JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス

JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス 毎週(木) 午後11:00〜11:30

JNN系列の記者が、ニュースで伝えきれない「こだわり」を込めたドキュメンタリー番組。そこからは日本の、世界の、人間の、さまざまな知られざる側面が見えてきます。ニュースのその後はもちろん、歴史も文化も、記者たちの視点でとらえたドキュメンタリーをお届けします。

2019年7月放送

2019年7月11日放送

宝の海をあきらめない

地上波2019年5月5日OA
ディレクター:里山千恵美(RKB毎日放送)

【内容】
有明海の漁業者たちが、今、追いつめられている。

最大の苦難は国による諫早湾干拓事業によって「宝の海」有明海の環境がすっかり変わってしまったことにある。潮流が変化し、排水門から排出される汚れた水は赤潮を発生させる。漁獲は減少の一途。かつて宝の海の象徴だった高級二枚貝タイラギは休漁が続く。諫早干拓に近い佐賀県西南部のノリもダメージが大きい。以前と違い年ごとに大きく変化する不安定な海の状態に、漁業者は安心して漁を行えない状況だ。

漁業者たちは宝の海の再生を目指して、干拓事業によって閉鎖された潮受け堤防の開門を求め、多くの裁判で闘っている。一度は開門を認める確定判決が出たもののそれは履行されることなく、ここ最近の司法は非開門の流れに転じている。しかし国寄りの司法判断は、問題解決にはほど遠い。

また昨年、有明海沿いの佐賀空港に自衛隊オスプレイを配備する計画の受け入れを佐賀県が表明した。これも漁に多大な影響を与えることが懸念され、諫早干拓で公共事業への不信を受け付けられた漁業者達に不安が広がる。国は100億円の着陸料を支払うことで県と合意し、県はそれを漁業振興基金に充てるとして漁業者の懐柔を狙う。

有明海に生きる漁業者は、今大きな岐路に立たされている。不安定な海の状態に後継者は育っていない。海が枯れるのと同時に、貴重な漁業技術の数々も消えようとしている。だが、宝の海のかつての豊かさを知る漁業者は、海を諦めることは出来ない。

有明海の未来を思う、漁業者の姿を追う。

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2019年7月18日放送

原発の時間、おばあちゃんの時間

地上波2019年5月19日OA
ディレクター:丸山拓(TBS報道局・社会部)

【内容】
福島第一原発の大事故から8年も経つのに・・・・。

爆発を起こした3号機からの核燃料取り出しが当初計画より4年以上遅れて、ようやく始まった。残る1,2号機にいたっては燃料取り出しが始まるのは、さらに先の2023年度になる。廃炉が完了するまでには30~40年もかかるといわれている。

時間は刻々と過ぎてゆくのに、作業は遅々として進んでいない。
しかし、生身の人間は違う。時間には抗えない
原発事故で「終の棲家」を追われたおばあちゃんは、ことし91歳になった。
事故以来、5か所を転々とした。
避難生活中に片方の目は、ほとんど見えなくなった。
いまは車椅子でないと外出できなくなった。

「3・11」から8年。
終わりが見えない「原発の時間」と、限りある「人間の時間」。
時間というものの「重さ」を考える。

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