過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2007年7月29日放送

特集

ウィルコム

ゲスト

(株)ウィルコム 喜久川政樹 代表取締役社長

番組内容

激しい競争の続く携帯業界!
オシャレな携帯のau!新規参入のソフトバンク!そして、不動のケータイ王者・ドコモ!
まさに三つ巴のケータイ大手三社!
…って何かひとつ忘れていませんか?
そう!ケータイのようでケータイじゃない!それがPHSのウィルコム!
今、ウィルコムがキテるんです!
今日のがっちりマンデーは喜久川社長をゲストに、気になるPHSウィルコムの儲かりのヒミツに迫ります!

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PHSのウィルコム波瀾万丈の歴史

PHSの誕生は今から12年前の1995年。
携帯電話の新しい形として郵政省(現・総務省)が認可。
NTTパーソナル(NTTドコモ)、DDIポケット(ウィルコム)、アステルの3社が相次いでサービスを開始します。
人気のヒミツはなんといっても…通話料が安い!

当時、まだ料金の高かった携帯電話。
そんな携帯に手が出なかった若者の間で、PHSは大ブレイク!

女子高生:安いからピッチ(PHS)にしてるって感じ!

PHSは「ピッチ」の愛称で、ポケベルに変わる必需品としてバカ売れ!
加入者数は2年で706万人を突破!

しかし、華やかなデビューを飾ったPHSに思わぬ落とし穴が待っていたのです。
それは…「つながらない」!
その原因は?

ウィルコム執行役員副社長土橋匡さん:とにかく基地局が足りなかった。
当時のエリアマップがありますけど、悲しいぐらい狭い

携帯電話もPHSも街中に基地局、つまりアンテナを立てる事で通話できます。
ところが、PHSサービスを始めた時には、その肝心なアンテナの数が全然足りなかった…。
しかも、携帯電話のアンテナは半径5kmの利用者をカバーする事ができるのに対して、PHSのアンテナは半径500mと、とても狭い。
という事は…アンテナが少ないと圏外だらけ!

土橋さん:お客様のつながらないという不満が、非常に私どもに寄せられて。
結果的に携帯電話に移られる方が多かった

「自宅でつながらない!」「会社でつながらない!」といった致命的なクレームが急増!
「PHSは安いけど圏外が多い!」「移動中は使えない!」などなど。
徐々に「安かろう、悪かろう」のイメージが定着。
加入者数は、サービス開始からわずか4年で…激減!

まさに「PHS冬の時代へ」。
2005年、アステルグループはPHS事業から撤退。
さらに、王者ドコモまでもが撤退を発表!世の中の誰もが、「やっぱりPHSはダメかぁ…」とあきらめムード。

しかし!一つだけあきらめていない会社がありました。それが…「ウィルコム」!
ドコモの撤退発表があった翌日、ウィルコムはあえて一面広告でPHSの巻き返しを宣言!
「PHSはウィルコムが進化させます!」そう、PHSは決してダメな技術じゃない!
欠点を直せばケータイに負けないサービスができる!
ウィルコムはそう信じてコツコツと、ひそかに大作戦を練り上げるのです。

PHS逆転大作戦

▼PHS逆転大作戦その1:アンテナをひたすら増やす!
PHS最大の弱点だった、「つながらない」現象。
その原因は「電波の弱さ」でした。PHSは、携帯電話よりもアンテナと電話をつなぐ電波の届く距離が短い。同じエリアをカバーするためには、携帯電話の何倍もの数のアンテナを立てなくてはならなかったのです。

「だったらたくさん立ててやる!」ウィルコムは加入者が減ってもめげることなく、アンテナをコツコツと増設!地下鉄の中や、ビルの中にも、つながらない場所をしらみぶしに補強!

土橋さん:当時を忘れもしないです。

95年8月22日に全部の社員を出勤させ、東京都の地図を切って、全員に『お前はここのパート』と、社員全員でエリア調査をした。

こうして携帯電話に負けないよう、どんどんアンテナを立て始めたPHS。
アンテナの数さえあれば、PHSには携帯電話に勝てる、スゴイ長所があるんです。それは…

▼PHS逆転大作戦その2:音がいい!
基地局のアンテナ。
ひとつのアンテナが同時に通信できる電話の数には限界があります。
携帯電話のアンテナは、PHSよりカバーできる範囲が広いため、ひとつのアンテナでたくさんの電話機とつながらないといけない。
このため、どうしても電話の音がちょっと悪くなってしまう。だったらアンテナをいっぱい立てれば…といきたいところですが、携帯電話の電波の性質上、重ねてたくさん立てにくいんです。

ところが、PHSの電波はたくさん立ててもぶつからない性質を持っているから大丈夫!

アンテナの数が多いので、ケータイよりもたくさんの人をつなぐ事ができる。

アンテナに無理をさせていないので、ウィルコムのPHSはケータイよりも音がいいんです。
音がいい、という事は…?

