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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2007年11月25日放送

特集

せまい業界シリーズ第6弾 磁石業界

ゲスト

田北浩章さん(会社四季報編集長)、眞鍋かをりさん

番組内容

今回のがっちりマンデーは大好評のせまい業界シリーズ!
これまで、エレベーター業界に、食品加工機械業界、ネジにポンプにバネ業界と、誰も知らないせまい業界を徹底取材してきました。
そして、第6弾となる今回のテーマはピタッとくっつく磁石業界!
今や磁石がなければ生活が成り立たないというほど、磁石は私たちの身の周りに溢れているのです!

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最強ネオジム磁石への道のり

磁石業界は本当に儲かっているのでしょうか?
半信半疑で、磁石業界にとても詳しい電子情報技術産業協会(通称JEITA)電子部品部の鶴間満生さんにお話を伺いました。

磁石業界は盛り上がっているんですか?

鶴間さん:今は忙しくて仕方ありません。
目に見えないところで磁石の製品がたくさん使われているんですよ。

鶴間さんによると、携帯電話やエアコンや車など、ほぼ全ての工業製品に磁石が使われているんだとか。

鶴間さん:皆さん、マグネット式の磁石はご存知でしょうけど、今の磁石は性能がどんどん上がってくっつくと取れないんです。それほど強力になりました。

そう!私たちが知っているつもりの磁石は過去のもの!
磁石はここ数十年で凄まじい進化を遂げていたのです!
磁石の歴史は日本の技術の歴史と言っても過言ではありません。
世界中を便利にした磁石の進化、その発明に関わったのは、実はほとんど日本人なんです!
磁石の発明は、日本の技術者たちの発明の歴史でもあったのです。

これが、そもそも自然界に存在する磁鉄鉱と呼ばれる岩石。
鉄を近づけるとくっつきます!
19世紀までは、この磁鉄鉱を加工して羅針盤、つまり方位磁石を作り、航海に利用していました。
1917年、そんな磁石の世界に一大革命を起こしたのが、東北大学の本多光太郎博士でした。

コバルトやクロムを原料にして、世界初の人工磁石であるKS磁石を開発したのです!
当時としては驚くほど磁力が強く、このKS磁石によって電気計器の精度がグーンとUPしたのだとか。

1931年、これまた日本人の東京工業大学の加藤与五郎博士と、同大学の武井武博士により発明されたのが、ホワイトボードや冷蔵庫のマグネットでおなじみの、フェライト磁石の原型!

その主な原料は、なんと鉄さび(酸化鉄)なのです!
巨大な炉の中で1500℃の高温で焼き砕いてから成形し、形を決めたら、さらに焼き固めます。
鉄さびは、どこでも簡単に手に入ることから、フェライト磁石最大のメリットは安く作れることでした。
こうして日本人が磁石業界にまたまた革命を起こしたのです!
今では各種カードの磁気部分にも使われる現代社会に無くてはならないものになりました。

そして、今から25年前の1982年、史上最強の磁石が誕生しました。

史上最強の磁石誕生

その名は、ネオジム磁石!
希土類のネオジムを使った磁石で、発明したのはやはり日本人の住友特殊金属(当時)の佐川眞人博士でした。
ネオジム磁石の特徴はなんと言っても、そのパワー!
吸着力はフェライト磁石の10倍以上で、家電製品だけではなく、環境・エネルギー分野でも使用されているのだとか。
ネオジム磁石がなければ、世界中の産業が成り立たなくなるほどのスゴイ磁石なんです!

がっちりマンデー経済予報士見習いの川田亜子は、実際にネオジム磁石を発明した佐川博士にお話を伺うために京都へやって来ました!

佐川博士は磁石の研究開発を行なう会社を設立、こちらの京大桂ベンチャープラザ内インターメタリックス(株)でバリバリと研究に打ち込む現役の研究者なのです。

まずは最強のネオジム磁石がどれほどスゴイのか見せて頂くことに!
使用するのは、種も仕掛けもない1万円札ですが、なんとネオジム磁石を近づけるとお札に含まれるわずかの磁気に反応して持ち上がりました!
こんなことをネオジム磁石以外の磁石ではできません。

川田:この磁石がすごい磁石だというのは分かったんですが、私たちの生活の中ではどのように使われていますか?

佐川博士:ネオジム磁石で地球が救えるんですよ!
ネオジム磁石を使ったモーターは抜群に効率がいいんです。

川田:効率がいいとどうなるんですか?

