過去の放送内容
2005年6月12日放送

特集
2005年上半期のヒット商品!
ゲスト
森永卓郎さん(UFJ総合研究所主席研究員 経済アナリスト)・石原さとみさん
番組内容
今回は、今年上半期のヒット商品に注目!
売れた仕組みが分かれば、儲かるポイントが見えてくる。売れに売れた理由を大解明しちゃいます。
2005年上半期ヒット商品!儲かったワケその(1)
「シンプルにしたら大ヒット!」
家電製品の売れ筋は、「多機能」「高機能」が主流。
そんな中、機能をシンプルにしてヒットした商品が!
それが、「iPod shuffle(アイポッドシャッフル)」。
シンプルさにこだわり、機能を最小限に絞った超小型音楽プレイヤー。
今年1月の発売日には、何と17分間で完売したという上半期の大ヒット商品なんです!

一昨年の発売から、シンプルな操作機能がうけて大ヒットした「iPodシリーズ」。
そのiPodをさらにシンプル化したのがiPod shuffle。
ディスプレイもなくし、驚きのサイズを実現しながらも、最大240曲を再生可能。
自動選曲する「シャッフル機能」のみを残しました。
アップルコンピュータ代表取締役の前刀禎明さんによると、iPod shuffleは選曲がうまいため、感情移入してペットのようにかわいがる人が多いのだそうです。
また、アップルコンピュータは8月上旬から音楽配信を開始!
音楽配信から聴くスタイルまで、下半期もiPod旋風はやみそうにありません!
高機能化が進む携帯電話業界にも、シンプル化して大ヒットした商品があります。
それが、「ツーカーS」。

通話専用のシンプル携帯が爆発的ヒット!
その結果、契約者数は急激に増え、ツーカーは業界3位に大躍進したんです。
液晶ディスプレイはもちろん、電話帳機能やメモリー機能も一切ありません。
しかし今やシルバー世代で大ウケの商品ですが、ツーカーセルラー東京・代表取締役の津田裕士社長によると、企画段階では「そんな携帯じゃ売れないのでは」という反対も多数あったそうです。
高機能化を求められてきた社員たちにはかなりの戸惑いがあったようです。
そこで津田社長は、社員にこんなことを提案したのです。
それは…「君たちが欲しくない携帯を作れ!」
社長のその言葉から、今までにない携帯を作る「ヒットの種」が生まれたのです。
ツーカーセルラー東京・グループ事業統括本部の上杉直仁さんら社員が、その「ヒットの種」を探るべく向かったのは、巣鴨地蔵通り商店街。
リサーチを進める中で、意外なことが分かってきました。
それは、シルバーの世代にスイッチの「長押し」という概念がないこと!
こうした巣鴨での教訓を生かして、電源スイッチはスライド式を採用。
ところが、これは音量調節ができない上、マナーモード機能もありません!
従って、電車の中やマナーモードが必要な場所では「電源をお切り下さい」というご案内をしているとか!!
「一番シンプルにしてしまえ!」ということでここまで極端なものにした結果、はっきりとした利益が生まれたのだと津田社長は言います。
その結果、1億円しかなかった経常利益が、今や152億円に!

シンプル携帯は、ヒット街道ばく進中です!!
ゲストの森永さんによると、ツーカーがここまでヒットした理由は、本当に必要な部分だけに機能を絞ってシンプルにしたことで、同時にお年寄りというターゲットを絞ることができたからだとのこと。
現在では血糖値測定ができる携帯電話まで開発中なのだとか!!
これは、携帯電話で血を採取し、測定器付きの携帯電話からデータを送り体調を管理するというもの。携帯は、あらゆる形で進化を遂げているのです!
また、ゲストの石原さんが持っているiPodシリーズは、iPod photo。音楽だけでなく画像データを最大25000枚入れられるという優れものです!
2005年上半期ヒット商品!儲かったワケその(2)
「大逆転の発想」で大ヒット!
逆転発想の化粧品でヒットを売った商品、それは「エビータ」。
こちらは50代女性向けの年齢化粧品。化粧水、乳液、クリームの売り上げ三冠王を達成。
今年は100億円を狙います!
一体なぜここまでヒットしたのでしょうか?
カネボウ化粧品マーケティング部の石川千鶴さんによると、それは「50才から」とデカデカと年齢を表示したから!

昔から化粧品業界では、商品に年齢を入れるのはタブーとされてきたこと。
ところが、大逆転の発想で思いっきり大きく年齢を表示したら、大ヒット商品に!
エビータの表示は全て大きめで、種類やタイプ、成分が一目見て分かるようになっています。
しかし、ヒットするまでには失敗もありました。
この失敗こそが、エビータの「ヒットの種」となったわけです。
それは、ユーザーからの"お叱り"。
発売当初、エビータのキャップの色は、大人っぽさを強調した濃いピンクでした。
ところが、このピンク色について「これは若い人が思うオバさん色!」とお叱りの声が!

