過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2007年1月14日放送

特集

®マークって何??

ゲスト

山田優さん、田北浩章さん(会社四季報編集長)

番組内容

商品名の端についてるこの®のマーク、見かける機会も多いと思いますが、一体何のマークか知ってますか〜?

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®マークの儲かる秘密

商品のタイトルなどには、®マークの他にも気になる印がついてること、ありますよね。
例えばこちら!「™」って一体何でしょうか?

実はこれ、「トレードマーク」の略。
まだ特許庁に登録される前ですが、自社の商標であることを主張したい場合につけているものなんです。

こちらの©マーク。
これは「Copyright」の頭文字をとっていて、著作権を保護していることを表しているんです。

こうしたマークの中でも最も強力なのは、登録商標である「®マーク」。
保護される期間が決まっている特許権や著作権とは違って、永久的に権利を持つことができるんです。

®マークの儲かる秘密その1:素材の加工技術で儲ける

フライパンや鍋など、調理器具でよく使われる「テフロン加工」。
このテフロンも®マーク製品です。

テフロンはご存知のように、加熱調理をしてもこびりつかないのが特徴!
フライパンの端から息を吹きかけるだけでひっくり返すことができるほど、こびりつきません!
テフロンは、米国デュポン社が持つ登録商標。
デュポン社は、今や誰もが知っている「ナイロン繊維」や「セロハン」なども発明した世界的な科学企業。

でもこのテフロンは、1938年に実験中のプランケット博士が偶然発見したもの。
これが発見された物と同じ白い粉、フッ素樹脂。
実はこれが、テフロンの正体なんです。

テフロン加工とは、このフッ素樹脂を特殊加工して使う方法のこと。
しかし、デュポン社では製品はつくっていません。
フッ素樹脂そのものや加工のノウハウを他のメーカーに提供、テフロンという商標を使う許可を出すだけ。
それで莫大な利益をあげてきたんです。
こうしてモノがくっつかず、滑りやすいテフロン!

実は、こんなものも滑らせていました。
それは…高層ビル!?
一体どういうことなのでしょうか。

実際にテフロン加工で滑らせているという芝浦工業大学の豊洲キャンパスを訪ねました。
さっそくビルの下にもぐって見ると…
巨大な柱の下に現れたのは、テフロン加工された板!

実はこちら、巨大地震に耐えられるように造られた免震構造の建物!
地震で地面が揺れても柱の下にテフロン加工の板があるので、ビル自体はその上を滑るため揺れが少ないというわけ!
震度7の地震でもビルの中ではかすかな揺れを感じる程度だとか。

こうしたテフロンをはじめ、今では数多くの登録商標を持つデュポン社ですが、その昔こんな大失敗が!

20世紀の大発明と言われるナイロンやセロハンも、元々はデュポン社が使っていた名称。
ところが商標として®マークをつけていなかったため、一般の名称となってどんどん使われてしまったんです。

デュポン社の社員もこのように話しています。
「今ナイロンやセロハンがデュポン社のブランドであれば、デュポン社ももっと違った大きさの会社になってたかもしれません…」。

®マークをつけているかどうかは、運命の分かれ道!
®マークは重要なんです。

®マークの儲かる秘密その2:品質保証で儲ける

ウールマークにも、®マークが!

ところで、ウールマークって一体どんなものなのでしょうか?
実は、その名も「THE WOOLMARK COMPANY」という会社が持っている「登録商標」。

ウールマークカンパニーとは、各メーカーにウールマークの使用許可、いわゆるライセンスを出すことのみに作られた会社なんです。
元々天然の羊毛100%のことを「ウール」と言っていたのですが・・・
第二次世界大戦前後に合成繊維が出現!
それらを混ぜた粗悪なウールが世界的に出回り始めてしまいました。

そこで1964年、ウールのイメージを守ろうと、オーストラリアを中心とした羊毛産出国が世界的な品質基準を設けました。
一番のポイントは、柔らかい羊の新毛100%であること!厳しい基準をクリアした製品にだけ、ウールマークを与えたのです。
そのため、ウールマークのライセンスを取るには、厳しい試験に合格しなければなりません!
その試験機関が、毛製品検査協会。
ここでメーカーから送られた生地を検査。ウール100%かどうかを厳しくチェックしているのです。
こちら、一見すると全く同じ生地に見えますが、どちらかがウール100%で、どちらかが他の繊維の混ざったもの。
AとBのどちらにウールマークがつくと思いますか?

