今日は、外国にルーツを持つ子どもたちの芸術活動を支援する市民団体「しんじゅくアートプロジェクト」を長田新が取材しました。
「外国人の子どもたちと芸術」というと、一度聞いただけではちょっとピンときませんが、色々な活動をしています。
例えば、ワークショップで「世界」という言葉をテーマに、曲を作ったりしています。
3人のプロのミュージシャンが先生になり、子どもたちが考えたキーワードをメロディに乗せる形で、作り上げました。
「しんじゅくアートプロジェクト」が拠点とする新宿や大久保は、海外の飲食店やコリアンタウンがあったりして、多くの外国の方が住んでいます。その数は新宿区民の1割にも及びます。
しんじゅくアートプロジェクトは、4年前から、音楽のほかに、ビデオアートや写真、ダンス、演劇の公演を行っています。現在、スタッフは、海老原さんを含めて3人。また、新宿区の委託金によって「OUR SPACE」と名付けられた部屋を運営していて、そこでは、ダンスや音楽の練習をしたり、ボランティアの方が先生になって、勉強の手伝いをしたりしています。
「外国出身の子どもたちとアートを結び付ける」という、大変ユニークな発想について、しんじゅくアートプロジェクトの海老原周子さんに伺いました。
『まあ、色々な違いがあると思うんですけど、文化の違いとか言葉の違いとか…。それが、今の日本って、結構、マイナスというか、否定される側面があるんですけど、その違いというのは、実は多様性であって、色んな国の言葉だとか、色んな、みんなが持っている、例えばらっぷが出来る子がいたり、歌が歌える子がいたり、楽器が弾ける子がいたり…。そんな、色んなみんなの違いが活かされるような、そういった活動は、アートだったら出来るんじゃないかと思いまして、それで今、こういう活動をしているんですけれども…』
つまり、アートならお互いの違いを認め合うことができるのでは…ということなんですね。
外国にルーツを持つ子どもたちの中には、色々な問題を抱えている子どもも、少なくありません。ある程度、大きくなってから来日するというケースも多いそうで、そうなると、日本語も理解出来ないし、友達もなかなか出来にくいというのが現状です。
しんじゅくアートプロジェクトの活動は、彼らにとっては、友達を作る場でもあるんです。
そして、プロジェクトの目的は、「もうひとつ」あります。再び、海老原周子さんです。
『「外国人の誰々さん」ではなくて、『何々ちゃんという子』がいて、例えば、『フィリピンルーツで中国ルーツで…』って、本当に顔と顔が見える関係というんですですかね、つながりを作って行くことで、なにかあった時のソーシャルセーフティというか、何かちょっと悩んだ時とか困った時とかに相談できるような、隣のお兄さんだったりお姉さんだったり、地域の人だったり、ってあると思うんですけど。それは、何かきっかけがないと知ることができないので…。』
つまり、アート活動を通して「外国の子どもと地域の人を結び付け」て、お互いを顔見知りにする役割も果たしているんですね!
活動に参加している子どもたちがどんな感想を持っているのか聞きました。
『「最初は、日本人のイメージが、冷たいというイメージしかなくて、でも、アートプロジェクトを通じて、日本人は優しい人も沢山いるんだなとか、色々知りました」「やっぱりフィリピン人ですから、いつも一緒にいてくれるフィリピン人とか、一緒に集まって、みんな楽しそうに喋ったりしているから、楽しいです」』
アートプロジェクトの活動で日本人に対するイメージも良くなっているようなんです。
子どもたちから、「エビちゃん」と呼ばれて、頼りにされている海老原さんは、今後は、子どもたちのアルバイトや就職、進路など将来の夢を実現するために、子どもたちの内面に光を当てるような活動も行って行きたいと話していらっしゃいました。
縁あって外国から日本に来た子どもたちが、アートを通してお互いを認め合っているわけですね。日本に住むわれわれもこういった活動に目を向けていく必要がありますね。
関連情報・お問い合わせ先
- しんじゅくアートプロジェクト
https://www.facebook.com/ShinjukuArtProject