過去の放送内容
2007年1月21日放送

特集
キユーピー
ゲスト
キユーピー(株) 鈴木豊 代表取締役
番組内容
突然ですが、問題です。
日本人1人当たりの消費量が世界でアメリカに次いで第2位の調味料は何でしょう?
答えは…マヨネーズ!
アメリカの4kgには及びませんが、年間1.8kgものマヨネーズを食べているんです。
どうして日本人がこんなにマヨネーズを好きになったのでしょうか…?
それは、あの会社があったから。
今回のがっちりマンデーは、世界一のマヨネーズ王国を作り上げたキユーピー、儲かりの秘密を徹底解剖します!
キユーピー 知られざる儲かり戦略とは!?
1人当たりのマヨネーズ消費量、堂々世界第2位の日本人!
国内でのマヨネーズ生産量の伸びも、すごい勢いで伸びてきました。

そんなマヨネーズを日本で一番最初に発売したのが、キユーピー株式会社。
まさにマヨネーズの歴史はキユーピーの歴史なのです。

キユーピーの創始者、中島董一郎。
1915年、中島がアメリカ留学で出会ったマヨネーズがそもそもの始まりでした。
日本に帰国後、食品工業株式会社を設立。
1925年に、国産初のマヨネーズを売り出したのです。

マヨネーズは発売当初から爆発的な大ヒット、というわけには行きませんでした。
当時の日本人は生野菜のサラダを食べる習慣も無い上、マヨネーズなんて見たこともない調味料だったのです。
ポマードと間違えて髪に塗っちゃう人もいたとか!
そこで、中島董一郎が考えたのが…
▼マヨネーズ儲かり戦略その1 知名度UP大作戦
まずは、マヨネーズという調味料を知ってもらわねば!
中島は売り上げのほとんどを宣伝広告費用にあてたのです。
驚くのはそのやり方!広告は、細く長く。
キユーピーは毎週、新聞の同じ場所にマヨネーズの広告を打ち続けました。
ゆうに半世紀以上経った2007年の今も、ありました!


長く続けるといえば、こちらも!
キユーピー3分クッキング(NTV系)の開始は1962年、現在も続くこの番組は「同一スポンサーによる最多放送回数番組」とギネスに認定されています。
ドカンと一発より、細く長くの方が人々の印象に残る、というわけです。

終戦後、食生活の洋風化で野菜を生で食べる習慣が広まると、マヨネーズはバカ売れ!
すると、大手水産会社や乳業メーカー、食品加工会社などの大企業が、われもわれもとこぞってマヨネーズ市場に参入。
キユーピー、大ピンチか!?
そこで、中島董一郎が考えたのが…
▼マヨネーズ儲かり戦略その2 何度でも値下げ
中島はマヨネーズ専業メーカーの強みを生かして、生産ラインを増強するとともに、徹底的なコストダウンを図りました。
キユーピーが発売から70年間で行った値下げ、なんと23回!
価格面でも品質面でもかなわないと、後発メーカーはマヨネーズ市場から撤退していったのです。
そんな中、キユーピーに挑戦状をたたきつけたのが、食品業界の雄、味の素!
キユーピーに遅れること約半世紀、1970年にマヨネーズの販売を開始したのです。
現在、マヨネーズ市場はキユーピーが60%のシェアとダントツのNo.1ながら、健康志向を反映してトクホマークを付けた機能性マヨネーズが大手メーカーから次々と発売され、熱いバトルを繰り広げています。

ここで問題!キユーピーが1年間に使用する卵の数は何個?
答えは…なんと40億個!
日本で生産される卵の、約10個に1個をキユーピー1社で使っている計算になるんだとか!
というわけで、卵がどうなっちゃってるのか、キユーピーマヨネーズ工場へ。
行ってみると、とんでもない速さでタマゴが割られています!
こちらが、自社で開発した高速割卵機。確かに高速!普通のカメラでは撮りきれません!

そこで、高速卵割機のスピードを少しゆっくりにしてもらいました。
よく見ると…下からナイフが入って殻を開いてる!
そしてカップには黄身だけが残って、V 字型の切れ目から白身が下に落ちています!
そう、卵を黄身と白身に分けているのです。
1分間に割るタマゴの数、なんと600個!
つまり1秒間に10個の卵を割ることの出来る、世界一の速さを誇る機械なのです。


でも、黄身の大部分はマヨネーズに使われるとして、白身と卵の殻はどうしているのかというと…
白身はケーキやかまぼこに、殻はカルシウム強化食品やチョークに、卵殻膜は調味料や化粧品などに利用されているのです。

