TBS開局50周年記念・地雷ゼロキャンペーン

　カンポン・レイはバッタンバン州カムリエン郡オーダーコミューンに位置する小さな村である。1996年以前この地域には誰も住んでいなかった、しかしながら1985年～88年ヴェトナム軍とカンボジア軍は現在のサム・ロンとカンポン・レイの場所にあったパトロールのための基地を占領していた。地雷はこの基地を守るために埋設された。同時期にクメール・ルージュはこれらの村を結ぶ泥でできた道に対戦車地雷を埋設した。1989年のヴェトナム軍撤退後、この地域はクメール・ルージュによって支配され、彼らは自分達の安全を守るためにより多くの地雷を埋設した。1991年のパリ和平協定後も、政府軍の侵攻を恐れ地雷は埋設され続けた。1996年に同地のクメール・ルージュは政府に降伏し、基地の近隣に人々が定住し始めたのである。
　泥でできた道はこれらの村からオーダー、そしてカムリエンロードを結ぶ唯一の道であり、マーケットのあるラエムへの唯一のアクセスである。この道路では12人が死亡し�25人が負傷している。加えて、18頭の牛が死亡している。また、2台のトラクターと5台の牛車が事故に巻き込まれている。対戦車地雷の危険性があるため、唯一実際に使える移動手段は原付バイクだけであり、ラエム・マーケットまで往復2ドルもかかる。これは非常に収入の少ない地域住民にとってはとても高い。また地雷の危険性のため、雨季にはぬかるんでしまう道路の補修を行えず、村を訪問しようとする援助団体を妨げてきた。
　ヘイロー・トラストは道路の地雷除去の要請を受けた。というのも除去活動がなされればサム・ロンとカンポン・レイの人々に大きな利益をもたらすからである。まず、除去がなされればより大きな車輌の通行が可能となり�村民の移動手段が増えることになる。次いで、APSERプロジェクトによって、水資源の乏しいサム・ロン村に井戸掘りの道具を運んできることができる。そして、地雷汚染が非常に深刻なサム・ロン村自体に地雷除去チームが行き、除去活動を行うことが可能になるからである。
　サム・ロンまでの地雷除去は3月になされており、4月にゼロ委員会の地雷除去チームが仕事を引き継ぎ、カンポン・レイ村までの地雷除去を行った。大型の金属探知機が道路での除去作業では活用された。この金属探知機は地雷の危険がある程度対戦車地雷などに限られているときに使うことで、除去の速度を速めることができるのである。必要に応じては、雑草が多く茂っている場所などでは通常の金属探知機を活用した。対戦車地雷TM46が主要な道路とサム・ロン間で発見されたが、サム・ロンからカンポン・レイまでの間で地雷が発見されることはなかった。現在道路は普通に使われているが、雨の季節にはオフロード車でのみ通行が可能である。

　オークロッチ村は、極端に貧困下にある村である。以前は、ポルポト派の村であり、多くの家族は土地不足にも関わらず、農業により生計を立てようと苦闘している。これらの問題に加え、飼っている家畜数は少なく、また村の周りは地雷原となっている。この地域における地雷除去活動は、オークロッチ村に住む人たちにより多くの安全な土地を提供することができ、新しく住み始める人々に対しても、安全な土地を提供することができる。除去が完了し次第、20族がまさに除去地に移住し、コミューンの長も各家族に土地を配分することに同意している。またヘイローは、既に新たな学校を建設している。

　スヴァイ・ソール村はバッタンバン州カムリエン郡オーダーコミューンに位置する小さな村である。この村もかつてのクメール・ルージュの支配していた村であり、560村とクメール・ルージュの名前で呼ばれることもある。タイ国境に極めて近く、濃い土壌で根菜が育つというカンボジアでは恵まれた場所である。村は丘の上にあるために洪水の影響を受けず、地域住民はジャガイモやキャッサバを育てている。不幸なことに村の非常に近いところに地雷があり、耕作地のすぐそばにも地雷がある。4月にヘイロー・トラストの地雷除去要員はジャガイモ畑のすぐそばで25個の地雷を除去したが、そのうち4個はゼロ委員会から支援を受けているチームの除去要員によるものである。
　ヘイロー・トラストは村人が現在農作業を行っている畑の周辺で地雷除去を行っている。村人が地雷に遭遇する前に、である。スヴァイ・ソール村のような場所では村人が野菜畑を耕しているうちに次第次第に地雷原に入り込んでしまい�悲劇的な結末を引き起こすことがよくあるのである。