イベントレポート
2月21日に開催された『「安達としまむら」SPECIAL ONLINE EVENT ~私に相応しいチョコを決めてください!~』。鬼頭明里さん(安達役)、伊藤美来さん(しまむら役)、沼倉愛美さん(日野役)、上田麗奈さん(永藤役)、佐伯伊織さん(ヤシロ役)のメインキャスト5人が、初めて揃ったイベントをレポート!!
オープニング映像と共にお揃いのイベントオリジナルTシャツを着てステージに登壇した5人。「今日は楽しんでいってくださいね!」とカメラの向こうのファンに向けて挨拶をすると、メインキャスト5人で、初めて一緒にイベントができる喜びを分かちあう。そして全員でタイトルコールをすると、まずはこの企画からスタート!
『「安達としまむら」制服ピンポンから始まった日々』は、キャストそれぞれが好きなシーンを選び、それについてみんなでトークしていくコーナー。
司会進行&一番手を任された佐伯さんは、第11話から「ヤシえもんのシーン」をセレクト。「こんなでっかい(容器に入った)たまごボーロ売ってる?」(鬼頭さん)など、みんなでツッコミを入れながら映像を見ていくのが楽しい。ちなみに佐伯さんは「あまりにも(自分のモノマネが〇〇えもんに)似ていなかったから選んだ」とのこと。
上田さんは、第3話から「永藤が日野のおでこにキスするシーン」をセレクト。「日野と永藤の関係性が見えた感じがして印象深かったし、安達&しまむらコンビと日野&永藤コンビの違い、対象的なところが際立つと感じたシーンだったので」と上田さんが言うと、「こっちは全然先に進まないのに、そっちは!」と、鬼頭さんが悔しがっていた。さらに上田さんは、「ぬーさん(沼倉)との共演が多く、デビュー当時からお世話になっていて信頼している先輩だから、すごくやりやすかった」と語ると、「予告とかもめっちゃ楽しかったよね!」と、沼倉さんも息がピッタリだった予告(あだしまペディア)収録の思い出を話していた。
その沼倉さんが選んだのは第4話の「しまむらと安達母とのサウナ勝負シーン」。ある意味で水着回だが、「あのしまむらが感情をあらわにして勝負しているのが安達の母というのが面白い。飄々としているけど人間っぽいところが見えたのと、母陣のキャストが豪華!」と、選んだ理由を語っていた。それぞれの親役が豪華だった本作。ちなみに安達の母親は伊藤静さん、しまむらの母親は川澄綾子さん、日野の母親は桑島法子さん、永藤の母は佐藤利奈さんが担当している。
伊藤さんは、第9話から「しまむらが安達に電光掲示板のサプライズをするシーン」をセレクト。「このシーンを見たとき、しまむらって、やるー!と思った」と伊藤さん。「急に陽キャみたいなことを!」と言った鬼頭さんも少し嬉しそう。それまで挙動不審だった安達が報われて良かったと伊藤さんも喜びつつ、このあとどんどんイケメンになっていくしまむらの話題で盛り上がっていた。
最後の鬼頭さんは、第2話の「安達のなんだばしゃあああのシーン」をセレクト。安達のモノローグと台詞の感情が真逆すぎて忙しいシーンなのだが、そのときのアフレコでの思い出も語りつつ、作品を代表する名(迷)台詞「なんだばしゃあああ」については、「オーディション原稿にもあって、なんだばしゃってなんだばしゃ~!!と思いながらやったら受かったので、これが私の“なんだばしゃあああ”だと思って演じました。かわいいけど感情が忙しすぎて、頭の中で考えて考えて、よく分からなくなった末の気持ちがあの台詞に出ているんだなと思いました」と鬼頭さんが、台詞への思い入れの深さを語っていた。
続いては、バラエティコーナー「私のモノローグ」。上田さんが司会進行で、作中にたくさん出てきたしまむらのモノローグの一部を空欄にして、そこに言葉を入れ、自分のモノローグにするというもの。
最初のお題は「人付き合いとは、【 ほにゃらら 】だと思う」。
「人付き合いとは【迷路】だと思う」とした上田さん。人付き合いは、仲良くなりたいけど、仲良くなる方法が分からなかったり、ワクワクもするしドキドキもするところが迷路っぽいと思ったと、その理由を説明する。
「人付き合いとは、【テーマパーク】だと思う」と言った沼倉さんは、「出会いはワクワクするけど、ジェットコースターみたいに怖い思いをしたり、お馬さん乗れて幸せになったり、観覧車で癒やされたり、いろんな可能性があるから」と語る。
「人付き合いとは、【自己形成】だと思う」とした佐伯さんは、「他人に認識されて初めて私が存在するのではないかと思っていて。人付き合いをすることで自分のことを知れるから大事なことだと思った」と哲学的なことを語っていた。
「人付き合いとは、【おいしい目玉焼きづくり】だと思う」とした伊藤さんは、「シンプルだけど実は難しい。半熟にしたくても1分でも過ぎたら固まっちゃうし、すごく繊細。人付き合いでも、おしゃべりに一度失敗したら、次はこう攻めてみようって思うから似ているなと思った」と、実はいろいろ考えて人とコミュニケーションを取っていたことを明かしていた。