さらに、レイアウト上何気なく「才」の字を小さくして表示したところ、「恥ずかしい年だなんて思ってないのに、なんで才を小さくするの!」とお叱りが!
そこで、小さかった「才」の字をやめて、思いっきり大きくしたのです。

すると…この頃から商品が飛ぶように売れ出し、今や100億円ブランドに。
家電メーカーにも逆転発想で大ヒットしている商品が!
それがこちらの冷蔵庫、「シャープSH‐HV46J」。

一見普通の冷蔵庫ですが、真ん中部分をよく見ると…ホット?保温!?
そう、これが逆転発想なんです。
シャープ・冷蔵システム事業部の坂本実雄さんによると、これは温かいものをそのまま保温できるという、その名も「愛情ホット庫」!
例えば、揚げている天ぷらも揚げたてのままホット庫に入れてしまいます。
保温時間の設定は、4時間と8時間。
55度で保温し続け、時間がきたら今度は冷蔵し始めるという優れもの。
4時間入れた天ぷらを取り出してみると、衣がパリッとしてサクサク感が損なわれていません!
その他にもこの愛情ホット庫は、作りたてで温かいお弁当のあら熱とりや、沸かしたばかりのお茶などをヤカンごと入れて冷やすこともできるんです。
また、これは55℃から冷凍まで温度切り替え可能なので、ワインの飲み頃の温度やシャーベットを作れる温度などにも設定できるそうです。
冷蔵庫にあったか保温機能をつけるという大逆転発想で、大型冷蔵庫の久々のヒットになりそうです。
2005年上半期ヒット商品!儲かったワケその(3)
「パパママねらい」で大ヒット!
「EOS Kiss Digital N」は、世界一軽い一眼レフ・デジタルカメラとして大ヒット!
子供たちをきれいに撮りたいママたちに人気が高いんです。

キャノンカメラ商品企画課の川瀬透さんによると、月13万台生産していてもまだ足りないくらい売れているとのこと!
従来の一眼レフカメラは、スイッチを入れてから写真が撮れるまで約3秒待たなくてはならなかったのですが、このカメラはそれを0.2秒でやってのけるのです!
また、レンズを交換して望遠レンズをつけると、子供たちを大きく撮ることもできます。
中でも、特にママたちに人気なのは、連写機能。
動き回るお子さんをしっかり撮影可能。
撮るだけ撮って、気に入らないショットはあとで消去。
その手軽さが、世のママたちに売れた理由なんです。
そして、こちらがパパねらいで大ヒットした「エアロアールシー」。

何と1000円でフルコントロールのラジオコントロールカーが手に入るとあって、パパユーザーから絶大な支持が!車種をスポーツカーなどに限定せず、身近な車にスポットを当てたのも、パパたちが食いついてきたポイント。
トミー・マーケティングチームの長谷川俊夫さんの話では、10万個以上いけばヒットといわれている中で、こちらは発売から5ヶ月で100万台に迫る勢いなんです!
さらにパパたちを燃えさせたのは、組み立て式だということ。
プラモデル感覚で楽しめるのです。
当初は組み立てた完成品を販売する予定でした。
しかし、1000円で販売したのでは赤字になってしまうことが判明!
そこで、組み立てる費用を浮かすためにお客さんに作ってもらうという大胆作戦に出たんです!
さらに、ドレスアップできるエアロパーツまで付いています。
このように、発想の転換一つで大ヒット商品を生み出すことも夢ではありません。
あなたもぜひこのようなヒット商品に注目してみては!?
森永さんによると、ヒットするポイントとして挙げられるのが、安いこと!
一眼レフは、昔はボディだけで30万円もしたのですが、今は3分の1の値段に!
さて、森永さんに2005年上半期のアキバ系ヒット商品を持ってきて頂きました。
Pinky:st(ピンキーストリート)。

一般にフィギュアは男性が買うことが多いのですが、こちらは女性にうけて150万個のヒットを達成!着せ替えができるので、そのかわいさが人気を呼んだようです。
続いては、「玄人志向」。

こちらは150万個の売り上げという大ヒット商品なのですが、その理由とは…徹底的に不親切なこと!つまり、パソコン組み立てパーツに説明書が全くないので、逆にマニアの心をくすぐる商品となったのです。
では、最後に森永さんに今年下半期の注目商品を紹介して頂きました。
それは、ポータブルハードディスク!

コンパクトなサイズに40ギガバイトものデータが入るので、ノートパソコンの代わりにこれを使うことで自分のデータだけを外に持ち込むことが可能になります。
そしてこれは、ノートパソコンとは違って、落としても壊れないほど丈夫で軽いのです!
しかもお値段も一万円程度という低価格。
今後も、人のハートをつかむような商品開発に、目が離せません