過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2006年11月12日放送

特集

ロングセラーの秘密

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)・森口博子さん

番組内容

今日のがっちりマンデーは…大好評!「ロングセラーのヒミツ、第3弾!」
誰もが知ってる、あの超有名ロングセラーの売れ続けるワケを徹底解剖しちゃいます!
さあ、あのロングセラーから、儲かる秘訣を学んじゃいましょう!

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世界初のレトルト食品、ボンカレー

温めるだけで手軽においしく、誰もが一度は食べたことがあるあの味。そう、ボンカレー!
発売から38年、なんと累計20億食を販売!もはや国民の味とも言える、超ロングセラー!

おいしいカレーをすぐ食べられる、手軽さがウリのボンカレー。
それを可能にしているのが、包む袋であるレトルトパウチ。
今では当たり前の「レトルト」という技術、この技術の開発こそが、ボンカレー最大のロングセラーのヒミツ!
実はボンカレーは、世界で初めての市販レトルト食品なんです。

ボンカレーの発売元、大塚食品(当時・大塚化学薬品)がカレー業界に参入したのは、今から42年前の昭和39年。
しかし、当時すでにこのジャンルには、ハウス食品などの大手がズラリ。新参者の大塚食品は大苦戦していました。

そんなある日、新商品の開発に悩む研究員の目に一つの記事が飛び込んできます。
そこには、真空パックされたソーセージが!
これは、「缶詰」に代わる軽くて保存のきく食品の入れ物として某研究所がただいま開発中、というニュースでした。
食べ物を常温で長期間保存できる、夢のテクノロジー。
「これをカレーにすれば売れるんじゃないか!?」。
しかし、大阪の小さな食品メーカーに、トップシークレットの情報など簡単に手に入るわけがありません。
仕方なく、見よう見まねで開発を始めました。当然、失敗の連続でした。

ところで、「レトルトパウチ食品」って一体何なのでしょう?
食べ物が痛んでしまう一番の原因は空気中の菌。
そこで、まずカレーをパウチと呼ばれる袋に密封し、空気を遮断します。

そして、ここからがポイント。
密封されたパウチの中には、まだ食中毒の元になる様々な菌が残っています。
これを加熱殺菌するのですが、一番強いボツリヌス菌を殺すために必要なのは、120度の高温。
しかし、そんな高温にしたらパウチが破裂しちゃう!
そこで、120度の加熱と同時に、破裂を防ぐべく高圧をかけるんです。
こうすれば無事殺菌完了!

この「加熱」と「加圧」を同時に出来る特殊な釜、それがレトルト釜。
レトルト釜でパウチに入った食品を殺菌するから、「レトルトパウチ食品」と言うんですね。

そして研究を続けること、およそ2年。ようやく、半透明型パウチに入ったボンカレーが完成!

さあ、いよいよ発売!と、思いきや…
事件は商品運搬時に起こりました。
車の揺れや衝撃でパウチが破損、売り物にならなくなっていたのです。
大塚食品常勤監査役の熊沢健さんなど開発スタッフは、大あわてで一から袋を作り直すはめに…
そこからさらに研究を続けること、一年。
ついに、現在の形に近いパウチが完成します!
それは、もともとポリエステルとポリプロピレンの2層構造だった間に、アルミ箔を挟むというアイデア!

このアルミ箔のおかげで、パウチが一層頑丈に!
おまけに、アルミ箔が空気だけでなく、光も遮断してくれるので、賞味期限を3ヶ月から2年に伸ばすことにも成功!
こうして完成したボンカレー、発売後なんと、年間1億食を売る大ヒットに!
まったく新しい食品のカタチとして、日本の食卓を変える革命児となったのです。
そんなボンカレー、38年経った今ではレトルト技術もさらに進歩、今まで不可能だった電子レンジで温められるパウチの開発にも成功!
そのおかげで…調理をスタートしてなんとたった2分で出来上がり!これは早い!

ボンカレー、ロングセラーのヒミツは、つねに、最先端の技術を求めて研究を続ける、開発者たちのあくなき探究心にありました。

ホカロンは偶然のたまもの!?

これからの季節に欠かせない温かいロングセラーと言えば、ホカロン!
なんと、昭和53年の誕生から28年。
年間4億個以上を売り上げる、使い捨てカイロ業界の大ロングセラー。各メーカーで現在販売されている使い捨てカイロ。
実は、世界で最初に作られたのはこのホカロンなのです。

しかし不思議なのは、その製造元。
なぜお菓子メーカーのロッテが、全然関係なさそうな使い捨てカイロを作ったのでしょうか。
そこには思わぬ偶然がありました。
ロッテは、お菓子を守るため、お菓子の酸化を防いで長持ちさせてくれる脱酸素剤を開発していました。
しかしある時、もっと酸素を吸い付けるものを作ろうと、鉄粉と活性炭を混ぜてみました。
すると、何やら温かい。なんと、活性炭と鉄粉が化学反応を起こして発熱。
熱を出しては、お菓子を長持ちさせられないから、大失敗。
ところが、一人の開発スタッフが「これ、温かくていいね!」。
転んでもただでは起きない、このプラス思考。
これが、世界初の使い捨てカイロ、ホカロン誕生の瞬間だったのです。

