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JNN50周年記念 スペシャルドラマ「天国で君に逢えたら」

9月24日(木) 21:00〜23:04

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コメント

『天国で君に逢えたら』
 二宮和也さんコメント

―野々上純一のキャラクター作りは自然に

今までは感情が沸いてセリフを言う芝居が多かったけど、純一の場合は受け身で、人の話を聞くのが仕事。監督からも「自分の気持ちが乗ったところではなく、相手が気持ちよくしゃべれるように入ってきて欲しい」と言われ、難しい役だなと思いましたね。小学校とかで「人の話をちゃんと聞きなさい」ってよく言うけど、自分は全然学べていなかったな、と(笑)でも、いざ撮影が始まると、頭で考えていたよりも意外と自然に“聞く”ことができたんです。それはひとえに共演者や監督を始めスタッフのおかげ。カウンセリングルームに漂っている空気が、へんな気負いをなくしてくれたんです。
純一のキャラクターも事前に作り込むことはほとんどせず、極めて素に近かったり、現場の空気を取り込みながら自然に出来上がっていった感じ。ただ、純一と僕自身の雰囲気が似ていると言われるのは、うれしい反面プレッシャーでもありましたけど(笑)。

―飯島夏樹さんが生きているからドラマができた!

このドラマを作るにあたって「夏樹さんの作品のためなら」と、本当に大勢の人が協力してくれました。人もそうだし、お天気や風までそんな感じ。カイトボーディングのシーンでは、一瞬吹いた風が最高の映像に。そういう奇跡のような場面に遭遇するたびに、キャストやスタッフ全員の顔がキラキラ輝くんです。これってやっぱり夏樹さんは生きているってことじゃないかな。実は、この作品を通して「死ぬって何だろう?」ってあらためて考えてしまって……。
少し飛躍した考えかもしれないけれど、この世に存在しているのに誰も僕を思い起こしてもくれない、なんていう風になったら、それでも僕は生きているって言えるのかな?とかね。記憶から消し去られるって、自分としてはすごく嫌だし悲しいことだから。まぁ今は嵐のメンバーが「うるさいよ」ってくらい気にかけてくれているからいいけど(笑)。 でもほんと、これは夏樹さんのことを好きな人たちが集まってできた作品です。きっと夏樹さんも喜んでくれていると思うし、優しい気持ちになれるドラマだと思います。

―これからも残したいモノ作りのスタイル

もしもこのドラマにメイキング集があったら、ドラマ本編と見分けがつかないかもしれない。それくらい自然な流れの中で撮影ができました。例えば、僕が本番前にひとりでセリフをつぶやいていると、宮本さんや緒形さんが何気なく入ってきて、一緒にセリフを合わせてくださる。そのうちに動きもついて、そんな僕らをカメラさんや照明さんも本番さながらに追っている。誰かが「さぁ、やりましょう」って声をかけるんじゃなく、何度も自然発生的にリハーサルをしていたんです。みんなマジメで、好きでやっているのが伝わってくるから「あぁいいなぁ、この感じ」って、すごく楽しかった。
ドラマっていろいろな作り方があるし、時代によっても違うと思うけど、今回はなんとなく僕がこの仕事を始めた頃のような懐かしさがありました。できれば、こういうスタイルも残っていったらいいな。 実は、僕は常々ドラマ作りって無駄がないなって思っていました。例えばふだんの生活だったら、冷蔵庫を開けてから「あれ、何を取りに来たんだっけ?」みたいなことがよくあるけど、ドラマでは絶対にないでしょ?でも今回は、純一が子どもたちと遊ぶシーンなんかは、実際に10分間くらい本気で遊んで、その中の数秒をシーンとして切り取ったり。演技するってことをなくした時に生まれてくるものもきっとあると思うんですよね。もちろん時間も手間もかかる。それでうまくいかないこともあるけど、そんな時は宮本さんや緒形さんにまとめていただいて(笑)。本当に頼れるお二人がいてくれたから、僕的に有意義な挑戦がいっぱいできた作品です。
みずほ(宮本)とシュージ(緒形)が海辺でビールを飲むシーンはちょっと映画みたいで、僕はすごく好きなんですよね。

―手紙は記憶のパズルを合わせる作業

エッセイとか歌詞はよく書くけど、手紙は少し苦手。相手と1対1できっちり向き合う作業だし、絶対に途中で終えることができない。そのぶん読む側も集中するわけで、僕にそれだけの手紙が書けるのかっていうと……微妙だな。おしゃべりだったら多少回りくどい僕の話も、最後まで聞けばわかってもらえるけど。
でも、それだけ手紙はエネルギーを使うものだから、やっぱりもらった人の心に届くんですよね。僕も小学校の頃にもらった何通かのラブレターをちゃんと取ってあります。「5年生の時にこんなことがあって好きになりました」とか、その子が一生懸命思い出してくれているのがリアルに伝わってきます。
今回のドラマでも、ゴリさん扮する患者さんが奥さんとの出会から現在までを語って純一が手紙にしますが、手紙ってほんと、記憶のパズルみたいですよね。