ごくありふれた、どこの家庭にも存在し得る日常の風景を描いた良質のホームドラマ。「渡る世間は鬼ばかり」の橋田壽賀子が脚本、石井ふく子がプロデュースを担当し、芦田伸介と池内淳子が、夫婦役を好演した。
夫婦と子どもひとりの家庭。夫婦中心から徐々に子ども中心に変化する家族の暮らし。子どもばかり構って、自分に目を向けてくれなくなる妻。寂しさがこみ上げるが、ふと客観視したとき、自分もまた娘に対して「親バカ」であり、その瞬間が最も幸福感に浸っていることに気付く夫。多くの人々の共感を得るであろう夫婦の姿がここにを描かれている。1965年作品。
【ストーリー】
娘が幼稚園に行くようになり、水野誠司（芦田伸介）の生活は大きく様変わりした。食卓も、以前は味噌汁だったのがミルクに、刺身はオムレツに、みたいな日が多くなった。そして、誠司の目から見て、妻の治子（池内淳子）は、妻であることよりも母であることに熱中しているように見える。そんな治子に対し、時には寂しく、時には腹立たしく思う誠司だったが…。

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