今日はおしゃれなカフェをTBSラジオの澤田大樹記者が取材しました。杉並区の阿佐ヶ谷駅から徒歩2分のところにあるケアラーズカフェ&ダイニングアラジンといいます。
カフェといっても、ただのカフェじゃありません
ケアラーズカフェというのは聴きなれない言葉だと思うんですが、
ケアラーというのは呼ばれる家族を介護している人や病気のお子さんの
世話をしている人のことで、その人たちためのカフェなんです。
運営しているのは介護者をサポートしているNPO法人介護者サポートネットワークセンターアラジンです。
外から見ると普通のカフェで一般の人も利用できるのですが、店内には
介護に関するチラシやポスターが張られていて、介護に関する情報も
得られるようになっています。
どうしてこのカフェを作ったのか、スタッフで自身も親御さんの
介護をしている森川恵子さんに聞きました。
「色んな地域に介護者の会はあるがどんな会も月に一回程度。介護って日常で生活そのものなので、介護者の都合で立ち寄れる場所がない。私自身が母と接する中で日常ふらっと立ち寄れる場が必要だと思ったんです。」
自身の介護体験からカフェをオープンしたんですね。
森川さんは介護についての悩みや不満を抱え込んで小学生のお子さんを連れて
家出をしたこともあるそうなんです。だから、イライラする事があっても
「きょうこんなことがあってね」と気軽に話せるようなカフェを
必要としていたと話していました。
介護の具体的な情報を得るというよりは、介護に対する不満や不安を
聞いてもらえる場なんですね。
そのため、アラジンのスタッフは介護経験を持つひとや、話を聞く
トレーニングを受けた地域のボランティアが務めています。
また、営業時間は火曜日から金曜日の昼11時半から夕方5時までですが、
働きながら介護している人が来やすいように
木曜と金曜は夜の9時半までと長い時間営業しているのも特徴です。
アラジンがオープンしたのは去年4月なのですが、開業1年で数百人もの
介護者が訪れています。1日平均だと最低2人は来るそうです。
しかも、地元・杉並区の人だけでなく、茨城や神奈川といった関東はもとより
長崎や仙台といった遠方からも訪れる人もいます。
なかには、アラジンを紹介した新聞記事を握り締めてお店に来て
店に入るなり、涙を流しながら介護の苦しさを話す人もいるそうです。
普通のカフェとの違いは他にもあります。
月に数回「サロン」と呼ばれる集いがあり、
親を介護する娘だったり、働きながら介護する男性だったりが
集う場になっています。
このほかに介護者に息抜きをしてもらおうとフラワーアレンジメントの講座も
開かれていて大人気だそうです。
取材した日にランチを食べに来ていた介護者にケアラーズカフェについて
聞きました。
「火曜から金曜日のランチに来ている。ちょうど母親を介護していて、2人きりでいるのに耐え切れなくなって、自分がリフレッシュしないでイライラしてるとそれが母に伝わってしまう。ここで『みんな同じよ』といっていただけるとほっとする。」
介護する側がイライラしちゃうと介護される人にも影響が出ちゃいますよね。
お話を伺った方は同じような境遇の人に出会って、お互いに愚痴を
こぼしあったりアドバイスをしあったりしているそうで明るい表情が
印象的でした。
全国からカフェを訪れる人が多い事からアラジンではこんな取り組みを
行っています。再び森川さんです。
「ケアラーズカフェ立ち上げ講座というのもやっています。これも何度も「うちの近くにないですか」と電話が入るんですね。また『こういう場を立ち上げたい』という声を多く頂いた事から始まった講座が人気を博している。こういったカフェが全国にたくさんできていったらいいと思う。」
必要とされているにもかかわらず、全国にケアラーズカフェは
3つしかありません。
ケアラーズカフェ立ち上げ講座には福岡や京都からも
参加者がいるということで、強い関心が伺えました。
介護者の悩みというのは全国的な課題ですから、
ケアラーズカフェが広がっていって欲しいですね。
ケアラーズカフェ&ダイニング アラジン
住所: 東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-4-1(阿佐ヶ谷駅徒歩2分)
電話番号: 03-6317-1634
・カフェタイム : 11:30〜17:00 (火曜日〜金曜日)
・夕暮れバー : 17:30〜21:30 (木、金)
関連情報・お問い合わせ先
- ケアラーズカフェ&ダイニング アラジン
http://cafearajin.com/