そう、キユーピーはタマゴ総合カンパニーなのです。
卵の黄身は巨大なミキサー内でお酢や、植物油などを加えて攪拌、調合され、次々とポリチューブにつめられていきます。
こちらの工場だけで、1日100万個の卵を使用。
500g入りマヨネーズを30万本出荷しています。
量がすごすぎてイメージするのが難しいですが、五霞工場広報の中村怜子さんによると、「1日で25mプール1杯分のマヨネーズは作っています」とのこと!!
マヨネーズの王様の心配の種
それは野菜の供給が不安定になること。
野菜が売れないと、それにかけるマヨネーズやドレッシングも売れなくなってしまう!
というわけで、キユーピーは20年も前から、野菜の生産に乗り出しています。
それが、業界では草分けといわれるハイテク野菜ビジネス!
すごい工場があると聞いてやってきたのが、福島県白河市にあるTSファーム。
潜入した取材班が見たものは…なんと、野菜が立ってる!
土を一切使用しないハイテク農法で、天候に関係なく毎日決まった量の野菜を出荷することが出来るんだとか。
空間の有効利用もさることながら、腰を曲げずに作業ができるため、負担も軽いんです。

どうやって野菜に養分を与えているのかというと…
裏側からスプレーで肥料を吹き付けていました!
三角、つまりトライアングルなパネルに植えられた野菜をスプレーで育てるというわけで、トライアングルスプレー、TSファームと名づけられたのです。

太陽光は完全遮断、人工的に昼と夜を作り出し、路地モノの野菜の3分の1の周期で収穫が可能。
さらに、植物開発センターの佐々木秀夫所長によると、室内なので虫が入ってこない上、農薬を全く使ってないから、洗わないで食べられる!
路地モノに比べて2、3割値段は高めですが、天候にまったく左右されない安定した品質と価格で、レストランや総菜屋、ハンバーガーチェーンなどから引く手あまたなのです。
野菜を食べる回数が増えれば…マヨネーズやドレッシングを使う回数も増える!
しかも、その野菜まで市場に供給する。これがキユーピー、究極の儲かり戦略なのです。
▼さて、スタジオでキユーピーの鈴木社長にお話を伺いました。
加藤さん:ところで、「キユーピー」の「ユ」の文字が大きい理由は何ですか?
鈴木社長:「ユ」の文字が大きい方が、デザイン的にバランスがいいからです。決して「豊(ユタカ)」のユからきたのではありません(笑)
加藤さん:マヨネーズ好きの人、「マヨラー」もいますが、やっぱり野菜がないとマヨネーズが売れないということで、野菜を栽培する。これはうまいこと考えましたね〜
鈴木社長:マヨネーズはあくまでも調味料ですから、素材がないと調味料を使って頂けない。
おいしい素材と安定した量を確保する。そうしたら、調味料も一定的に使って頂ける。その両輪についてやっているというのが、今の感じですね。
加藤さん:キユーピーの社員食堂には、マヨネーズはどういう形で置いてあるんですか?
鈴木社長:テーブルにはスタンディングの形で置いてあります。
加藤さん:例えば、キャベツの千切りに社員がマヨネーズではなくソースをかけているのを見たら、社長はどう思われます?
鈴木社長:…う〜ん(笑)
加藤さん:他社が参入しても、結局マヨネーズ市場から出て行ってしまうくらいでしたから、キユーピーの戦略はすごいですね。
鈴木社長:どんどん合理化しながら値段を下げていきましたので、そういった面では最高のマーチャンダイズなんじゃないですかね。
加藤さん:社長から見て、キユーピーの最大のライバルは?
鈴木社長:一番のライバルは、家庭の主婦。もし家で作ったマヨネーズが私どものマヨネーズよりおいしくて安く作れて手軽だったら、恐らく家庭の主婦は買わずに自分で作ると思いますね。
加藤さん:ライバルは企業じゃなくて消費者なんですね。ちなみに、乙葉さんは手作りマヨネーズを作ったことはありますか?
乙葉さん:小学生の時1回だけマヨネーズを作ったことがあるんですが、それで大変だということが身にしみて分かり、買うことにしました。やっぱり、製造者にはかなわないですよ。
鈴木社長:立派な製造者になりたいと思います(笑)
タマゴ研究の最前線に潜入!
1年間で40億個の卵を使用するキユーピー。
その卵はマヨネーズのためだけに使っているわけではありません。
キユーピーは、タマゴ総合カンパニーなのです!
こちら、東京都府中市にある、キユーピー研究所。
あの話題の「たらこパスタソース」を初め、様々なヒット商品を研究開発しています。
その名も、「タマゴ研究室」に川田が潜入!
そこでは、キユーピーグループ カナエフーズ研究部の島崎充子さんが、ちょうど新しいオムレツを確認しているところでした。

このカチカチに凍った冷凍のオムレツが、温めると「とろっとオムレツ」に変身するというのです。
お湯に入れて待つこと10分。
用意しておいたチキンライスの上に乗せて、中を開いてみると…
経済予報士見習い・川田:うわぁ〜、とろとろじゃないですか!!