Q:ホカロンの名前の由来は何ですか?
ロッテ健康産業・マーケティング部商品企画担当 荻生田雅尚さん:ホカホカの「ホカ」と、当時ヒットしていた薬の「パンシロン」などで使われていた流行り言葉の「ロン」とを合わせて、「ホカロン」とつけました。

失敗から生まれた、あったか「ホカロン」。
ロングセラーのヒントは、こんなところにも眠っているんですね。

▼さて、スタジオではゲストの方にお話を伺いました。
加藤さん:ホカロンってすごいですよね。偶然から生まれたんですね。

森永さん:産業界では、偶然が生み出したヒット商品はいくつもあります。例えば、3M(スリーエム)から出ている付箋紙のPost-it(ポストイット)がありますよね。ある時3Mの研究員がのりの開発をしていた時、のりがつかなくて失敗したんですね。ところが、他に使いみちがないかなと思って、試しに付箋につけて1980年に売ったところ、どこにでも貼れて跡が残らない世界初の「付箋紙」として爆発的にヒットしたんです。

加藤さん:失敗しても、ただでは転ばないことが大事なんですね。

森口さん:私、ホカロンの女王ですよ。冷え性なのですが、小学生の時はカイロを貼れないから、母親の古いパンストを借りてカイロを中に入れて、腰巻のようにして学校に通っていました。だから、貼れるタイプのホカロンが出てきた時は、もう「ありがとう」の一言でした!あとは、サッカーの観戦などに行った時、寒いので座布団型のカイロが欲しいなーと思っていたんです。その時は四つくらいカイロを敷いていたのですが、「これが一つになればいいな」と思っていたんです。すると、その後ホカロン座布団シーが出た!だから私ね、カイロのコマーシャルに出たいんです!だって、語れるもん(笑)

進藤さん:あとは、ボンカレーもありましたね。こちらが、あの優秀なパッケージです。

森永さん:ホカロンと同じように、外国の技術を参考にして開発する例が多くあります。自動車産業でも、最初はアメリカの車を輸入して全部バラす。バラして一つひとつどうやったらコピーが作れるか、ということを何度も繰り返している。ホカロンも、最初はコピーから入って、今やものすごい日本の技術になっていますから。

変わり続けるカローラ

誰もが知っているみんなの車、カローラ。
昭和41年の初代カローラ発売から40年。世界15カ国で生産、140カ国に輸出。
シリーズ世界累計生産台数3000万台を突破!これは、日本一どころか世界一!
まさしく、日本最大のロングセラーなんです!

ちなみにこのカローラという名前、ラテン語で「花の冠」という意味。
当時発売されていたトヨタの高級車、クラウンが「王の冠」、コロナが「光の冠」を意味する名前なのにちなんで、いつかはそんな人気車になってほしいという願いが、その名前にこめられているのです。

そしていまや、その願いの通り、大輪の花を咲かせたともいえるカローラ。
その驚異のロングセラーの理由って、一体何なのでしょう?
そこで、43年前、初代カローラの開発に携わったトヨタ自動車株式会社顧問、佐々木紫郎さんにお話を伺う事に。

カローラ開発のきっかけとなったのが、当時の通産省が提唱した国民車構想。
4人乗り、最高時速100キロ以上、そして価格25万円以下。
多くの人が手軽に乗れる車の開発を呼びかけるこの構想は、あまりに厳しかったものの、トヨタはこの条件を少しでも実現すべく、新車の開発を進めていきます。
カローラ開発、最大のコンセプトがこの「80点+α主義」。
それは、車の性能のどの部分においても80点以上の「合格点」をとるのはもちろん、さらにお客様の心をとらえる、ずば抜けた「+α」の魅力を与えるというものでした。
初代カローラのめざした「+α」は、スポーティ性。
シフトレバーは、当時主流だったコラムシフトから、ヨーロッパスタイルのフロアシフトに。

メーターは、無骨な四角から、美しい丸形に。

他にも、数々の斬新な装備をいち早く取り入れました。
しかし、そんなカローラ開発チームに、次々と無理難題がふっかけられます。

「アメリカに輸出できる車にしろ」
アメリカに輸出するために、冬のロッキー山脈での走行実験を始めました。寒冷地でも走れるように、カローラを改良!

さらに、発売直前の1966年4月になると、今度は…

「車の排気量を100cc増やせ」
カローラの発売直前、ライバルの日産が同じ1000ccの「ダットサン・サニー」を発表。
何とかそれより売れる車をと、発売ギリギリに排気量を1100ccに変更!
スタッフは、この過酷な要求も何とかクリア!
カローラは、発売までに、何度もその形を変えていきます。

そしてライバル車の発売から遅れる事6カ月、ついにカローラは発売開始!
その年、たった2ヶ月で1万台を売りあげたのを皮切りに、その後40年間、日本の自動車業界のトップを走り続けているのです。

Q:カローラの長年の人気の秘密は何ですか?
トヨタ自動車株式会社顧問、佐々木紫郎さん:この40年間で、環境は様々な形で変化しています。その時代を考えながら、時代に合った車を作ってきたことではないかと思います。

1966年の誕生から40年。年間販売台数No.1に輝くこと、実に36回!
それぞれの時代に一番合ったカタチで送り出された「カローラ」。
その姿も、進化を重ねて現在10代目。初代と比べると、この違い!