▼PHS逆転大作戦その3:高速のデータ通信!
カセットテープよりCDの方が音がいいのは、記録できる容量が多いから。
つまり、音がいいPHSは、携帯電話よりもたくさんのデータが送れるんです!
そんなPHSの強みを生かしたウィルコムのデータ通信サービス「AirH″(エア・エッジ)」は、外出先でもインターネットができるサービスとして、ビジネスマンを中心に爆発的な人気を獲得していくのです!

忘れられかけていた技術から、データ通信の便利なツールへ。
徐々に復活を始めたPHS!
そして、2005年5月、ウィルコムはついに、携帯電話を追撃する、最大にして最強の切り札を投入するのです!

▼PHS逆転大作戦その4:24時間音声定額制!
ウィルコムは、携帯電話・PHS業界通じて初めての24時間音声定額制をスタート!
「基本料2900円」「PHS同士はかけ放題」と、衝撃の安さで大ヒット!

土橋さん:24時間定額制が、確実なニーズがあると確信があった。失敗するとは到底思っていないんですよ

と、強気な副社長!

でも、携帯会社は何でできないのか?
実は、この「24時間音声定額制」を他社がなかなかマネできないワケがあるんです!

もし、この定額制を導入するとどうなるのか…。
そう、料金を気にせず電話を使うお客さんがドーンと増えちゃう!
先ほどお話したとおり、ケータイはエリアあたりのアンテナの数がPHSよりも少ないため、ひとつのエリアにお客さんが増えすぎると、つながりにくくなっちゃう。
コンサート会場や野球場で、つながらないことありますよね?

というわけで、なかなか24時間音声定額制にふみきれないケータイ各社を尻目に、アンテナの数が多く余力の大きいウォルコムは、このサービスを開始することができたのです!
さらにその年、加入者数は過去最高の361万人を突破!

データ通信、そして音声定額の大ヒットで、安くてダメな「なんちゃって携帯」から、弱点を武器に変え新しく生まれ変わったウォルコムのPHS。
ウィルコムが携帯電話を超える日が来ちゃったりするんでしょうかね?

▼スタジオで喜久川社長にお話を伺いました!
加藤さん:他社がどこも撤退していった時、「ヤバイ!」という気持ちなのか、「しめしめ」だったのか、どちらでしたか?

喜久川社長:どちらかと言うと、PHSの産業全体を考えた時の不安を非常に多く感じました。「しめしめ」というのはないですね。

進藤さん:転職を考えた事は?

喜久川社長:それはまったく考えた事がないですね。いつもないです。

進藤さん:PHSの良さの音がいいという部分なんですけれども、その仕組みはどのようなものですか?

喜久川社長:わかりやすく言うと、先祖が違うんです。携帯電話はもともと自動車電話が進化したもので、音声の品質はあまり意識せずにつながる事を優先にした。PHSはご家庭にあるコードレスフォンの子機が進化したもの。親機が基地局になって、子機が電話機になるというのが、PHSの祖先なんです。固定電話の音声の品質はいいですよね。その規格をそのまま持ってきたのがPHS。だから音がいいんです。

進藤さん:携帯電話から電話をかけると市外局番がいりますよね。でも、PHSにはそういうルーツがあるから、近くの地域なら市外局番がいらない。だから、東京だと03がいらないんです。

加藤さん:じゃあ、PHSは家の電話とほとんど変わらないんですね。

ウィルコム大逆転の立役者 アンテナ部隊に密着!

ウォルコム最大の武器、それは12年もの間築きあげてきたネットワーク!
その最前線にして最新技術を誇るのが、基地局つまりアンテナ!
そんなPHSのアンテナのヒミツを探るべく、ウィルコムのアンテナ部隊に密着!
迎えてくれたのは、ウィルコム設備企画部長國信(くにのぶ)健一郎さん。

全国にウィルコムのアンテナ網を築き続けて14年の大ベテラン!

Q:ウィルコムさんのアンテナは何がすごいんですか?
國信さん:全国に16万のアンテナを設置してエリアを作っているんです。

Q:かなりの数ですよね?
國信さん:そうですね。

携帯電話のアンテナは1社あたり4万局。
PHSは携帯の約4倍の16万局も全国に張り巡らせているんです!

ちなみに、これが携帯のアンテナ。
PHSのアンテナと見比べてみると…

さらにお値段も…

こ〜んなに違うんです。

Q:何でそんなに必要なんですか?
國信さん:それだけお客さんが利用するということです。
そのためにはアンテナが必要です。

今回、アンテナ調査に同行することに!
高層ビルに電波を飛ばすアンテナ設置場所を探すのだとか。

Q:外からアンテナを飛ばすんですか?
國信さん:中につけるやり方と外から狙うやり方の2通りがあるんです。

大きな高層ビルの場合、フロア毎に小型のアンテナを設置するのが一般的。
でも何十個も設置しちゃうとコストがかかって大変。
そんな時は、隣の建物の上から電波を飛ばすと効果的。
今回、このアンテナを立てる場所を探します!

