2017年10月期連続ドラマ

インタビュー

小原賢治役・ピエール瀧

このドラマのオファー受けた時のお気持ちは?

自分にとって初めての大きな映画の現場でご一緒させて頂いた役所広司さんと、また共演できることをとても光栄だと思いました。

今回演じられる小原という人物をどうお考えでしょうか?

大手企業「アトランティス日本支社」の営業部長ということで、ドラマの構図としては「こはぜ屋」に対立するというか、立ちはだかる図式となっているので、ドラマ上“悪役”ということにはなります。でも、僕の中では小原さんを、悪役とは捉えていなくて。原作でも小原さんは、ドラマほど悪い人物として描かれてはいないんですよね。『陸王』をドラマ化するにあたって、誇張されている部分はありますが、大企業には大企業なりの理論があって、小原さんはその中で結果を出さなくてはならないという立場の人間なので、彼なりにものすごく奮闘努力していると思うんです。
例えば、こはぜ屋さんは20数名の従業員がいて、宮沢さんは彼らの生活を守らなければならないというようなセリフがあったと思うのですが、一方の小原さんは、社長でこそありませんが、何千もの部下を抱えているはずです。中小企業と大企業それぞれに、いろいろなことがあるので同じ土俵では語れませんが、小原さんには彼なりの苦労があって当たり前だと考えています。

そんな小原を演じる上で気を付けているところは?

何といっても、小原さんは大企業の営業部長なので、その表情やしぐさ、佇まいやセリフの言い回しなど、小さく姑息な感じに見えないよう気を付けています。「こはぜ屋」のライバルとして、アトランティスと小原さんの存在が大きいほど、それを打ち負かした時、ドラマをご覧いただいている皆さんのカタルシスが大きなものになると思うので、「ついに小原を、アトランティスを倒した!」と感じていただけるよう演じられればと考えています。姑息で卑怯なヤツを倒しても、多分観ている方はそれほどすっきりしないでしょうしね(笑)。

物語のヒール役を演じて楽しみなところというと?

このドラマは誰もが感情移入しやすいよう、登場人物それぞれがデフォルメされていると思うんです。その前提の中、小原さんを演じるにあたり、例えば監督から「ここは悪い表情をしてください」とリクエストされたときなどは、わかりやすく悪人顔を作るといったように楽しんでします。
ただし、いわゆる“勧善懲悪モノ”のヒールではないので、そこは気を付けて演じているところですかね。もしかすると、アトランティスのアメリカ本社には、小原さんも閉口してしまうような強烈な上司がいて、その人の腰巾着のような小原さんがいるかもしれないので、そんな想像をしながら彼の悲哀も意識しています。

主演を務める役所広司さんとのお芝居をされて思うことというと?

役所さんのお芝居に対して僕が何か言える立場ではありませんが、僕が映画に出始めの頃、「ローレライ」という作品でご一緒したときの、役所さんの印象がとても強く残っています。当時、役者として素人同然の僕に対しても分け隔てなく現場で引っ張っていただき、「これが映画の現場なんだよ」というところへ連れて行ってくれた感じがしています。
来年公開の映画でも共演させていただくのですが、最近はこの「陸王」含めなぜか役所さんとご一緒できる機会が多くて、嬉しく思っています。

最後にこのドラマの見どころというと?

ある意味、ゴールは見えているというか、ドラマをご覧になっている皆さんが思う通りのラストにはなるのですが(笑)、ドラマの最終回へ向けて、松岡修造さんが社長を演じる「フェリックス」という新たな企業が登場するなど、こはぜ屋にはまだまだいくつもの壁や難題が立ちはだかります。
ドラマを観ている皆さんの大半が“弱者が強者を倒す”的な部分を楽しみにされていると思うのですが、小原さんも小籔くん演じる佐山も、大きな企業の中で“結果”を要求されている人たちです。こはぜ屋さんにもアトランティスにも、ここまでくる経緯と、最終回以降の“それから”があるはずなので、そんなところにも思いを馳せていただくことで、このドラマの本質を感じ、より深く楽しんでいただけると思います。最後までご覧いただけると嬉しいです。

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