佐川博士:同じ電気量で2倍のエネルギーが出る。逆に言うと、同じ力だったら半分の電気量でモーターが動くということなんです。

あらゆるものを動かすときに必要なのが、モーター!
これまでは電磁石、つまり電気を使わないと強力なパワーを得られなかったのが、一方の電磁石を最強のネオジム磁石に置き換えることで、使用する電力は半分でOKになったのです。

これにより、大幅な省エネが可能になりました!
たとえば、今売れ筋の省エネ型のエアコンのコンプレッサーモーターには、ネオジム磁石が使われていて、従来のエアコンに比べて20%以上も電気代の節約になるのだとか。
つまり、ネオジム磁石を使った省エネで地球環境もお財布も救えるというわけなんです!

そして、もう1つこの磁石を使うことで可能になったのが、製品の小型化!

携帯電話のバイブレーション機能、ボディを震わせているこの小さなモーターを震わせているのはネオジム磁石なのです!
さらには、スピーカーもこの磁石によって機能しています。
つまり、携帯電話がこんなに小さいのはネオジム磁石のおかげというわけなのです。

エレベーターでは、これまでのワイヤー巻き上げ機をネオジム磁石使用のモーターに切り替えることで、機械室のスペースが無くなりました!
まさに省エネ・省スペース!

このように、私たちの身の周りで実はたくさん利用されていたネオジム磁石を発明したのが佐川博士なのです!
もしかして、もしかするとノーベル賞かも!?

実験!こんなに凄いネオジム磁石

次に川田は、ネオジム磁石生産世界一を誇る、日立金属(株)磁性材料研究所へ向かいました。
こちらでスゴイ実験を見せてもらえることに!
早速、徳原宏樹所長にお話を伺いました。

川田:所長、これはなんでしょうか?

徳原所長:パチンコ玉です。このパチンコ玉を使ってネオジム磁石の凄さを見てもらいます。

7000発のパチンコ玉にネオジム磁石を近づけてみると、物凄い勢いでパチンコ玉がくっつきました!
くっつきすぎて重くて持ち上がりません!
ちなみに、私たちのよく知っているフェライト磁石だと普通にくっつく程度でした。
最強のネオジム磁石はフェライト磁石の10倍以上の磁力があるのです!

そして、徳原所長はネオジム磁石の強力さを証明するためにもう1つ実験を見せてくださいました。
リフトの先に付けられた鉄板にネオジム磁石を吸着!

この磁石は100グラムほどの磁石ですが、45キログラムの川田は簡単に吊り上げました。
80キログラムのADが入ってもビクともしません!
最後には65キログラムのディレクターも参加して、合計3人で190キログラムを吊り上げました。

まさに史上最強磁石!
ネオジム磁石は一体どうやって作っているのでしょうか?

そこで早速、日立金属(株)熊谷製作所へ潜入!
工場に入る前に、時計などは外しておいた方がいいかと野田徳幸所長に伺ってみると…

野田所長:いえ、大丈夫です。ここに磁石は無いですから。

磁石が無いってどういうことでしょうか?

ネオジム磁石の原料は希土類のネオジム、鉄、ほう素。
プレス機で磁石の形に成形してから炉に入れ、高温で焼き、そして表面をコーティングします。
日立金属で1日に作られるネオジム磁石の数はなんと数十万個!
国内シェア50%とダントツの生産量を誇っています。

でも、皆さんお気づきですか?
実は、まだこの段階では磁石ではないんです!

野田所長:磁石を着磁してしまうと、取り扱いが大変なんです。

着磁とは、文字通り磁石に磁力をつけること!
着磁前の磁石内の原子にはバラバラのN極とS極があり、電流を流してNとSの向きを揃えることで磁力を生み出すのです。
もし、工場で着磁してから運搬してしまうと…

野田社長:トラックに磁力があるまま載せてしまうと、トラックの鉄板に磁石がくっついてしまいます。
飛行機だと計器が狂ってしまいます。

着磁は、運搬先メーカーで行なうのが基本中の基本!

そして、これが実際の着磁の工程です。
コイルの中で、衝撃音と共に磁石が完成します!
つまり、磁石工場に完成した磁石はないというわけ!

