中居正広さん[チョコザイ]
- TBSでは8年ぶりの連続ドラマとなりますが、率直な感想をお聞かせください。
- TBSで8年前にやらせていただいた作品は『砂の器』だったのですが、それ以降、TBSさんからはドラマ出演のお話を全くいただけなかったので、“TBSの器ではなかったんだな”と思っていました(笑)。それがこの度、『 A TARU 』 という作品への出演依頼をいただきまして、非常にうれしく思っています。その際に準備稿をいただいたのですが、もの凄く面白い内容でした。自分に演じられるかどうかは別として、『ATARU』という作品に惹かれたので、好きな女の子に出会えた時のように、『ATARU』は誰にも譲りたくないと思い、引き受けました。
- “自分に演じられるかどうかは別として”と、おっしゃいましたが…。
- どういうプロセスがあって僕に出演依頼が来たのかは分かりませんが、「チョコザイ役を中居で」と思ってくれたことは非常にうれしく思いました。しかし、「果たして自分に演じられるのか?」という不安も同時に持ちましたね。とはいえ、『白い影』のときも、『砂の器』も、「自分に出来るか?」という思いからスタートしたので、不安を持つくらいが僕にとってはいい緊張感をもたらしてくれるのかなと。心構えとしては、真っ白な気持ちでチョコザイを演じようと思いました。
- 真っ白な気持ちで?
- どんな役でもそうなのですが、監督が指示してくれることをしっかり吸収して演じることが大事だと僕は思っています。だから、僕自身が「こうしたい」「ああしたい」というのはなく、監督やスタッフが描いているチョコザイ像にどれだけ近づけられるかが重要だと。僕自身は真っ白でフラットな状態で現場へ行き、そこに色を付けていただくのが僕のスタンスです。まだ、完成したものを見ていないので、近づけているかどうかは、不安でいっぱいですね。
- チョコザイを演じるにあたり参考にされた人物はいますか?
- 『ATARU』という作品の中で、チョコザイはチョコザイであると考えているので、参考にした人物はいません。
撮影前に、サヴァン症候群の方にお会いしてお話を聞く機会をいただいたり、医事監修の方とお話する機会をいただいたりしましたが、サヴァン症候群といってもタイプは様々とのことでしたので…。今回は木村監督と話し合い、「こうしよう」「こんな風に演じよう」などと、一緒にチョコザイを創り上げていますが、非常に難しいですね。
- 非常に難しいとおっしゃいましたが、チョコザイを演じる上で気を遣っていることはありますか?
- そうですね…。チョコザイを演じるときは、僕自身何も考えないようにしています。北村さん演じる沢や栗山さん演じる舞子が周りで話していても、チョコザイは会話に参加するわけでなないですし、自分が伝えたいと思ったことがあると、環境や状況に関係なく発言するのがチョコザイなんです。だから、僕自身も沢や舞子などまわりの会話を聞かないように頭を真っ白にして演じています。ただ、そうすると無理が生じてしまうことがあって…、たった一言のセリフが出てこなかったことがありました。今まで経験したお芝居とは違う種類の集中が必要なので、演じていて本当に難しいですね。
- 脚本の魅力もお聞かせいただけますか?
- 僕自身、サスペンスやミステリー小説が好きでよく読むので、『ATARU』も小説を読んでいるような感じがしてスラスラ読めました。チョコザイの出したヒントを元に、沢と舞子が事件をどのように解決していくのか、その謎解きのプロセスがとても面白かったです。また、こういう形でしかコミュニケーションを取れないチョコザイですが、何とかして事件を解決したいと思っているようにも感じて、こんなに素晴らしい脚本を書かれた櫻井さんはすごい人物だと思いました。
- 最後に、今後明らかになるチョコザイの過去・未来に関して、どのように思いますか?
- チョコザイの過去に関しては、 “どういった生い立ちなのか?” “過去に何があって、こうなったのか?” など、物語の複線として、徐々に解明かされていくと思います。そこには喜怒哀楽様々な事があったと思いますが、今はまだ詳しくは分からないので、僕としては今のチョコザイを精一杯演じたいと思います。
また、未来に関しては…チョコザイがチョコザイなりに納得の行く生き方をすることがチョコザイの幸せだと思うので、どのような結末になるのか分かりませんが、事件解決と合わせて楽しんでご覧いただけるとうれしいです。