担当:山崎景子
障がいのある子供たちに、おもちゃを作っている
東京・世田谷区のボランティアグループ「TOY工房どんぐり」を
取材しました。
60代から70代ぐらいの手芸好きの女性が週に3回集まって、
ミシンなどで作っているそうですが、どんなおもちゃなのか?
「TOY工房どんぐり」代表の 河村豊子さんに伺いました。
特別支援学級に、教材が欲しいんです、困っていますということを伺ったので、
教材に結びつくおもちゃを作っていこうと。
普通のお子さんだとステップが1.2.3ってどんどん成長して行くところが、
障害を抱えているお子さんが0.1、 0.2くらいのステップに合わせたおもちゃが欲しいという気持ちがあるので、
そういうおもちゃを作っています。
おもちゃはデザインから始まり、全てオリジナルで作っているそうです。
活動を始めて30年
経ちますが、作品は200を超えるそうです。
例えば、「身支度エプロン」。
エプロンに洋服が縫い付けられていて、エプロンをつけますと、
上半身にシャツとジャンパーが
下半身にGパンがくるようになっています。
これで、チャックの開け閉めやボタンを留める練習をするわけなんです。
これで洋服が着られるようになれば、トイレにも行けるようになりますし、
自立の第一歩に繋がります。
おもちゃは、基本「布で」作られています。
丈夫でかつ、口に入れても、人に当たっても、
木やプラスチックなどに比べて
怪我につながりにくいからだそうです。
他にもこんなこだわりがあるそうです。
デザイナーの穂苅弓さんのお話です。
信号をマスターしなければ命を落としてしまうということで、
赤青黄色の信号の色をすべてのおもちゃに使い、作ってあげるんです。
色を認識することによって、もし信号で、赤が付いていたら渡っちゃいけないんだよ、
遊びの中から無意識の中に把握させてあげたいっていう想いです。
色も学んでもらおうというわけなんですね。
実際におもちゃを使っている学校に感想を聞きました。
知的障害の子供達が通う、藤沢市立 白浜養護学校の吉澤さんのお話です
視覚障害をお持ちの方もいるので中に鈴を入れてくださいとか、
大きさ、色もリクエストできる、お子さんの特性に合わせたものを作っていただけるのは
とてもありがたいですし、色々なことの学習に結びつくことなので本当に助かっています。
一つでもできることを増やすというのは将来にとって大事なことなので、
そのきっかけにとてもなっています。
できることが増えると自信にもつながりますからね。
遊んでいるところを見てきましたが、皆とても楽しそうで、
笑顔が輝いていました。
TOY工房どんぐりでは、「材料費」をもらうか、レンタルという形をとっています。
対等な立場で、おもちゃに対して意見を言い合える関係でいたいからだそうです。
今後についてデザイナーの穂苅さんはこのように話しています。
成人した障がい者、その子達が楽しむ娯楽がないんですよね。
例えば的あてなんてあるじゃないですか?
今作っていたのは、ドングリではりんごの木とか、
数字が書いてあるとか、お勉強のためのものなんです。
だけどアートタペストリーをくっつく布で作り、
ダーツみたいにそこに投げて楽しむ、おしゃれなアートなタペストリーだったらいいじゃないですか?
だからそういう大人になった障害がある人たちのための娯楽のおもちゃを作ってあげたいな。
おしゃれなものだと、大人でも楽しめていいですよね。
「自立支援を助けるおもちゃ」から「娯楽のおもちゃ」へも
広げていきたいというわけなんです。
また将来的には、知的障害、身体障害両方抱えているなど、
どんなに重い障害でもみんなと遊べるおもちゃを作って、
いわゆる「おもちゃのバリアフリー」を目指したいと話していました。
おもちゃのバリアフリー、実現するといいですね。
関連情報・お問い合わせ先
- TOY工房どんぐり
http://toy-donguri.net/