1956年から36年間単発ドラマ枠として放送され、1800以上の名作・傑作ドラマを世に送り出してきた日曜劇場。その中でも「トレード」は、落ち目のプロ野球選手の心象風景と、秘やかに彼を愛し続けたファンとの心の交流を描く異色作。オールスタジオロケで知られる日曜劇場で、いかに球場の雰囲気をかもし出すかが演出家・鴨下信一の腕の見せ所である。

【ストーリー】
広田浩太郎が甲子園のスターだったのはもう十数年の昔。ドラフト指名で入った球団を追われ、今シーズン、またトレードされて新球団でプレイする。いきつけのスナックのママ純子は、自分の店を買って引退しろというが、離婚で一切を失った広田には金がない。新球団の鬼監督山垣が電話をかけてきて、翌日、広田の故郷横浜で行われる試合にスタメンで起用すると告げてきた。ところが相手のピッチャーが高木と聞いて、スタメンはやめると言い出す。高木は広田の別れた妻と関係のあった投手だったからだ。広田はきっと打つと約束した。

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