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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2006年3月5日放送

特集

ベネッセコーポレーション

ゲスト

ベネッセコーポレーション 森本昌義 代表取締役社長

番組内容

今、子供たちが一番好きな動物キャラを皆さんはご存知ですか?
そう、それはしまじろう!
日本の子供の5人に1人が夢中になっているんです。
今回は、そんなしまじろうのキャラクターでますます儲かった、日本最大の子供企業のベネッセコーポレーションに注目します!!

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日本最大の通信教育の戦略とは…?

子供に大人気のしまじろうを生み出したのが、ベネッセコーポレーション。
2005年の経常利益は274億円と、とても儲かっています。
多摩センターにある東京本部の最上階には、ベネッセ・スター・ドームと呼ばれるプラネタリウムまであるんです!

ベネッセは1955年に創業されました。
創業者の福武哲彦氏が、岡山県に福武書店を設立。当初は生徒手帳の販売などをしていた福武書店が、高校生向けの通信添削講座を開始したのが、1969年。
それが「進研ゼミ」だったのです。
進研ゼミは月に一度自宅に送られる教材で勉強するという、当時の子どもたちはあまりなじみのないシステムでした。

1970年代、進研ゼミに思わぬ追い風が吹きました。
それは、受験戦争の勃発!
高度経済成長と共に加熱する受験ブームで、学習塾や予備校などで勉強にかかるお金がどんどん増えていく中、進研ゼミはリーズナブルな価格設定と分かりやすい内容で大人気に。
高校生だけでなく、小中学生を対象にした講座も開設してぐんぐん会員数を伸ばしていきました。

1995年に福武書店から、ラテン語で「よく生きる」という意味のベネッセに社名を変更した後も進研ゼミはぐんぐん成長し、会員数は2000年には420万人を突破!
日本の子供の5人に1人は進研ゼミをやっているという、驚くべき数字。
通信教育業界の売上げも、ベネッセはダントツの1位をキープし続けています!

では、一体なぜ進研ゼミは日本中に広まっていったのでしょうか。
そこには、ベネッセの様々な戦略がありました。

▼進研ゼミNo.1戦略1 ダイレクトメール
子供がいる家に必ず届くのが、進研ゼミの入会案内DM。
ベネッセがDMのために使う費用は、年間何と255億円!!
これは日本の企業でもNo.1なんです。

そんなダイレクトメールには、様々な工夫がなされています。
透明な袋を使うのは、子どもがすぐに中身を見たくなるように。
教育系の事業のDMに、ベネッセが初めてマンガを使用。
対象が同じ学年でも、男の子用、女の子用の別々のDMを用意し、内容や絵のタッチを変える。
季節に合わせて何十種類もの内容のDMを用意。
47都道府県別の受験情報まで満載。
子供が思わず勉強したくなるような進研ゼミのDMには、しかけがたくさん盛り込まれているのです。

▼進研ゼミNo.1戦略2 赤ペン先生
進研ゼミといえば、何といっても赤ペン先生。
毎月子供たちが送る模擬テストを採点・指導して送り返してくれる先生なのです。
超難関の試験を突破した人だけがなれる、ベネッセの資産とも言える赤ペン先生は、その数18000人。
ベネッセ社員の9倍にも上ります。

赤ペン生徒歴三年という経済予報士見習いの川田が、今回テレビ初登場の赤ペン先生歴17年の高山眞紀子先生に会いに行きました!
毎回違う赤ペン先生がその都度対応するのではなく、生徒1人に対し1年間の担任制をとっています。
何人の生徒を担当しているかは赤ペン先生のトップシークレットだとか!

ここで、ちょっとだけ採点を見せてもらうと…
赤ペン先生専用の万年筆を使っていました。
字の美しさも、赤ペン先生の売りの一つ。
的確なアドバイスは当たり前。
「もう一息だね!」などといった、最後に書き加える一言が重要なんだそうです。

2002年、順調に会員数を伸ばし続ける進研ゼミに最大のピンチが訪れます。
それは、ゆとり教育の導入。
これまでの授業が詰め込みすぎということで、当時の文部省が小中学生の学習内容を3割減らすよう、全国の学校に指示を出したのです。
教科書が薄くなるのは、進研ゼミの存在理由が薄くなることを意味していました。
会員数は、2000年の420万人から、3年後には370万人にまで減少。
進研ゼミ会員数の減少は初めてのことでした。

会社が始まって以来の大ピンチに、当時の社長で現会長の福武総一郎氏が自らの後継者に選んだのは、SONYでの海外勤務25年という異色の経歴を持つ森本昌義氏でした。
2003年に就任した森本社長は、ある戦略に乗り出します。

▼進研ゼミNo.1戦略3 オーダーメイド教材
すでに個人の学力にはかなりのばらつきが生じていると考えた森本社長は、生徒の学力に合わせた多種多様な教材作りを提案。学校で使っている教科書の種類や授業の進み具合、生徒の進路希望に合わせて教材を作り変えたのです。
表紙の見た目は同じでも、内容は生徒によってそれぞれ違うというオーダーメイド。
2003年まで250種類だった高1の英語の教材が、2004年には1400種類に、400種類だった数学の教材が2000種類にまで増やしました。

このオーダーメイド教材を仕分けして全国に発送しているのが、岡山県にあるベネッセロジスティックセンター。

完全オートメーションで1日に発送できる郵便物は、最大20万件。
一つの企業としては日本一なのだとか!
ベルトコンベアーの先はそのまま郵便局につながっているのです。

森本社長の進研ゼミ改革が功を奏し、2004年には会員数はV字回復を遂げました!