▼スタジオでお話を伺いました。
田北さん:現在、日本の磁石産業というのは1000億円規模もあります。
売上げが落ちたのはITバブルが崩壊したときですね。電子部品にはたくさん使われていましたから。
その後、景気拡大と共にずっと伸びています。

進藤:それにしても、こんなに日本人が磁石業界に関わっているとは思っていませんでした。

田北さん:1917年に、日本で一番初めに開発されたKS磁石というものが先ほど紹介されていましたよね。
1914年に第一次世界大戦が起きていて、そこで日本に財力が入ってこなくなったので、急いで磁石を開発しなければならなくなったという要因があるんです。

加藤:戦争は絶対やってはいけないけど、技術は進歩するんですね。

磁石を使ったアイディア商品

▼青木金属工業株式会社
東京都足立区、こんな下町に世界で初めての磁石製品を開発した会社がありました!
その名も、青木金属工業株式会社!
女性なら誰でも知っている、いや使っているという磁石を作っているそうですが、一体どんな磁石でしょうか?

青木善弘社長にお話を伺いました。
青木社長:これです!特に女性はご存知だと思います。

そして、連れて行かれたのはパートのお姉さまたちが黙々と働いていらっしゃる作業場!

青木社長:実はこれ、ハンドバッグに使うマグネットホックなんです!

そう!ハンドバッグや財布などに使われるマグネットホックを1972年世界で初めて開発したのが青木金属でした。

まさに、磁石を使ったアイディア製品!
でも、発売してから3年間は全く売れなかったのだとか。

青木社長:磁石は永久磁石なので20〜30年は充分にもつのですが、ユーザーの方はすぐ磁力が無くなるのではないかと心配していたんです。

永久磁石は半永久的に磁力が無くならない、と認知されるのに3年掛かりました。
今では1000種類のマグネットホックを年間600万個製造・販売する世界屈指の儲かりメーカーなのです!なんとスペインのLOEWE、KITAMURAやSamantha Thavasaのバッグにも採用されています。

青木金属はマグネットホックでがっちり!

▼(株)日立メディコ
続いて川田は、総合医療機器メーカーの(株)日立メディコへ向かいました。
こちらには、最強のネオジム磁石の塊というスゴイ装置があるのだとか!

一体どんな装置なのでしょうか?
それが、この日本の磁石技術の粋を集めたスゴイMRIなのです。

MRI(磁気共鳴断層撮影装置)とは、強力な磁場をかけながら体内を撮影し、立体的な映像でも診察することが出来る最先端の医療機器のこと。
よく見かけるタイプの超電導(電磁石)式のトンネル型は皆さんもご覧になったことがあると思います。
早速、日立メディコMRIシステム本部にて渡部滋部長にお話を伺いました。

渡部部長:こちらがオープン型のMRI装置です。

これが最新のオープン型MRI!
両サイドがパックリと開いた斬新なデザインです。

川田:このMRIにネオジム磁石使っていますか?
渡部部長:そうです!このMRIは強力なネオジム磁石を使っています。ネオジム磁石の塊です。

上下部分にネオジム磁石がつまっているのだとか。
オープン型MRIは磁石の力で磁場を発生させ、体内を撮影します。
だから、こんな形が可能になったのです。

川田:これだと、お子さんも嫌がらずに出来ますね。
渡部部長:お母さんが隣にいて撮影するということも可能なんです。

子どもや狭い所が苦手な人には最適!

川田:電気代はどうなんですか?
渡部部長:磁石そのものが磁場を発生させているので、磁場を発生させるために電気は使っていません。

なんと電気代がほとんど掛からない!
超電導式MRIは内部の超電導状態を維持するための電気代がものすごく掛かるのに比べて、オープン型MRIは電気代などのランニングコストが超電導式のわずか10分の1!

さらに、超電導式MRIに比べて、オープン型MRIは漏洩磁場が非常に狭く出来ているので、精密機器のカメラが近づいてもある程度の範囲なら大丈夫なのです!
磁場の範囲が狭いということで、スペースに制限のある手術室に置いて、手術途中でのMRI撮影が可能になりました。
では、気になるお値段は?

川田:超電導式と比べると高いですか?安いですか?
渡部部長:オープン型MRIの方がお安いかと思います!

▼スタジオでお話を伺いました。
進藤:今後、注目の儲かる磁石教えて下さい!

田北さん:現在、まだ商品化されていませんが「ドラッグデリバリーシステム」というものをご存知ですか?例えばガンだったら、ガンの患部だけに薬を届けるというものなんです。
そのドラッグデリバリーシステムに磁石が使えるのではないかと今言われています。
例えば、薬の中に鉄分を混ぜて注射して、それを体の外から磁石でその患部まで持っていく。
他の部位に行くと体によくない薬を扱うときに利用すれば、副作用も無くなるのではないでしょうか。

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