過去の放送内容
2009年3月8日放送

特集
ハカリ業界
ゲスト
田北浩章さん(週刊東洋経済・編集部長)・大沢あかねさん
番組内容
がっちりマンデー今回のテーマはハカリ業界!えっ?ハカリって…
ものさしとか、計量器とかの、あのハカリ??
でも儲かってるの?って思いますよね〜 ところが!
ハカリ業界、今がっちりいってるんです!たとえば…
「重さ」部門!その1
最初の儲かるハカリは「重さ」部門!

重さと言えば"キログラム"!
その1kgって重さが一体どうやって決まったのか知ってますか?
実は、1889年「国際度量衡総会」で、1リットルの水の重さを1キロと決めたのがはじまり!
その水は、不純物のない純水で、水温は4℃と定められました。
でも、いちいち4℃の純水を計っていたら面倒くさい!
ってことで作られたのが…

キログラム原器。
温度変化に強い、白金とイリジウムの合金で作られたもの。
これが、1キログラムの世界的な基準になったってわけ!
その後、ハカリの種類もどんどん増え、その仕組みも進化!
例えば、体重計。

以前はバネ式の体重計しかありませんでしたが、
最近ではデジタル表示の体重計が主流に!
ハカリがデジタル式に変わったのには、ある発明があったから!
それは?

こちら「ロードセル」!
その仕組みは、

重さが加わるとローデセルが歪み、その歪み具合が電気信号へと変わり表示されるってわけ。
実はこのロードセルがハカリ業界を変えた立役者!
あいまいな数値ではなく、正確にデジタル表示されるとあって、あらゆるハカリに採用されているんです!
そんなロードセルを使ってがっちりなのは、愛知県名古屋市にある守随本店。
迎えてくれたのは、社長の早川静英さん。その名刺には…

18代当主?しかも明暦四年って何時代ですか…?
早川さん:江戸時代初期になります。これだけの歴史を持った会社は他にはございません!
江戸時代からおよそ350年続く守随本店は、幕府御用達の由緒ある秤屋さんでした。
作っていたのは両替商で使う「両替天秤」

金や銀の重さを量り、お金に替える天秤は、正しく測れないと取引が出来ない、当時の経済を支えた重要なものでした。
それが今では超ハイテクな計量器を製造販売!
なかでも、今ある場所で革命をもたらした、スゴいハカリがあると言うので訪ねてみると。
ちょっと意外な場所、そこは…?

漁港!
ハカリは一体どこにあるのでしょうか?
株式会社守随本店 早川亘さんにお聞きしました。
早川さん:あの、フォークリフトがハカリです!
え?フォークリフトがハカリ?

一見、普通のフォークリフトに見えますが、フォークの後ろに重さを検知するハカリセンサーが内臓されているんです!
だから、モノを持ち上げた時に計量ができちゃう!
また専用の容器の重さを事前に入力すれば、最大2tまでの魚の重さを運転席に表示!
しかも、運びながら量れるからとっても便利!
早川さん:量ると運ぶを同時に出来るようになりますので、作業効率が全然ちがいます。
水揚げ作業がそれまで8時間かかっていたのが、現在では2,5時間で終わります!
3分の1です!

昔は、水揚げした魚を、計量場で量ってから入札場へ運んでいました。
しかし、フォークリフトスケールを使えば…
漁船から一度積めば魚を運びながら計量できるから、そのまま入札場へ!
従来の3分の1の早さ!
運ぶ人も減らせるし、作業時間が短くなるから、鮮度の良い状態で出荷ができる!
漁港にとっては大助かり!
水産業はもちろん、物流業界にもその活躍が期待されているようです!
そんな守随本店はフォークリフトスケールでがっちり!
「重さ」部門!その2
続いてやってきたのは、ハカリ業界最大手のイシダ。
国内シェアNo.1を誇るトップメーカー!
迎えてくれたのは株式会社イシダ 商品企画課の村上正彦さん。
そこで、いま何の重さを量って一番儲かっているのか伺ってみると。
村上さん:Computerized Combination Weigher!略してCCW-Rという機械でございます。

なんか難しい名前…しかも大きいし、こんなデカいもので何を量ってるんでしょう?
実は、このCCW-R、全国422ヵ所で大活躍している超儲かりハカリなんです!
使われているのは、農協!

CCR-Wを発見!
何やら上から落ちてきたピーマンを次々と袋詰めしている機械のようですが…
この簡単そうに見える機械の中にスゴいハカリの技術が隠されているんです!

このピーマンの袋詰め、実はどれも150g!
誤差はなんとたった1g以内!
でも、ピーマンなんて大きさも重さも全然違うもの、それを全て1袋150gに揃えるなんて、一体どうやって計っているのか?

CCW-Rを上から見てみると、下のフタが開く容器と、フタが開かない容器がある。
どれもフタが開くタイミングがバラバラ…
実はこれが150gにするヒミツ!
株式会社イシダ 笛木健児さんによると
笛木さん:少量ずつ量ってそれを足し算して、組み合わせることによって、目標の150gというグラム数を導き出す事が出来ます。
なんだかちょっと難しいですが…

まず、ピーマンが落ちていったこの容器。
これ自体がハカリ!容器に乗った瞬間に重さを計量しているんです!

ピーマンが容器に落ちたところで重さが量られ、どの容器と、どの容器を組み合わせれば150gになるか機会が瞬時に計算!
すると、30g・60g・15g・45gを合わせると150g!
選ばれた4つの容器のそこが開き一袋に詰められるってわけ!