変わり続けること。それこそがカローラのロングセラーの最大のヒミツなのかもしれません。

一度は必ず見たことがある、あの輪ゴム

ところで、以前放送したロングセラー特集第2弾で、これからブレイクしそうなロングセラー商品について、森永さんは「輪ゴム」と答えていました。
何でも、最近ゴム銃という大ブームしている遊びがあるのだとか。

ということで、日本ゴム銃射撃協会が主催する、ゴムでっぽう体験コーナーに行ってきました!
みんな大興奮!子供からお年よりまで、年齢を問わず真剣そのもの。

ものすごく盛り上がっているゴム銃に使われている協会公認のゴムが、こちら。
すっかりおなじみの輪ゴムの箱、でも…あれ??箱は見た事あるけど、これなんて名前でしたっけ?
これまでのロングセラー商品といえば、名前を聞いたら商品が目に浮かぶものばかり!
しかしこちらは例外。日本一名前を呼ばれないロングセラー、オーバンド!

大正12年の誕生から83年。ゴム業界広しと言えど、常に輪ゴムシェアは圧倒的ナンバーワン。
作っているのは、株式会社共和。
オーバンドの誕生のきっかけは…今から92年前の大正3年、創業者西島廣蔵がお札を束ねるために自転車のチューブを輪切りにしたのが、オーバンドの原型!

オーバンドが不動のロングセラーとなった一番の秘密、それは高性能!
輪ゴムを引っ張って元に戻すと、オーバンドは色が変わらないのに、他社の輪ゴムでは白く変色してしまいました。なんと、ゴムが劣化しているのです!

さらにオーバンドは、繰り返し使っても変わらない伸縮。
優れた耐久性は一体なぜなのでしょう?
株式会社共和 泉佐野工場・工場長の水頭一男さんによると、それは、「天然ゴムの配合量と製造条件の違い」なんだとか。

早速、工場を案内してもらうことに。
原料の天然ゴムを機械で砕きながら、薬品と混ぜ合わせます。

続いて、その混ぜ合わせたものを巨大なローラーで練ります。

さて、帯状に整えられたゴムは、押し出し式でチューブ状に。

でも、この段階では引っ張ってもちぎれてしまいます。
そしてここからがポイント!オーバンドの最重要工程です。
残念ながら企業秘密でお見せできませんが、高温で一定時間加熱するトンネル。
ここを通ると、ゴムは化学反応を起こし、引っ張っても切れないゴムに変身!
トンネルでの温度と加熱時間が、輪ゴムの性能を決めるんです!
後は切るだけ。これで輪ゴムの出来上がり!

輪ゴムを選ぶ時、必ず手に取ってしまう茶色い箱。
名前は知らなくても、抜群の性能はみんなが知っている。
だからこそオーバンドは、80年以上のロングセラーなんです!

▼引き続き、ゲストの方にお話を伺いました。
加藤さん:確かに!輪ゴムと言えば、このパッケージですよね。

森永さん:このデザインは、あの「メンソレータム」のデザインを手がけた、モダンデザインのパイオニアである今竹七郎さん(1905〜2000)によるものなんです。

進藤さん:輪ゴム業界には、他の企業も参入しなかったのですか?

森永さん:他の企業も参入しているのですが、品質が良くない輪ゴムはずっと置いておくと固くなってバリバリになってしまう。それと比較すると、オーバンドは圧倒的に品質が高いですし、輪ゴムと言えばやはりこの箱のデザインが定着しています。

進藤さん:そして、ロングセラー商品としてカローラもありましたね。

森永さん:私は、結婚する前に乗っていた車がカローラで、今もカローラに乗っているんですよ。

森口さん:私も、昔デートでカローラに乗りました!

加藤さん:カローラの人気は、一体何なのでしょう。

森永さん:カローラは、ずっと乗り続けている人が多い。カローラは四年に一回モデルチェンジをしているのですが、劇的には変わらないけど、必ずほんのちょっとだけ良くなっているんです。みんな、カローラとともに生活が良くなっているんですね。

進藤さん:今後ブレイクしそうなロングセラー商品があれば、教えて下さい。

森永さん:それは、単3電池です。私は一年中仕事で全国各地を飛び回っているので、充電するヒマがない。だから、単3電池用の機械でそろえておくと、充電切れしなくて助かるんです。

加藤さん:森永さんは、どこで原稿を書いているのですか?

森永さん:新幹線、飛行機など。便利だと思わないんですか?前の日に充電忘れたという日でも、単3電池なら必ず動きますからね!

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