技術ですが、当時はアノNASAぐらいしか使っていなかった最新技術!
島社長が、なぜ編み機にCGを使おうと考えたかというと、編み機で編む前に完成した洋服が見たかったから。

そこで島社長は、NASAからCGボード購入して、独自に改良!
そして1981年、世界で初めて、編み機専用のCGデザインシステムを開発!
一体これはどういうものなのか?現在の最新型のものをトータルデザインセンターの芝田さんに見せてもらいました。

芝田さん:島精機が開発しておりますデザインシステム「SDS-ONE APEX」です!
これがスゴイんです!

一体、何がスゴイのかというと…

まず糸を1本用意し、撮影してパソコンに取り込みます。
すると…

取り込んだ糸から、洋服のデザインを立体的に作り出せるんです!
編み目が見たいときは、ズームアップすればクッキリみえる!
さらに…

芝田さん:モデルが作れるんですよ!しかも3Dで見られます!

そう、3Dのモデルに試着させることもできるので、洋服を着たときのシワや影、質感までも忠実に再現できてしまうんです!
もちろん、糸の色を変えることもできるし、編み柄もすぐに変えられちゃうので、洋服のデザインもサラッと変更可能!

そしてデザインが決まったら、最後にデータをUSBに保存し、先ほどのホールガーメント編み機にUSBを差せば、即ホンモノの服が完成!!
CGと比べてみても…

全く同じです!
こんなスゴイシステムを、島社長は30年以上も前にひらめいていたんです!

編み機の製造工場に潜入!

さらに「島精機」がスゴイのは、編み機の製造工場!
実は、世界中に出荷されている全ての編み機は、和歌山県の本社の隣にある工場で造られているんです。
一体どんな工場なのでしょうか?実際に工場を見せてもらいました!

とっても広い工場内は編み機がズラ〜リ!案内して頂いた製造技術部部長・池中さんによると…

池中さん:ここで6000平方メートルあります!

ここは、編み機の最終組み立てを行っている生産ライン。
細い糸を編む編み機の組み立てには、ミリ単位の誤差も許されません!
そこで、編み機造りに必要不可欠なのが……「職人の技」!
そのため、工場内にはキャリア20年以上のベテランがたくさん!

キャリア20年の村田さんの仕事は、編み機のこの部分、糸を左右に移動させる装置の組み付け作業。

大事なのは、このように台座に設置した時にぐらつかないこと。
ほんのわずかでもぐらついたら、ヤスリを使って100分の数ミリ単位で調整!
でも一体どうやって計っているのでしょう?

村田さん:何回こすったら100分の5ミリ削れたとか、感覚でわかります。
削れた粉の量とかでもわかりますね!

そう、こする回数や、削れた粉の量で100分の何ミリ削ったか分かっちゃうんです!!
削り終えた後、部品を台座に設置して、薄さ0.02ミリの板を通してみようとしても…

う〜ん、ピッタリ!!

さらに、別の組み立てラインでは、こんな職人技も!
キャリア23年の上野山さんの作業は…

編み機のこの部分、転換レールと呼ばれる長さ2メートルのレールを水平になるように調整しているそうなんですが、上野山さんは何故か100分の3ミリだけ、レールをアーチ型にたわませるのだといいます。
なぜ曲げるのかというと…

後の工程で取り付けられる部品の重さで、100分の3ミリひずんでしまうから!
では、どうやってレールをたわませているのでしょうか?

このように、上からヒョイヒョイと押すだけで、100分の3ミリ曲げるんです!

上野山さん:このくらいであれば100分の2ミリ下がったであろうとか、感覚ですね!
池中さん:機械でも高精度な機械があるので、100分の何ミリかっていう単位で削ったり、曲げたりはできるんですけど、最終合わし込みは人間がやるわけです!

そのため、300人総がかりでも1日に生産できるのは45台が精一杯。

池中さん:色んなメーカーさんがコピーされたとか、いろいろ言ってますけど、島精機の品質までにはなかなか追いついて来ないというのは、その辺にあるんですよ!

このように、世界トップシェアを誇る「島精機」の編み機は、職人の技によって支えられているんです!

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