過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2006年11月5日放送

特集

もったいない精神でがっちり儲ける!

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)・乙葉さん

番組内容

そこで今回のテーマは、「もったいない精神で儲ける!」
これまでは大量に捨てられ、利用価値がない、とされていた様々なものを「もったいない精神」で再活用!
しっかり儲けている人たちにズームインしました!

■放送内容をシェアする

期限切れ消火器でがっちり!

火事の時の強い味方、消火器。
実は、消火器にも使用期限があるんです。
消防法で、製造から8年を過ぎると消火器の交換が義務づけられているのです。
つまり、8年たったら火を消す能力が低下し、単なる置物になってしまう、というわけ。
現在日本にある消火器の数は、推定3200万本。
でも、実際に使われるのは2割ほどで、残りの8割に当たる2600万本の消火器が、8年ごとにゴミ同然に。
使われなくて良かったですけど、やっぱりもったいない!

本体は、鉄、アルミなどに分類して再利用が可能。
しかし問題は、中の消火薬剤。
これだけは産業廃棄物として埋め立て処理するしかなく、年間数億円のコストがかかっていました。
お金ももったいないし、何より捨ててしまう大量の薬剤ももったいない!

そこで立ち上がったのが、国内消防自動車製造トップメーカーの(株)モリタ。
消火器も販売するこのメーカーが回収したのが、年間30万本の期限切れ消火器。

モリタ(株)環境科学研究所の坂本直久所長が大量の期限切れ消化薬剤をどうしたのかというと…
「私たちは、有効期限の切れた消火薬剤を肥料に再利用しています」

実は、消火器の粉の主成分はリンと窒素。
実際に市販されている肥料にも、リンと窒素が含まれていました!
というわけで、消火器の粉をそのまま肥料にしてしまおうというアイデア。
しかし、粉の成分であるリンは消防法の規定で水に溶けないように粒子がコーティングしてあり、そのままでは肥料としては使い物になりませんでした。
2年もの研究の末、粒同士をこすり合わせてコーティングを剥がす技術を開発。
副産複合肥料のモリタ1号が完成したのです。

大量生産も軌道にのり、現在では1200万tの肥料を全国に出荷しています。
実際にモリタ1号を使っている(有)田中米穀の田中祐輔さんに聞いてみると…
「コスト的に見ても、私たちは非常に助かっています。モリタ1号は宝の肥料です!!」

通常の肥料と比べて価格は約半分。で、農家の方も大喜び♪
モリタも、かつては廃棄費用で年間1億円も使っていたのが、今では逆にプラス年間1億円の大儲かり!

まぐろのウロコと皮でこんな刺身が…

日本人が一番好きなお魚、まぐろ。
目玉から内臓まで捨てるところがないと言われるお魚界の王様ですが、一つだけどうにも使い道のないところがあったのです。
それが…表面を覆う薄いウロコと皮。
これまでこの部分だけは、廃棄物として大量に捨てられてきました。
まぐろを加工する過程で年間に捨てられるウロコと皮は、推定140トン。
これはもったいない!けど、それもしょうがないかも…だって、ものすごい生臭さですから!

そこで立ち上がったのが、静岡県焼津市にある(株)エコテックの秋田晴夫社長。
社長を含めて従業員わずか12名のこの会社が、日本の水産加工食品業界に革命を起こす!…かもしれません。

でも、まぐろのウロコを一体どうするのでしょうか?
連れてきてもらったのは、エコテックの契約工場。
まぐろのうろこ付きの皮を、大きな装置に投入しました。
一体何が出来るのかというと…「まぐろのウロコと皮でコラーゲンの刺身を作っています」
コラーゲンの刺身!?
化粧品やサプリには欠かせないお肌のうるおい成分であるコラーゲンを、まぐろのウロコと皮から抽出して、お刺身にする技術を開発したというのです。
でも、ウロコからコラーゲンってなんか生臭そう…
しかし、本来は生臭いものでも、脱臭技術の開発を進めた結果、無味無臭に近いものを作ることが可能になったのだとか。
においを取り除く装置は極秘中の秘、なんだそうです。
では、本邦初公開の商品を見せてもらいましょう。
これぞ、日本、いや世界初、まぐろの100%コラーゲン刺身。

さっそく頂いてみることに…すると、味がない。
全くの無味無臭ですが、カニのエキスを加えればカニ味に、貝のエキスを加えればその貝の味になってしまうという優れもの。
7年がかりの研究開発を経て、この秋に発売を開始したばかりの新商品なのです。

Q:コラーゲン刺身は売れているんですか?
秋田社長:非常に引き合いが多くて、大体70社くらいからお声をかけて頂いています。業界では初めてのコラーゲンなので!

