過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2010年4月25日放送

特集

せまい業界第9弾!インキ業界!

ゲスト

田北浩章さん(東洋経済新報社企業情報部長)、優木まおみさん

番組内容

今回のがっちりマンデーは、せまい業界シリーズ第9弾!
市場規模3000億円!!
世界最先端の、とても身近だけど誰も知らないインキ業界の裏側に迫ります!!

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インキ業界の基礎知識

突然ですが、このカラフルな写真に一体何色のインキが使われているか分かりますか?

実は、たったの4色しか使われていないんです!
インキの基本は「イエロー」「マゼンタ(紅色)」「シアン(藍色)」「ブラック」の4色、
この4色を重ねて印刷することで、ほぼ全ての色をカバー出来るんです。

特殊なカメラで実際に写真を拡大してみると、肌色は白い紙の上にイエロー、マゼンタ、シアンが重ねて印刷されているのが分かります。

こちらの赤には、ブラックとイエローが重ねられてるってわけ!
例えばプリンターのトナーも基本はマゼンタ、イエロー、シアンの3色とブラック。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色があれば、たいていの色が表現できるのです。
そんな4色のインキはどうやって作られているのでしょうか?
そこで、インキを作り続けて114年、明治創業の業界最大手「東洋インキ製造」のインキ工場に潜入いたしました!

見学させていただいたのはマゼンタの作り方。
発色に必要な、酸とアルカリを調整した溶液に、発色の元となるアゾ成分と言われる科学物質を混ぜ合わせます。

すると20分ほどで真っ赤に染まる!
ただし、これはまだインキではなく、インキの元となる顔料の前の段階、この液体から水分を絞ったのが、顔料と呼ばれるインキの元。

この顔料にワニスという粘り気のある樹脂を混ぜて、顔料とワニスの粒子を均一にすれば、マゼンタインキの完成です!
このインキや、顔料そのものを印刷会社などに売っているというわけ。
ちなみに、お値段は1キロ数千円。

でも、4色で全ての色がカバー出来るのならインキ業界って意外と楽チンなのでは?
そこで東洋インキ製造 総務部の春田誠さんにお話を伺ってみると…

春田さん:その色だけを作ればいいという訳ではなくてですね、中には特色と呼ばれる特殊な色を特別に注文なさる方もいるんです。

特色とは、商品のパッケージや企業のロゴマークなど、大事な色を一種類のインキで印刷したい、という要望に応じて特別に作る色のこと。

例えば、コカコーラのこの赤は「コカコーラレッド」と呼ばれ、たいていの印刷会社に置いてある特色の代表みたいなものなんだとか。

この特色作り、業界用語で調色と呼ばれる現場で、手作業によって何百色も作られているのです。
なかでもアルミの粉などを使わないと金銀の色は作れない!
だから、他の色と比べて3倍以上の値段になることもあるんだとか!

液晶用の特殊インキ

そしてもうひとつ、私たちの身近にありながら、全く知られていないインキがありました!!それが…

このレッド、グリーン、ブルーの3色のインキ。
一体、何に使われているのでしょうか?

春田さん:液晶テレビの中に使われている特殊なインキがあるんですよ。そのカラーフィルターのおかげで、カラーの画像が見られるようになっているんです。

液晶テレビの中にインキが入ってる??
テレビ画面を拡大してみると…

本当にレッド、グリーン、ブルーの色が!

光の3原色R(Red)・G(Green)・B(Blue)、3色の特殊インキが液晶に塗られていて、後ろから光を当てることでカラーになる。
さらに、液晶用の特殊インキだからテレビだけじゃなく、パソコンや携帯電話にも使われている!ってことはこのインキ、かなり儲かってるのでは?

春田さん:通常のインキに比べますと、色々な技術が詰まっておりまして、これはかなり儲かるインキですね。

インキがないとテレビが見られない!!確かにこれは儲かりそう!

ソルダー・レジスト・インキ

続いてやってきたのは、ある分野で圧倒的な世界シェアを誇る特殊インキを作っている太陽インキ製造株式会社。

そのインキがこれ!濃い緑色に見えますが、一体何が特殊なんでしょうか?
そこで、太陽インキ製造 嵐山事業所長 稲垣昇司さんにお聞きしました。

稲垣さん:こちらソルダー・レジスト・インキと言い、基板の上に乗っている緑色のインキが私どもの製品になります。

確かに基板て、だいたいが緑色してますよね。
その緑がソルダー・レジスト・インキ。
ソルダーは「はんだ」、レジストは「抵抗する」。つまり、はんだに抵抗するインキ!
と言われてもさっぱり分かりませんが…

稲垣さん:2百数十度に溶けた、はんだが付いても大丈夫という特徴があります。

この特殊インキは、熱いはんだをはじくんです!
ソルダー・レジスト・インキを塗った基板を、高温のはんだの中に入れると…

ご覧の通り、綺麗にはんだが付きます!
これ、何が凄いのかというと…

インキを塗っていないところにだけはんだが付いて、塗ってあるところには全く付いてないってこと!
つまり、インキがはんだの熱に抵抗して打ち勝ったってわけ!
この基板用のソルダー・レジスト・インキ、あらゆる電子機器の中に使われていて、太陽インキの世界シェアは、なんと約5割!!

