土曜 よる11:30〜
人生最高レストラン

放送内容(2022年2月26日 #245)
ごちそう様 篠原涼子さん
ゲストは、篠原涼子さん。16歳でアイドルグループ「東京パフォーマンスドール」の初代メンバーとしてデビューし、ソロデビュー曲「恋しさと せつなさと 心強さと」は女性歌手で日本初のダブルミリオンという快挙を達成(シングルCD売上200万枚突破)!その後は、「アンフェア」や「ハケンの品格」など、女性が憧れる女性を演じ、第一線を走り続ける人気女優に。そんな篠原さんが、芯の強さと天然キャラを炸裂させながら、アイドル・歌手・タレント・女優と、すべてにおいて輝きを放ってきた自らの芸能人生をおいしいものと共に語った。
■お品書き
群馬・桐生市「故郷・群馬のソースカツ丼」
篠原さんの故郷・群馬県桐生市。昔から養蚕が盛んで織物の町として知られる桐生市には、食の名物もある。それが、「ソースカツ丼」。その元祖と呼ばれるのが、1926年創業の老舗「志多美屋」。篠原さんも子どもの頃から「志多美屋」の「ソースカツ丼」を食べて育ち、今でも帰郷したら必ず食べているという。まさに、桐生市民にとっての“ソウルフード”である。ちなみに、篠原さんが昔から利用しているのは、「志多美屋」広沢支店。
キャベツを敷かず、ご飯に直接カツをのせるのが「桐生ソースカツ丼」。メニューは、ヒレとロースの2種類があり、4貫入り、6貫入り、メガ盛り8貫入りから選べる。篠原さんは、いつも「ヒレ4貫入り」だそう。カツには乾燥に強いパン粉を使用しているため、タレに浸してもベタベタせず、ずっとサクサクした食感が特徴。そして、創業以来41年継ぎ足しの、さっぱりとした甘辛ソース。それは、もともと鰻屋だった時代から代々受け継がれているレシピを基に、醤油・みりん・砂糖を絶妙に配合した“鰻のタレ”に辛めのウスターソースを入れた唯一無二の味。硬めに炊かれたご飯に、衣と肉とが一体になった柔らかな食感のカツ、そして絶品タレのマリアージュは、他では食べることのできない、桐生ならではのおいしさ。
*店舗情報:「志多美屋 広沢支店」群馬県桐生市広沢町5-1386
東京・目黒「大人の嗜みを教わった!とんかつ」
東京のJR山手線目黒駅から徒歩2分にある「とんかつ とんき」目黒本店。1939年創業の老舗で、あの美食家・池波正太郎も愛したという、東京を代表する名店の1つ。1階の厨房を囲むコの字型カウンターは圧巻で、中では職人たちが忙しそうにいつも手を動かしている。そして、店内にはラードの香ばしい匂いが漂い、とんかつを揚げる音が響き渡る。そこは、まるで「とんかつ劇場」を見ているかのようで、胸が躍る空間。篠原さんが「とんき」に通い始めたのは、23歳の頃。大ヒット曲「恋しさと せつなさと 心強さと」で大ブレイク後、何をやってもうまくいかず、夢も希望も失いつつあった頃だった。そんな時にここを訪れては、上京後ただひたすらに芸能界を駆け抜けてきた自分を見つめ直す時間を過ごすこともあったという。
メニューは、「ロースかつ」「ヒレかつ」「串かつ」の3品のみ。これを定食と単品で提供している。篠原さんは意外と大食いなようで、必ず「ロースかつ」と「串かつ」の2品を頼むそう。薄くきめ細かい衣をまとった油っぽくないとんかつが、「とんき」の特徴。そこには、老舗の職人技が隠されている。肉を手で扱うと衣が潰れるため職人は串を使用し、薄力粉と強力粉を合わせた粉と卵をしっかりと3回つける。そして、細かいパン粉を付け、150℃の低温で約20分じっくりと揚げる。衣、揚げ、盛り付けと完全分業態勢で、お客のタイミングに合わせた接客で提供される「とんかつ」は、タテ方向だけでなく、ヨコ方向にも1本の切れ目を入れ、食べる時の赤身と脂身の配分をよく計算した芸術のような一品。オーナーしか作り方を知らないという秘伝のソースでいただくその味は、意外なほどあっさりと軽い口当たり。薄い衣と肉汁がしたたるジューシーさもあり、至福の時間を堪能できる。
