JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス

JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス 毎週(木) 午後11:00〜11:30

JNN系列の記者が、ニュースで伝えきれない「こだわり」を込めたドキュメンタリー番組。そこからは日本の、世界の、人間の、さまざまな知られざる側面が見えてきます。ニュースのその後はもちろん、歴史も文化も、記者たちの視点でとらえたドキュメンタリーをお届けします。

2019年5月放送

2019年5月16日放送

沖縄戦 遺族の手紙 ~“体験者”から“証言者”へ 若者の記録

地上波2019年2月17日OA
ディレクター:竹村研人(HBC北海道放送)

【内容】
太平洋戦争末期の沖縄戦。700人の部下を失った大隊長が戦後、遺族に手紙を書いた。すると、夫や息子を失った遺族たちから、次々と返信が寄せられた。その数、356通。

70年以上が過ぎ、大隊長は「遺族に届けてほしい」と、沖縄で遺骨収集をしている大学生たちに356通の返信を託した。

沖縄戦で命を落とした北海道出身兵は1万人。沖縄県に次いで多い。大学生たちは遺族を見つけ出しては、一通一通、届け始めた。

手紙を書いた本人はすでにこの世を去り、受け取った親族は、これまで知らされていなかった思いを初めて知ることになる。さらに、届けた側の大学生は、手紙の文面や親族の涙から、戦争が奪ったものの重さを目の当たりにする。

戦争体験者が間もなくいなくなろうとする中、次の世代が、戦争の記憶を「証言」として受け取ろうとしている。

  • 沖縄戦遺族の手紙1
  • 沖縄戦遺族の手紙2

2019年5月23日放送

ハンセン病・家族たちの闘い

地上波2019年3月3日OA
ディレクター:井上佳子(RKK熊本放送)

【内容】
2016年2月、ハンセン病元患者を家族にもつ人たちが熊本地裁に損害賠償請求訴訟を起こした。原告は現在568人。長年にわたる強制隔離政策で、元患者の家族たちが受けた苦しみを知ってほしいと彼らは訴えている。

原告団長の林力さんは94歳。父親の廣蔵さんが隔離されたことで、家族は苦労を強いられた。力さんの母親は大学病院の下足番をし、もらうチップで生計をたてた。

同じく原告の奥晴美さんは、両親が療養所に隔離されたことで叔母の家に預けられたが継子扱いされ、貧困に喘いだ。隔離されているとはいえ、屋根の下に暮らし、食事も提供される母親の療養所での暮らしが羨ましかった。ハンセン病にかかった母親に対し、最後まで愛情を持つことができなかったという。

宮崎県に暮らす新田良子さんは、職場にも嫁ぎ先にも、親がハンセン病の元患者であることを隠し続けた。

1996年に89年間にわたった隔離政策に終止符が打たれた。2001年には元患者たちが国家賠償請求訴訟を起こし3年後に全面勝訴。それらの流れを受けて家族たちの心にも変化が現れた。最後まで築くことができなかった親との絆。ハンセン病元患者を家族にもつ彼らは、今、自分の人生の空白を埋めたいと思っている。

  • ハンセン病家族たちの闘い1
  • ハンセン病家族たちの闘い2