TBS生活者データ

総合嗜好調査活用事例

TBS総合嗜好調査では、1970年代から同じ設問で調査を続けている項目が数多くあります。そのなかから「好きな料理」について「日本料理」と「イタリア料理」の選択率の推移をみたのが以下の図1です。これを見ると、1980年代末頃からイタリア料理の選択率が増加していることが読み取れます。

では、イタリア料理の人気上昇の背景には何があったのでしょうか。この疑問に答えるのが長期時系列のデータ変動を「時代」「年齢」「世代」の3効果に分解するコウホート分析です。

総合嗜好調査活用事例 グラフ1

コウホート分析結果の見方

「コウホート(cohort)」とは「共通の特徴を持った個人の集合」のことですが、ここでは同じ時期に生まれた人口集団である「出生コウホート(birth cohort)」、いわゆる「世代」を指しています。
そしてコウホート分析は、長期間の数字の変動(長期時系列データ)を「時代」「年齢」「世代」の3つの効果に分解して、どの効果がどれくらい数字の変動に影響したかを示すものです。

●時代効果(Periodeffect)は時代につれて社会全体が同じ方向に変化していく部分を表します。この効果から「社会全体の変化」が読み取れます。

●年齢効果(Ageeffect)は誰にとっても共通な、年齢に応じた変化の部分を表します。就職、結婚、定年などライフステージの変化も反映するこの効果から「加齢による変化」が読み取れます。

●世代効果(Cohorteffect)は、同じ時代環境の中で生まれ育った人々が共通して持つ、他の世代の人々とは異なる部分を表します。この効果から「世代間の違い」が読み取れます。

イタリア料理は1980年代末のバブル後期に起こったいわゆる「イタメシブーム」をきっかけに人気が高まりましたが、コウホート分析の結果には、そうした時代効果(図2)がはっきり現れています。20代がイタリア料理人気のピークとなる年齢効果(図3)や戦後生まれにイタリア料理好きが多い世代効果(図4)もありますが、数値の振れ幅からみて時代効果の大きさが顕著です。

コウホート分析を行うには同一内容による長期時系列調査データが必要ですが、今から過去を調査することはできません。その点、1970年代からデータを蓄積してきたTBS総合嗜好調査こそ、コウホート分析にうってつけのデータといえます。

総合嗜好調査活用事例 グラフ2
「TBS総合嗜好調査×コウホート分析」により、例えば「プロ野球の巨人ファンの増減は世代の入れ替わりによるのか」「本格焼酎ブームの背景要因は何か」など時系列変化に関わる問いについて、他のデータからは得られない洞察を得ることが可能となります。