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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

障害者がパソコンを学んで、就労を目指す

放送日:2007年10月27日
世田谷区千歳台にある「さら就労塾@ぽれぽれ」
世田谷区千歳台にある「さら就労塾@ぽれぽれ」
働いて、地域の中で自立したいという障害者は大勢います。一方、「障害者を雇いたい」という企業も少なくはありません。しかし、仕事に見合った能力を持つ「人材」を育てたり、見つけたりする場、つまり「就労を支援する場」は充分とはいえない状況です。
東京・世田谷区が2007年の10月、障害者自立支援法に基づく「IT特化型就労移行支援事業所」をオープンしました。「パソコンの能力を身につけて就労活動を行おう」とういうもので、こういう事業所は全国で「初めて」だということです。
パソコンを使ってデータを入力したり、ワードやエクセルといったソフトを使って、頼まれた文章や表を作ったり、それを決められた時間までにメールで送ったり。実際の仕事で使えるレベルの「正確さ」と「速さ」を身につけます。「自己流」や遊びではなく、仕事で使う能力をきちんと身につければ、「就職先を広げ、就労する」ことを目指します。

運営を委託されているのはNPO法人「さらプロジェクト」。事業所の名前は「さら就労塾@ぽれぽれ」。(略称「さらぽれ塾」)「ぽれぽれ」はアフリカのスワヒリ語で「ゆっくり」という意味で、「あせらず、ゆっくり学ぼう」ということです。
「さらぽれ塾」では、10月中旬の時点で、世田谷区に住む精神障害の方が16人、知的障害の方が1人、身体障害の方が5人と、あわせて22人が週3日通ってパソコンの「基礎」を学んでいました。また、「パソコンの基礎」と並行して、電話の応対の仕方や、あいさつなどの礼儀、さらには、職場の人間関係や、企業活動とはどういうものか、といった企業で働く「心構え」なども学びます。障害者はなかなか社会経験が持てないために、就労しても、能力よりこういったところで失敗することがあるんだそうです。こういった授業にも十分時間を割いています。
また、不活発な生活をしていた方が多いので、身体をリラックスする方法を会得してもらおうと、2週に1回ぐらいストレッチやリズム体操もしているそうです。
「独学で、パソコンはけっこう使えるけど、基本的な所から勉強し直したかった」という一人の女性は通う理由について、「学校に通って、生活リズムを整えたいのも理由の一つです。まだ開講して2週間目なので、リズムはどうなったかわかりませんが、食事ができなかった私の場合、食事はきちんと取れるようにはなってきています」と話します。この女性は「将来、例えば、身体障害者の外出をITの技術で助ける、といったような仕事に関わりたい」と話していました。
また、精神障害と身体障害がある一人の男性は心臓が悪く、デスクワークしかできないので、パソコンの能力を上げて、就労につなげようと考えています。若い頃就職したこともありましたが、当時はパソコンが一般的ではなかったそうです。「当時は書類というと手書きでした。そんな自分が使わなくちゃいけない、と思うと正直言って、これからやるのはちょっと厳しいかな、とは思いました。でも自分でやらなくてはいけない時代になっているので、 つらいだろうけど頑張って、自分のものにしなければいけないな、と思います」と意欲的でした。

10月に始まった「基礎」のカリキュラムは翌年の2月の中旬まで。その後は、就労のために企業での実習に入る人もいますし、一方で、資格取得やウェブのデザインなどより進んだコースも予定されています。インタビューに答えてくれた男性はコンピュータで設計をするCADを学びたいということでした。
「さらぽれ塾」の施設長、佐藤智恵さんによりますと、学びたい意欲に加えて、「自信」が大事だということです。「特に精神障害の方は、短期の就労を繰り返して、結局体力が続かなかったり、人間関係がストレスになってやめた方が多いので、自分に自信が持てない、自分の判断にも自信が持てなくなっています。自分を信じる能力をここでつけていただいて、自分はやれそうだ、と思っていただく。そうなれば私たちも、やれるよ、と言って送り出せます」と佐藤さんは話していました。
そして、佐藤さんたちの仕事も「パソコンを身につけたところ」で終わりではありません。実習の場、就労の場となる「企業」を開拓するのも「さらぽれ塾」の仕事です。佐藤さんは「企業側も採用意欲は高いのですが、実際に雇った時、どの職場でどういう仕事をやってもらえばいいのか、まだ手探り状態なので、企業側と一緒にこれから考えてゆきたい」と話していました。

障害者の働く場を広げるためには、それに対する企業や、私たちの社会全体の理解、関心もより深まる必要があるようです。