『怪物王女』インタビュー 音響監督:高桑一
──まずは、「怪物王女」である姫についてお聞かせください
高桑一(以下、高桑):作品の中心になるキャラなので、作品感を壊さないように、王女である姫を王女らしく見せようと。
川澄さんには、「可愛くならないように」と言いました。具体的には、感情が余り入らない方がいいんですよね。
高飛車な感じで、自己中心的で、何でも常にものを上から言わなきゃいけない。油断すると、感情が入って可愛い感じになったりもするので、
その辺がなるべく出ないように演じてもらっています。アフレコも半分以上は来ているので、もう問題無いと思います。
姫は、如何に周りから見て高飛車に見えるか、偉そうで、余り物に動じず、という所がポイントだと思いますね。
──フランドルの「ふが」について
高桑:第1話のアフレコのときに、原作者の光永先生、監督、僕、その他色々な人がいて、
どういう風に「ふが」をやるのがいいのか? といろいろ試行錯誤しました。
それで今みたいな「感情的には常にある程度、一定な感じでいく方がいいんじゃないのか」という方向に。
演じている河原木さんは、申し訳ないですが、ストレスが溜まるかもしれないですけど、キャラ付けとしては間違っていないかなと。
あまり抑揚は無く、多少は変わったりはしますけど、悲しかったら悲しいとか、楽しかったら楽しいとか、
そういう差はあんまり無いように、という感じで演じてもらっています。
──「ふが」といえば、フランシスカも出て来る訳ですが、「ふが」の違いをどこで出しておられますか?
高桑:フランシスカは大人っぽく――声低めで、メイドなんだけどメイドじゃない、みたいな感じで差別化出来てればいいかなと。フランドルは明らかに、可愛い感じでやってもたっていので、そのバランスを意識しましたね。
──それでは、姫とシャーウッドとの違いは?
高桑:姫とフランドル、シャーウッドとフランシスカは、年齢的なバランスが逆対照の感じなんですよね。印象としてはそれぐらいがいいと思うんです。それで、シャーウッドに関しては子供っぽく。ただ、その中でも、王家の姫という意味でやや生意気な感じを出してもらっています。
──それらのメインキャラとヒロのバランスは?
高高桑:ヒロは、情けなく……(笑)。一応設定的に、中2だったと思うんですよね。中2だから、そんなにしっかりしてないし、女性がいっぱいいる中でも、やっぱり頼りない感じ、というのが、男性声優さんよりも女性の方が出るのかな、と。男性で中2をやるとなると、やっぱりちょっと頼りがいが出てしまうかなと。本物に近い年齢の子を呼んでくるとか、そういう感じになっちゃうんで。頼りなさ、というのがイイな、と。
──ヒロの姉である紗和々はどうですか?
高桑:紗和々はもう、天然な感じですね。周りに全く動じない、常にマイペースな、ただ、人に嫌な感じを与えない……そういうポーッとしている感じが出てれば。本当の路線とはちょっと外れた所にいつもいる感じなので、ある意味面白いキャラですね。
──リザについては?
高桑:リザはね、乱暴者って感じで(笑)。なるべく、ガサツに。でも、何故か姫にはそれなりな対応をしていますね。最初は姫の命を狙ってきたのですが、それが誤解と分かり、兄を利用して殺した人に辿り着く為に姫のそばにいるですが、今はもう、何となくいるのが楽しい、という風に見えますけどね(笑)。
甲斐田さんには、あまり男っぽくしないでと指示しました。それは、極端に男っぽくしなくても、周りの女の子たちとのバランスがとれるかなと。ところどころ多少、可愛げのある所も出してもらいつつ。
──令裡は?
高桑:令裡は、姫に近い部分もあるのかもしれないんですけれど、あまり物に動じない感じで、飄々としていて、何か不思議な感じがありますね。令裡役の能登さんに言ったんですよ「性格的にはたぶん、君とそんなに変わってないと思うよ」と(笑)。ちょっとポーッとしたところもある天然系かなと。文句を言われても、文句だと思わないでかわすところがあるみたいな、本心は分かりませんが。
──新キャラとして、ツェペリが加わりましたが……
高桑:ツェペリも、本当は何を考えているのか、ちょっと良く判らないのですが……(笑)。本気で姫をどうかしようとしているのか? ちょっとちょっかい出して遊んでいるのか? どちらかというと、ちょっかい出して楽しんでいるのかな、という風にもとれなくはないのですが。やっぱりツェペリも、物事には動じない、感じがしますね。それがちょっと、嫌らしくいけるといいなと思っています。堀内賢雄さんもベテランですし。現場的にもいいんじゃないですかね、雰囲気が楽しくなって。
──『怪物王女』のテイストはどう捉えていますか?
高桑:監督と話した時に、「『怪物王女』という作品タイトルであるので、怖いところは怖くしたい。ホラー的な部分はそういうニュアンスを出したい」と。そこはなるべく上手く、観ている人が、怖いなぁ、と思うような感じに持って行ければな、と思っています。
とはいえ、もちろんコミカルなギャグのシーンもきちんと押さえたいということでした。
ですから、その辺りの、ホラーとギャグのバランスは、シナリオの方でうまく出来上がっているので、それをセリフや効果、音楽の入れ方でも損なわないようにしていきたいと。監督をはじめ、皆さんの意向をきちんと汲み取り反映していくことですね。
──高桑さんとしては、ギャグとホラー、どちらがお好きですか?
高桑:やっぱり、ギャグの方が面白いかな(笑)。とりあえず、それぞれの良さがあるので、ホラーもイイと思うですが。個人的にどちらが好きか、と単純に言われるとギャグですけど、別にジャンルとして、何が嫌いとか苦手とかは特にないですね。
──高桑さんとしては、『怪物王女』はどんな作品だと思われますか?
高桑:面白い設定だと思うんですよ。これから先、どこまで姫のお兄さん達が本当に出てきて、どういうお話になるのか、まだ展開的に全部知らない部分も私にはあったりするので、どうなるのかな、という楽しみはありますね。今まで私がやったことのないタイプの作品ですね。女性キャストばかりで、こういうちょっと変わった感じのものは。話数によってそれぞれ違う面白さを引きだして行けるのかな、という部分もありつつ、どんどん面白くなって行けばいいな、と自分も期待しつつやっています。
──ありがとうございました。