「さぶ」「樅（もみ）ノ木は残った」など、懸命に生きる市井の人々の思いを綴った作家・山本周五郎。「ひとごろし」は、山本周五郎のコミカルな作品。近所で評判の臆病侍が、上意討ちの追っ手となってあだ討ちの旅に出るが、できることといったら「ひとごろし」と人々に触れ回るくらい…。そんな臆病侍を、昭和を代表する国民的スター・植木等が好演している。

【ストーリー】
六兵衛は近所で評判の臆病者。いつもかねに「いつまでたっても十石三人扶持」と葉っぱをかけられている。その六兵衛が上意討の追っ手を自ら名乗り出る。相手は剣の達人、仁藤昂軒。まともに討ちあっては勝ち目がないと、卑怯だが昂軒の行く先々でひとごろしと叫ぶ作戦に出た。弱った所で役目を果たそうという狙いだ。5日目にようやく昂軒が力つきてきた。自害することをやめさせ、そのかわりモトドリを取らせてもらう。殿には認めてもらえなかったが、六兵衛は自分の気持ちが満たされたことに大満足である。

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