水産加工食品業界に革命を起こすかもしれない、というまぐろのコラーゲン刺身。
これまでは利用価値のなかったまぐろのウロコと皮を使った、まさにもったいない精神でがっちり!

さて、スタジオでは早速、まぐろのウロコと皮を使ったコラーゲン刺身を試食しました。
味はないですが、わさび醤油やマヨネーズ、酢味噌などと一緒に食べると、まるでくらげのような触感を味わえます。
スタジオの皆さんも、どうやらブームの予感を感じ取ったようです。
ちなみにお値段は、100グラム当たり1500円程度です。

加藤さん:森永さんはまさに、「もったいない」の大家ですよね。

森永さん:はい、基本は100年残します。何も捨てません。ペットボトルのふたや空き缶なども集めていますから。荒俣宏さんは、「どんなゴミでも、100年残せば皆宝になる」とおっしゃっていますね。

Q:有効期限切れの消火器を再利用する会社がありましたが。

森永さん:そもそも消化剤におけるポイントが、窒素とリンなんです。肥料の三要素は、窒素・リン酸・カリなので、そのうちの二つが消火剤に入っています。現在、リンはほぼ全量を海外から輸入しています。国内に資源がないものが、実は消火器内にあるのです。また、環境にいい会社の株を買う個人投資家や専門のファンドがあるので、環境にいいことをすると、環境に優しい会社として株価が上がることもあります。もったいないビジネスをすることによって、二重にいいことがあるんです。

古いケータイから金銀が…

ついに始まった携帯電話の番号ポータビリティ。
長年使ってきたケータイを買いかえた人も多いのでは…そんなあなた、古いケータイはどうしました?
まさか、持ち帰って引き出しの中に眠らせてる、なんてことは…!?それは、もったいない!

「携帯電話は、日本にとって大切な資源なんです」
そうおっしゃるのは、携帯電話リサイクルビジネスのパイオニア、横浜金属商事(株)の正岡三郎取締役。
がっちり取材班が仙台工場で見せてもらったのが、この廃棄された携帯電話の山。
この工場には年間200万台の使用済み携帯電話が集められているんだとか。

この廃棄されたケータイ、いったいどうリサイクルするのかというと…
一台ずつ手作業で解体しているんですね。
まず、中の基盤と外側のプラスチックに分けられました。

これでどうリサイクルするのでしょう?
「手で解体して貴金属を回収する準備と、解体したプラスチックをもう一度使用します」

携帯電話の基盤には、金、銀などの貴金属がわずかながら使われていて、それらを日本で始めて効率的に取り出す技術を開発したのが、横浜金属商事なのです。
およそ10万台のケータイ、合計10トン分から取り出せるのが、金1.5キロ(約330万円)、銀30キロ(約120万円)。

オーストラリアの金鉱山で採れる鉱石には、10トンから20グラムの金が含まれています。
ところが、携帯電話10トン分からは、1500グラムの金が採れるのです。
つまり、露天掘り金鉱山の70倍以上の比率で金が含まれている廃棄ケータイの山。
業界では、都市鉱山、都会の黄金郷とも呼ばれているそうです。
しかも以前は、機械で粉砕した後にそのまま燃やして、中の貴金属のみを取り出していたのが、今ではボディのプラスチックもリサイクルに成功。
環境にやさしいケータイリサイクル技術を確立したのです。
横浜金属商事は年間30キロの金を始め、この事業で7000万円の売り上げを上げています。
しかし、ここに来て大問題が…買い換えても古いケータイを手放さない人が増えていて、回収率はたったの2割まで落ち込んでいるんだとか。
みなさん、携帯電話は資源小国日本のお宝なんです。
古いケータイはすっぱりと手放して、資源リサイクルしてもらいましょう!

歯の銀行!?

一生のうち、誰でも一度や二度は必ずお世話になるのが、歯医者さん。
そして、これまた多くの人が経験しているのが、「親知らず」の抜歯。
多くは歯並びの矯正のためで、虫歯ではなく健康なのに抜かれてしまうことはご存知ですよね。
親知らずとはいえ、この抜かれた健康な歯がどうなってしまうかというと…
医療廃棄物、つまり捨てられているのが現状なのです。

これはもったいない!と思って広島大学病院歯学博士の河田俊嗣さんが作ったのが…「歯の銀行」。
河田先生によると…「親知らずなどの健康な歯を抜いて冷凍保存しておいて、また何年か経って口の中に問題が発生した時、解凍して口の中に戻します」とのこと。
つまり、自分の歯を再使用するというのです。
現在、国内で歯周病を患っている人は8000万人以上とも言われ、40代、50代で歯を失うケースが増えてきています。
そんなとき、入れ歯やインプラントではなく、冷凍保存していた自分の歯を加工して移植することが可能になったというわけなのです。