最後になった鬼頭さんは「人付き合いは、【人生】だと思う」とズバリと語り、「人と過ごすことが人生だ!」という言葉に、誰もがうなずいてしまった。
続くお題「小学生のころ、通信簿に【 ほにゃらら 】ですと書かれた通り、私は【 ほにゃらら 】する」の回答で面白かったのは、沼倉さん。「小学生のころ、通信簿に【人の話を聞きましょう】と書かれたとおり、私は【よく人を無視】する」そうで、声をかけられても、自分が声をかけられていたことに、しばらく経ってから気づくことがあるのだとか。また、「小学生のころ、通信簿に【算数は△】ですと書かれた通り、私は【高校生になっても追試を】する」と答えた鬼頭さんは、計算が苦手で、ラーメン屋でバイトしていたとき、会計をやらないように言われていたというエピソードを語ってくれた。
沼倉さんが進行役を務めたバラエティコーナー「わたしに相応しい“数”のチョコをください!」は、『料理/お菓子作り』をテーマに、共感してほしいことをそれぞれが発表。その共感度に応じて、それ以外のキャストが手持ちの3つのチョコ(のプレート)を挙げて、その合計ポイントを争うという企画。
ここでは盛り上がっていたのが、「クッキーをオーブンレンジに入れて溶かしてしまったことがある」と言った上田さん。レアな経験に思えたが、唯一、伊藤さんだけが反応。焦がすのではなく溶けるという不思議な現象を経験した者同士で共感し合っていた。また「料理もお菓子作りも、そもそもやる気が出ない!」と力強く言い放った伊藤さんは、佐伯さんと上田さんから強い共感を得ていた。ただ鬼頭さんと沼倉さんからは賛同を得られない結果に……。
最終的に一番共感を得られたのは、「結局、コーンスターチが何をしてくれるのかよく知らない!」と言った沼倉さんと、「お菓子作りも料理も、後片付けが一番めんどくさい」と言った鬼頭さん。料理好きな人や、実は後片付けが大好きだという上田さんなど、それぞれのパーソナルな部分も覗ける、楽しいコーナーとなった。
続いてはイベントオリジナルの朗読劇。TVアニメでもバレンタインのエピソードがあったが、この朗読劇は、安達がしまむらにチョコレート交換する提案ができなかった平行世界(パラレルワールド)でのお話となる。
平行世界でも、やっぱりマイペースなしまむらと、しまむらの前ではいつもあたふたしている安達、そしてそんなふたりの間に入ってかき回すヤシロの3人。それとは対照的に熟年夫婦のような落ち着きの日野と永藤……アニメの映像が思い浮かぶようなやり取りが繰り広げられている。
しゃっくりの演技がかわいかった鬼頭さんやツッコミを何度も入れる伊藤さん、実際に飛び跳ねながらお芝居をする佐伯さんのワチャワチャした雰囲気と、キャラと同じく安定の空気感を出す沼倉さんと上田さん。実際にお芝居をしているキャストの表情も楽しめるのが面白いところだ。
結局、チョコレート交換をする約束はできなかったが、無事にしまむらとチョコレート交換ができるという奇跡が安達に起こったバレンタインの新たなエピソード。久しぶりの5人に出会えた感じで、とても嬉しい気持ちになった朗読劇だった。
グッズ告知を挟んでからは、鬼頭さんと伊藤さんのライブパートへ。
まず、鬼頭さんが、アニメのEDテーマ「キミのとなりで」を披露。伸びやかで美しい歌声を響かせる。アーティスト・鬼頭明里の曲だが、安達の制服を着ての歌唱というのはなかなかレアで、このイベントだからこそ実現したものと言えるだろう。それにしても、音が上下に大きく飛ぶ難しい楽曲を、しっかりと歌い上げているところが素晴らしい。
安達としまむらがカラオケをしているアニメ映像が流れると、同じく制服姿の伊藤さんがステージに登場し、ふたりで歌ったのは「メリーゴーランド」。この曲では、〈君を見つめてた〉で鬼頭さんが伊藤さんを見つながら歌うと、その直後の〈ただ遠くを見ていた〉では、伊藤さんが遠くを見つめて歌うという、安達の一方通行感がパフォーマンスでも表現されていた。そこからサビの最後で〈君はどう思っているの?〉と、ふたりが目を合わせながらユニゾンで歌う感じも、幸せな気持ちになれて良かった。そして最後はOPテーマ「君に会えた日」。あだしまの楽曲は、ソロパートではそれぞれの視点からの思いを歌うのだが、ユニゾンになったときに、ふたりだけの世界に包まれる感じになるのが、とても心地良い。
ライブパートが終わると、5人が再びステージに登壇し、この日のイベントの感想とファンへの感謝、そして、機会があれば、(原作は続いているので)まだまだ役を演じていきたいというの思いを伝えてイベントは幕を下ろした。作品の印象的なシーンを振り返ったり、朗読劇ではキャラクターの声を聞くことができた今回のイベント。アニメが一区切りし、少し寂しい思いをしていたファンにとっては、とても嬉しいイベントになったのではないだろうか。
文・塚越淳一