2月17日 月曜 (日曜深夜)1:28 -2:58 TBS(90分枠大スペシャル)
ドキュメンタリー「解放区」 小澤征爾 〜魂のタクト・奇跡の第九〜
放送となります。
https://www.tbs.co.jp/kaihou-ku/
大久保竜監督が一年がかりで、取材と権利交渉に取り組んだ労作です。
「戦後間もないころ、ひたすら海外を目指したひとりの日本人の青年がいたということを知ってもらいたい」と語ります。
TBSヴィンテージクラシックスは企画原案とスーパーバイジングを協力いたしました。
小澤征爾さんへの感謝と感動の拍手は今も鳴りやみません。小澤さんが亡くなって一年となりました。NHKでは、2月6日のご命日から一週間で4本もの追悼番組を放送しています。小澤さんの姿にあらためて見入りました。戦後の貧乏の中で音楽を志し、世界を目指し、頂点を極めてからも日々、早朝からの勉強を続け、よく泣き、よく笑い、しなやかに、あざやかに音楽を紡ぎ、一生を世界普遍の音楽づくりに捧げた姿に感銘を受けます。番組には、数十人のディレクターたちの名前がありましたが、誰もが小澤さんの偉大さ、豊かな人間的な魅力にひきつけられた方々でしょう。TBSの先輩たちもみなそうでした。
萩元晴彦(1930-2001)、大原れいこ(1936-2020)はその代表です。
TBS在籍中もTBSから独立しても生涯、小澤征爾の姿を記録しつづけました。放送局の垣根を超えて、NHKの小澤征爾特集には二人が撮った数々の映像がありました。
今回のTBS「解放区」の番組では、萩元がTBSに残した映像がひとつの柱となっています。萩元晴彦は、小澤征爾の音楽の真髄に迫りたいと思っていました。
1965年12月22日から24日まで、小澤征爾は日本武道館でベートーヴェンの交響曲第九番「合唱付き」を指揮しました。武道館での三日間にわたるクラシックコンサートは前例のないものでした。「N響事件」で石もて追われるように日本を去って3年、小澤征爾はNYで、ロンドンで世界的地位を確立し、日本に凱旋帰国しました。
この演奏会で、萩元晴彦はある企みを実行しました。本番直前のリハーサル中、小澤の胸ポケットに集音マイクを入れ、小澤征爾の声や息づかいを記録しようというのです。マイクは結果的に小澤征爾の激しい唸り声や「カンタービレ」などの大声での曲想指示、さらに小澤が歌う声を録りました。映像は演奏し終えた小澤征爾の法悦の表情をクローズアップで撮りました。これはTBSが誇る世界的な財産です。萩元はこれを歴史の遺産として残すことを想像していたのかもしれません。
この映像の詳細などを公共財の資料として以下に公開いたします。
(2023.4 TBSヴィンテージクラシックス企画書 「これが小澤征爾だ」)
なお、この番組は3月14日から映画館でも上映されます。
青年小澤征爾の雄渾なる指揮ぶりを大スクリーンで味わうことができます。
https://tbs-docs.com/2025/title/09.html(※外部サイトへ移動します)