早速、歯の銀行を見せてもらうことに…
実は、広島大学病院内に設立された学内ベンチャーである有限会社スリーブラケッツが、歯の銀行を運営しているのです。
世界初の歯の銀行、それは…−150℃の冷凍庫でした!
現在、全国の歯医者さんから送られてきた約1000本の歯が冷凍保存されているそうです。

従来の冷凍技術では、歯の細胞が壊れて使い物になりませんでした。
それがなぜできるようになったのか、意外なところにヒントが。
河田先生は、まぐろの遠洋漁業で使う冷凍からヒントを得たのだとか。
遠洋漁業でも利用されている磁場を使った新しい冷凍技術によって、庫内の温度がどの場所でも均一になり、鮮度を保ったまま、歯の保存ができるのだそうです。
それまでは、矯正で抜かれる親知らずと第一小臼歯は、年間で4500本が捨てられていました。
もったいない精神から生まれた歯の銀行。
気になるお値段は、最大40年間預けても、たったの13万円!
つまり、1000本保存されているということは、単純計算で1億3千万円!
まさに、もったいない精神がニュービジネスを生み出したのです。

大量の食品廃棄物をなくすために…

今、がっちりマンデーが一番もったいないと思うこと…
それは、スーパーやコンビニから毎日出る、賞味期限切れの弁当や惣菜などの食品廃棄。
その量は年間およそ60万トン。
なんと毎日300万人分もの食料を捨てている計算になるんだとか。
これはほんとにもったいない!
なぜこんなに食品が捨てられるのか、その一番の理由は…

この現状をなんとかしなければ!
と立ち上がったのが、番組でもおなじみの新浪剛史社長率いる、コンビニのローソン。

(株)ローソンCSR推進ステーションの吉江秀哉さんにお話を伺いました。
吉江さん:今までは過去の商品の販売実績をもとに商品の発注をしていました。現在では食品廃棄物を減らすために、"何個売れるだろう"とか"これだけ販売したい"という予測型の発注になりました。

なるほど、販売数を予測して商品を仕入れる。
でも、少なくなるとはいえ食品廃棄はなくならないのでは?
そこでローソンでは、食品再処理プラントにお店からでた期限切れ食品を持ち込んで、家畜の飼料にリサイクルするという試みを始めています。

それでも、全部を飼料にしちゃうっていうのも無理があります。
そこで、食品廃棄を決定的に減らす秘策を、がっちりマンデーがご提案!
それは、棚に同じ商品が並んでいたら、「必ず賞味期限の古い方を買う」という簡単な方法。
食品の廃棄は大幅に減るはずですが…

加藤さん:賞味期限の古い方を買う」という提案は、難しいかもしれませんね。絶対新しいものを買いたいというのが一般の心理ですから。

森永さん:もっといい方法がありますよ。今まで商品は紙の表示札で値段が付されていましたが、液晶の値札表示を棚につける店も出てきました。それは、センターから電波を送ってその値段の表示を変えることができるというものです。そこで、本部からの信号を送って、時間が経てば経つほど食品の商品の価格をどんどん安くしていく新システムを導入していけばいいのではないかと思います。

加藤さん:もし定価で売られている新しい食品と、半値で売られているやや古い商品があったら、多分半値の方を選んで買ってしまいますね。

森永さん:そうやって廃棄をなくす取り組みをすれば、実は店にとってもメリットがあるんです。実は、多くのコンビニでは廃棄される食品の代金を本部に支払っています。つまり、食品を廃棄してお金が入ってこないだけでなく、捨てる際にロイヤリティーも発生するということなのです。これは店にとって二重の負担です。なので、廃棄が減れば減るほど、コンビニの経営者は儲かるのです。さらに、食品廃棄コストが減れば、我々消費者が支払う料金も安くなる。もったいないビジネスで悪いことは何もないと思います。

加藤・進藤・乙葉さん:それいいですね!森永方式!

森永さん:コンビニがこのシステムのアイディア買ってくれないかな(笑)

進藤さん:再利用できれば儲かるというモノがあったら教えて下さい。

森永さん:莫大な利益が出るのは、二酸化炭素。我々も呼吸で排出しているし、工場も二酸化炭素を排出している。日本は京都議定書で二酸化炭素の削減義務を負っています。今は「排出権取引」といって、二酸化炭素を出す権利を途上国との間で取引しているくらいです。二酸化炭素そのものを何かに再利用するシステムができたら、ものすごい利益ですよ。それができたら、地球環境の問題は一気に解決します。

環境にも優しい上、お財布も喜ぶもったいない精神!
無駄に見えるところにこそ、ひょっとしたら儲かりのヒントが見つかるかもしれませんよ!?

■放送内容をシェアする

このページの先頭へ戻る

Copyright© 1995-2024, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.