検査は、沸騰させた検査薬に生地を入れて行います。
ウール100%の生地なら、溶けて無くなってしまうんだそうです。

では、検査開始!
ABいっぺんに生地を入れると…
両方とも勢いよく溶け始めました!

ですがBの生地が一気に追い込みをかけて…
どんどん溶けて、Bの生地は無くなってしまいました!

つまり、Bがウール100%の生地だったのです!

ごらんのように100%ウールはきれいに溶けていますが、混ざり物のある生地は繊維が残ってしまいました。

また、合格して販売している製品に対しても、チェックの手を緩めるわけではありません。

「市場でウチの方で年間400点くらい商品を買ってます。
ご存知ない方もおられると思うんですけど、匿名で買ってそれを試験するということをやっています」。

検査スタッフがお客のふりをしてショップに潜入。
怪しそうなウールマーク商品を購入しては、チェックしていたんです!

例えば、覆面チェックで買って来たこちらのセーター、一度洗濯をしたら…
ごらんのとおり、こんなに縮んじゃいました!

こんな製品を作ってた場合は、毛製品検査協会のスタッフがそこの工場に行き、技術の改善を要求するのだとか。

ところでこのウールマーク、ライセンスを取るのにいくらくらいかかるのかというと…
日本円にして年間およそ70万円。
試験に合格して70万円払えば、何回使っても同じ値段!
ウールマーク、品質保証で儲けるオシャレ〜な®マークでした。

▼さて、スタジオではゲストの方にお話を伺いました。
加藤さん:へぇー、ウールマークをチェックする機関があるんですね〜

田北さん:ウールマーク商品をチェックして品質を保証する。それによって消費者は安心して買えるようになる。そうやらないと、自分たちのブランドが崩れてしまう訳です。ブランドを維持するために、チェックが必要なんですね。

加藤さん:山田さんは服を買う時、ウールマークなどの素材を見て選ぶんですか。

山田さん:素材は見ますね。私はニットなどのチクチクする素材が苦手なので、ウール100%などの素材がいいですね。

田北さん:今日もフリップを作ってきました。「四季報」という言葉だけで、商標として56件も登録されているんです。ウチ(東洋経済新報社)が登録したものは16件しかなく、あとは全く関係のない方が登録したものです。会社四季報以外には、競馬四季報、パテント四季報、IP四季報、船宿四季報、ナイス四季報など、いろいろあります。これらはほとんど使われてなく、ただ商標登録しているだけのものが多いです。30万円払って登録して、他の人に使わせないようにするか、あるいは他の人が使った場合にお金が入るようにするためです。商標登録の期限は 10年ですが、10年に1度更新料の20万円を支払えば、永久的に使えます。ウチの場合は、他の人に使わせない、という防衛的な要素があります。

進藤さん:こちらもフリップを用意しました。®マークとTMマークの使い方の違いについてです。intelは®マークがついていますが、vProになるとまだ®マークがとれていなくて、™ (トレードマーク)しかついていません。

®マークの儲かる秘密その3:システムを売って儲ける

CDコンポやDVDレコーダー、AV機器などについている、DOLBY(ドルビー)!
ここにも®マークがついています。

ドルビーとは、1965年にアメリカ人のレイ・ドルビーが開発したノイズを消すシステムのこと。
試しに、ドルビーを入れずにカセットデッキで音楽を聴く場合とドルビーをオンにした場合とを比べた時、ドルビーをオンにするとサーサー音が消えました!

さらにホームシアターでおなじみ、立体的に音が聞けるサラウンドシステムもドルビーの技術!
こうして、ドルビーという登録商標と音響システムの使用許可を出すことで、利益を上げてきました。

そして、ドルビー最大の活躍の場は、映画関連の音響システム。
中でもドルビーの名を世界的に有名にしたのは、1977年に公開された「スターウォーズ」。
ドルビーステレオのシステムを使ったこの作品の大ヒットで、ドルビーの名は一躍世界に知れわたることに!
勢いにのっていたドルビーでしたが、1993年に強敵が現れます。

それは、スピルバーグ監督の「ジュラシックパーク」が、ドルビーとは違う「dts」という音響システムを採用したこと。
映画の大ヒットとともに音響システムも「dts」へと一気に流れが変わってしまったのです。
ドルビーが追い抜かれた「dtsシステム」は音声がデジタル化され、CDに収録し、それをフィルムと同時に回すというもの。
沢山の音声データをコンパクトに収めたdtsは、世界中で重宝がられました。

