撮影 中山和弘
今回は、身体に障害のある役者のみで構成される「劇団態変」をTBSラジオの中村友美ディレクターが紹介しました
劇団態変は、大阪を拠点に30年以上活動し海外公演も多数行う知る人ぞ知る劇団で、3月には12年ぶりの東京公演も行われます。身体障害者だけでどんな演技を行うのか?劇団主宰の金満里さんに伺いました。
『劇団態変は、身体障害者の身体を活かして表現する集団なんです。セリフは使いません。四肢欠損の人たちは転がる。お尻で這う。手だけの、上肢欠損のパフォーマーは、歩き回るんですけども、上半身、その障害の部分を抑え込まずに表現するんですよね。』
劇団態変の舞台表現は、ジャンルとしては舞踏に近いですが、例えば足の不自由な方が杖など全くない状態でよろよろと歩いたり、手も足も無い方がもがくように舞台上を進んだり。敢えて障害を強調する劇団態変独自の表現が、芸術作品として高く評価されています。なぜ、このような表現方法に行きついたのか、金さんに聞きました。
『ダイナミックな障害自身の日常の動きというのがあるんですよね。だけどそういう日常の動きというのを一般の社会の中でやったら、不協和音を来たすのでなるべく抑え込まないといけないように、小さいときから育てられるんですよね。そうじゃないやろというところがね。いや、それ自体がものすごく表現的なんじゃないか、という発想ですよね。』
例えば、ご飯を食べる時。身体障害者なりの各自独特で絶妙な食べ方があるけれど、人前では、恥ずかしいからと周りから止められてしまうそうです。劇団態変は、その固定観念を無くしたいという思いで活動しています。
3月の東京公演にはオーディションで選ばれた、さまざまな障害のあるエキストラ10名も登場します。そんなエキストラの方に、稽古に参加した感想を聞きました。お一方は、1月9日放送「初詣のバリアフリー」特集にもご登場いただいた、脳性まひで手足が不自由な横山礼子さん。もう一方は、左半身だけが不自由だという小林加世子さんです。
『(横山さん)小さい時から運動が苦手で、まさかオーディション受かると思ってなくて。稽古ツライけど、自分自身に自信がついて、できるんじゃないかっていう意識が自分に向いたって思います。
(小林さん)自分の体がコンプレックスで、左半身が身体不自由なんですけど、それを自分の体の中に2つの体が共存している、2つあるねと言われて、確かにと思って、じゃあどうやって他の人と違う表現ができるかなって、それで負けてらんねと思って火がついちゃったんですけど』
金さん自身も、3歳から重度のポリオを患っていますが、そんな金さんが、障害を活かした表現ができるとエキストラの皆さんに演技指導をすることで「健常者と違うということを変わってて面白いことと思えるようになった」と言う方もいました。
そんな劇団態変が、なんと今、運営の危機にあるといいます。金満里さんに事情を伺いました。
『稽古する場所を確保するだけでもすごく大変で、いろんな所から。介護者に車いす押されて、車いすを使って来なければいけないでしょう。そこを安定した稽古場を確保できるっていうことは、絶対な条件。その場所の維持やってたのが、厚生省の作業所枠。一部福祉業務をやっていたけど、法律が変わってその適応外になった。福祉業務をもっと増やすことはできないので、自主運営と言う方法でなんとか劇団態変の稽古場をなんとか維持しているんですね』
「劇団態変」は劇団活動と同時に、小規模作業所として雑誌を作り、そこに国からの補助金が出ていましたが「障害者自立支援法」ができたことで、あくまで劇団活動がメインの劇団態変には補助金が出なくなってしまいました。今は賛助会員からの収入でなんとか活動を維持しているそうです。
金さん「東京にはめったに来れないのでこの機会に」と言っていたので、興味を持たれた方は是非、足を運んでみて下さい。
<劇団態変「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」東京公演>
【日時】
2016年
3月11日(金) 19:00
3月12日(土) 13:00/19:00
3月13日(日) 13:00
【会場】
座・高円寺1
【チケット】
(前売り・当日共に同価格、全席自由)
一般4,000円、学生3,000円、シルバー3,500円
【チケット取り扱い】
態変officeイマージュ 06-6320-0344
※障害者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックス(03-3223-7300)での予約に限り1割引きとなります。
関連情報・お問い合わせ先
- 劇団態変 公式webサイト
http://www.asahi-net.or.jp/~tj2m-snjy/jtop.htm