透明なインキ

続いてやってきたのは、特殊インキメーカーのKFトリニティ株式会社。
ここで作っているのが…

この透明なインキ。
インキが透明ってどういうことなんでしょうか??

実は、お札の偽造防止に欠かせないのが特殊インキ。

例えば20ポンド紙幣に特殊なライトを当てると、20という数字が浮き上がる!
これが、従来の偽造防止インキ。
でも、こちらの会社の偽造防止インキはちょっと違うんです。
紙の上にインキを塗って、どんなに特殊なライトを当てても何にも変わらない。
そこで…

専用のセンサーを当ててみると、インキを塗った方に反応するんです。
インキの中に独自のセンサーにだけ反応するヒミツの成分を混ぜ込んであるのだとか!?
人の目で見てもわからないから、偽造するのがより難しくなるってわけ。
このインキの値段は1キロ数万円!
かなりお高目ながらカード会社などに大好評発売中!

そんなKFトリニティは、最新の偽造防止インキでがっちりです!

温度が変わるインキ

そして、インキと言えばペン!

3年前、がっちりマンデーでも紹介したのが、ボールペンなのに書いた文字を擦って消せる、パイロットのフリクションボール。

この消えるインキを開発したのが、パイロットインキ株式会社。
発売から4年、なんと全世界で2億本以上を売る空前の大ヒットとなったフリクションボール。
でも、このインキなぜ消えるのでしょうか?
パイロットインキ 第一開発部 千賀邦行さんに伺いました。

千賀さん:このインキは常温では色があるんですね。ただそれが摩擦熱、温度65度以上になると、このインキは透明化するんです。

こすった時に出る摩擦熱で消えてる!だから消しカスも出ないんです。

スタッフ:ドライヤーの熱でも消えますか?
千賀さん: 65度以上出ればドライヤーでも消えます。

早速、確かめてみると…

キレイに消えました!
この消えた文字、意外と知られてないのですが、マイナス15度以上になると再発色するんだとか!

そこで、冷凍庫に入れて5分待つ、すると…

「加藤浩次」の文字が再び現れました!
パイロットインキはこの熱で消えるインキのように、温度の差で色が変わるインキを30年以上研究しています。

例えば、その研究成果がこのおもちゃ。氷水に入れると…

あっという間に消防車に変身!
他にも、37度以上の熱が出ると、模様が透明になるシートや、お酒の飲み頃が見た目で分かるシールなど、全部パイロットインキ製。
今では、変色を5度きざみでコントロールできるんだとか。

そんなパイロットインキは、温度が変わるインキでがっちりです!

超速乾インキ

続いてやってきたのはスタンプメーカーのシヤチハタ株式会社 稲沢工場。

こちらの工場で作っているこのインキ、何だか分かりますか?
きっと、あなたのお家にもひとつはあるはず!!
実は朱肉!これもインキの一種なのです。

そして、シヤチハタが開発した凄いインキが、超速乾インキ!

普通の朱肉のインキは、すぐに触るとこの様に滲んでしまいますよね。

しかし、シヤチハタが開発した超速乾インキなら滲まない!
では、一体なぜ滲まないのでしょうか?
シヤチハタ 研究開発部の古谷眞さんに伺ってみました。

古谷さん:このインキは特殊なインキを使ってまして、内容は企業秘密になります。

残念ながら教えてもらえませんでしたが、この超速乾インキ、新幹線などの車内検札には欠かせないインキなのです!
そしてシヤチハタにはもうひとつスゴイインキがあるんです!それが…
どんな素材にでもスタンプ出来るインキ!!

例えば、普通のインキでガラスにスタンプしたのと、新開発のインキ(タートインキ)でスタンプしたもの、全然変わらないようにも見えますが、表面を擦ると…

普通のインキは滲んでしまいますが、新開発のインキはキレイなまま!すごい!

なんでも、インキに強力な接着剤を混ぜ込んであるんだとか。
布や材木にもスタンプ出来るのが受けて、いま大ヒット中なのです!

シヤチハタはすごいインキの研究開発で、がっちりです!

電子インク

いま巷で話題なのがアメリカのアマゾン社が開発した電子ブック キンドル。
一番の特徴は、画面に液晶を使っていないこと!!
使っているのはインキ。
だから、1回画面を表示したらあとは電気が必要ない!!
電気をちょっとだけ使うのは、画面を切り替えるときだけ、そしてなにより画面を光らせてないから文字が読みやすい!!

このインキを開発したのが、アメリカのイーインク社で電子インクと呼ばれています。
でもこれ、一体どんな仕組みになっているのでしょか?
そこで、電子インクに詳しい東海大学 工学部 光・画像工学科 面谷信教授に教えていただきました。

面谷教授:数十ミクロンのマイクロカプセルがありまして、その中に白い粒子と黒い粒子あります。その白い粒子と黒い粒子を外からかける電圧で上にやったり下にやったりコントロールします。

ページを切り替えるときに電圧をかけて、マイクロカプセルの中の白粒子と黒粒子を上下に動かしているんです。

面谷教授:マイクロカプセルを敷き詰めておきますと、白粒子が上にあるか黒粒子が上にあるかで、白背景の上に黒文字のパターンを表すことが出来ます。

電子インクはこれから間違いなく超儲かりビジネスになる分野です!!

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