しかも、150gという重さで計算されているから、5個入りの袋や6個入りの袋も出来るんです。
このCCW-Rが開発される前、袋詰めされていたピーマンは全て農家の人たちによる手作業でした。手作業で行うと、1分間に5袋作るのがやっと。
しかし、このCCW-Rを使えば…
笛木さん:1分間で55袋のペースで計量しています!
なんと10倍以上のスピード!
この組み合わせ計量の技術を使えば、玉ねぎやポテトチップス、お惣菜などなどなんでも袋詰めできちゃう!その数なんと100種類!
そんな万能バカリの気になるお値段は…?
なんと1000万円以上!あらっ!お高い!でも…
およそ2万8千台も売れちゃったってことは…??
村上さん:儲かってます!
「長さ」部門!
続いての儲かるハカリは「長さ」部門!
長さと言えば、フィートやヤード、尺、インチと色々ありますが、
やっぱり馴染みがあるのは「メートル」!
ところで、この1mという長さ、元々どうやって決まったか知っていますか?
実は、18世紀末まで、国や地域によって長さの基準はバラバラでした。
そこで立ち上がったのがフランスの政治家タレーランさん。
「世界で統一した長さが必要だ!」と作られたのがメートル法!

ならばと、北極から赤道までの距離の1000万分の1を1mと決め、それを元に正確に作られたのがメートル原器。地球上で最も正確な1mの金属の棒!
そんなメートル原器から生まれた、ものさしや三角定規。
でも、定規で物の長さを測ると、ズレたり、目盛りの合わせ方で違う長さになったり、結構目分量で測ることもしばしば…
そこであるモノが発明されたのですが、それは一体??
そこで、株式会社ミツトヨ 坂井知峰さんにお聞きしました。

坂井さん:これです!ものさしの中のザ・ものさし!
「ノギス」という工業用の精密測定器です。一般のご家庭では使う事はないかと思いますが、
我々のようなモノを作っている工場では必ず使っているザ・ものさし!精密さが違います!
ノギスはものさしの100倍!1mmの100分の1まで測れちゃう!
挟んで測るから超正確!
しかもシンプルに見えるこのノギス、長さを測るだけじゃない!
穴の大きさも測れるし、深さも測れる!
さらに…

こんな段差も測れる機能が付いているんです!
だから、複雑な部品を測ったり、検査するのにとっても便利!
工場や研究所では欠かすことの出来ない計測器!
そんなミツトヨのノギスは国内シェア95%!とダントツのトップ!
さらに、ものさしの中のものさしノギスをも越えたのが…?

こちらのCNC三次元測定器!
車体の大きさやボリュームをロボットが測ってくれる測定器!
どんな形の曲線も、エンジンの様な複雑なものも自動で丸ごと測ってくれちゃうんです!!

昔は、1台測るのに部品ごとに分け40時間もかかっていた計測が、なんと2時間で測れちゃうんです!!
売上高も約990億円(連結)!!
「ニュートン」部門
続いての儲かるハカリは「ニュートン」部門!
ニュートンって??
そう、万有引力を発見した物理学者ニュートンの名前から付けられた力の単位!
そもそも1ニュートンの力とは…?

100gのリンゴが落ちた時の力。
この落ちる時の力なんだけど…って、なんかよく分からない。
そこで、がっちりマンデー!!経済予報士見習い岡村仁美が、愛知県豊橋市にあるリュートンを測ってがっちりな会社「イマダ」に伺ってきました。
迎えてくれたのは株式会社イマダ 技術グループマネージャーの石野昭次さん
岡村:こちらでは何かを計測してがっちりいってると伺ったんですが?

石野さん:これです!
岡村:ペットボトルのキャップとケータイ??
キャップの力?携帯電話の力?一体なにを計測しているのでしょうか?

早速、その計測を見せてもらうと、何やらハカリの上に乗せられたペットボトルが…
石野さん:1.18ニュートンメートルです。
ニュートンメートルって…なに??
実は、これ簡単に言うと、ねじれる力の単位。
つまり測っていたのはペットボトルのキャップを外す時の力加減!
それが、荷重測定!
このペットボトルのキャップを開けるときには、1.18ニュートンメートルの力がかかり、
閉めるときの力は0.62ニュートンメートル。
でも、なんでこんな力を測る必要があるんですか?
石野さん:国の基準の中に設計指針として方針が出ております。
岡村:国がキャップの固さを決めているんですか?!
実は、国家規格の指針として、あらゆる製品には基準があるんです!
もしも、基準がなければ、開ける力が強すぎて事故が起きたり…
簡単に開いて中身がこぼれる事も…。
測りづらい微妙な力加減を測る事で、安全な製品作りや、使いやすい商品開発に役立てる事が出来るんです!
例えば、こちらカップ麺のフタ!

固くても危ないし、簡単に剥がれても危険!
このちょうど良い力は…

8.13ニュートン!
缶ジュースのプルタブを開ける力は46.1ニュートン!
スナック菓子の袋を開ける力は36.62ニュートン!
また、パッケージの切り取り線の開けやすさの試験や、ラミネートチューブの耐久性の検査も行います!
そんなイマダの荷重測定器の中で今一番売れているのが…?

石野さん:携帯のボタンを押した時の手の感触を数値化します。
携帯電話のボタンの押し加減、世代によって好みが全然違いますよね。
この違い一つで売れ行きに大きな違いが出る携帯電話!
うまく数値化することで、売れるケータイが作れちゃうんだとか!
でも、何ニュートンが良いのかは、各メーカーの企業秘密。
そんなイマダは荷重計測の世界シェア、なんと50%以上とダントツ!