もちろんドルビーも必死にシステムの改良を進めます。
しかし、フィルムにはすでにアナログ音声を録音しているラインが2つあって、新たに音声データを入れる隙間などありません。

どこか他に使える部分は無いのかと探していると…見つけました!!
それは、フィルムをまわすための小さな穴と穴の間。
約2.4mm×2.4mmという小さなスペースにドルビーは目をつけたんです。

ドルビー日本支社の伏木雅昭副社長は、こう話しています。
「ツメで駆動していくところなので、傷でもつくんじゃないかと思うのですが、調べていくと意外に安全なエリアだと分かりまして、"じゃあココを使おう!"ということになりました」。

ドルビーはこの小さなスペースに音声データを収録することに成功!
フィルムをまわせば、同時に再生できるようなシステムを開発したんです。

さらに、近寄ってみると…なんと、ドルビーのマークが!

スペース1個1個にプリントしてあるんです。
でも、これって何のため…?

ドルビー日本支社の伏木副社長によると、
「かなりデータを詰めているんで"余裕がないだろう"、という見方に対し、"こういうことをやってもデータが入るんだ"ということを示すためですね」とのこと。

ま、ちょっとした自慢みたいなものですかね。

CDを一緒にまわさなければいけないdtsに対して、フィルムをまわすだけでいいドルビーのシステムは、すぐに映画館関係者に受け入れらます。これでドルビーは世界的なトップシェアをみごと奪回!

日本人が考えた、世界で活躍する®マーク素材とは?

それは、合成皮革クラリーノ。
ここにも®マークが!

ランドセルやシューズですっかりおなじみのクラリーノは、クラレの登録商標。
クラレは、工場でつくったクラリーノを素材として他社に販売することで利益をあげてきました。
現在合成皮革では、全世界の25%のシェアを誇るトップメーカーなのです。

クラレがクラリーノの開発を始めたのは、1960年はじめ頃のこと。
クラリーノのスタートは、紳士靴を作ることでした。
当時はまだ革が高級とされていた時代だったので、多くの人に革靴を履いてもらおうと考え、紳士靴で使う人工皮革の開発に乗り出しました。
本革には強さとやわらかさを保つ自然の繊維質がありますが、これは自然のなせるワザ。

そこで考えられたのは、当時すでにあった「不織布」の技法を取り入れること。
「不織布」とは、字の通り、織らないで作られた布のこと。
これを本皮の繊維質に見立てて、様々な加工を施していったのです。
こうして合成皮革クラリーノが完成。
研究を積み重ね1964年、クラリーノを使った紳士靴は、発売にこぎつけました。

こうして合成皮革クラリーノは様々なメーカーに販売をはじめます。

いまや定番となったランドセル。
クラリーノのバレーボールは、昨年の世界バレーで公式球に!
今年10月には、アメリカプロバスケットボールNBAの公式球にクラリーノの正式採用が決定!
天然皮革以外が使われるのはNBA60年の歴史で初めてという快挙を成し遂げました。
クラリーノは、日本発の世界的な® マーク素材として躍進しそうです!

▼さて、スタジオで再びゲストの方にお話を伺いました。
山田さん:クラリーノは日本で作られていたんですね。ランドセルでもよく使ってましたよね。

加藤さん:ドルビーのマークも、横についているとは…目の付け所がすごいですね。

田北さん:DVDのパッケージの裏にもドルビーのマークがあると思います。あくまでもハードシステムの映画館や音響メーカーにはお金をとる。一方DVDは宣伝なので、タダで提供しています。まぁ、これもドルビーの戦略ですよね。

進藤さん:実は、山田優さんにもマークがついているものがあるということですが…

山田さん:フィギュアを出しまして、著作権の©マークがついています。メイドの格好やキックをしているフィギュアは映画で着た衣装なのですが、これには映画の著作権とフィギュアを作った人の著作権が含まれているとのことです。

加藤さん:つまり、この衣装は他のフィギュアには絶対に使えないということなんですね!

進藤さん:今年きそうな、儲かる®マークを教えてください!

田北さん:それは、MSC(海洋管理協議会)の認証ラベルです。今、世界的に漁業資源の枯渇が大問題になっています。実はこのマークがついている商品は、とり方や漁場、流通など、全て再生産できるやり方できちんととっているということなんです。今年は非常に注目できると思います。

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