Q:簡単じゃないんですか?
國信さん:これがまた大変なんですよ。

Q:どのあたりが?
國信さん:いいビルがあっても、なかなかオーナーさんにご了解頂けないということがたくさんありますので…

Q:交渉するってことなんですか?
國信さん:そうですね。

Q:なかなか大変なんですね。
國信さん:はい。

そう、アンテナ部隊のお仕事は設置場所の交渉が大変!
…と、どうやら見晴らしのいい建物を発見!
そこで…なんと飛び込みで交渉開始!
果たしてうまくいくのか?
わずか1分後…

國信さん:(ジェスチャーで)×

やっぱりそんなに簡単にはいかないようです…。
更に次のビルも…ダメ。その次のビルも…ダメ。調査開始から2時間が経過…

岡村さん:だいぶ歩きましたけど…
國信さん:まだまだこれからですから!

さすがに飛び込みで話を聞いてくれるオーナーさんは少ないようです。
あきらめきれない國信さん。

國信さん:今度こそ!

しかし、30分後…

岡村さん:ここだけ交渉が長くなっているんですが、大丈夫なんでしょうか?

その時!

國信さん:(ジェスチャーで)○!
岡村さん:嬉しそうですね!やりましたね!
國信さん:こんな事はなかなかないんですが…嬉しいです、ホントに!

國信さん、会心の笑顔!
後日、改めてアンテナ設置の話を進める予定です!がんばれ國信さん!

法人相手に大ヒット!

実は、ウィルコムは他社にはない特殊な儲かるカードがあるんだとか。
それは…PHSに入っている、W-SIM(ウィルコムシム)カード!

「ああ、それだったらドコモにもFOMAカードがあるし、auならICカードがあるじゃん」というアナタ!
ウィルコムのカードはちょっと違います!

執行役員副社長近義起さん:これはですね、アンテナが入ってるんです!通信に必要な全部の物が入っている、ひとつのPHSと思って下さい。

このカード、個人の契約情報や電話帳のメモリーの他に、アンテナや通信チップを埋め込んだ、いわば「超小さなPHS」。
つまり、アンテナや通信部分を作る手間が省けるので、誰でも簡単にPHSが作れちゃう。
おかげで、これまで携帯電話業界には縁のなかったさまざまな会社が、ユニークなPHSを簡単に開発できるんです!

そして、このカードを使い、2005年、PHS業界最大のバカ売れ商品となったのが…こちら、W-ZERO3シリーズ!

一見、電子手帳のように見えますが、これは携帯電話とパソコンの機能をひとつにした、スマートフォンといわれるもの。
日本ではまだあまり知られていませんが、欧米のビジネスマンの間では、スマートフォンはもはや必須アイテムなのです!
なんと予約日には有楽町ビッグカメラの前に発売を待ちきれない人たちが200人もの行列ができる盛況ぶり!
開発担当の須永さんに聞いてみました。

Q:そんなに売れましたか?
ウィルコム「W-ZERO3」開発担当須永康弘さん:売れましたね〜、これは売れました!これを買ってくれたお客様にありがとうと言いたい!ホントにありがたいんですよね!ホントよく売れたなぁと思って!

そんなヒット商品の開発にウィルコムが手を組んだのは…シャープ!
携帯の開発部門ではなく、あのザウルスの電子手帳をつくった部門!
通信機能のあるW-SIM(ウィルコムシム)とシャープの持つザウルスのノウハウが合体!
おかげで、普通の携帯電話開発の3分の1、およそ半年で完成したのです!
そんなW-ZERO3シリーズには、隠れた大ヒットのヒミツがありました!それは…

須永さん:W-ZERO3なんですけど、法人さんにメチャメチャ売れてます!

そう、法人にめっぽう強い!
全国のさまざまな企業で、社員ネットワークのツールとしてまとめ買いされている、儲かりアイテムなんです!
早速、W-ERO3を使っている所に直撃!…とそこは、お寿司屋さん!?

株式会社寿司岩東浩徳さん:寿司屋もIT化かなと!

W-ZERO3のおかげで、パソコンの半分以下のコストで支店30店舗のIT化に成功!
さらに、PHSは全国3500の医療機関でも大人気!
病院の中は、電波の強いケータイは電源を切らなければなりませんが、低電磁波のPHSはそのままでもオッケー!
携帯各社と比べてみても、法人シェアはダントツのトップを誇ります!

東さん:W-ZERO3でがっちり!
ビジネスに強いW−ZERO3や進化するPHSで、ウィルコムの躍進はとどまることを知らないようです!

▼スタジオでお話を伺いました。
進藤さん:私も出産の時に(PHSに)すごくお世話になりました。診察券と引き換えにPHSをいただいて、順番が来たら呼び出してもらえるんです。

加藤さん:(病院で使えるというのは)電波が弱いということの利点ですね。

喜久川社長:そうですね。例えば慶應義塾大学病院さんでは、IT化がどうしても必須になってきますので、われわれの電話機が導入されています。

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