*店舗情報:「とんかつ とんき」東京都目黒区下目黒1-1-2
東京・渋谷「新境地で出会った!かいそううどん」(※人生最高の一品)
篠原涼子さんの“人生最高の一品”は、新境地で出会った「かいそううどん」。それは、東京・渋谷にある「麺㐂やしま」の一品。香川県善通寺市で創業して80年以上の手打ち讃岐うどんの名店。愛媛県松山市に移転後、4代目店主の白玖剛(はく つよし)さんが渋谷宇田川町に移転。その後、富ヶ谷に再移転し、2013年には渋谷円山町店をオープン。機械を一切使わない手づくり讃岐うどんを提供するお店として、愛されている。店内は、厨房に面したカウンター席が4席、テーブル席が4卓ほどのこじんまりとした空間。昭和レトロな雰囲気で、フィギュアが所狭しと飾られ、食事だけなく楽しい時間を過ごすことができる。また、厨房手前のカウンターから見えるところには、手打ちうどんの製麺室があり、タイミングが良ければ、うどんの手打ち風景をのぞくこともできる。
篠原涼子さんの大好きなメニューは、「かいそううどん」。カツオといりこの出汁に、3日間熟成させた国産小麦100%の手打ち麺、3種類の海藻(わかめ・昆布・とろろ昆布)がたっぷり入った一杯。もっちりとした食感に適度な弾力のある麺は、普通盛りで十分な食べ応えがある。大盛りの場合、600gの麺が茹ると約1kgに!「麺㐂やしま」は、うどんだけでなく、天ぷらも絶品。げそやイカなど、ほとんどの素材を国産にこだわり、常時15品目の品揃え。お好みで揚げたての天ぷらをトッピングしていただくのがオススメ。揚げ物好きの篠原さんがいつも注文するのは、「イカ天」。大粒の衣でサクサクしており、ビールのアテにもピッタリ。秘伝のタレをかけて食べるのが、たまらなくおいしいそう。
「恋しさと せつなさと 心強さと」で大ブレイクした後、何をやってもうまくいかず、夢も希望も失っていた篠原さん。そんな中、27歳の時に巨匠・蜷川幸雄さんから舞台「ハムレット」の出演オファーが入る。ただ、そもそも舞台が好きでなかった篠原さんは、受ける気は毛頭もなく断る予定だった。ところがある日の夜、蜷川さんの顔がふと脳裏に現れたという。その時の蜷川さんの笑顔が、『まるで神のように見え、この人と一緒にいたら幸せになれそうな気がする』と思った篠原さんは、嫌いだった舞台の世界へ飛び込むことに。しかし、稽古を重ねる中で、やっぱり好きになれない…そう思いながら、迎えた本番。女優・篠原涼子を目覚めさせる出来事が起こる。「こんなオフィーリア観たことがない。明日からやらないでほしい。最低のオフィーリア」篠原さんに対する、観客からの厳しい批判のハガキであった。傷付いたの事実だったが、篠原さんがとった行動は、それを楽屋の鏡にずっと貼っておくことだった。『絶対この人に良いと思われるように演じてみせる』そして篠原さんは、オフィーリア役のイメージと真逆だが、自分だから演じることのできる、新たな“芯のある強い女性”オフィーリアを千穐楽まで演じきったのだった。今や、老若男女に愛される人気女優となった篠原さんにとって、舞台「ハムレット」は女優人生のまさにターニングポイントの作品。そして、稽古や本番の合間をぬって通っていた「麺㐂やしま」の「かいそううどん」は、本物の女優へと歩み始める篠原さんにとっての、大切な活力源となっていたのだった。
*店舗情報:「麺㐂やしま」東京都渋谷区円山町10-13