今日は、女性に対する暴力から身を守るための護身術『WEN-DO』について
TBSラジオの中村友美ディレクターが取材しました。
「WEN」は、女性の複数形「WOMEN(ウィミン)」の略で
「DO」は武道の「道」を意味しています。
ですが、「WEN−DO」は、単に体を使った護身術ではありません。。
今回指導してくださったWEN−DOインストラクターの橋本明子さんは、
3時間のワークショップの中で、こんなレクチャーも行っていました。
「痴漢だっていうのが分かった時。
混んでてもうぎゅうぎゅうで、誰が触ったのか全然分からない。
気持ち悪いっていう時に、涙は出なくてもいいんで、
その場で大きい声で泣いてほしいんです。
視線が集まると手って引っ込むんですよ。」
WEN−DO護身術は、男性が女性に対して働く痴漢やストーカー、
DVといった暴力行為から身を守ることが一番の目的です。
護身術は、必ずしも武術である必要はないんです。
たとえば、WEN−DO護身術で一番重要な技は「逃げる」ことです。
相手に攻撃するためにわざわざ近づくのはもってのほかで、
近づかなければ攻撃できないほどの距離があれば逃げましょうと教えられます。
そして逃げ切れないほど相手が近くにいる場合には
急所を蹴ったり、相手の手を払いのけるなど、
何らかのアクションを起こしてから、逃げます。
今回参加したWEN−DOワークショップは
神奈川県茅ケ崎市の男女共同参画推進センターで行われたのですが、
参加者はみんな小学生〜高校生の女の子とお母さんという親子ペア。
将来お子さんの身に起こり得る被害を防ぐという目的で参加されていました。
そんな参加者のみなさんに、ワークショップ終了直後の感想を聞いてきました。
「簡単ですけどわーって脅かすのは、テクニックいらないかなって思いましたね」
「首を絞められた時に、手を耳の横に持って行くっていうのがあって、
それが使えそうだと思いました」
「武術的なことだけじゃなくて、
レクチャー部分もたくさん先生からお伺いして非常に興味深く」
「使わないことを願ってるんですけどやっぱりもしもの時もあると思うんで、
そういう時に自分や子供を守れたらいいなっていう感じですね」
また、インストラクターの橋本さんは、
以前ワークショップに参加した人の体験談として
こんな話をしてくれました。
「DVを家の中で受けていて、必ずお連れ合いが、子供がいる前で彼女の首を絞める。
で、それがすごくやっぱり怖いし、子供たちに見せるのも嫌だっていう人がいて、
参加してもらったんですね。
今日やったんですけど首絞められた時どうする?
その時に、もしここまで来られたら、すね狙おうかしらとか、
首絞められそうになったら、こんな技やったからあれやろうかしらって
冷静に夫の体を見たら、夫がそこでぴたっと止まった。
そうしたら、結果的には何もしていないんだけども、被害を受けなかった。
子供の前で、子供が怖がるものを見せずに済んだ、っていうのが
ありますね。」
WEN−DOを習って、実際にアクションを起こさなくても、
知識として、こういう時にこういう技ができるという事を知って、
冷静に立ち向かう姿を見せるだけで、
相手はひるんでしまったそうです。
またインストラクターの橋本さん自身も、
かつてお母様の再婚相手から性的な暴力を受けていたそうですが、
WEN−DOを知ったことで、過去は変えられないけれど、
これから先に同じことが起きた時に抵抗する術を身に着けることが出来て、
未来が明るくなったと話していました。
最後に橋本さんに、今後WEN−DOを指導していくうえでの
将来的な目標を伺いました。
「一番の目標は予防教育で、被害を受ける前、
そういういろんな怖い思いをする前に、
こんなことがもしも起きたらこういうやり方があるよとか、
自分を責めないでいいんだよっていうこととか、
実際にこういうところに相談行けるよっていうのを、
学校の授業とかで入れると一番いいかなと思ってます。
なかなかそれがね、事が起きないと緊急性っていうのはないので<ね。
分かっていただきにくいんですけど」
予防教育としてのWEN−DOを広めるには、
学校という誰もが平等に学ぶ場で、性教育の一環として行っていきたいと
橋本さんは考えているそうです。
WEN−DOが世間に浸透して、
女性に対する暴力の被害が少しでも減ることを期待したいです。
関連情報・お問い合わせ先
- WEN−DOインストラクター橋本明子さんのホームページ
「リアライズYOKOHAMA」
http://realize-yokohama.jp/