これは、おととし発売した業務用冷凍オムレツ。
冷凍のものを温めても、中が固まることなくとろりと溶け出る技術を新開発。
この商品によって、外食業界でオムレツメニューが急増したのだそうです。
売上げも急上昇なのだとか!!
さらに、研究所で「キューピットのたまご」という名の卵を発見!
そこで、タマゴ素材グループの兒島高志さんに早速中を割って見せてもらうと…
白身は半熟、中の黄身はトロトロという半熟卵が出現。
普通の卵をボイルしても、この状態になる秘密のゆで方を開発したそうです。


この半熟卵、どこかで見たことがある…と思った方は、鋭い!!
やってきたのは、あの吉野家。
そう、吉野家の半熟卵は、キユーピーが一手に引き受けていたのです!
吉野家営業部の加藤忠央店長は、
「当社においてもいろんな商品に合う卵として、非常に助かっております」と絶賛。
この半熟卵は吉野家に卸している分も含めて、年間1億個を売り上げる大ヒット商品なんです。

そして、黄身が白い卵があるとのウワサを聞きつけ、早速見せてもらうことに。
普通に殻を割った状態の黄身を見ると、ちょっと微妙な感じですが…

この卵を加熱すると…確かに、黄身が白い!

ピュアホワイトと名づけられたこの卵、一体何の役に立つんでしょう?
タマゴ素材グループの和田磨希子さんによると、
「お菓子屋さんから、白い卵がほしいという要望があったんです」とのこと。
今、お菓子屋さんやケーキ屋さんから引っ張りだこの大人気となっているのです。
東京都江戸川区にあるケーキ屋「ドゥー・シュークル」の佐藤均社長も、
「今まで黄身が黄色いということでできなかった白いスポンジなど、今までになかった部分で非常に革新的な商品としてこれから使われていくと思います」と話していました。
こちらが、普通の卵を使ったスポンジ。
ピュアホワイトを使うと、純白のスポンジが出来るのです。


ケーキ評論家でもある、ADの佐藤さんがピュアホワイトケーキを試食。
言葉にならないほどのおいしさのようです…
一方、研究所では、いろんな料理にマヨネーズを入れて新しい味を研究中。
川田がマヨネーズ入りのチャーハンを試食すると…「おいしいっ!」。
マヨネーズは火を通すと酸っぱい味が飛んでしまうので、気にせず使えるそうです。
キユーピー3分クッキング風♪エビフライ
準備するのは、エビ、小麦粉、パン粉、そしてマヨネーズ。
なんと、油は使わなくてもエビフライができるのだとか!
調味料グループの金子真由美さんによると、
「マヨネーズには卵も油も入っているので、卵と油の代わりをしてくれるんです」とのこと。
まず、むいたエビに小麦粉をつけます。
そして、エビにまんべんなくキユーピーのマヨネーズを塗ります。

その後でパン粉をつけ、オーブンで10分ほど焼いたら…完成!

さて、肝心のお味の方は…「サクサクしてぷりぷりして、おいしい!」(川田)。
マヨネーズを使って一工夫するだけで、料理もこんなに楽しくなります。
キユーピーはこうした研究を進めながら、タマゴ総合カンパニーとしての座を確立しているのです。
▼さて、スタジオにはマヨネーズを使って調理したエビフライを用意しました!
早速試食してみると…
加藤さん:あらっ、エビフライだよ…これはおいしいです!
乙葉さん:マヨネーズの味がほのかにするので、味付けしなくてもいいですね。手軽でいいですね。
鈴木社長:マヨネーズを塗っても、自然な味でしょ。
加藤さん:半熟卵はいろんなレストランでも見かけますが、あれがキユーピーが作っていたとは全然知りませんでした。
乙葉さん:「とろっとオムレツ」がありましたが、家ではなかなかあのようにふわっとしたオムレツが作れないんですよ。
鈴木社長:冷凍のものに熱をかけてもとろっとできるのが技術なんですね。
加藤さん:レストランに行ってオムライスを食べる時、そのふわっとした仕上がりに「すごいな」と思っていても、実はキユーピーの商品をそのまま使っている店もあるかもしれないんですね!じゃあ、これまで食べていたオムライスもアルバイトの人が作っているかもしれないんですね(笑)
鈴木社長:プロの方と同じような味を手軽に家でも食べられるようになると、もっと食事が楽しくなります。そういうことをどんどん技術を使ってやっていければ、私どももお客様に喜んで頂けると思っています。