日本の子どもたちの勉強を支えているのが、進研ゼミのベネッセだったのです。

▼さて、スタジオにお越し頂いたベネッセの森本社長にお話を伺いました。

Q:社長はソニーからいらしていますが、ベネッセでの経営のやり方としては似ているのですか?

A:そうですね、近辺で売れるような商品をゼロベースで考えるという意味では同じかもしれません。そうすると、いろんなヒントが出てきますね。

Q:赤ペン先生になるためには試験があるんですよね?

A:模擬試験もありますし、応対が優しい人を採用しています。

加藤:もし僕が試験に合格したら、赤ペン先生になれますか?

A:それでできるだけの事情がありますかね(笑)小学生に教えるのは、高校生よりも難しいんです。例えば、小学生が飼っていた愛犬が死んだ場合、「なんで死んでしまったの?」と聞かれたら、それに答えられますか?

加藤:それだったら、「お前の育て方が悪かったんだ」と言いますね(笑)

A:大きくなると常識として分かっていることが、小さい子供には常識になっていない。だから教えるのは難しいんですよ。

進研ゼミだけじゃないベネッセの事業+しまじろう戦略とは…?

ゆとり教育の大ピンチをのりこえた進研ゼミですが、もう一つの問題を抱えていました。
それは、ニッポンの少子化。
子どもの数が減れば進研ゼミのお客さんが減ってしまうということで、ベネッセは子ども以外をターゲットにした様々な事業を展開しています。

ビジネスマンやOLの語学学習をサポートするベルリッツ。
赤ちゃんが生まれるまでと、生まれてからをサポートする、たまごクラブ・ひよこクラブ・こっこクラブ。
さらに、お年寄りの暮らしをサポートする介護事業。
くらら、まどか、アリア、グラニー&グランダで介護ビジネスを展開しています。
介護施設数は日本一の105ヵ所!

そんな数々の挑戦の中でも大成功を収めているのが、しまじろうのこどもちゃれんじ。

生後6ヶ月〜6歳までを対象にした情操教育テキストの通信販売で、月に一度テキストが贈られてくるのです。
会員数は135万人で、幼児の5人に1人が会員なんです。

さらに驚くべきことは、しまじろうのコンサートの年間動員数は2004年で25万人ということ!
他のアーティストと比べてみると…

また、30種類ものしまじろうのグッズも売れ行き絶好調なのだとか。
では、しまじろうはなぜそんなに人気なのでしょうか?
そのヒミツを探るべく、しまじろう歴3年の家庭を直撃しました!
お母さんと3歳のお子さんが一緒に、しまじろうのイラスト入りのかるたのようなカードを使った情操教育を楽しんでいました。

しかし、6年間でしまじろうに飽きたりしないのでしょうか?
何と、しまじろうも6歳まで子どもと一緒に成長していくため、子どもを飽きさせることはないのだそうです。

さらに、6歳になって小学校に進学する頃に登場する新キャラクターが、進研ゼミ小学講座を教材の中で誘っているのだとか。
ぬかりはありません!

しかし一番のしまじろう戦略は、子どもが遊びたくなるようなテキストの工夫にありました。
早速川田がベネッセ託児所を訪れました。
新しいテキストに子供がどんな反応をするのか調査することも、社員の仕事なのだそうです。

ところで、しまじろうはなぜトラなのか知っていますか?
ミッキーマウスやドラえもん、くまのプーさんなどの人気動物キャラクターでは使われていない、いわば余っていた虎をモチーフに生まれたのだとか。

そんなしまじろうの活躍は、日本だけにとどまらず、すでに台湾に進出!
今や赤ちゃんの10人に1人がしまじろうと一緒に成長中。
そして今年、巨大市場の中国にも進出します。
世界中に勉強好きの子供とかわいい赤ちゃんがいる限り、ベネッセの仕事はなくならないのです!

▼さて、引き続き森本社長にお話を伺いました。
Q:教育だけでなく、介護までやっているとは、ターゲットはまさに全層ですね。でもベネッセの売上げ構成を見ると、教育が6割を占めています。今後どのような方向を目指すのですか?

A:進研ゼミについてはますます強化していきます。赤ペン先生に代表されるように、今は紙と鉛筆で支えていますが、今後はITをうまく使っていきたいと思います。やらなければならないことはまだたくさんありますね。

Q:少子化が進んでいますが、教育事業には影響が出ないのですか?

A:少子化による影響はさほど受けないと考えています。それは、景気の波に左右されないで、1人にかける教育のためのお金が増えているからです。

Q:しまじろうが中国に進出すると、デザインは変わるのでしょうか?

A:デザインは変わりません。虎は中国でも人気があるようです。中国流の子供のしつけは日本と違うので、変えていかなければなりません。一世代30年ということで、30年先の日本がどうあるべきかということについての国民のコンセンサスのもとに、今後教育事業を行っていきたいと思います。

Q:アジアへと進出していくとのことですが、アルゼンチンについてはいかがですか?社長の奥さんはアルゼンチンの方だとお聞きしていますが…?

A:10代の頃に出会ったんですがね。新しいことに興味を持つことが経営者にとって必要だと考えていますが、きっとその頃から経営者の素養があったんでしょうね(笑)

Q:今後ベネッセが狙っている新しいビジネスを教えて下さい。

A:小学校英語ですね。中学校から英語をやるのはアジアでは日本ぐらいです。韓国は小学校3年から、北京でも小学校1年生からやっているところもあります。小学校3年頃から英語教育をするようにという指示が近々出るのではないかと思っています。ベルリッツの先生を派遣するなど、いろんなことができるのではないかと考えています。

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