2019年2月21日放送
届かない声…フランス『核のゴミ』最終処分場に揺れる村
地上波2018年11月18日OA
ディレクター:大八木友之(JNNパリ支局)
【内容】
電力の75%を原子力発電に頼るフランス。しかし、原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」を処分する場所は国内にない。原発大国の喫緊の国策として最終処分場計画が進んでいるが、予定地周辺の村を取材すると住民から憤りの声が聞こえてくる。
村人たちは「処分場受け入れに同意していない」、「住民投票の結果を無視された」などと語る。家のすぐ近くに最終処分場ができるという大問題を「国が決めたことだから」の一言で片づけて良いのだろうか。
日本も原子力発電を続ける以上、近い将来必ずどこかに最終処分場を作る時がやってくる。まさにフランスが進む道をこれから歩んでいくことになる。その時、国民の合意はどう形成していくべきなのか、立地自治体の住民の小さな声をどのように汲み取っていけばよいのか。フランスの村で起きた問題を通して考える。
2019年2月28日放送
死刑になった学徒兵 ~獄中絶筆が訴える戦争の不条理~
地上波2018年12月2日OA
ディレクター:山本杏奈(TBSテレビ報道局)
【内容】
77年前の12月、日本が始めた太平洋戦争は、他国の住民を巻き込み多くの命を奪った。その責任を負わされ、戦犯という名のもとに死刑になった一人の青年がいる。木村久夫は経済学者を目指し京都大学に入学したばかりの、いわゆる学徒兵だった。
シンガポールの刑務所で、木村は無実を訴える遺書を書いた。
それは、愛読していた哲学書の余白を埋め尽くすように書かれていた。
「私は何等死に値する悪はなした事はない」
「私は彼の責任をとって死ぬ」
問われた罪は、終戦間近のインド洋の島で現地住民を拷問、処刑、虐殺したというものだった。通訳だった木村は死刑、しかし木村に命令する立場にあった上官は無罪となった。この戦犯裁判は明らかに不合理だと、木村は訴える。
「法廷に於ける真実の陳述をなす事を厳禁され――(遺書より)」
禁じられた真実の陳述とは?
TBSは戦後、木村の法要に集まった遺族や同僚が証言する様子を放送していた。そこへ、命令を下したとされる上官本人が謝罪に訪れる…なぜ命令に従った末端の兵士、一個人が犠牲にならなければならなかったのか。後世の私たちに、木村が獄中から訴えた戦争の理不尽さを考える。